八結ss   作:ジェイミー

4 / 4
最終話

由「ごめんね〜、待ったよね?」

 

八「あぁ、すげえ…

いや、俺もさっき来たところだからそんなに待ってないぞ?」

 

由「………」

 

八「どうした?」

 

由「ヒッキーが男っぽいこと言ってる…」

 

八「いや、俺は男だろ生物学上的に考えて」

 

由「いや、そうじゃなくてさ…」

 

八「まあ、言いたいことはわかるよ」

 

由「自覚あったんだ!?」

 

 

さすがにお前の前でくらいはカッコつけたいんだよ俺も。

あの日から約3ヶ月が経った。

俺と結…由比ヶ浜は順風満帆ともいえる交際を送っていた。

そして、今日一年ぶりにこの祭りに来た。

まあ、勉強の息抜きにもなるし丁度良いよな。

 

由「ねえねえ!何食べる!?

りんご飴!?りんご飴だよね!?」

 

八「お前去年もりんご飴押してたよな。

そんなに食いたいのか」

 

由「だってりんご飴だよ!

食べたいに決まってるよ!」

 

八「じゃあ、その辺から回るか」

 

今年も同じやりとりをした。

あれ、これってもしかしてさぁ…

 

 

 

 

相「あれ?結衣ちゃん?

おー、結衣ちゃーん!!」

 

由「あ!さがみん!やっはろー!」

 

あー、やはりこいつとエンカウントしたか。

相模南、現状こいつは去年のやらかしをほとんど誰にも知られないまま3年になり、学校生活を謳歌できてるらしい。

まあ、今年も三浦と同じクラスらしく、隅でオドオドしながら暮らしているらしいが。

 

相「あれぇ〜?もしかして結衣ちゃん、今年もヒキタニときてるの?」

 

相模がニヤニヤしながら俺の方を向いて言う。

ああ、ムカつくな。

さすがに由比ヶ浜が気にしないと言っても、こうやって見下されるのは些か不愉快だ。

 

由「うん!去年はまだ付き合っていなかったから堂々とできなかったけど、今は違うからね!

さがみんも恋人できるといいね!」

 

相「あ、、うんそうだねぇ〜」

 

皮肉で言ったはずの言葉に、由比ヶ浜が純真無垢に返答するから相模は困ったような顔をした。

 

相「けど、ウチってなんていうか〜

釣り合い?みたいなのがとれる人があんまりいないからね〜。

それこそ付き合うなら葉山君みたいな人とがいいし〜」

 

うわー、なんかこいつ本当モブって感じだなぁ。

まあ、言いたいことはわからなくはないけどね。

 

由「?、けどそういうの気にしているってさ、あんまり良くないんじゃない?」

 

相「はぁ?…

え、なんでぇ?」

 

おい、相模言い直しても遅いぞ、

思い切り素が出てたからな。

 

由「だって自分が好きならさ、周りからどんなこと言われようと、気にしなくない?

周りにとやかく言われるのが気になるんならその程度ってことだよね?

私はヒッキーが大好きだし、誰に何を言われようとこの気持ちは曲げないし、気にするつもりはないからさ」

 

由比ヶ浜は当たり前のことを言ってるようにスラスラと言葉を並べる。

それが相模には気に食わず、しかし間違っていない、むしろそれが正しいのは頭で理解できているからこそ、苦虫を噛み潰したような顔をしているのだろう。

 

相「あ、そうだ!友達待たせてたんだ、

ごめんね!ウチもう行くね!」

 

由「あ、そうなんだ!

ごめんね止めちゃって!」

 

相「いいの!いいの!じゃっ、またね!」

 

相模は逃げるように人混みへと消えていった。

あいつほど小物臭溢れる奴はいないと思います(小並感)

 

由「ヒッキー?」

 

八「ん?なんだ?」

 

由「大好き!」

 

八「なんだよ急に…」

 

由「あ!ヒッキー顔赤くなってる!

可愛い〜」

 

八「いいからりんご飴買いに行くぞ」

 

由「あー、待ってよー」

 

本当こいつはなんでそう恥ずかしいことを普通に言えるのかな。

 

 

 

 

 

花火を見終わって帰り道、由比ヶ浜を送っているこの道も懐かしいものだ。

今回は魔王こと雪ノ下陽乃に会わずにすんでよかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

由「ねえ、ヒッキー」

 

八「どした?」

 

由「私さ、そういえばヒッキーに告白してもらったときさ、ほんとは自分から告白するつもりだったんだよね」

 

由「だけどヒッキーが先に言ってくれてさ、そういえば私はまだ告白してないなーって」

 

八「いや、さっきもそうだし、結構俺に向かって好きって言ってくれてるだろ」

 

