ギルド魔王   作:星座

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何も知らない友人の為にプロローグを改修してキャラクター説明をいれました。
無理やり感が半端ない…


プロローグ(説明回)

1、プロローグ

 

 無事3年に進級した夏休み明け、午後の特別棟3階の空き教室。

 ここ奉仕部は、今は勉強会会場となっている。

 今まで奉仕部の部室では、ラノベを読むか暇つぶし機能付き目覚ましでゲームをするくらいしかやってこなかった俺『比企谷八幡』は、とある事情で国立大学を目指す事になった為に壊滅的だった理数系の勉強を重点的にしている。

 目の前に置いてあるマッカンに手を伸ばし、一口煽った直後に「はぁ…」と長い溜息が口から洩れ出した。いくらかなりマシになってきたとはいえ、苦手な科目の勉強は脳の疲弊が半端じゃない。マッカンで糖分を補給した位では回復は見込めなかった。

 

「何溜息をついているのかしら、あなたにそんな余分な時間は残されていないのよ。それにいつも以上に目が腐っていて気持ち悪いわ。ゾンビ谷くん」

「分かってるよ。でも後半のdisりはいりますかね?腐っているのは眼だけで他は腐っていない」

「相変わらず目が腐っているのは認めるのね…」

「……………事実だからな」

 

 俺の左隣から辛辣な言葉を投げかけてくるこの女性は『雪ノ下雪乃』。

 この奉仕部の部長であり平部員である俺の上司。

 学校一と謳われるほどの黒髪ロングの美少女で、成績優秀、運動神経抜群(体力は無いが)、家事までこなせる完璧超人。告白された回数は数知れず。でも胸は絶…貧乳はステータスだから問題ない。

 俺が国立大学を目指す事になった一番の要因。

 そう、俺と雪ノ下は今年の7月初旬から雪ノ下の告白を俺が受け入れて男女交際をしている。

 おい、今「ヘタレ」って言った奴、正直に手を上げなさい。先生怒んないから。まあ、そうね、ヘタレだよね。うん。ハチマン、ワカッテル。

 でも昔は長机の端と端に座っていたのが今や肩と肩が触れ合うくらいの距離だ。ここを評価して欲しい。ダメ?うんダメだよね。人数が多くて詰まっているだけだもんね。

 などと思考の海に潜っていると右隣の席から声が掛かる。

 

「ヒッキー…キモいし!!」

「結衣ちゃん、言葉を選ぼう?親しき仲にも礼儀ありだよ」

「シタシキナカ…?」

 

 ジト目で俺の思考をバッサリと切り捨て、たぶん漢字変換出来ずに喋っているであろう女性は、アホの子『由比ヶ浜結衣』。

 俺と同じ奉仕部部員で、後から入ってきたくせに俺より奉仕部内ヒエラルキー上位である。なにそれ酷い…

 容姿はピンク髪のお団子頭、ダブルメロンを胸に装備している。入部してから暫くは俺もよく胸部装甲をチラ見していたらしくそれに気付いた雪ノ下に冷たい視線を向けられたものだ。だって男の子だもん仕方ないよね。

 それと2年の3学期終業式の日に告白されて断っている。しばらくギクシャクもしたが、後で聞いた話だと前に進む為に「ケジメ」の告白だったらしい。

 告白前も後も親身になって話を聞いてくれた男性と今は男女交際している。

 

 由比ヶ浜に注意をしてくれた男性?は、『戸塚彩加』。

 言わずと知れた大天使トツカエルであり、世界の戸塚、性別は戸塚、異論反論は認めない。

 まあ、冗談?はさて置き、容姿は「男の娘」。女性であるなら美人と言っていいレベル。

 なんで神様は戸塚を男にしたの。女だったら即告白して振られるまであったのに。結局振られるの確定かよ…

 それと由比ヶ浜と付き合っているのは戸塚なんだよなぁ…

 

「結衣あんたそんなんで受験大丈夫なんだし?」

「タハハ…」

「まあまあ優美子、結衣も頑張っているんだから。結衣には雪ノ下さんと比企谷それに戸塚も付いているし抜かりは無いさ」

 

