この素晴らしい仲間達に救済を!   作:よっひ。〜

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第52話 覚悟の瞬間

 

 

 

 

 

 正直な所、もうこの街は無理だな。

これが俺の率直な感想だ。

そりゃ、デストロイヤーの時は、せっかく手に入れた屋敷を壊されてたまるか!なんて気持ちはあったさ。

だが、今回は違う。

既に町の二割は吹っ飛んだ。

奇跡的に死人は出なかったものの、負傷者の数は多く、手当てする側もボロボロで戦う気なんて微塵もない。

しかも、王都からの救援もないときて、終いには俺たちでなんとかしろという始末。

ぶっちゃけ無理ゲーだ。

 

 しかし、悪いことだらけでも無さそうだ。

なんと、たまたま通りかかったプリーストが街の状況をみかねて、手当てを手伝ってくれたのだ。

僅かな救いの光に生きる活力を取り戻すことができた街の人々。

めでたし、めでたし。はい終わり。

 

 で、いいじゃないか!

実際問題、何の解決にもなってねぇー!!

多分、噂の幹部様は明日の朝も今度は別方向から、街を襲撃するだろう。

すると、また負傷者がでる。

最悪の場合、死人だって。

いや、死人はアクアがいればどうにかなる、のか?

しかし、それがいつまで続くかわからない。

ああ、もし運命を司る神様がいるとしたら、そいつはとんでもないど畜生だろう。

 

 

「なにかお困りですか?」

 

 

 声の方へ振り向くと、そこには大きく素敵な物ををもった女性が一人立っていた。

これはビューティフォー。

ウィズとはまた違った、大人の色気がむんむんだ。

 

 

「私で良ければ相談にのりますが」

 

 

 この女性、いきなり腕に胸をつけてきた。

しかし、虚しい。転生したばかりの頃の俺ならDT丸出しで喜んでいただろう。

残念だが、今の俺にはなんともない。

 

 

「その、あまり押されると」

 

「問題ない。どうか続けてください」

 

 

 仕方がないじゃないか。押してきたのだから、押し返す。

別におかしいことはない。

 

 

「ん?よく見たら、お姉さんさっきギルドで」

 

「あら見ていられたのですか。私はセレナといいます。しがないプリーストです。それにしてもあの有名なパーティーのカズマさまとお話ができるなんて」

 

「俺、そんな有名なんですか?」

 

「はい、それはそれは。王都にととまだず、国境まで噂されています」

 

 

 俺が国境まで噂?

あり得ないな。

しかも、もし噂されてたとしてもどこの馬鹿貴族が流した悪評ばかりで、いいはずがない。

 

 

「うちのメンバーならまだしも、俺が噂されるなんて聞いたことないんだが」

 

「そ、そんなはずはありません!あまたの魔王軍幹部たちと渡り合ったカズマ様はそれはもう庶民の英雄でして」

 

 

 どうやらものすごい勘違いをされている。俺が関わった幹部戦てベルディア、バニル、ハンス、シルビアくらいだ。しかもまともに俺が戦った相手なんてハンスくらいという事実。

 

 

「なんかやるせなくなってきた」

 

「元気をだしてください。そうだ、ここで会えたのも一つの縁。なにかお飲みになりませんか?」

 

 

 察したのかセレナが飲み物をおごってくれるらしい。残念だが、今はそんな気分になれない。こんな状況で周りはせっせと復興に力をいれているのに、俺だけ昼間から飲んでいるわけにもいかない。

 

 

「悪い、それは今度で頼む。今から悪友の見舞いに行かないと行けないんで」

 

「それは残念ですわ。それではまたの機会に」

 

 

 残念そうに去っていくセレナを尻目に俺はダストのもとへ向かた。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「悪いな見舞いに来てもらって」

 

 負傷者だらけのシートの上にダストは横たわっていた。

 

 

「調子はどうだ?」

 

「言うほどだ。ぶっちゃけここはせまっ苦しいから刑務所の中が恋しくなるぜ」

 

 

 怪我の要因はウォルバクの襲撃時、路上で泥酔していたところ爆風に巻き込まれたとのことでパーティーからも呆れられていたが、そこまでひどい怪我でなくてよかった。

 

 

「話は聞いたぜ。王都から応援はこないらしいな」

 

「ああ、向こうはむこうでやばいらしいからな」

 

「これだから貴族は。王都の冒険者も合わせればこっちに持ってこれる部隊くらいあるだろうにな。自分かわいさに兵や冒険者を一人占めしやがって」

 

 

 ダストの苛立つ理由はよくわからる。正直いって王都の冒険者のレベルはかなりのものだ。数十人応援に持ってこようが、そう簡単に崩れるわけがない。

 

 

「畜生。こんなときに限って、俺が出られないなんてな」

 

 

 ここで一つ残念な話をすると、今回の襲撃の負傷者はなぜだか一般市民よりも冒険者のほうが多かった。

まるで最初からその場所に冒険者が多く集まっていることを知っていたかのように襲撃されたのだ。

 

 

「俺たちは俺たちで戦える戦力が限られてる。それに相手が幹部となるとな」

 

「カズマ、これ」

 

 

 差し出されたのはジグザグと曲がった不思議な短剣だった。

 

 

「昔、戦場で手に入れたもんだ。契約破棄の神器」

 

「どうしてこれを俺に?」

 

「勘だよ勘。今回はかなりやばい感じがするぜ。一山じゃ終わんない何ががな」

 

 戦闘センスや身に付けている武器といい、前々から謎なやつだと思っていたが、今回でさらに謎が深まった。

 

 

「ありがとよ」

 

「ああ、俺たち戦えないやつの分も頼むぜ。サキュバスの姉さんたち守るの」

 

 そうだ、俺は今までこの街のサキュバスたちにどれだけお世話になったことか。それはダストを含む男冒険者たちもそうだ。何とかして守り抜かないとだよな。

 

「任せとけ」

 

 短剣を腰にぶら下げてギルドを後にする。さっきまでのもやもやは何だったのかやる気がみるみる湧いてきた。

 

 さぁ、しがない最弱職の大博打の始まりだ!

 

 

 

 

 

 




大変長らくお待たせいたしました。
気づけば本編は最終巻ということで、焦るように書きました。
このあと報告と最終巻の個人的な感想を書きますのでぜひ読んでください。
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