烏森の魔女ゲーム 〈第2ゲーム〉   作:海神アクアマリン

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裏お茶会

第2ゲーム終了後の魔女の喫茶室。

「まったく、せっかく任せてあげたのにあんなヘマをするなんて、莉亜にはガッカリしたわ。」

「クロノエル様。第3ゲームは私にお任せください。私一人でどうにかしてみせます。」

「第2ゲームの後半でも危うい戦い方をしていたクセに、あなた一人でどうにかできるのですか?きゃははは!あんたなんかに出来るわけがないでしょうが!」

私は思いっきり莉亜を蹴っ飛ばした。蹴られた莉亜は勢いよく地面に叩きつけられた。莉亜は涙目で私に頭を下げた。

「申し訳ございませんでした。黒月の魔女見習いの名に恥じぬよう戦いますので、もう一度私にチャンスをください。」

「まぁ、いいでしょう。第2ゲームの最後にはなかなかいい戦いをしてたからもう一度チャンスをあげましょう。今度無様な姿をさらしたら黒月の魔女の弟子をやめてもらうわ。すでに芽琉は別の魔女によって祝福の魔女メルヘリアになっている。あなたが弟子をやめても私には痛くもかゆくもないわ。」

「私は芽琉のようにクロノエル様を裏切るような真似はいたしません。クロノエル様の期待に添えるように努力します。」

「期待なんてしてないわ。私は前のゲーム盤を片付けに行ってくるわ。第3のゲームのトラックとかちゃんと考えなさいよ。」

そう言ってクロノエルは姿を消した。

「うぅ。どうして私がこんな目に。魔女の弟子がこんなに辛いなんて。うわーん。」

私が泣いていると陰から声がした。

「あらあら。可哀想にまだ小さいのにあんなにも酷いやり方で育てようとするなんて。クロノエル卿はなかなか最低な魔女ね。」

「えっと、あなたは誰ですか?」

「私は絶望の魔女ヘルケイズよ。あなたの様子はずっと見てたわ。可哀想に、イカれた黒月の魔女の弟子になったせいで傷つけられてしまって、祝福の魔女メルヘリア卿も心配していましたよ。」

私は何が何なのか分からなくなっていた。いろんな情報を一度に聞きすぎた。

「えっ?芽琉を知っているのですか?第2ゲームの途中で弟子をやめて行方をくらましたのに会ったんですか?」

「私は彼女を知っているし会ったわ。彼女の後見人は私よ。私のおかげで芽琉は祝福の魔女になれたのよ。あの子は宣言していたわ。莉亜が勝利して祝福されることをここに宣言すると言っていたわ。」

「私を置いていってた奴なんかに祝福されたくないわ。私はあの子にも屈辱を与えられた。それなら同じくらいの屈辱を私が与えてやる!」

「あっははは!それは面白い。それならあなたの後見人に私がなって屈辱の魔女と復讐の魔女にしてあげるわ。」

私はヘルケイズ卿の誘いを受けるべきか一瞬迷ったが、そんなことを迷う必要などなかった。私に屈辱を与えた芽琉と薫とバアルには復讐をしたかった。それなら迷うことはない。その力を貰おう。

「ヘルケイズ卿。魔女になってからそれを隠すことは可能ですか?しばらくはクロノエル様を騙しておきたいんです。」

「あなたがちゃんと出来るなら隠せるわ。そして、いつでも魔女として動けるようになるわ。」

「それならヘルケイズ卿に後見人をお願いします。今すぐに屈辱と復讐の2つの称号を私にください。」

「分かったわ。南野莉亜を屈辱と復讐の魔女であることをここに認めるわ。」

その瞬間、私の姿が変わりドス黒いドレス姿になった。髪は後ろで一本に大きな赤いリボンで結ばれた。

「これで私も魔女の仲間入り。でも、しばらくは隠さないといけない。しばらくは黒月の魔女見習いの姿で居よう。」

そうして魔女の姿から魔女見習いの姿に変えた。

「おめでとう。屈辱の魔女リアボリス卿。あなたが魔女になれたことを心から祝福します。」

「ありがとうございます。私は第3ゲームの支度をしないといけないのでそろそろ失礼します。」

そう言って私は魔女の喫茶室を後にした。

 

「クスクス。これでアルクレアとの賭けに勝てるかもしれないわ。絶望の魔女として宣言するわ。薫が勝つことなど絶望的にあり得ないわ。クスクス。」

 

そして、魔女の喫茶室には誰も居なくなり、第3ゲームの支度が進められた。

 


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