「グラファイトって初期カラーは片腕以外は基本緑だし、新で敵キャラ全うできたんだから今度はヒーロー目指せる設定作ったら行けんじゃね?」みたいなノリで書きました。強いですが生れ出たゲームの性質上義理堅いし、ママファイトやし。
見切り発車でエタりたくないので今回はリハビリを兼ねた読み切り版、と言う事で。別の奴でまた緑繋がりでアナザーアギトかアマゾンにでも変身させようかな~?
それでは皆さん、2017年最後の日を悔いの無い様にお過ごしください。
File 01: Next stageは
見晴らしのいい広い草原に一人の男が立っていた。全身から滝のような汗が噴き出し、苦痛で顔の端が時折ヒクついている。しかし鉄の意志でそれらを無視し、ゆっくりと迫る二組の足音がする背後へと振り向いた。どちらもドクターの白衣とマゼンタのレバーが付いた大きなベルトを腰に巻いている。
「来たか。」
「てめえ一人か?」
黒髪に白いラインを入れた白衣の男が尋ねた。
「この俺に、仲間など不要。」
「どうやら説得には応じなかったようだな。むしろ好都合だ。」
隣に立つもう一人の男が淡々と言う。冷ややかな視線はそれだけで切り裂けそうな程に鋭い。ひしひしと伝わって来る二人の闘気に、グラファイトは微かに身震いをした。
「貴様達に問おう。貴様達にとって『戦い』とは何だ?何の為にその命を賭ける?」
「バグスターを残らずぶっ潰して、五年前の過去に決着をつける為だ。」
「ライダークロニクルを終わらせて、人類の未来を守る為だ。」
二人の答えを聞き、グラファイトは満足そうに口の片端を吊り上げて笑った。あの二人の因縁は深い。そして両名共自分とも因縁がある。むしろ自分の存在自体が二人の因縁を生み出したとも言える。
「過去と、未来。背中合わせの志を抱き共に戦うとは、因果な者達だ。」
「てめえこそ、一人で戦う事で何の意味がある?」
「貴様達が過去と未来に意味を見出すように、俺の戦いの意味は、今この瞬間にある。俺はドラゴナイトハンターZの龍戦士、グラファイト。それが戦う理由だ。培養。」
ゲーム機の様なAとBボタンが付いた紫色のパッド型装置『ガシャコンバグヴァイザー』を取り出し、右手に装着した。
『INFECTION! LET'S GAME! BAD GAME! DEAD GAME! WHATCHA NAME!? THE BUGSTER!』
炎の様な紅の光に包まれ、グラファイトの姿は正しく龍戦士と呼ぶに相応しい姿に変貌した。全身に大小様々な突起が生え、人の形を取ったドラゴンを思わせる威圧感のある姿だ。
「ゲムデウスウィルスの力を持つ俺のレベルは、限界を突破した!死ぬ覚悟で来い!」
「術式レベル100。」
『Taddle Legacy』
「第伍拾戦術。」
『Bang Bang Simulation』
「「変身。」」
『辿る歴史!目覚める騎士!タドルレガシー!』
『スクランブルだ!出撃発進バンバンシミュレーションズ!』
姿を変えて突撃してくる二人の戦士を、グラファイトは槍を構えて真正面から迎え撃った。元よりそれ以外の回りくどい闘い方を好まない以上、これ以外有りえないのだ。飛んでくる砲弾を弾き、振り下ろされる炎の剣と真っ向から打ち合う。
二人対一人の激戦は、夜まで縺れ込んだ。
楽しい。グラファイトにとって、全てはこの一言に尽きた。浅からぬ因縁を持つ二人と、二人の浅からぬ因縁の種でもある自分との闘いだからこそ言える。何度もぶつかり、何度も勝敗を分けぬままの歯痒い状況が続いた。それが今、やっと水を差されることなく解消される。
グラファイトは自分の戦闘能力に自信を持っていたが、無敗で最強と付け上がる程の自惚れ屋ではない。二人は決して弱くはない事を理解している。戦って来たからこそ分かるのだ。二人は確実に強くなって来た。
「やるな、ブレイブ!スナイプ!」
しかしそれは自分も同じ事。二人の動き、二人の癖は概ね把握している。巧みな槍捌きで間合いを詰めさせず、大きく振り払って距離を取らせた。
「我が敵として申し分無し!」
ブレイブの袈裟斬りを真っ向から受け切り、腕を掴んで盾にすると彼の脇腹に拳をねじ込み、蹴りで後退させた。
「激怒・・・竜牙!」
