八結ss   作:ジェイミー

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3話

少し…いや、かなり暑くなってきた5月の頭。

普段なら休日に目一杯休む俺がわざわざ自分から予定を立てるなんてな。

それも女の子と出かけるために。

 

そう、今日は約束をしたハニトーを奢る日だ。

先月、一色と色々あったがあいつは相変わらずの態度でいてくれた。

そして、一色に告白された時ようやく自分の感情に気づけた。

あの時、脳裏にいた女の子

きっと俺は知らないうちに惹かれて、恋をしていたのだろう。

理性の化け物はその感情すらも押さえつけていたわけか。

しかし、この気持ちに気づけた今は違う。

今日俺はこの想いを告げるのだろう。

 

 

由「ごめんね!待った?」

 

八「おお、すげぇ待ったぞ」

 

由「待ってないとは言わないんだ…」

 

苦笑いしながら由比ヶ浜が言う。

 

八「一色もそうだが俺にそういうのは期待するな、なんならこれから一生期待しなくてもいいぞ?」

 

由「むー、、なんでいろはちゃんの名前出すかなぁ、

まあ、ヒッキーだしね、仕方ない!」

 

あれ、なんか俺ってことで納得された?

腑に落ちないけどまあいいか。

 

由「それで、今日はどこにいくの?」

 

八「あぁ、パセラ予約しといたから千葉中央に行くぞ」

 

場所を告げた途端、由比ヶ浜がキョトンとした顔をした。

どうでも良いがその顔かなり可愛いな。

 

由「え、ヒッキー覚えててくれてたの?」

 

八「まあ、去年は色々あって行けなかったからな、

それに俺は約束は一応守るぞ?」

 

由「えへへ、なんか嬉しいなぁ」

 

とりあえず喜んでもらえているので今回の企画は良かったらしい。

さすがにグーグル先生頼みなのは黙っておくか。

 

 

 

 

休日のお昼時、電車内には多くの私服の若者が載っていた。

まあ、みんな遊びに行くよね。

この県、ディスティニーもあるし。

まあ、何が言いたいかってさっきからこの満員具合だから由比ヶ浜と密着しているのです。

はい、俺が理性の化け物でなければ危なかったです。

 

八「悪い、まさかこんな混むなんて」

 

由「仕方ないよ、休日なんだし…

けど、ちょっと苦しいね」

 

本当にどうにかならないのかこの電車は。

ほら、由比ヶ浜なんて顔真っ赤にして怒っちゃってるよ。

そんなことを考えながらようやく目的地へと到着した。

 

予約の旨を伝え、部屋へ通される。

少ししたらハニトーが来た。

うお、こんなすげえのか専門の人が作ると。

 

由「うわぁぁ、ヒッキー見て見て!

すごいよこれ!」

 

由比ヶ浜が子供のようにはしゃいでる。

こいつはこういう行動がとても似合うな。

なんだろうな、守ってやりたくなるというか、そんな気持ちになる。

 

由「あ、そうだ、

すみませーん、写真お願いしていいですか?」

 

店「いいですよー、ではお二人とも近づいてもらっても良いですか?」

 

由比ヶ浜と近くなる。

電車の中では動揺しててあまり気にしなかったが、由比ヶ浜からは香水の柑橘系の匂いがしてドキドキする。

というか、本当にこいつ可愛いな。

クリッとした大きな目、長い睫毛、ピンクがかった茶髪

 

なんて変なことを考えてる間にシャッター音が聞こえた。

 

由「ありがとうございますー

ほら、見て見て!」

 

由比ヶ浜に今撮った写真を見せてもらう。

うわ、俺の顔めっちゃ赤いじゃん、なんかすげえ恥ずかしいんだが。

 

由「後で送るね!

とりあえずハニトー食べよっか!」

 

八「おお、そうだな」

 

 

由比ヶ浜と時間をかけてハニトーを食べた。

てかこいつ、本当にうまそうに食うな。

 

 

由「よし!食べたし歌おっか!」

 

八「え?」

 

まあ、たしかにここカラオケですけど。

けどハニトーしか約束していないからなぁ、帰宅を提案しようとしたのだが。

 

 

と今までの俺なら思ってるだろう。

しかし、今の俺は違った。

これからまた黒歴史を更新するため、少し浮き上がっていたのだろうか。

 

八「まあ、たまになら歌うのもいいな」

 

由「ヒッキーがすんなり了承した!?」

 

由比ヶ浜さん?さすがに俺をなんだと思っているの?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

由「いや〜、楽しかったね!」

 

八「そうだな、この後どうする?帰る?」

 

由「なんですぐ帰宅を提案するし…

ちょっと行きたいところあるから行っていい?」

八「まあ、いいぞ、暇だし」

 

