狩人に新たな狩場を   作:マリア様あああ

2 / 2
UA1000&お気に入り登録あじゃじゃしたー!



オルレアンの悪夢-その1-

 

 

「サーヴァントを助けるなんて笑わせるわね」

 

「あなた人間よね。先に逝きたくなければそこをどきなさい。苦しまずに送ってあげるわ」

 

 

「...」

 

 

素顔の見えない敵対者と対峙していた。お互いの目的が違うためこういうこともあるだろう。ただ、耳を傾けることもないのであれば、狩を始めなくてはならない

 

 

「退く気はないのね...なら、お望み通り先に無様に殺してあげるわ!」

 

 

彼女は血に飲まれてしまった、哀れな英雄だ。その気持ちも痛みも知る必要はない。全て血の海に返し、狩を全うしろ。それが、救いに繋がるかならないかは彼女しだいなのだから

 

 

 

 

 

獣と同等かそれ以上の速さと技を持つ英雄に、人間が抗うには人としての業を極めなくてはならない。音よりも早く、得物よりも強くあらなくては

 

切断というよりも鈍器のように振り回される一撃はとても重い。人が繰り出すものではない、鉈で受け止めることも適切な処理でない。だから避ける、避けることが手一杯だが、そのステップから繰り出す一撃、二撃は有効打とは言わないが、確実に消耗させているだろう

 

しかし、彼女もまた神秘を覆った光弾を射出し、微妙な距離感を大事に大事にとっている。いわゆる境界線に近寄らせないためだ。こちらもじり貧な行動をするのがいっぱいいっぱいだが、お互い様なのだろう。

 

背後をとるには視界が広く、銃弾では速度が足りない。今回は、巨大な獣とはまた違った苦戦を強いられるだろう。基本、人間同士の戦いはこんなものだろつ

 

 

「なるほど...私たちサーヴァントに匹敵する力を持っているようね」

 

 

見た目は近接戦闘に向いていないが、英雄の中でのはなしだ。人間基準ならばオリンピックのメダルでオセロをするぐらいわけないだろう

 

こちらも擦っただけでも肉をえぐることは容易いはずだ。それでも肌から血が溢れる程度に収まっているのは超上的存在故に、だろうか。そんな強靭な体を持ち、巨大な力を手にした者達は、さらに未知なる領域へと侵入している

 

女性のただならぬ気はやがて、アイアン・メイデンのような拷問具へと変化した。ヘムウィックでもにたようなものは見た。その時はただあるものという認識だった。だが人が扱いだすとなれば話は別だ。大きな力の加わったものであり、人ならぬ英雄によって作り出された脅威だ

 

 

 

「これが人間とサーヴァントの大きな、差よ」

 

 

抗うことはしなかった。ただ、人間の手で抗うにはあまりにも小さすぎるからだ。成すすべなく鉄の処女へと吸い込まれ、ほとんどの血を失ったのだろう。これが英雄、負けてしまうかもしれない。だが、勝てない相手ではない

 

 

 

「なに!?」

 

「......」

 

 

血はほぼないだろうが、その少ない血は燃えに燃えていた。この決闘を終わらせろと言わんばかりに

 

「ありえないわ...宝具をくらっているのよ」

 

「人間がどうし、っ!?」

 

 

英雄の大きな動揺を他所に、狩人は一人冷静に狩の準備を整えていた。彼女が気づくころには、もう狩は終わっていたのだ。胸から突き出される血にまみれた腕には心臓と思われるモツを一緒にゆっくりと引き抜くと確実にその臓器は握り潰し、狩人の糧となる。血は、狩人の失った大量の血は彼女のものによって代用された

 

 

「グッァ......」

 

狩人は隙さえあれば、致命をとることなど朝飯前だ。たとえそれが超上的存在、上位者でもあってもだ。隙さえあれば殺すことは可能だ。それが獣を狩るための存在、狩人であればなおさらのことだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サーヴァントという存在や、この現状。ワイバーンなど現実にはいないものであり、彼女ジャンヌ・ダルクも信じがたい存在だった。何か見えない力が働いているさまは悪夢に近い。この悪夢を終わらせるために力を貸して欲しいと言われ一つ返事で了承した。詳しいことはわからないようだが15世紀のフランスであり、自分が処刑されすぐの時期のようだ

 

この事態を終わらせる、手がかりを掴むべくジャンヌと共に移動していれば、新たな砦をみつけた。その機能はほぼ失われているように見える。ただ、大事なのはそこではなかった。ワイバーンの大群に囲まれるフランス兵と、異質なそれでいて懐かしさを感じる者、その者を守るため大きな盾を振り回す少女がいた。

 

 

互いに言葉を交わしたわけではないが、どちらとも彼等を救うべく取るべき行動をとった。ジャンヌはその場にいる兵士達へ適切に獣の対処法を伝え、鼓舞する。その言葉が届かなくても、言い続けるだろう。聖職者とはそういうものであり、狂気を覆いながらも理性を守り続けるのが義務だからだろう。その分、獣と化せば間違いなく彼女はより恐ろしい獣になる。聖職者とはそういうものだ