由「ううん、それとは違くて、私の胸中をさ、ヒッキーみたいにまだ打ち明けてないなって」

 

由「去年はこの電柱の下で言おうとしたら、言いそびれちゃったよね。

急にケータイが鳴って、ヒッキーが出ないのか?って

雰囲気台無しだったよ?あのとき」

 

由比ヶ浜は笑いながら

懐かしむような口調で言う。

 

八「まあ、あのときはな

それは勘違いだってきっと言っていただろうし、

それにあの空間に亀裂が入るのを恐れていたからな」

 

由「うん、けど今は違う」

 

八「そうだな」

 

由「だから、一年越し、三ヶ月越しに私の気持ちを言うね」

 

由「ヒッキーのことが好き

捻くれているところも

他人には分かりづらい優しさがあるところも

その優しすぎるがゆえに自分を傷つけることに躊躇なく動いちゃうところも

それで傷ついた私たちのために悩んでくれたところも

あの場所を守るために動いてくれたことも

私たちと一緒に『本物』を探してくれたことも

全部、全部好き

サブレを助けてくれたことがキッカケだけど、それでヒッキーと関わるうちにこの気持ちはどんどん大きくなった。

本当は事故のこともっと早く謝るべきだった。

文化祭の後私たちが助けてあげるべきだった。

修学旅行のあと、否定するだけじゃなく、気持ちをわかってあげるべきだった。

 

 

もう、あんな後悔はしたくない、これからはどんなときも2人で手を取り合って歩いて行こ。

 

 

大好きだよヒッキー」

 

 

言い終わった由比ヶ浜は俺に抱きついてきた。

本当に俺は幸せ者だな。

こんなにも可愛い子に健気に想われるなんて。

だから俺も俺なりに返事をする。

 

ハ「これからも迷惑をかけると思う。

もしかしたらまたバカなことをすると思う。

そんなときは俺のことを助けてくれ。

 

俺を好きになってくれてありがとう。

好きだ、

 

 

 

結衣」

 

 

 

 

 

どうやらここ数ヶ月で

俺の青春ラブコメはかなり正しい道に戻ったようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

い「〜〜送辞とさせていただきます」

 

 

時は流れ卒業式

周りを見れば涙を流す者、笑顔で歩く者十人十色だ。

式が終わると俺は行き慣れた特別練の1つの部屋へ向かう。

 

軽く、背中に何かがぶつかる。

 

由「なんで先行くし…」

 

八「いや、一緒に行こうとか言ってないだろ」

 

由「んー?それも…そうなのか?」

 

八「…こんなやりとり1年前にもしてたな」

 

由「あはっ、確かにね!」

 

結衣がニコニコしながら俺の横を歩く。

歩くこと数分、部屋の前につく。

今日でここに来るのも本当に最後か…

こう考えると感慨深いものがあるな。

 

由「やっはろー!」

 

八「うす」

 

雪「こんにちは」

 

い「こんにちはでーす☆」

 

小「やっはろーですー!」

 

この部屋は本当に居心地が良い。

こうして居場所を見つけられたのもあの人のおかげだな。

 

そう思っていると

ガラガラっとノックもなく扉が開く。

 

平「やあ、どうだい?」

 

雪「平塚先生、ノックを…」

 

平「はは、すまんなぁ」

 

雪「結局私がいる間はしませんでしたね」

 

雪乃がジト目で先生を見る。

こいつは本当動作1つ1つが様になるな。

 

い「まあまあ〜、そんなことよりみなさんご卒業おめでとうございます!」

 

いろはが普段のあざとさを見せずしっかりと言う。

こういうところは本当にこいつのすごいところだ。

ONとOFFをしっかり切り替えられる。

 

平「私からも改めて、雪ノ下、由比ヶ浜、そして、比企谷…

卒業おめでとう」

 

雪・由・八「ありがとうございます」

 

平「あまりしんみりしちゃうのは嫌でね、

簡潔に話をしよう。

君たちは見つけられたかね?

自分たちが探し求めていた物を」

 

俺と結衣と雪乃は目を合わせる。

そして、俺は軽い深呼吸をし、言葉を発した。

 

八「はい、見つかりました。

俺たちの最後の依頼から1年、俺が求めていた『本物』を見つけることができました。

雪乃と冗談交じりの小言を言い合い、

いろはの手伝いを渋々ながらして、他愛もない会話をし、

小町とお互いもっと自分のことを話し、

 

 

 

そして、結衣と一緒に歩いている。

 

この空間が、『本物』です」

 

 

平塚先生は目尻に涙を浮かべながら、嬉しそうに俺たち3人を抱きしめた。

 

平「君たちは自慢の教え子だよ。

今後の人生、もし何かあったら私のところへ来い。

何があろうとお前達を助けてやる」

 

先生の男らしすぎる、かっこよすぎる言葉は俺たちの胸をうち、3人とも涙を浮かべる。

本当にあと10年生まれるのが早ければこの人に心底惚れたんだろうな。

 

 

平塚先生が諸用で戻ったあと、いろはが突然言った。

 

い「そうだ!写真撮りましょう!」

 

小「お!いいですね〜、

では撮りましょう!はい!3人並んで並んで!!」

 

小町といろはの連携はスムーズすぎて恐ろしい。

なにアライバなのお前ら?

