真・恋姫無双〜正義の味方〜   作:山隼

23 / 71
4章 連合軍
4-1 反董卓連合


反董卓連合、その檄文にはいろいろ書かれていたが、

ようするに――――

 

「董卓さんのせいで被害が出てるから何とかしよう。

けど自分一人では敵わないから、皆で協力しようって所ね。」

 

鈴梅がしょうが無いといった感じに言い放つ。

 

今現在、最も力を持っているのは間違いなく月の軍勢であろう。

 

朝廷のごたごたがあって何進が死んだ際、

その勢力もそのまま吸収してしまっている為である。

 

「檄文は誰が発してるんです?」

 

「麗羽ちゃんと陳留太守の曹操さんだよ。」

 

蓬梅の質問に聖が答える。

 

「曹操さんはわかるですけど・・・

袁紹さんはなんでですかねっ?」

 

陳留は洛陽の隣にある為、曹操の名前が出てくるのは分かる。

 

しかし、袁紹が統治する冀州は川を挟んだ北にある。

影響が無い訳では無いが、玖遠はそれが気になったのだった。

 

「たぶん・・・・見栄だと思うな。」

 

「見栄・・・ですかっ・・?」

 

「うん。麗羽ちゃんは名門の家系だから。

月ちゃんは西涼出身でしょ。だから認めたく無いんだと思うよ。」

 

「なんだか・・・・そういうのは、あんまり分かりません・・・・」

 

「玖遠ちゃんはそれで良いと思うよ。

確かに名は大事だけど、それに縛られるのは良くないから。」

 

「はいっ。」

 

玖遠は明るい声で頷いた。

 

「それで・・・私たちは如何するの、聖?」

 

水蓮が聖に問いかける。

 

「選択肢は三つあるな。

このまま連合軍に参加するか、月に協力するか、どちらにも参加しないか。」

 

「多数決でも取るの?」

 

「いや、流石にそれでは決めれないだろ。

俺たちは意見を言うだけにして、最終決定は聖がする必要があるな。」

 

鈴梅に答える士郎。

 

「基本的に侵攻はしないのが、私たちの方針になってるです。

そのままならこのまま傍観するになるです・・・・」

 

そう言って、蓬梅は聖の方を見る。

 

「うん。けど、私はこのまま月ちゃんを放っておくなんて事は、したくないんだ。」

 

聖たちは他の諸侯よりも月の事をよく知っている。

あの優しい少女がこんな事を望んでいる筈は無い。

自分達の理念に逆らう事になるが、如何しても無視する事は出来なかった・・・

 

「じゃあ、後はどちらの軍に味方するかだね・・・」

 

「心情的には月さまに協力したいけど、

連合に参加する人によっては厳しいわね・・・・」

 

「袁紹、曹操は確定として、後は南陽の袁術、月たちと同じ西涼の馬騰も参加するだろうな。」

 

「それに、月に味方しようにも交流が断絶されているから、

交渉も出来ないしね・・・」

 

(恐らく黄巾の時にいた奴らが今回も関わっているんだろう。

ここで月に味方して、聖も人質にとられたりしたらおしまいだからな・・・・

貂蝉も洛陽に潜んでいるって言ってたから、月も危険な目にはあってないだろう・・・)

 

水蓮と話ながら、憶測だがそう結論付ける士郎。

 

 

 

「気になるのは・・・・・黄巾の際・・・・私たちが月さまと一緒にいた事を・・・・・

他の諸侯も知ってます・・・・その事で・・・・・怪しまれないでしょうか・・・・・?」

 

「それは・・・多少なりともあると思う、けど・・・・」

玖遠の質問に聖が答えていると・・・

 

「私がさせないわっ!そんな事!」

 

「そうです。聖さまは私たちが守りますです。」

 

「鈴梅ちゃん・・・蓬梅ちゃん・・・・・」

 

