思いつきで執筆した秘封倶楽部の過去の御話。

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邂逅相偶

 わたしが物心を抱くまでには早すぎた頃の昔話だ。

 母が幼い頃からずっと使っていたお古の図鑑がいくつかあった。

 当時のわたしが眺めていた頃からずっと綺麗だった図鑑で、母が丁寧に扱っていただと思った。

 地上で生きる生物の絵が整頓されて紙に映し出されている。

 わたしはそれを幾度も最初から最後までを繰り返し、繰り返して読み深けていた。

 ただ、何度も図鑑を読み返し、読み返してもそれは書かれていなかった。

 いつも膝の上で優しくわたしの髪に指を通しながら撫でてくれたお母様に尋ねた。

 いつも一日の出来事を話しては優しい笑みを浮かべくれるお父様にも尋ねた。

 窓や階段,トイレに洗濯などを綺麗にしてくれている家政婦にも尋ねた。

 一緒に過ごしている家の自室で小難しい手紙を書くお爺様や、車椅子に座って庭の木陰で動植物と戯れていたお婆様にも尋ねた。

 そんな誰もがわたしが尋ねたことに答えてくれなかった。

 物心を抱くにはまだ幼かったわたしはみんなを引っぱって部屋に集めた。

 そして、幼かったわたしはそれに指を差しながら皆に告げた。

 

「あそこに居る子は、なんて名前の子なの?」

 

 夕暮れ時の幼いわたしが過ごしていた小さな自室。

 小さな指が指し示した部屋の角で、黒くて小さな体のあちこちに眼を付け足したような生き物のようなナニカがそこに居た。

 窓辺から差し込む夕日の光がお母様やお父様、お爺様やお婆様に家政婦の顔を照らす。

 顔はよく視えなかったけれども、全員が紛れもなく怖い眼をしていたことだけが頭に深く残っていた。

 