 

そして、並んだ配置は俺が真ん中で椅子に座り、両隣に結衣と雪乃がいる。

あれー?この配置前にも見た気がするなー。

 

八「だからなんで七五三みたいなんだよ…」

 

立とうとしたがやはり、両隣に肩を抑えられた。

 

雪「強情よ?八幡」

 

由「ヒッキーちゃんと止まってて!」

 

い「ではいきますねー、

ハイチーズ!」

 

 

 

いろはに写真を見せてもらう。

なかなか悪くないな。

 

 

 

由「あ、そうだ!」

 

由比ヶ浜が声を上げる。

 

由「ヒッキー!はいこれ!」

 

八「これは…」

 

渡されたものは綺麗にラッピングされた普通のクッキーだ。

もう一度言おう、普通の、クッキーだ。

 

八「もしかして…」

 

由「うん!私が作ったの!

覚えてる?初めてここに来て、3人が揃った日。

あれが最初の依頼だったよね!

で、ヒッキーが言ったでしょ?

女の子からもらったら心揺れるって!

ねえ?揺れた?」

 

上目遣いで結衣が見る。

すげえ可愛い。

顔が赤くなるのがわかる。

 

八「揺れるもなにも、普段から揺らぎっぱなしだよ…」

 

い「うう…雪乃さん、この空間甘すぎです」

 

小「小町もこれは耐えられないなぁ…」

 

雪「ごめんなさい、いろはさん、小町さん、生憎ブラックコーヒーはないのよ」

 

あいつらがなにか言ってるが気にしないでおこう。

 

八「それにしても、どうしたんだ?」

 

由「んー?ほら、なんかヒッキーに渡した時ってお礼ってことだったじゃん?

だから正式に渡したかったの!」

 

本当にこいつはいいやつだな。

 

八「ありがとう結衣、すげえ嬉しいぞ」

 

結「えへへ〜、褒められた〜」

 

なんなのこの子?

ちょっと可愛すぎない?

すごく愛でてあげたい。

 

雪「いちゃいちゃするのはそこまでにして、とりあえず解散しましょ?」

 

由「あ!そうだね!」

 

雪「結衣さん、友達になってくれてありがとう。

これからもよろしくお願いしたいのだけれど、いいかしら?」

 

由「もちろんだよ!私たちずっと親友だよ!」

 

雪「それと、八幡?」

 

八「なんだよ?」

 

雪「まずはごめんなさい」

 

八「いや、まず友達になってくれとも言わせてくれないの?」

 

雪「やっぱり、あなたとの距離感はこれくらいがいいのよ」

 

可愛らしい笑みを浮かべながら雪乃は言う。

 

雪「あなたには何度も助けられたわ。

だから、今度は私が救う番よ」

 

八「まあ、その時は頼りにするぞ」

 

雪「ええ、けど」

 

八「なんだ?」

 

雪「結衣さんを泣かそうものならあなたを潰すわよ?」

 

八「さらっと怖いこと言うなよ…

大丈夫だ、そんなこと断じてないだろ」

 

雪「ふふっ、信じてるわ」

 

雪「ごめんなさいね、挨拶が長くなってしまったわ。

帰りましょう」

 

い・小・由「はーい」

 

 

八「なあ」

 

八「今までありがとな。

そしてこれからもよろしく頼む」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?「お父さ〜ん、見て見て!クッキー作ったの!」

 

八「おお、よくできてるな」

 

?「ママに教えてもらった!」

 

八「結衣…お前…」

 

結「パパのその目はなんだし!

私だって主婦なんだから料理やお菓子くらい作れるし!」

 

八「なんだろう。クッキーを見ると、結衣と出会った日を思い出すな」

 

結「そうだね」

 

?「お父さんとママの出会い聞きたい!」

 

結「クスッ、どうする?パパ?」

 

八「まあ、教えてやってもいいだろ。

こっちおいで愛衣」

 

 




あけましておめでとうございます。
これにて今回でこのssは一区切りです。
初めての投稿で不安しかありませんでしたが予想以上に皆さんに見ていただき本当に感謝しかありません。
自分の自己満足に付き合っていただき誠にありがとうございます。
よろしければ感想お待ちしてます\(^o^)/

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。