久々の五千字オーバーの投稿で、しかも久々の移り変わる戦闘シーンだらけなので、拙い文章でない事を祈りつつアップしています(汗)
一応今作の最終話ですが、壊理ちゃん登場前まではオールマイトVSAFO戦で終わらせてエピローグ的な何かを書いて終わりにしようかと思っていたのですが、折角ですので死穢八斎會の所まで行こうと思います。ドライバーと変身に至るまでをここまで引っ張ったんで見せ場は多めに作っておきたいですし。
もしかしたら原作通り異能解放戦線までやるかもしれませんが、個人で、それも別のサイトで二次創作以外を書いてみたいという気持ちも少なからずあるのでそちらを優先してしまう形になるかもしれません。
筆が乗ればその限りではありませんが、あらかじめご了承ください。
「どうなっている・・・・・・何故
いつもは冷静沈着なグラファイトも、今回ばかりは怒りと混乱で頭がどうにかなりそうだった。直接目にしたわけではないが、クロノスやゲムデウスはエグゼイド達仮面ライダーが倒した。根拠こそ無いがスナイプ、ブレイブに敗れた戦士としての勘がそう確信させていたのだ。当時レベルを超越したバグスターとなった自分を倒せるほどの者達がいるならば、後は任せて逝けると。
が、現に施設の前に現れたマグネとステインに似たコスチュームに身を包んだトカゲの『個性』の男が、あろうことか『ゲキトツロボッツ』と『ギリギリチャンバラ』のガシャットでガットン、そしてカイデンに変身したのだ。
有り得ない。この世界にはバグスターと感染者はそれぞれ自分と出久だけだ。ガシャットの能力やバグスターの事自体知っている人間の数は限られている。他に知っているとすれば――
「I-アイランド・・・・・・まさかあの時か?」
ヴィランと通じていたサム・エイブラハムはウォルフラム一味と共に逮捕こそされたが、差し金はあのオール・フォー・ワンだ。内通者が彼一人だけとは限らない。あの部屋のプロテクトを解除してしまった以上、誰でも入れるようになった。デジタル機器の操作に特化した『個性』を持った者ならばデータを抜き取る事ぐらい容易だろう。外部の協力者に直接データを渡したとすればそれこそ記録や痕跡も残らない。
「貴様ら、全員下がれ」
『ガッチョーン!』
バグルドライバーを装着し、大股で最前線へと出た。
「奴らは、俺が倒す。この俺が。他の生徒を回収する事を最優先にしろ。ナイトアイ達の端末で位置情報は見えるようにしてある。今の俺は久しぶりに——本当に久しぶりに、怒っている。正直奴らを倒しさえすれば周りがどうなろうと構わんとすら思っている」
『ドラゴナイトハンターZ!』
ガシャットを起動し、ゲームエリアにエナジーアイテムが拡散される。すでにその力の一端をUSJ並びに体育祭で目の当たりにしていたA組の面々は下がり始めた。
「だから急げ。まだ俺が、自制できているうちに。変身!」
『ガシャット!BUGGLE UP! ド・ド・ドドド黒龍拳!DRA!DRA!DRAGOKNIGHT HUNTER! GRAPHITE!』
変身が完了する間も無く、グラファイトは二体のバグスターに向かって一直線に駆け出した。義憤にその拳を握りしめながら。
そして丁度その瞬間、爆豪と洸汰を運ぶ出久が森の中から飛び出し、グラファイトの背後に着地した。
「マンダレイ!洸汰君連れ帰ってきました!ウォーターホースの仇も、かっちゃんが取りました!!後は雄英の僕らが戻れば完了です!ここはグラファイトに任せて施設の方へ撤退を!」
「オッケー!」
肩の荷が下りると共に、彼女と虎の士気が目に見えて上がった。それぞれ爆豪と洸汰を出久から受け取り、その場にいる生徒達の撤退に備えて殿を務めた。
「虎、生徒達の護送に行くよ!」
「うむ、そこまで言うのであれば信じよう。いざ!」
「僕は森の中に戻ってもう一度合流しきれていない人を探してきます!」