 それからの私は飛行機に乗ってある施設に出向くことになった。

 母に手を引かれながら、電車やバス,車などを通じて森や山に囲まれた奥深い施設に足を運ぶ。

 白衣を纏ったスタッフと母がよく思い出せない会話をしている光景をぼんやりと私は眺めていた。

 山林を超えて自然を超えて私の耳に入ってくる風の音や整地された道路に散らばって視界に入る木の葉にへんな感情を抱いていた。

 きっと、その時の私は胡散臭く感じていたのだろう。

 自然的に流された音でも木の葉でもないモノに嫌気を抱き、それを心の奥で否定していただろう。

 その時にいた施設の名前は忘れてしまったけれども、多分そこは私にとって心地よくない箱庭のようなものだったのかもしれない。

 母とスタッフに引き連れられて施設にある部屋に案内された。

 そして、母とスタッフは私にここに居なさい、と告げてきた。

 嫌々ながらも私は母とスタッフの言葉に頷き、彼女達が部屋を出ていく後ろ姿を眺めていた。

 当時の私からしては広く感じてしまう程度の広さの部屋で、そこら中に玩具が置かれていた。

 手の平ほどの大きさがある小物や顔の大きさほどのゴム製の球体。

 壁に張り巡らされた顔が造られた笑みを浮かべた樹木や太陽、国旗や動物があった。

 他に誰も居ない部屋の居心地の悪さを感じた私はひっそりと部屋の角に背中を預ける。

 視線が向かう先は母とスタッフが出ていった扉を睨むように視ていた。

 年相応だと思われて配置された玩具や壁絵から感じる造られた違和感から眼を背けられる箇所だった。

 室内照明と空調設備が動き続ける音がじりじりと私の耳に這入ってくる。

 人の手によって造られた雑音が酷くて堪らなかった。

 両手で耳を塞ぎ、扉をただ視続ける。

 いずれ時間が過ぎて扉が開き、その奥で母が居ることを私は願うばかりだった。

 私にはアレが視えてしまっていた。

 だから、母は私をここに連れてきたのだろう。

 ここで私がどうなるのかは分からない。

 けれども、スタッフと話していた時に母の顔から零れた安らいだ表情を思い出す。

 母のあの表情を見なくなったのはいつ頃からだったか。

 それはきっとわたしが、あの部屋の角に居たアレを指で示した時以来だろう。

 わたし以外の誰もがアレが居たのか判らなかった。そもそもアレ自体が視えていなかったのだろう。

 母は、膝の上で優しくわたしの髪に指を通しながら撫でてなくなった。

 父は、私の一日の出来事を聴いてくれなくなった。

 ハウスキーパーは、わたしが尋ねる度に視線が泳ぐようになった。

 お爺様は、小難しい手紙を書く量が減って誰も自室に入れなくなってからすぐに病死した。

 お婆様は、そんなお爺様の後を追うようにあの庭で逝き倒れた。

 私がアレを視てしまったせいで全てが変わってしまった。

 当時の私は幼すぎたことが幸か、あるいは不幸だったのか分からないけれども、それに気づくこともなかった。

 ただ、あの時がきっかけだったことは事実だ。

 それ以前にあったわたしの世界は忘れられるように消え、それ以降の私の世界は塗り替えられるように変わった。

 母や父が私の話を聴かなくなったのは、私だけが視えていた世界によって自分達の世界を塗り替えられない為の防衛か。

 ハウスキーパーが目を泳がすようになったのは、私だけが視えていた世界を直視しないことで自分の世界を塗り替えられない為の防衛か。

 お爺様が部屋に誰も入れることをなくして閉じこもったのは、私だけが視えていた世界を聴いて最後の自分の世界に居たかった為の防衛か。

 お婆様が庭で逝き倒れたのは、私だけが視えていた世界を聴いて自分が居た世界を塗り替えられない為にそこに居ようとした防衛か。

 わたしが私となってしまっても、わたしが視えている世界は何も塗り替えられていない。

 むしろ私が世界を広げる度に、それに比例して視えている世界は広がっていく。

 そして私と関わることで同じように、その関わる誰かの世界が塗り替えられていく。

 私はこれからも誰かの視えている世界を塗り替え、以前の誰かの世界を忘れさせていくのだろう。

 それ以前にあった日常を壊してしまうことを、それまでにあった日常を忘れさせてしまうことに私は嫌悪感を抱いている。

 耳を塞ぐ両手の力を強め、膝を折り畳むように曲げながら肘でボールを挟んで顔を伏せる。