 由比ヶ浜の事を本気で心配しているオカン属性を持つこの女性は『三浦優美子』。

 金髪縦ロールでモデル体型の持ち主。前に読者モデルをしていたという噂もあるくらい。我が高校女性部門のトップカーストグループの長、クイーンオブクイーンである。

 身内に優しく、それ以外には平気で牙を剥く。そこから付いた渾名は「獄炎の女王」。

 最近は少なくなったが「氷の女王」の渾名を持つ雪ノ下とよくぶつかっていた。口喧嘩ではあるが、よくあの雪ノ下に突っかかれるなと。2年の夏休みの合宿の時なんて、完全論破されて泣かされているのに。

 

 それと三浦を窘め、由比ヶ浜にフォロー?をいれた男は『葉山隼人』。

 超絶金髪イケメンで、成績優秀、運動神経抜群(今は引退しているが元サッカー部キャプテン)男性部門のトップカーストグループの長、キングオブキングである。

 みんな仲良くがモットーで、誰も選ばないなんて言っていたくせに3年の夏休み前から三浦と男女交際を始めた。どんな心情の変化があったのか知らないが、変われば変わるものだ。

 それはさておき、由比ヶ浜の件については一言物申さなければ。

 

「由比ヶ浜が壊滅的な事は、葉山お前もわかっているはずだ。少しは手伝え!」

「結衣に勉強を教える自信は俺には無いな…」

「ヒッキーと隼人くんヒドい!」

「由比ヶ浜さん、現実を受け入れないと…」

「ゆきのんまで……彩ちゃんみんなが虐めるー」

「あはは、結衣ちゃんなりに頑張っているもんね」

 

 戸塚に抱きつき助けを求める由比ヶ浜。それを笑顔で受け止め頭を撫でている戸塚。

 天使だ…天使がいる、やっぱり戸塚は天使だったんだ。

 プロポーズはやはり「俺に味噌汁を一生作ってくれ」でいいか?それとも…そんな事を考えていると三浦の隣から奇声が上がる。

 

「隼×八キターーーーー!!」

 

  鼻血の噴水を撒き散らしながら後ろに倒れる女性。

 

「姫菜擬態しろし!」

 

 後ろに倒れるのを抱きとめ、鼻にティッシュを詰める三浦。

 いつもの事ながら余りの手際の良さに感心してしまう。

 

 今、三浦に介護されているのは『海老名姫菜』。

 三浦の女子トップカーストグループに所属し、俺とは違うところが腐っている。俗に言う「腐女子」である。

 黒髪セミロングに赤ふちメガネ、スタイルもよく顔もかなり可愛い部類に入る。

 この子のBLでのカップリングでは必ず俺がウケになっているのだが、藪蛇になるのが目に見えているので聞くに聞けない。

 

「比企谷何とかしてくれ…」

「やめろ、これ以上燃料を投下するな!」

 

 葉山の言葉をバッサリ切り捨てて、顔を背けると雪ノ下と視線が合ってしまった。

 

「何度見ても理解に苦しむし、もう二度と布教活動の対象にはなりたくないわね…」

 

 両肩を両手で抱き震える雪ノ下。彼女を怯えさせるとは、いったいどんな内容だったのか…気になるが、気にしない、気にしたら負けなきがする…

 

 

 突然軽快な足音と共に奉仕部の扉が勢い良く開かれる。

 

「ひゃっはろー、雪乃ちゃん比企谷くんそれとみんな!!」

「姉さん…」

「ひゃっはろーです。お義姉ちゃん!」

「はるさん先輩、ひゃっはろーです」

 

 突然入ってきたこの女性は「雪ノ下陽乃」。

 雪ノ下雪乃の実姉であり、この高校のOGだ。

 容姿端麗・成績優秀・スポーツ万能・スタイル抜群等、人間を褒める言葉は全て当てはまるんじゃないかというほどの超人、いや人間離れしすぎている為に「魔王」である。

 俺の理数系の成績が右肩上がりどころか垂直のように伸びているのは夏休み前からこの人が家庭教師を引き受けてくれたおかげである。

 

「陽乃お義姉ちゃーん!」

「よしよし小町ちゃんは雪乃ちゃんと違って可愛いな~」

 

 陽乃さんに抱きついて頭を撫でられているのはマイスイートシスター『比企谷小町』。

 世界一可愛く、世界の妹。

 雪ノ下は宇宙一可愛いから世界一は小町で問題ない。(だからやめてって)

 