離れたところで槍から火炎弾とX字の斬撃を飛ばし、ブレイブとスナイプを後方へ吹っ飛ばした。立つ暇も与えず二人に突っ込んでいき、追い討ちをかける。今の今まで決着をつけられなかった鬱憤を晴らすかの様にグラファイトの攻めは激化していった。
しかし尋常ならざるものとは言え、生命体である以上、痛みも感じれば疲労も感じる。何よりグラファイトは現在体をウィルスによって食い荒らされているのだ。その様な状態で戦ったツケが日が昇り始めてからようやく回って来た。
「今だ!」
「これでミッションコンプリートだ。」
『TADDLE CRITICAL STRIKE!』
『BANG BANG CRITICAL FIRE!』
「来い!!ハハッ!」
二人の必殺技を正面から受け、グラファイトは爆炎の中で崩れ落ちた。そして空を仰ぎながら笑った。
「何がおかしい?」
「最高の戦いができた。悔いは、無い!」
「決着はついた。」
「ああ。トドメだ。」
「オッケー、私の出番ね。」
ブレイブとスナイプの横にキャップをかぶったライドプレイヤー・ニコがトドメを刺す準備にかかったが、
「諸君。このゲームは無効だ。」
ねっとりとした声の主が闖入した。バグヴァイザーを腰に巻きつけた緑と黒の戦士、クロノスだ。
「てめえ、邪魔すんな!」
強気に噛み付いたものの、スナイプは内心では毒づいていた。よりにもよってこの消耗した状態で最も戦いたくない奴が現れてしまったのだ。
「『仮面ライダークロニクル』は攻略させない。」
「ふざけんな!最後までゲームやらせろ!」
『ガシャット!キメワザ!RIDER CRITICAL FINISH!』
銃のマズルが光、照準がグラファイトに向けられる。そしてトリガーが絞られるのとクロノスが腰のバグヴァイザーのボタンに手を伸ばしたのは同時だった。
『PAUSE』
世界は一瞬にして静寂に包まれた。放たれた必殺の攻撃も、ブレイブも、スナイプも、反動で後ろに吹き飛んでいるニコすらも空中で静止していた。時間その物がクロノスの『一時停止』によって止められたのだ。
「君達仮面ライダーは全員絶版だ。」
無防備な彼らにゆっくりトドメを刺そうと緩慢な足取りでクロノスは歩を進めるが、グラファイトは残り僅かな体力を振り絞って彼の前に立ちはだかった。
「何のマネだ?君を助けてやった私に刃向かうのか?」
恩着せがましいクロノスの言葉を、グラファイトは一笑した。
「頼んだ覚えは、無い。正々堂々と戦い、決着はついた。なのに貴様は、神聖な戦いに泥を塗った!」
今度はクロノスが彼の言葉を鼻で笑い飛ばし、だからどうしたとばかりに肩を竦める。戦いの矜持などには微塵程も興味も価値も無い。
「パラド、ポッピーピポパポ。道こそ違えたが、お前達は俺の・・・・生涯の仲間だ。スナイプ、ブレイブ。俺に敵キャラを全うさせてくれた貴様らに、心から感謝するッ・・・・!」
止まった時の中に未だ閉じ込められたまま自分を見守る二人の仲間と自分を打ち倒した宿敵への言葉を届かぬと知りながらも遺し、最後の一撃を繰り出す構えを取った。
「ドドドドドドドドドドド!」
『キメワザ!CRITICAL SACRIFICE!』
「紅蓮爆龍剣!!」
両者の攻撃はぶつかり、数秒は競り合ったものの、死力を振り絞ったグラファイトの一撃はクロノスを押し返した。敵としての義務の全うを阻む不届き者に一矢報いたのだ。
『RESTART』
そして時間停止が解除され、再び時が動き出した。ニコの決め技である砲撃が再びグラファイト目掛けての飛翔を再開し、捉えた。
「これで、いい。」
再び人間の姿に戻ったグラファイトは笑みを浮かべながらそう言い残し、今度こそ消えた。
少なくとも、そのはずだった。しかしグラファイトが目覚めたのは、遊具が設置された公園だった。当然見覚えなどない。
「まさかバグスターにも死後の世界が用意されているとはな。パラドの言う通り、運命とはまるでパズルだ。」
そこらにあるビルに掲げられた看板や標識からして、ここが日本である事は間違いない。右手を見下ろすと、慣れたバグヴァイザーの重みがない。やはりあの場で死亡した時にあそこに残ってしまったのだろう。しかし不思議とあまり気にはならなかった。元より戦い以外で過ぎた事に一々固執する性格ではないし、何より同族のパラドにポッピーピポパポ、そしてスナイプやブレイブ、並びに彼らの仲間がいる。皆曲者だが例外なく強者揃いだ。その内何らかの形であれをライダークロニクル攻略の一手にでも役立ててくれるだろう。
