烏森の魔女ゲーム 〈第2ゲーム〉   作:海神アクアマリン

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第6話

僕は呆然としていた。突然の次期当主宣言、場の指揮権入手、使用人の操作権利、これらは決して僕達のためでは無いだろうが、彼女にはこの家を守る義務が生まれたからあの行動に出たかもしれないと思うと、駒の彼女と魔女の彼女が別人に思えた。

「どうかしましたか?第1の殺人は起こりましたよ。早く推理を聞かせてください。」

「どうして、駒はあんなにも優しい考え方なのに魔女になったらこうなるのか。意味が分からないよ。」

「うふふ。それも私を知る推理の材料にするといいわ。それよりも、早く推理を聞かせてください。」

腑に落ちないが今は仕方ないだろう。

「それじゃあ、推理を聞かせてあげるよ。バアル、現場の再構成をしてくれ。」

「現場は三階の当主部屋です。当主部屋にて源蔵、秋楽、相馬、紫音、優香の5名の遺体を発見。現場は当時密室でした。」

「早速だが復唱要求。源蔵、秋楽、相馬、紫音、優香は最初から当主部屋に居た。」

「いいでしょう。『源蔵、秋楽、相馬、紫音、優香は最初から当主部屋に居た』」

「続けて復唱要求。当主部屋の鍵は二本である。」

「復唱を拒否する。理由は言いたく無いわ。」

どういうことだろう?部屋の鍵は二本存在するはずだ。それなのに赤で言うことが出来ないなんて、何かあるのかもしれない。

「クロノエル様。復唱要求です。烏森にいる人間は23人である。」

「復唱を拒否するわ。理由は特になし。」

「それなら1つの仮説が立てられる。不特定多数の人間が烏森に侵入していて、その中に犯人がいる。つまり、23人の中に犯人は居なく。24人目以降に犯人がいると言うことだ。」

僕がそれを言い終えるとクロノエルは不気味で気色悪い笑いを浮かべて言った。

 

「きゃーはっはっ!それなら、22人を調べた後に24人目以降を全て調べればいい!犯人がこの中にいるなら、犯人以外を全て調べればいい!」

「それはどう言うことだい?」

「多分、ヘンペルのカラスの応用だと思います。クロノエル様はタチの悪いことをしますね。」

バアルの言うことは僕でも分かった。ヘンペルのカラス、「全てのカラスは黒い」と「黒くないものはカラスではない」と同値であることである。だから、「全ての黒くないものはカラスではない」を証明すれば、「全てのカラスは黒い」を証明できる。ヘンペルのカラスは証明方法の1つである。

「つまり、私は全ての24人目以降のアリバイを証明すればいい!そうすれば、23人の中に犯人がいることは確定され、24人目以降が否定されると言うことよ!きゃーはっはっ!」

悪魔の証明による24人目以降が封じられた。僕は23人の誰かを疑えるが、出来れば疑いたくなかった。優妃の犯行だって、優妃の姿をした誰かの犯行だと思いたかった。しかし、疑わざるを得ないなら絶対的に疑う。犯人を見つけて全てを終わらせてやる。

 

「そういえばあれを赤で言ってなかったからその推理になったのでしたね。それなら赤で確定させましょう。『烏森にいる人間は23人である』そして、『24人目以降は存在しない』きゃふふふ。とても愉快でしたよ。薫さんがこうしてモタモタ推理をしている間に私は魔女として成長していく。私が完全に魔女の力を制御できるようになる前に倒すべきですね。きゃはは!」

確かに魔女としての貫禄が出てきた。その上、話し方や僕に対する呼び方も変わり始めた。彼女がまだ完全な魔女でないことは分かった。だが、彼女を倒すには時間が足りない気がした。

「もう一度推理をし直す。犯人は当主部屋の鍵を持つ人間だ。当主を交えた家族会議をあの4人でして居た頃に犯人が侵入。そして4人を連続で殺害。魔女の儀式通りに遺体を仕上げたんだ。」

「当主部屋の鍵は当主の持つ鍵と、使用人室に厳重に保管されているものの2本だ。『当時、使用人室の当主部屋の鍵は使用人であれば誰でも取れる状態にあった』つまり、使用人以外に犯人は有り得ない。」

「確かにそう言えるが、魔女のあなたがそんなことをさせるはずがない。」

「その通り!『当時、当主部屋の鍵は使用人室から出されていない』これは紛れも無い真実だ。それが意味することは、扉を鍵を使わずに侵入した。つまり、魔法で侵入したことを意味する。」

バアルは心配そうに僕を見つめていた。鍵が使用人室から持ち出されていないなら、もう1つのお祖父様の所持している鍵でしか開けられないことになる。どうやって開けさせたのか。これを解かないと先には進めない。

「バアル、一旦別のところに行こう。一度外の空気を吸いたい。」

「かしこまりました。クロノエル様、ゲームの一時中断を要求します。」

「よかろう。いくらでも休むがいい。永遠に戻ってこなくてもいいわよ。あなたには有限の時間しか無い。命を終えれば強制的に私の勝ちなのだからね。」

「安心しろ。僕は戻ってくるよ。君を倒すのが僕の目的なのだからね。」

そう言ってバアルと共に対局部屋を退出した。

 

魔女の新たなトリックはかなり頑丈だ。これを打ち破り勝つことは出来るのだろうか?魔女は完成したらどうなるのだろうか?

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