「姉さんどういうことかしら?それと小町さん、その女は「お義姉ちゃん」ではないわよ。万が一・億が一、私が比企谷くんと結婚する事になっても、義姉ではなく…」

「雪乃ちゃん!?その先は言っちゃダメ!私まだ21歳なんだよ!」

「オバよ!!」

「義弟くん~実妹が虐める~!」

 

 そんな事を言いながら俺の右腕に抱きついてくる陽乃さん。近い・やわらかい・良い匂い、3点攻めに脳の処理が追いつかない。

 

「姉さん早く比企谷くんから離れなさい!比企谷くんが困っているじゃない」

「えー、比企谷くんは寧ろ喜んで私の胸の感触を楽しんでいると思うんだけど~。雪乃ちゃん独占欲強すぎじゃな~い?嫌われちゃうよ?」

 

 陽乃さんやめて、確かに右肘に当たる双丘の感触をやわらかいって表現したけれども、もっと味わっていたいけれども、それを雪ノ下の前で言ったら…

 雪ノ下から氷の視線が突き刺さる。

 ……ほら、こうなっちゃうでしょ。俺のライフが凄いスピードで削られていく。

 

「私は比企谷君のもの比企谷君は私のもの、男女交際しているのだからそれくらい当たり前でしょう」

「雪乃ちゃん強くなったねー」

 

 やめろ雪ノ下、顔どころか首筋まで真っ赤にしながらそんな事言うんじゃない。そんな反応されたら俺に効く、八幡のライフはもうゼロよ!やめたげて…

 

「は!これは…小町ちゃん私にもチャンスがまだある可能性が…」

「いろは先輩…お兄ちゃんは先輩の事、手間の掛かる後輩位にしか思っていませんよ?」

「そんな事…」

「一色さん?」

「ひゃい!」

 

 雪ノ下の感情の欠片も籠っていない声で呼びかけられ顔面蒼白で返事をしたのは「一色いろは」。

 この高校の現生徒会長であり、男を手玉に取る小悪魔。

 陽乃さんの超劣化版の仮面を持っているが、女子に嫌われている時点で御察しである。まあ、最近は裏表の使い分けを止めた様だから少し安心している。

 

「一色お前も懲りないな…俺なんかじゃなく隣の葉山にでも甘えとけよ」

「これだからゴミいちゃんは…」

「小町ちゃん?前から言っているけどゴミいちゃんはやめて、お兄ちゃん泣いちゃうよ」

「はぁ…」

 

 本当の塵屑でも見るような視線を兄に浴びせてくる妹。

 なんか死にたくなってきた、うん死のう。短い人生だったなぁ…

 

「比企谷さん、お兄さんも悪気があるわけじゃないから」

「おい大志、お前にお兄さんと呼ばれる筋合いはない!幕張沖に沈めるぞ」

「あん?何て言った比企谷!?」

「うっ…」

 

 凄みを利かせ俺を黙らせたのは『川崎沙希』そしてお兄さん呼ばわりしたのは『川崎大志』。

 実の姉弟である。

 姉は長い髪をポニーテールにまとめ、細身の長身でスタイル良好。因みに下着は黒のレースを好む。

 弟2人に妹1人という大家族の長女で俺に負けず劣らずのシスコンでブラコンでもある。

 弟の大志は中3時の進学塾で小町と一緒だったらしくちょくちょく小町にアプローチしているように見える。

 だが小町は嫁に出さん!というのは家族の決定事項であり例え姉の力で俺を倒してもその先には親父とお袋が構えているのでどだい無理な話だし小町自身も「大志君とは友達だよ、これからもずっと友達だよ」なんて止めを刺していたからな。我が妹ながら容赦がない…少し大志に同情し始めた俺ガイル。

 

「そこのシスコン・ブラコン四人組は放っておいて、姉さんは何をしに来たの?用が無いなら帰りなさい、いえ用があっても帰りなさい、さっさと帰りなさい」

 

 俺と川崎姉の「千葉の兄妹なら当たり前だ」・「比企谷なんかと一緒にしないでくれる」という抗議は見事にスルーされ雪ノ下姉妹の会話は続く。

 