「聖さまが民の為に戦うのなら・・・・私たちは聖さまの為に戦うわ。

だから、聖さまは気にせず自分の道を進んで下さいね。」

 

「そうよ。皆聖の事を助けるために此処に居るんだから。」

 

「そうです。・・・・じゃまする奴は消すです。」

 

「あはははっ。うん。じゃあ私たちは連合軍に参加します。

けど、目的はあくまで月ちゃん達の救出だからね。」

 

『はいっ。』

 

そうして急ピッチで出陣の準備が進められていく。

連合軍や洛陽で、どんな出会いがあるのか不安と期待を織り交ぜたままで・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

襄陽城門の前に集まった兵の前で、三人の女性が歌っている。

 

「♪~~~~♪~~♪~~~~~~~」

 

それぞれ違う楽器を持ち、顔の前に設置しているマイクで声と音色を届けていた。

 

『ほわぁぁぁぁぁっ、ほわあぁぁぁぁぁぁぁっ!!』

それを聞いて盛り上がる兵士達。

 

戦の前に天和たちに歌ってもらい、士気を上げているのだった。

 

「これは・・・凄いわね・・・」

 

その光景を見て思わず呟く水蓮。

 

今まで何回も兵を連れてきているが、此処まで士気が高い状態なのは初めてである。

 

「あの黄巾の乱を起したくらいだからな。

元々彼女達にはこれくらいの魅力があったのさ。」

 

士気の高さは戦での強さに直結する為、

士気を上げるために武将は四苦八苦する。

 

それがこんなに容易く上がったことに、他の皆も吃驚しているのだった・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

今回連れて行く兵の数は約三万。

黄巾の時は四万五千だったのに対しては少なくなるが、これには理由がある。

 

まず、兵の交代である。

 

だれだって遠征するより、自国の守備の方が楽に決まっている。

その為、先の戦で連れた兵は休ませ、その間守備に着いていた兵を今回連れてきているのだ。

 

次に連合軍の存在である。

 

いくら月の勢力が最大といっても、連合軍の方が数が多いに決まっている。

 

今回の連合はある意味、民に存在を示すための戦いでもある為、

戦いは他の諸侯に任せて、自分は良いとこ取りをしようとしている者も少なくない。

 

その中で下手に大勢の兵を連れて行こうものなら、前線ばかりを任される恐れがあるのだ。

 

「それじゃあ・・・出陣しますっ!」

 

『オオオオオオオオオオオッッ!!』

 

聖の号令に出陣する兵達。

 

「で、今回はアンタ達も来るのね・・・」

 

「当たり前じゃないっ!」

 

「大根の好きにはさせませんです。」

 

「こ・の・減らず口を・・・・」

 

蒯姉妹と水蓮はいつも通り騒いでおり、

士郎たちも直ぐ近くを移動している。

 

「お母さん~揺れるぅ~~」

 

「はいはい。手を離しちゃダメよ。」

 

馬に慣れていない璃々が紫苑にしがみつく。

 

「あの~~連れてきても大丈夫なんですかっ?」

 

「ええ。私が傍に居るほうが安全ね。

・・・・それに、離れると璃々が悲しむでしょう?」

 

璃々の頭を撫でながら、玖遠の質問に答える紫苑。

 

「まぁ、いざとなったら玖遠や俺も居るしな。」

 

士郎の発言を聞いた途端、

 

「あら?私は助けてくれないのかしら・・・・」

 

「私も士郎さんと一緒がいいですっ!」

 

絡んでくる二人。

 

士郎が困っていると、

 

「士郎さん・・・・・早く・・・・行きましょう・・・・・」

 

士郎の前に座っている援里が話しかけてくる。

 

「・・・・なんで援里ちゃんがそこに居るんですかっ!?」

 

「手綱引いてると・・・・・作戦を考えれないので・・・・・」

 

「絶対に嘘ですっ!?」

 