 私が何かを得る度に、誰かの何かを消してしまうなら私が何も得らなければいい。

 無知なままで居続けることで、世界が護られていくのではあればそうあればいい。

 何もかも変わることがなく、あるがままの世界を維持できるなら私はそうあるべきだった。

 体を丸めて塞ぎ込む私が眼前に挟んでいたボールが視界から消えた。

「どうして、泣いているの?」

 私の視界にボールを横手にした黒髪の少女が現れた。

「……え、あ」

 耳を塞いでいた為に、黒髪の少女が扉を開けたことに気づかなかった。

 そして、自分は自然と涙を流していたことにも気づけなかった。

「……うんしょ、はい」

 黒髪の少女は自分のポケットから白と端が薄紅色に染まったハンカチを取り出して私に突き出す。

「あ、え……」

「泣いているよ、だからこれで拭いて」

 黒髪の少女がハンカチを持つ手を私の顔に少しずつ近づけてくる。

「や、やめてぇ……こないで……」

 咄嗟に私の口から声が黒髪の少女を止める言葉が零れる。

「どうして?泣いているのに」

「……こ、こないでぇ…」

「なんで?どうして?どこか体が痛いの?」

 黒髪の少女は手を止めて、零れる涙を隠そうとする私の眼を覗き込む。

 真っすぐに純粋な黒い瞳に視線が吸い込まれていく。

 私と同じぐらいに幼い顔立ちの少女の顔が視界に入る。

 眼前で顔を合わせる黒髪の少女を私はただひたすらに拒絶する。

「お、お願い……こないでぇ……」

「……うん、やだ」

 黒髪の少女が手を伸ばす。

 伸ばした手が持つハンカチが私の頬に被せられる。

「や、やめてぇ!?」

 塞ぎ込む私の手が黒髪の少女の手を払い、黒髪の少女の手が持っていたハンカチが宙を舞う。

 そして、私は泣きながら黒髪の少女の瞳に向かって睨む。

 互いの視線が真っすぐにぶつかり合う。

「……きれい」

「えっ……」

「あなたの目、すごくきれい…!」

「え、あ」

 部屋に落ちたハンカチを拾ってから私にむかって踵を返して近づく。

 私に近づく黒髪の少女の勢いに戸惑いを隠せずにいた。

 黒髪の少女はまたハンカチを私の頬に被せて撫でるように拭う。

「やめ……」

「やだ、泣いているもの」

「なん……で?」

「だって」

 頬に動かしていた黒髪の少女の視線がまたぶつかる。

 そんな幼い顔立ちから浮かべられた元気な笑みを視せつけるように。

「そんなにきれいな目から零れる涙がもったいないもの」

「えっ……」

 涙を拭い終えたハンカチを黒髪の少女は再びポケットに戻す。

 そして、私の眼前にハンカチを持っていた手を伸ばす。

「そんなにきれいなら笑っていたほうがずっときれいだもの」

 幼げで真っすぐな笑顔が鮮明に眼を介して私の世界に侵ってくる。

 黒光りに星の様なまばゆさを放つ黒髪の少女が持つ瞳が優しく視えていた。

 そんな優しさに惹かれたように私は手を伸ばす。

 互いの掌を通って伝わる温もりに久しさを感じてしまった。

 手を弱く引かれながらゆっくりと黒髪の少女の正面に立ちあがる。

 黒髪の少女は私より体が少し大きいけれど、年相応な体つきであることが判る。

 ずっしりとまではいかない手の握りが強くなっていく。

 黒髪の少女は部屋の扉に向かって踵を返し、握り合う私の手を引いた。

「どこに、いくの?」

 私の少し震えた声を聴いて、黒髪の少女は振り勝って私と顔を視合わせる。

「ここのおねえさんが、あなたをよんできてほしいって」

「こ、ここを出るの?」

「うん。だって、ここはすごくつまらないもの」

「よんできてほしい、じゃなくて?」

「ちがうよ、たのしくないところにいてもしかたないもん」

 黒髪の少女は淡々と言い切った。

 真っすぐに私の眼を視ながら言葉を告げていく。

「そとは、たのしいの?」

「……うーん、どうだろう」

 私の問いに黒髪の少女は首をかしげながら曖昧な返答をする。

 握り合わせていない手の示指で黒髪を別けるように真っすぐに頭の側面を当てる。

「……うん、そんなにたのしくはないね」

「たのしく、ないの?」

「うん。でもね、しらないことはいっぱいあるよ」

「しらないこと?」

「しらないこと。それでね、しらないことをしっていくとすごくたのしいよ!」

 黒髪の少女の瞳が放つまばゆさが強くなったような気がした。