「そうだった今日はみんなをゲームに誘いに来たの。」

「姉さんゲームって…ここにいる人達が受験生だと分かって言っているのかしら」

「私と雪乃ちゃんは、雪ノ下家の名代としてオープニングイベントに強制参加だよ」

「はぁ…分かったわそれで」

「うん、誰かソードアート・オンラインってゲーム知っている人いる?」

「我が知っているぞ!」

 

 今まの沈黙を破って大声を上げたのは『材木座義輝』。

 肥満体形で、中二病と作家病を患っている。何の心境の変化か急に理系の大学を目指す事にしたらしく雪ノ下と俺に頼み込んでここで勉強している。

 

「中二ウルサイし!」

「あ、はいすみません…」

「材木座君だっけ説明をお願~い」

 

 陽乃さんから続きを促され「うぉっほん!」などとワザとらしい咳をして材木座が説明を始める。

 

「ソードアート・オンラインとは、第2世代VRマシンで初の家庭用ゲーム機『ナーヴギア』で使えるゲームソフトであり天才量子物理学者『茅場晶彦』が開発した世界初のVRMMORPGである」

「VRMMORPG?」

「雪ノ下嬢、VRはお分かりかな」

「ええ、Virtual Reality仮想現実でしょう」

「そのとおり、ではMMORPGについて説明しよう。Massively Multiplayer Online Role-Playing Gameの略語であり、和訳すると「大規模多人数同時参加型オンラインRPG」となる」

 

 少し説明が脱線しているような気がするがどうやら説明は終わりのようである。

 ウンウンと頷きながら陽乃さんが俺に視線を合わせてくる。

 

「比企谷くん、君αテストのアルバイトしていたんだから補足説明お願ーい」

「何!?八幡、貴様ソードアート・オンラインのαテスターなのか」

「あー…陽乃さんに夏休み中のバイトとして紹介してもらったんだよ」

「ぐぬぬ…」

「姉さん、もう皆で遊ぶ流れになってしまっているけれどこの人数分のゲーム機とゲームソフトを用意できるのかしら」

「そっか私が確保できたのは雪ノ下家に送られてくる3台と知り合いから譲り受ける予定になっている4台の合計7台だった」

「それみなさい、この場には姉さんを含め13人の人間がいるのよ。半分じゃないの」

「隼人、葉山家にも送られてくるんじゃないの」

「うん陽乃さん、家にも2台送られてくる予定で、両親は行かないから俺が譲り受ける事になっているよ」

 

 これで合計9台。残り4台をどうするのかで議論が始まった。

 ナーヴギアの価格がソードアート・オンライン同梱版で12万8000円もする事に川崎家を中心に学生にはそんな金額は無理との反発があったが、材木座が先行ネット販売でもう予約済みである事と、一色の父親が材木座と同じく予約済みであるが海外出張が後から決まり借りる事が可能である事、小町も親父に頼めば大丈夫だとの事(会社を休んで3日間並んだらしい、親父哀れ)、残り1台。

 事ここに至ってはどうしようもないのでαテストの最終日にナーヴギアとソフトを貰っている事を明かす(ソフトは正規の販売日当日からナーヴギアをネットにつなげば勝手にアップデートされるらしい)。

 

「これで台数は確保出来たね。さっきの続きを比企谷くん宜しく-」

 

 働きたくないが拒否権の無い俺ではどうしようもない。やらなきゃいけないならさっさと終わらせるか。

 

「材木座の説明で概要は分かっただろうから細かな所を補足していく」

 

 ナーヴギアは現在ある他のゲーム機と違い指等で動かすのではなく、「フルダイブ技術」を使い意識をゲーム世界に飛ばしキャラクターに憑依するような形で遊ぶ事、その際、身体は完全に無防備になるので戸締りをしっかりする事と空調なども利かせておかないと体調不良を起こしかねない事。

 ソードアート・オンラインというゲームは、「無限の蒼穹に浮かぶ巨大な浮遊城アインクラッド」という場所で全100層からなるステージのクリアを目指すのが大目的であるが他にもいろんなクエストが用意されている事。

 自らの体を動かし戦うというナーヴギアのシステムを最大限体感させるべく魔法の要素を完全に排し、ソードスキルという必殺技とそれを扱うための無数の武器類が設定されている事。

 戦闘職の他にも、サポート職として商人や鍛冶師・お針子さん等で遊ぶ事も可能である事等を説明して話を終える。

 

