この素晴らしい仲間達に救済を!   作:よっひ。〜

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第48話 求めたもの

 最果てのダンジョンでの、ラグクラフトとの戦いから二日がたった。

行方不明だった隣国の王子、レヴィ王子や街の子供たち救出され、ダンジョンは一時封鎖。

残党が残っていないかの確認が、王都からの調査団によって調査が行われている。

そして、今回の幹部討伐の実績が認められて俺たちの当初の目的は免除されることになった。

 

 

 まぁ、その裏にはレヴィ王子救出による、隣国エルロードへの貸しができたことが大きいのだろう。

こうして、姫様のパーティーが魔王軍の幹部をまた倒したことで、国の士気は最高潮。

そんでもって、今行われているエリス祭も合わさって、近々魔王城攻略の部隊が結成されることになった。

 

 

まぁ、それはいいとして俺はポケットから冒険者カードを取り出す。

改めて何度も見るが、やっぱり俺のカードにはラグクラフトの討伐が記載されていない。

夢の中のことはノーカンらしい。

もし、あのまま夢から起きられなかったらどうなっていたのだろうか。

 

 

「皆さーん!準備はいいですか?街に戻りますよ」

 

 

 これはまた元気な声でゆんゆんが呼び掛ける。

帰りはゆんゆんのテレポートであっという間。

なんとかエリス祭の最終日には間に合う考えだ。

 

 

「楽しみですねお祭り」

 

 

「そうですね。そういえば、お祭りというと浴衣という服を着ると先輩から教えてもらったのですが。どうしましょうか?」

 

 

 祭に大きな期待を膨らませる、我らのパーティー。

ーーなのだが。

俺は知っている。

今アクセルの街はアクシズ教団が占拠しアクア祭をとりおこなっていると。

 

 

「どうしましたか?お弟子君。お顔が真っ青ですよ」

 

 

「いえ、別に何でもないですよ。師匠」

 

 

 師匠に声をかけられて、我に帰る。

腹を括ろう。

これから先に何があろうと、目を背けずに。

 

 

「それではいきます。〈テレポート〉!」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 ~アクセル~

 

 

 人の熱気と賑やかな声。

恐る恐る目を開くと

 

 

「どうだい、どうだい!ジャイアントトードの黄金焼きだよ!」

 

 

「矢的!矢的はいかがてすか~」

 

 

 思ったより、まとも?

アクシズ教が占拠しているとかではなかったのか。

見た感じまともだ。

ちゃんと祭をしている、だと……。

ーーと、思ったのはつかの間。

 

「エリス様の人形焼きはいかがかね」

 

 

「アクア様の人形焼きー!人形焼きはどうだい!」

 

 

「幸運の詰まったエリス様焼きの方がご利益あるよ!」

 

 

「いや、アクア様焼きのほうがご利益ありますよ!」

 

 

「さっにからなんだいあんた!」

 

 

「んだと!同じもん近くで売るんじゃねぇー!!」

 

 

 エリス教とアクシズ教。

先輩、後輩の間柄で仲のいいこの二人。

だが、信徒たちは違った。

この二つが同じところにあると必ずと言っていいほど、ぶつかり合いが起こるという。

主に、アクシズ教団から吹っ掛けらしいが。

 

 

「おい、てめぇーら!」

 

 

 その後ろから怒鳴り入る声。

 

 

「か、カズマの旦那」

 

 

「あれほど、騒ぎを起こすなって言ったよな!」

 

 

「吹っ掛けたのはあっちからで」

 

 

「あっち、こっちじゃねぇー!お前らの売上の半分は後で本部に出せ!次暴れたら、全部没収だぞ」

 

 

「「そんなー」」

 

 

 半シャツ腕まくりで、タオルを頭に巻いたカズマ。

その姿は、ザ・祭男だ。

 

 

「ん?ユウマじゃん。帰ってんなら教えてくれよ」

 

 

「おう、久しぶり。今帰ったよ」

 