 一瞬だけ、そんな黒髪の少女の真っすぐな瞳から私は視線をずらした。

「……ちが、う」

「ちがう?」

「ど、どうやってもしれないことだってあるから」

「なんで?」

 私は握り合っていた手を払った。

 掌を介して伝わっていた温もりか少しずつ消えていく。

「だ、だって、視えないものはどうやってもわからないままだもん!」

 室内に私の声が響き渡った。

 眼前の黒髪の少女はそんな私の態度に驚きが混ざったきょとんとした顔をしている。

 嗚咽が混在した声を漏らしながらその場にただ私は立ち続けていた。

 呆然と立ち尽くす私に黒髪の少女は先で払われた手を再び私の手と重ね合わせた。

「……あなたは」

 また、あの温もりが私の世界に侵ってきた。

「あなたのきれいな目には、なにか視えているの?」

 私の喉が鳴った。

 嗚咽が岸に向かって還っていくような波のように断続的になった。

 その時から私が抱いていた自分だけにしか視えない世界への考え方。

 普通の人なら視ることもできない世界が視えてしまうことへのコンプレックスを針で突かれたような気分だった。

 突かれてできた穴からその全体が崩れていく感覚が胸から沸きあがってきた。

 そんな胸から沸きあがってくる感情が下から上への逆流していき、私の瞳から溢れていった。

「あ、ああ……」

 黒髪の少女の顔ぼやけていく視界から逃げたかった。

 だが、私の足はそんな感情と反比例するように動かせなかった。

 その場から逃げることもできずにただずっとそうしていることしかできなかった。

 誰にでも視えるただの少女を前に、私の世界は知り得て続け広がっていくだけで脆くなっていく。

 世界は広がっていくにつれてその薄さが増されていくばかりだった。

 一人ひとりと視えないという事実を知り得ていくだけでひび割れていくほどに世界が弱い。

 そんな弱さを抱え込むことしかできない自分の弱さが何よりも嫌いだ。

 誰にも理解されることがない広く薄い世界に籠り続けるだけの日常に私自身が潰されそうになっていく。

 そして、そんな薄い自分の世界が壊れていくことが何よりも怖くもあった。

 私だけしか視えない世界で存在しているアレが無くなってしまうことが許せなかった。

 あの時、部屋の角に居たナニカはきっと生きていたのだろう。

 私だけの世界が壊れることで、あのナニカまでも一緒に壊れてしまうのではないかと考えしまう。

 まるで私が視えてしまったことで巻き込んでしまうように、そのナニカが世界から消えていくのが嫌だった。

 私だけの世界で一緒に存在してくれるたった一つだけのモノだったから、なによりも尊く感じてしまった。

 私の目から溢れていた水が枯れた。

 ぼんやりとしていた世界が鮮明さを取り戻していき、しっかりとした輪郭を取り戻していった。

 そして、視界にあった明るさが同時に消えていた。

 黒髪の少女の鼻と、私の鼻がぶつかりそうな距離にまで近づいた。

 掌を介して伝わっていた温もりが私の額からも伝わっていた。

「え、あぁ……!?」

 突然の出来事に戸惑ってしまった私に反して、黒髪の少女は静かに目を閉じながら額を当てていた。

「とっても、きれい」

 黒髪の少女が突然に口を開く。

「き、きれ……」

「きれいなゆうひに、きれいなへや……。そして」

 言葉を続けていく黒髪の少女を跳ね除けた。

 黒髪の少女は驚いた様子を表情で出しながら後ろによろめいてこけそうになっていた。

 私は部屋から急いで逃げるように足を動かす。

 けれども、黒髪の少女が逃げ出そうとした私の後ろから手を掴んだ。

「や、やめっ!?」

「眼」

 掴まれた手を引き離そうとしていた私に向かって言葉が耳に侵った。

 振り返った私の視界で、黒髪の少女は掴んだ手に力を入れながらその瞳で私を射抜くように視線を向けていた。

「えっ……」

「眼があっちこっちについた黒い生き物……」

 足に入っていた力が抜けていた。

 ただ呆然と立ち止まった私は自然と黒髪の少女が向ける視線と合わせていた。

「……おばあちゃんから教えてもらったの」

「お婆、ちゃん?」

「うん、私のおばあちゃん。おでことおでこをくっつけると、くっつけたひとが視ていたものが視えるようになるって」

「……視えた、の?」

「うん、視えたよ」

 また私の眼から感情が形となって溢れて出てくる。