 

もう一度電車に乗った俺たちはお互い話すことなく、揺られていた。

ディスティニーの最寄駅につく、ここでディスティニー特有のメロディが流れるのを聞き流しながらボーッとしていると由比ヶ浜が口を開いた。

 

由「次で降りるね」

 

八「おう」

 

次の駅…か

 

由比ヶ浜がどこに行こうとしてるのか大体予想はついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

駅を出て、観覧車を見上げる。

こいつとここに来るのは2回目か、いや、2人きりでは初めてだな。

 

八「この水族館も久しぶりだな」

 

由「そうだね、だけど今日は水族館じゃなくて、観覧車に乗りたいんだ」

 

 

俺たちはおもむろに観覧車に乗った。

2人に沈黙が流れるがそれはすぐに破れた。

 

由「あのさ、ここで私たちの最後の依頼受けたよね」

 

八「ああ、そうだな」

 

由「ヒッキーはさ、本物、見つけられた?」

 

八「どうだろうな。

これを本物と呼んでいいのか、まだわからない。

けど、それに似ているものに最近気づけた」

 

由「そっか…」

 

由比ヶ浜はそう言うと、決意を固めたような顔をした。

丁度、文化祭の受付で言われたあの時のように。

 

由「あのね、ヒッキーに言いたいことがあるんだ。

今日はケータイの電源切ってるし、観覧車の中だから、ヒッキーも逃げることできないよ」

 

やっぱり私はずるいね。と由比ヶ浜はどこか自虐的な声音でそう言った。

 

八「お前はずるくなんてないさ。

誰よりも優しい、素敵な女の子だ」

 

そうだ、だから俺は、俺は。

 

例え勘違いをしようと

どんなに自分が乏しめられようと

この子の笑顔があればそれでいい

そう思える存在だ

 

そりゃあ、俺なんかといたら評価は下がる。

これは1番悩んだことだ。

けど、きっと今のこいつはこう言うだろう。

 

『私はもう、そんなのに気にしない。

自分の思ったことをやる』

 

だから俺も

少しは自分に素直になってみよう

 

八「なあ、お前の話を聞く前に俺が今から話をしてもいいか?」

 

由「う、うん」

 

 

スゥー、ハァー

うん、よし、八幡緊張してない。

まあ、嘘なんだけどね。

けど、不思議と怖くはなかった。

何故だろうな。

 

八「由比ヶ浜結衣さん、

あなたのその誰よりも優しいところが、

その太陽みたいな素敵な笑顔が、

どんな時も明るくいてくれるところが、

料理が下手でも一生懸命作ってくれるところが、

俺という存在を否定してくれないで隣にいてくれるところが、

あなたの全てが好きです」

 

 

言ってしまった。

今思ったけど観覧車まだ頂点少し過ぎたくらいだぞ。

振られたら気まずすぎるだろ。

そんなことを考えながら由比ヶ浜を見ると、彼女は涙を流していた。

 

由「私でいいの?」

 

八「お前がいいんだよ」

 

由「けど、私、修学旅行のときヒッキーを否定するだけで、何もできなかった」

 

八「あれは俺のやり方が悪かったんだよ」

 

由「文化祭で悪口言われてたのに黙って見ていることしかできなかった」

 

八「そこでお前が何か言っても無意味だったし、お前にも矛先が向いただろう。

なにより俺への悪口もエスカレートしてたさ」

 

由「私ゆきのんみたいに頭良くないし、

いろはちゃんみたいに要領良くないよ?」

 

八「そんなの関係ねえよ」

 

由「でも…でも…「なぁ、由比ヶ浜」え?」

 

八「俺と付き合うのは嫌か?」

 

由「嫌じゃない!

私はヒッキーが好きなんだもん!

誰よりも!この気持ちは誰にも負けない!」

 

八「さすがにそこまで言われると照れるんだが…

まあ、お前がなんと言おうと俺はお前の全てが好きなんだ。

それでもお前が何か言うなら2人で直していこう。

2人で道を歩いていこう。

それじゃダメか?」

 

由「ううん…

まさかヒッキーから告白してくれるなんて。

すごく、嬉しい。

えへへ、これからよろしくね!」

 

八「ああ、よろしく」

 

由「ヒッキー大好き!」

 

由比ヶ浜に勢いよく抱きしめられる。

今はこの子と幸せな時間に浸れた。

 

 

 

 

もうすでに降りるところについていて、係員さんや周りの人の生暖かい視線に気づくまでは。

 

 

 

まあ、こんなのも悪くはないか。

間違い続けた俺の青春ラブコメはここで終わり、正しい道に戻る。

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