 

 この一週間でお互いずいぶんと変わったらしい。

その変化に笑いあう。

ーーしかし、ここに一人。説明が欲しい女神様がいる。

 

 

「カ、カズマさん……。これは、そのどういう状況で」

 

 

「ああ。そういえば言ってなかったな。今回のエリス祭さ。アクアも自分の祭をやりたいって駄々こねてな。商店街のおっちゃんたちからも、盛り上げて欲しいって言われて。エリス祭と同時開催でアクア祭を開いたんだ」

 

 

 なるほど、と理解する面々。

しかし、一人だけ呆然とする者がいる。

 

 

「あ、私はこれで失礼しますね。帰ってバニルさんをびっくりさせないと」

 

 

 ふと、思い出したかのように、別れを言ってその場をさる師匠。

それに続いてカズマも。

 

 

「それじゃあ、俺も。馬鹿どもが暴れてないか見回んないといけないからな」

 

 

 じゃ、と片手をあげて人混みに消えていく。

最後にポケットから札が見えたのは、置いとくとして。

 

 

「それでは、私たちも回ってきますね、行きましょう、ゆんゆんさん!」

 

 

「え、あ。待ってアイリスちゃん!」

 

 

 そしてついに、俺とエリスだけが残ってしまった。

ふと、隣に視線を変えると、さっきまでのもやもやはどこに行ったのか、もじもじと赤面している。

 

「俺たちも行こうか」

 

「……はい」

 

 

 実をいうと、この一週間はダンジョンでレベリングばかりで体はかなり疲れていた。

だが、エリスと歩いているとそれも忘れる。

あれは?これは?と表情豊かにコロコロ変わっていくエリスを見ているとこっちまでにやけてしまう。

 

 

 思い返せば、女の子と祭を回るのがこれが初めてだ。

いつもは男友達と回ったりか、練習でつぶれたりと青春とはあまり言いたくないことばかり。

そう考えると涙が……。

 

 

「ど、どうしたんですか?もしかしてどこか痛い所が」

 

 

「大丈夫……。大丈夫だ。こしょうが目に入っただけだから」

 

 

 

 

 

 それから楽しい時間が過ぎて、いよいよ祭のフィナーレに。

行き交う人々の話を小耳に、もうすぐ花火が上がるらしい。

途中で、カズマの怒鳴り声や、我らのパーティーと爆裂狂の悲鳴が聞こえたり、サツキさんが出し物したりと見慣れた人たちをよく見ることがあったが、なんとなく素通りを繰り返した。

 

 

「あ、見てください。ミスコンですよ!」

 

 

「よし、止めておこう。絶対悪いことが起こる」

 

 

 なにやら、興味深々エリスの手を引いて会場を避ける。

ちらっと奥にカズマとクリスを見つけてしまった。

あの場にいたら多分ひどいことになる。

あの様子から察するにクリスがエリスの格好で登場。

エリス教徒は拍手喝采。

それを見たエリスが飛び出して、自分が本人だと主張。

エリス様はそんな貧……。

これ以上はやめよう。

てか、エリスはクリスと面識がない。

絶対パニクる。

 

 

 

 よって、障害物を全て退け見放しのいい丘に着く。

正直疲れた。

 

 

「なんか、静かですね」

 

 

「てっきり虫の音で騒がしいと思ってた」

 

 

「ふふ、この時期の虫はうるさいですからね。冒険者の皆さんも結構頑張ったと思いますよ」

 

 

 俺はこのエリスの何気ない笑顔が好きだ。

時々妬いたり、怒ったりといろんな表情を見せるのだが。

この何気ない会話の時に見せる、何気ない笑顔が本当に好きだ。

 

 

「ユウマさんは、何かしたいことはありますか?」

 

 

「突然だな。んー。しいて言えばもう一度桜を見たい」

 

 