 私だけに視えていた世界の形が変わって、そこに誰かが侵ってきてくれた。

 知り得ては広がっていく世界に踏み入ってきた黒髪の少女が初めて私を理解してくれた。

 そんな出来事だけでも私の世界にとって十分なほどに心が満たされていった。

「もう、ずっと泣いているのね」

 黒髪の少女がハンカチを取り出して三度になって私の頬を撫でる感触が伝わる。

 やがて溢れ続けていた私の感情に終わりを迎えた。

 そして、黒髪の少女に引かれては部屋を出て、先程に通った廊下を黒髪の少女の後を追うような形となっていた。

「……すごい、ね」

「えっ?」

 黒髪の少女が続く道を前に向かって歩いていた時に口を開く。

「だって、あんなにおもしろそうなモノが視えていたでしょ?」

「……でも、図鑑にのってもいないのよ」

「なら、ね」

 黒髪の少女が振り返って私と立ち向かった。

 前に続く廊下の奥から差し込む光が黒髪の少女を影にする。

 それでも、黒髪の少女の瞳はそんな影すらも演出として映えさせるように眩く輝きをしていた。

「図鑑にものっていないモノをわたしたちだけがわかったら、それは、もうろまんちっくじゃない!」

 影が差し込みながらも満面な笑みを浮かべていた黒髪の少女の顔がとても綺麗に視えた。

「……うん」

 私の声が廊下に響いた。

 今になっても、あの時の彼女が浮かべていた笑みと温もりが忘れられずにいた。

 そんな小さい出来事が、当時の私から今に至ってからも救いであった。

 

 繰り返して鳴り続ける電子音を止めた。

 とても懐かしい夢を視ていたようだ、と思う。

 寝返りではだけた寝間着を整えながらカーテンの隙間から差し込む日差しを確認する。

 今日は年越し少し前の今朝方だったことを思い返しながらベッドから降りる。

 事前に用意していた洋服に着替えながら夢を想い返している。

 どこかほろ苦い懐かしさを感じさせる昔の話が鮮明に脳裏に蘇ってくる。

 それでも、今の私の原点であったことに変わりがない。

 むしろあの時に彼女と出会うことが無かったのなら今の私は無かっただろうと考え着いてしまう。

 そこでわたしが終わって、そこから私が始まった。

 人間は独りでは生きていけないことを知っていった。

 あの時に視えていたモノは今となっては視えなくなっていた。

 何処か遠いところへいってしまったか。

 あるいは、あの時期を機会に変わっていった私の世界では視えないほどに小さくなっていったのか。

 推論という答えしか出ないけれど、またいつか私の変わりながらも視える世界の何処かで会えることを願う。

 だって、あの時にアレが視えたのだからわたしは彼女と出会えた私として在れたのだから。

 私は手荷物を持って家を出ながら、電子手帳から彼女に連絡する。

 今日は彼女とまた境界を探していく日常の年明け前の大切な日だ。

 彼女の提案から始まった予定だが、そんな当人はきっとまだベッドの上で居眠りでもしているのだろう。

『……もし、もし』

 電子手帳から変わらない彼女の寝ぼけた声が耳に侵ってくる。

「おはよう、寝坊助さん。今日が何の日が覚えていらっしゃるかしら?」

『きょ、今日?……あっ!?』

「もし今日もまた同じように遅刻すると列車の予約金が弾けてしまうけれど、大丈夫かしら」

『……あ』

「この時期の列車の席を取るのに凄く苦労したのよ。まさかそれを不意にすることないように願いたいですわ。じゃ、また後でね」

『ちょ、ちょっと待ってメ……!?』

 電子手帳の通話機能を落として、ポケットにしまう。

 予想通りだった日常に思わず笑みが零れて顔に出ているだろう。

 もし、彼女が遅刻してしまった場合にはどんな御礼をしようか迷ってしまう。

 そんな考えを浮かべながらいつものカフェテラスに向かって私は歩いていくのだった。

 

 こんな私と一緒に道を歩いてくれる彼女に感謝を込めて、私は私の視える世界を歩いて進んでいく。

 願わくは、こんな日常がずっと変わらずにいてくれることを心から祈りながら私は生きている。

 

 




此処までお読み頂きまして、ありがとうございました。
御感想・御意見宜しければ、一言でも構いませんので宜しくお願い申し上げます。

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