第1のゲームの整理でこのゲームがどのようなものか理解できた。しかし、向こうは遊んでいた。リザインしなくても彼女なら簡単に僕を倒して勝ち誇ったはずだ。完全に年下に舐められてる。
僕達はお屋敷に到着した。お屋敷に着くと使用人の隼人さん、剛座さん、清子さん、それと長男一家とお祖父様に迎えられた。僕達はお屋敷で少し過ごして昼食を食べてから、いとこ達はお屋敷の裏にある花畑に行くことにした。使用人の神威君と美紅利ちゃんと弥勒ちゃんと業君の4人も一緒に行くことになった。
「いやぁ。まさか4人のシフトが空いてるとはね。一緒に来れてよかったぜ。」
「芽亜里、女性なら言葉遣いは綺麗にしなさい。元男子の私より言葉遣いが悪いなんて呆れるわ。」
「優妃に説教される日が来るなんて思わなかったぜ。」
「お嬢様。優妃様の言うように言葉遣いを正さなければまた奥様に怒られますよ。」
「きしし。芽亜里が怒られる。」
「くふふ。芽亜里が怒られちゃう。」
僕は今年の親族会議が一番楽しく感じた。使用人も来てくれたし、4年ぶりに優妃ちゃんも来てくれて、とても充実した時間を過ごせた。
「そういえば、カラスが鳴いてないな。」
「奏太の言う通りだ。いつもならうるさく鳴いてるカラスの鳴き声が全然しないね。」
「それは多分、台風が近づいてるからですね。」
「美紅利の言う通りで、風も強くなって来てるからどこかに避難したんだと弥勒は思います。」
確かに風が強くなってきていた。このまま外にいるのは危険だと考えてみんなお屋敷に戻ることにした。
お屋敷に戻ってから夕食の時間まで時が過ぎた。
「今日の主賓である優妃ちゃんに乾杯。」
「皆さん、ありがとうございます。また親族会議に参加できて私は良かったです。」
「それより早く食事にしようぜ。」
「芽亜里、少しは行儀良くできないのですか。」
「優妃ちゃんの言う通りです。芽亜里、もう少し女性らしくしたらどうです。」
「2人からの説教は流石にキツイぜ。」
そして笑いと笑顔が溢れる中、夕食は食べ進められてお食事が終わった。
「今回はお祖父様が居ないみたいだね。」
「今回は前回の反省を生かして、実は隠していたけど余命1ヶ月のお祖父様を安静にさせたのよ。」
「余命1ヶ月なんて初耳だね。どうして知っていたんだい?」
「電話でよくお祖父様と話をしていたからその話を聞いただけよ。」
そういうことか。孫と話したがるお祖父様は無理をしてでも出てくるが、今回は病人らしくさせたわけか。
「さぁ、今まさに魔女の手紙が読まれているわ!これからゲームが本格始動する!莉亜と芽琉の力を借りずにこのゲームを私が制して見せるわ!きゃーはっはっ!」
「この手紙で親父の隠し財産の存在が出てくるとわな。」
「だが、差出人が魔女な訳がない。どこかにこの手紙を出した張本人がいるはずだ。」
「秋楽お兄様。お父様に話しを聞くことは出来ないのかしらぁ?」
「悪いが親父は余命1ヶ月なんだ。誰にも会う気は無いらしい。」
「それならこの手紙を解釈すればいいのだろうか。」
大人達は魔女からの手紙についての話で頭を悩ませていた。その様子を見るのを楽しむように優妃は見学していた。お祖父様のお気に入りの優妃は何かを知っているのかも知れない、だけど彼女から何かを聞き出すのは難しい。口が固いことで有名で意地悪な優妃が何かを語るはずがないと誰もが思っているんだ。
「大人達の無駄な話し合いにも飽きたから私はゲストハウスに行くわ。莉亜と芽琉も行くわよ。」
「きしし、優妃お姉さんにはついて行くよ。」
「くふふ、優妃お姉さんについて行くのが正解だよ。」
「ゲストハウスに行くならいとこ全員で行こうぜ。」
そういう話しになって子供達は大人達のいる食堂を後にした。
「きゃはは!大人達は無駄な話しをしなくていいのに。次期当主は私なのだからね。」
「まだそんなこと言ってるのかよ。次期当主は決まってないが、私たちの中から出てくるわけがないだろ。」
「何を言ってるの?次期当主は私に決まってるよ。」
優妃は不気味なオーラを出しながら、そんなことを言った。
「優妃、てめぇ。私達にまだそんな戯言を言うならブン殴るぞ。」
「落ち着けよ、芽亜里。証拠がない限り優妃が次期当主なんてことは無いんだからよ。」
「証拠ならあるわよ。」
突然そんなことを言われてみんな固まった。ただ、優妃自身と莉亜と芽琉は不気味に笑っていた。
「しょ、証拠があるなら見せてみやがれ!」
「いいわよ。今日は気分がいいから見せてあげるわ。」
そう言うと優妃はカバンの中から指輪を取り出して自分の中指につけて見せた。指輪にはこの家の印であるカラスが彫られていた。
「そ、そんな。次期当主の指輪を所持してるなんて。」
「あ、ありえねぇ。お祖父様が優妃を次期当主にするなんて。」
「でも、あれを持っているということは、大人達には内緒でそれを優妃に授けたということになる。」
みんな一目で分かる次期当主の指輪の登場で、気持ちが沈んでいった。
「きゃふふ。これは本物よ。5年前に貰ったのよ。これを私が受け取ったのを知っていたのは、莉亜と芽琉とカラスを身につけることを許された使用人だけよ。」
さらに追い討ちをかけられてトドメを刺された気分になった。
次期当主の指輪の登場にゲーム盤はどのように変わるのか。魔女のゲームは危険な方向へと進み始めた。