 それは少し前、アイリスと出会った時だ。

あの時はまだ秋で、そんな季節ではなかったが、冬を越えていろんなことがあったここ最近よく思うことがある。

それは、あの時目を輝かせながら話を聞いていたアイリスや、いつもそばにいてくれたエリス、ゆんゆんやカズマたちと桜を見たいということだ。

 

 

「いいですね。私も先輩から話でしか聞いていないのですが、春にピンクの花びらを咲かせる綺麗なお花だと聞いています」

 

 

「さすが、アクアだな。本当いろんなこと教えるんだな」

 

 

 いつものことであれだが、こうい稀に見せるアクアの先輩気質には感心させられる。

 

 

「それで、エリスはどうなんだ?なんかやりたいことあるか?」

 

 

 えっ?とした表情のエリス。

まさか、返しがくるとは思っていなかったのだろう。

少し考えた後、切ない声で言う。

 

 

「冒険ですかね」

 

 

「冒険?」

 

 

「はい、いろんな国に行っていろんな物を見て回って、遺跡やダンジョンを攻略して、疲れてみんなで宿に帰ってきて。今日あったことの反省をしながら、次の日の準備をして、ご飯を食べて寝て」

 

 

「そんなありきたりな冒険をしたいです。そして……」

 

 

 そこで、エリスの声が止まる。

それ以上は言えない。

そんなことを感じた。

 

 

「なぁ、エリス……」

 

 

「……です。……いたいんです」

 

 

 ポツリと今にも消えそうな声でいった。

 

 

「私は。あなたの隣に……!」

 

 

 それが私の本心だった。

みんなと冒険をしたい。

それも本心であるのは間違いない。

でもそれ以上に、私は彼の、ユウマさんの隣にいたかった。

もし、隣にいることができるのなら。

私は、自分の在り方を捨ててでも。

 

 

「エリス」

 

 

 それはまるで時間が静止したみたいだった。

一瞬か数秒か。

俺は思考を追い越して、口を開いた。

 

 

「俺、あれだけ覚悟決めたのに、昨日まで進めなかったんだ」

 

 

「……」

 

 

「本当、カッコ悪いよな。あれだけエリスが許してくれたのに、ずるずると引っ張って。終いに夢に背中を押されるなんて」

 

 

 涙を流す彼女に視線を合わせる。 

今から言うことに偽りが無いように。

俺自身の覚悟を執念に変えるように。

 

 

「俺はエリスが好きだ。どんなに引っ張っても、進めなくても。この思いだけは決して変わってない」

 

 

 彼の口から出た言葉に、私は止めようとした涙を、ついに押させることができませんでした。

やっぱり、私は卑怯者だ。

彼の口からその言葉を、一番聞きたかった言葉を待っていたのだから。

でも、これだけは、彼も自分も騙したくない。

 

「はい。私もあなたを愛しています」

 

 

 涙を流しながら、彼女は言った。

その言葉に、彼女想いがすべて詰まっていたのだ。

そっと、エリスを抱く。

想像以上に軽く、そして、想像以上に小さかった。

 

 

 

 

 後ろで空高く上がった花火が、大きな音とともに空に咲いた。

俺はそんな花火を背にしながら、柔らかな感触を唇に感じていた。

慰めと言うほど、綺麗なものではない。

どちらかといえば、傷の舐めあいだ。

お互いがお互いの傷を癒すために。

ただ静かにその夜を過ごした。

 

 

 

 




遅くなってすみません!
明けましておめでとうございます。
正月というより、今週はいろんな物に影響されて、書き直しのオンパレードでした。
それにしても、Fate/HFついに2章が公開されましたが、皆さんは見ましたでしょうか?
僕は初日に観に行ったんですけど、まあ、最高でした。
終始、ただ尊くて、涙が止まらない、止まらない。
ぜひ、まだ見てない方がいましたら、なるべく早く観てもらいたいです。
もちろん、タオルを忘れずに笑
ほとんど感想になってしまいましたが、次回から新章です。
なるべく早めに投稿できるようがんばります!
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