「姉さん、肝心の日付は?」

「えーと、11月6日日曜日の13時からだよー、式典が17時30分からだからそれまで皆で遊ぼーって訳、そのあとも息抜きだったり皆の大学が決まってから遊んでも良いかなって」

「最初に言うべき事だと思うのだけれど…まあいいわ、細かい打ち合わせは後日するとして、今日はもういい時間だし解散しましょう」

 

 雪ノ下の言葉に皆片づけ始め、片づけの終わった者から順次帰って行く。俺は雪ノ下が日報を書き終わるまで待ち、一緒に部室を閉め彼女が職員室に鍵を返しに行っている間に校門で先に待っている。

 

「お待たせしたわね」

「おー、じゃあ帰るか」

 

 最近は雪ノ下を自宅のマンションに送り届けるのが日課となっている。元々2人とも出不精であるし休みの日にデートに誘う事もままならないコミュ症でもある。そんな2人の代替え案がこの帰宅時デートである。

 手を繋ぐわけでもなくましてや腕を組むわけでもない。2人並んで会話もほとんどなくただ只管に雪ノ下のペースに合わせ歩いて行く。

 雪ノ下のマンションが見え始めたころこちらを見ながら珍しく雪ノ下から声が掛かる。

 

「ねえ比企谷君、あなたさっきナーヴギアをかぶっている間は身体が完全に無防備になるって言っていたわよね」

「ああ、言ったなそれがどうかしたか」

「いえ、確認したかっただけよ」

 

 前を向き歩き出す雪ノ下。なんだ?雪ノ下がそんな事を態々確認する?あり得ない、この言葉の裏には何かがある。

 言葉の裏を読もうと頭をフル回転させる。ふと思い当ってしまった。多分間違いない素直に雪ノ下が発せる言葉ではない。かと言って俺が気障ったらしく言葉に出来る事でもない。どうするか。

 

「なあ、雪ノ下」

「なにかしら比企谷君」

「ゲーム当日なんだが俺と小町を雪ノ下の家からログインさせてくれないか?家のネット回線じゃあ少し心配でな」

 

 目を見開きこちらを見る雪ノ下、徐々に顔が赤くなってゆく。どうやら正解だったようだ。

 陽乃さんは、夏休み明けに雪ノ下のマンションから出て一人暮らしを始めている。今はこのマンションに雪ノ下一人で住んでいる。怖かったのだろう。セキュリティの高いマンションに住み一人暮らし歴が長いとしても身体が完全無防備な状況で家に一人、女性として怖くない訳が無い。

 彼氏として妹が一緒にというのもどうかとは思うが俺一人だと今度は小町が一人きりになってしまうし俺にはそんな度胸も甲斐性も無い。

 

「しょ、しょうがないわね。いいわ2人分の布団を用意しておくわ」

「迷惑掛けて悪いな」

「小町さんの為ですもの迷惑だなんて」

 

 顔の反応と小町の為なんて言っている所を見る限り、気付いた事はバレているんだろうな。

 そんな、会話をしながら歩いているうちに雪ノ下のマンションの前に着いたようだ。

 

「じゃあな、雪ノ下また明日学校でな」

「ええ、さようなら比企谷君」

 

 腰のあたりで手を振る雪ノ下に軽く手を上げて応えてから歩き出す。小町に何か買って帰る物はあるのか連絡しようとポケットからスマホを取り出すと後ろから声が掛かる。

 

「比企谷くん!」

 

 うん?と上半身だけ振り返るとそこには雪ノ下の顔が迫っており…避ける暇もなく唇と唇の距離をゼロにされた。

 

「ありがとう比企谷くん、また明日ね」

 

 真っ赤な頬を両手で隠しながらマンションのエントランスに駆け込んで行く雪ノ下。

 ほーん、何してくれてますの。そんなに恥ずかしいならしなきゃいいのに…数秒の思考停止からの再起動に成功した頭でそんな事を考えながら現状を把握する。

 夕方のマンション前で顔を真っ赤に染めたゾンビが上半身を振り返った格好で固まっている。うん…通報されるなこれは…おまわりさんになんて言い訳しようか。

 動き出すまでに更に数分を要し家路に着いたのは、辺りが暗くなってきてからだった。

 




この話は随時改修していますがどう直していいのかもう分からない…
誰かアドバイス等あればお願いします。
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