体の調子に特に異常は感じられなかった。バグスターとしての変身能力はバグヴァイザーがなくともなんとか出来るし、ウィルスの粒子に変わる事も出来る。異常らしい異常と言えば、ゲムデウスウィルスが体から消えた事と、全身が鉛の様に重い事だ。立ち上がって動けないという程ではないが、かなりの不快感を感じる。
まずは自分がどういう訳か流れ着いたこの世界の事を知らなければならない。適当に辺りを歩き回ろうとその場を離れようとした所で、ブランコ辺りからすすり泣く声が聞こえた。振り向くと、縮れた緑色の髪の毛を持ったそばかす顔の少年が声を殺して泣いているのが見えた。見た目からしてまだ幼い。
「坊主、どうした?」
「な、何で、も・・・何でもない、です・・・」
袖でごしごしと涙と鼻水を拭う少年をよく見ると、シャツやズボンが汚れている。擦りむいたのか、ズボンの膝辺りは血が滲んでいた。
「戦って負けた、といったところか?」
「だって僕、『無個性』だから・・・だから、何もできなくて・・・」
「『無個性』?どう言う事だ?人間とは誰しも個性的と聞き及んでいるが?」
「そ、その、そうじゃ、なくて・・・」
そして少年は話した。彼が言う『個性』とは生身の人間を超えた「特殊能力」を指す言葉であり、世界の人口の八割が「個性」を持つ中で自分は何の能力も持たない『無個性』の人間であるという事を。
「つまりお前は無個性だから虐げられ、この有様だと?」
頷いて答える少年をグラファイトは軽く睨んだ。
「だがそれでも、その様子では何もせず傍観していたと言う訳でも、ましてや逃げたと言う訳ではないのだろう?」
「だ、だって、弱い者いじめは駄目だし・・・」
「なるほど。多勢に無勢と知りながらも逃げなかったのか。その度胸は称賛に値する。それだけはこの俺が認めてやろう。」
「お兄さんは、ヒ、ヒーロー、なの?」
「ヒーロー?いや、俺は・・・」
むしろその対極に位置する敵だ、と言おうとしたところで口を噤んだ。ブレイブとスナイプの両名と日付が変わるまで激戦を繰り広げた末、自分は敗れ、敵としての役割は自分の中では果たされたのだ。
「坊主、そう言えば名前をまだ聞いていなかったな。」
「み、緑谷出久・・・です。」
「緑谷出久か。俺の事はグラファイトと呼べ。」
「グラファイト・・・?」
「ああ。お前は俺がヒーローかと聞いたが、何故だ?」
「ぼぼぼ僕も、その、な、なりたくて・・・ヒーロー、に。」
「だが、その大前提である『個性』が無い、と?」
「うん・・・」
なるほどとグラファイトは頷いた。宿主を消滅させ、完全体となってから五年と少し、正体が他の人間にバレぬ様に人間観察をしてきた事から人を見る目には自信があった。泣いてはいるが、この少年はまだ負けてはいない。ヒーローに憧れていると口にしている以上、まだ心は折れてはいない。
なにより、ここは新しい世界だ。これを機に敵キャラからヒーロー側に転向してみるというのも悪くないかもしれない。
「緑谷出久。お前に一つ提案がある。もし俺が、お前の『個性』になってやると言ったらどうする?」
「え?」
ここぞとばかりにグラファイトの双眼は赤く光り、緑色の龍戦士の姿に変わった。数瞬その姿を晒したところで粒子となって出久の体内へと侵入した。
『つまりは、こういう事だ。』
「え、えええええええええっ!?ぐ、グラファイト?あれ?どこ?どこ行ったの?」
『騒ぐな。俺は今お前の体に感染している状態だ。だが感染と言っても害は無い。お前の体を回復の為の依り代として使わせてもらいたい。その代わりに、俺の力を貸してやる。』
「本当に?本当に、僕はヒーローになれるの?」
『全てはお前次第だ。』
一応自分の中でのグラファイトの見た目は緑でもスペックはあの時より高めです。必殺技は初期の激怒竜牙しか使えませんが。バグヴァイザーもありませんが、出久に『感染』して能力を貸し与えて龍戦士モードに変わるという感じです。
勿論『個性』ではありませんので相澤先生にも抹消不可能です。