 

 

 

一人とは違い複数人での戦いはより多くの獣を狩ることも、疲労も少なくすむ。ほぼ、殲滅できたのだろう。ジャンヌの元へ寄る

 

 

 

「ありがとうございます!貴方のおかげで犠牲も出さずにすみました」

 

 

「二人で闘ったことさ。でも、きっとその声は......」

 

 

「...そうかもしれませんね」

 

 

こちらが勝手にしたことに、何を思うが勝手ではあるが、必要最低限の礼儀は尽くして欲しいと思う。彼女は死に、復活した。これが悪い方向へ思考に行く宗教観には文句を言う気はない。でも人であるうちには、できることがあるはずだ

 

 

「共闘していただき、ありがとうございます」

 

 

先ほど戦闘していた少女達が歩み寄る。現代の人間ではなさそうだ。この夢に紛れ込んだのか、またこの夢を終わらせににきたのか。聞いて見なくてはわからないことだ。

 

「いえ、貴女方の奮戦があってこそでした」

 

 

「...あの、貴女達の名を聞いてもよろしいですか?」

 

 

「ルーラー、私のサーヴァントクラスは...」

 

 

会話を一時止める。ここで行っても問題はないだろうが、死んだ人間を詳しく知るもの達の前で長々とやる場所でもない

 

 

「まず場所を移そう。ここでは少し...」

 

 

「...わかりました。先輩も構いませんか?」

 

 

「ええ、もちよ!」

 

 

オレンジ色の癖っ毛のある少女もこれに、賛同し場所を移動してもらった。まだ話のわかる人がいるというのはいいものだ。狂気にさらされる前であったとしても現実に会話が成り立っているなら問題はない。

 

 

お互いの自己紹介を終えた。カルデアという組織について、目的について様々なことを聞くことができた。彼女達もまた、巨大な脅威にさらされ世界を救うべく、この時代にきたようだ。あまりにも壮大なことだが、自身も似たような現状を持っているため大きく理解することができる。ここにも、間違いなく悪夢を終わらせる敵や鍵があることを知れたのは大きい。

 

 

「それにしても貴方は、何者なの?」

 

 

デミ・サーヴァント、マシュのマスター、藤丸立香が真っ当な疑問をぶつける。ジャンヌはもちろん、カルデアの者達は全員紹介し終え、ただ一人なにも語らなければ気にもなるだろう

 

『それは、僕も気になるな。サーヴァント反応もないただ普通の人間である君の正体を知りたいな』

 

ロマニ・アーキマン、カルデアの代理総長にまで聞かれてしまうと、黙っているわけにもいかない

 

 

「それは、私も気になりますね!出会ってからずっと自分のことしか話ませんでしたから」

 

 

「この時代のフランス人というわけでもなさそうですし、私もすごく気になりますね」

 

 

信じてもらうことも信じるのも大切なことだろう。ただてきとうに話すのも筋違いだ―――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ~、狩人なんてかっこいい第2のライフスタイルだね!」

 

 

「ヤーナムという街は賑やかな明るい場所なんですね!私も訪れてみたいです」

 

わざわざ暗い話をする必要もない。彼女たちもまた、世界を救うべく思い荷物を背負っている。そこでまで暗く血生臭いストーリーなどに耳を傾ける必要はないのだから。せめて、おとぎ話を聞かせる程度のことはしなくてはいけない

 

 

「あの、狩人様はお名前とかはないのでしょうか」

 

 

「無い」

 

 

ジャンヌはごめんなさいと謝罪をしてきたが、なんてことはないと返す。名前がないことはないが、今の自分に対して名前などあってもなくても問題ではないかった。今の生に相応しい名前でもなかったこともある

 

 

「ジャンヌの言う、狩人さまでいいんじゃないかな」

 

「先輩、わたしは反対ではありませんよ」

 

 

以前も夢の中で人形に呼ばれた名称は格別にしっくりとくる。従者のような人形はともかく、彼女達もまた様などと敬称をつけるのだろう。ただジャンヌのような堅苦しさは感じない。立香はジャンヌ・ダルクのような偉人にたいしても恐れ多いなどとも考えて、会話をすることもないだろう。しかし、それでいて不快に感じることがないのは彼女の雰囲気がそうさせているのかもしれない

 

 

「...ええ、そうですね。狩人様、もう一度お尋ねします」

 

 

「?」

 

 

同じお願い事なのだろうと、理解しそして、その答えは彼女にとって大きな解答となることを知っている

 

 

「狩人様、貴方のお力が必要です。人の身たる貴方へ頼ることをお許しください。ただ...」

 

 

「ジャンヌ」

 

 

「...はい」

 

 

彼女は協力者と理解者を必要とするあまり必死になって答えを貰おうとする。同じ目的を持っているわけでも、目指す目標があるわけでもない。ただ、境遇が似ている自分に、頼るのが辛い。誰よりも強くあり、闘った彼女だからこそただ似ている者を関わらせたく無いのかもしれない

 

 

 

「答えは変わらない」

 

 

 

 

 




盾パリィのタイミングわかんない...わかんなくない?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。