賑やか?に騒ぎながら連合軍の拠点に向かって行く

劉表軍であった・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――連合軍 拠点――――――

 

既に各地の諸侯が到着しているのか、沢山の兵達でごった返している。

 

その中に聖達が到着すると、周りの兵が一斉に此方を見てくる。

 

「おい・・・・あれ、劉表軍じゃないか?」

 

「連合に参加するのかよ・・・・・・」

 

「・・・・・後ろから攻撃されるかもな。」

 

ざわざわと騒ぎ出す。

 

どうやら黄巾の乱を月と一緒に戦っていたことは知られており、

それで良からぬ噂が出回っているようだ。

 

「っ・・・・・・・・」

 

聖が悲しそうな顔を浮かべる。

 

「貴様ら・・・・っ」

 

水蓮が周りの兵を怒鳴りつけようとしたとき・・・・・・

 

「なんですのっ!この騒ぎはっ。」

 

目の前に居た兵たちが二つに分かれ、その間を麗羽が進んでくる。

 

「麗羽ちゃんっ!」

 

「あら?聖さんじゃありませんか。

到着してらっしゃったんですのね。」

 

「うん。今着いたばかりだけどね。」

 

「そうですか・・・・

猪々子さん、斗詩さん、聖さんを兵舎に案内して差し上げて。」

 

「了解~~~」

 

「分かりました。」

 

麗羽の傍から猪々子と斗詩が出てくる。

 

「まずは長旅の疲れを取って下さいな。

・・・・・また後で行きますわ。」

 

別れ際、麗羽にそう言われた聖は、

そのまま猪々子と斗詩に案内され、兵舎に向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜もふけてきた頃、聖たちの居る幕舎に麗羽たちの姿があった。

 

「まずは、今回の参加、本当に有難う御座いますわ。」

 

麗羽が軽く頭を下げながら礼を述べてくる。

 

「そんな頭なんて下げなくてもいいよう・・・・」

 

「聖さんは最初、董卓さんの方に付くと思ってましたが・・・・・

やはりこの私の方が魅力的だったという事ですわね。」

 

「あはは・・・・・・」

 

自信満々に言い放つ麗羽。

 

「陣内で色々言っている人がいるみたいですけど、

気にしなくていいですわよ。

この連合軍の大将がこの私である以上は、好き勝手はさせませんわ!」

 

「うん。ありがとう麗羽ちゃん。」

 

麗羽は変にプライドが高く、また自分の軍にもそれを求める為、

変な噂が立つのが許せなかったのだ。

 

それに昔から聖の事は知っている。

 

彼女が裏切ったりしない人である事はよく知っているので、

励ますつもりも込めて此処に来ているのである。

 

なんだかんだで根はいい奴なのだ。

 

「あれ、姫が総大将するの?」

 

猪々子が質問してくる。

 

「まぁ、まだ決まってませんけど・・・・・・

私以外に適任者はいませんわっ!」

 

「私もそれで良いと思うよう。

元々麗羽ちゃんと曹操さんが発端だし。」

 

「・・・華琳さんと私では家柄が違いすぎますわ。

華琳さんでは荷が重いですわね。おーっほっほっほっ!」

 

「麗羽さまっ・・・あの・・・夜ですし、静かにした方がいいんじゃ・・・・」

 

高笑いしだした麗羽を、慌てて止めに入る斗詩。

 

「別に大丈夫だろーーーー

会議は明日だし、今日くらいは騒いでもーーーー」

 

「もうっ!文ちゃんまでっ!」

 

賑やかに夜は過ぎて行くーーーー




三姉妹が使っているマイクはアニメの設定を流用して、
太平要術の書を使って宝石をマイクに加工した物が残っており、
それを使用しています。

麗羽は大分あれな思考回路してますが、
基本的にはいい人な感じに書くようにしています……

流石に三国志演技と恋姫での差がおおきすぎるので……
自意識過剰な所は一緒ですけど。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。