B組クラス委員長の拳藤一佳は『個性』で倒れたクラスメイトの骨抜柔造と小大唯をその巨大化して両手で覆いしつつ合流を目指していた。問題はマンダレイが放った伝令には、肝試しに出た面々が置かれている状況の事が一切含まれていないと言う事。つまり何の障害も無く合流できると思っているのだ。
その状況は、辺り一面を覆い尽くしている、有毒ガスの事だ。骨抜が気絶した事から害があるのは間違いない。だがいくら体力に自信があるからと言って息を止めたまま走り続けるのにも限度がある。
「おぉーい!拳藤!」
茂みを突き破り、鉄哲がぐったりしたクラスメイトを抱きかかえながら姿を現した。両名とも顔にマスクをつけている。更にその背後からは傘を脇に抱えたナイトアイも枯葉をスーツから払い落としながら進み出た。
「鉄哲!?サー・ナイトアイも!って、そのマスクどこから?」
「A組の八百万が運良く近くにいて創ってもらった。B組の位置は泡瀬がグラントリノのおっちゃんと一緒に回って救助してくれてる。ガスマスクは沢山もらったからお前らも使え!」
「ごめん、助かる!」
その場にいた全員にガスマスクが行き渡り、ナイトアイが先導を始めた。
「そういえば、何でここの位置が?」
「生徒達が訓練をしている間、グラファイトと私、そしてグラントリノの三人で敷地にセンサーの網を張り巡らせていてね。どこに誰がいるかは携帯の電波で探知している。山を張るのは私が事前にしておいた」
「じゃあ、ヴィランの位置、分かるって事っスよね?」
「分かる。が、倒すというのであれば却下だ。君達生徒を全員施設に送り届け、人質とされぬように立ち回るのが今の私の責務だ。わざわざ捕まりに行くような真似をする行動を許すとでも?」
「俺は・・・・・・!俺は悔しいんすよ!」
泣くものかと思いつつも、そんな気持ちとは裏腹に鉄哲の目に涙が込み上げてくる。
「心のどこかで感じてるんス。A組と同じ試験、同じカリキュラム。なのに先生どころかA組の緑谷にまで『個性』伸ばしの訓練手伝われる体たらくだ。差は開きっぱなしで、俺は悔しい。あいつらはいつもピンチをチャンスに変えてきた。人に仇為す連中に背を向けるなんて、俺には出来ねえ!ここでやらなきゃいつやるってんだ!?」
「鉄哲、気持ちは分かるよ。悔しいって気持ちもね。合宿中結局一回しか緑谷に攻撃当てられなかったし。でも、今は優先順位を考えないと。私らが戦ってもし何かあったら先生達に迷惑かかるんだよ?」
戦えればそれで満足なら、どこぞの地下核闘技場にいくなり、適当に喧嘩を売るなりすればいい。民間人には誤解されがちだが何も戦う事だけがヒーローではない。万人ならば戦うという選択をする時にこそあえて戦わない事を選ぶのも、またヒーローなのだ。今は雌伏の時。これから戦う機会は、まだいくらでも訪れる。
「・・・・・・わーったよ。今回は委員長の顔を立てる為にも逃げに徹する」
「賢明な判断―――伏せろ!」
ナイトアイは拳藤を押しのけた。そして傘を開くのと乾いた劇発音が夜の闇を劈いたのはほぼ同時だった。傘の内側が銀幕の様に反対側を映し出し、一発のひしゃげた銃弾が落ちた。
「どうやら向こうは逃がしてはくれないようだ。ご丁寧に飛び道具まで装備している。恐らくこの有毒ガスで我々の位置を把握できるのだろう。仕方ない。鉄哲君、君の案で行こう。奴を叩いてよそにガスを撒かれないようにする。ただしこれは実戦。しくじりは許されないぞ」
「押忍!」
「拳藤君は学友をガスの射程圏外まで運んでくれ、ここは二人で十分だ」
「はい!」
鉄哲の肩に手を置き、ナイトアイは『個性』を発動した。そのしかめっ面はほんの僅かだが綻んだ。
「防御は私に任せろ。君は私の指示があるまで動かないでくれ。」
二発、三発と再び銃声がするが、方向もタイミングも全てナイトアイは視ている。
四時方向から、二発。
八時方向から、一発。
三時方向から更に三発。
弾込めのインターバルか、十八秒挟んで、五時方向から一発。
時にはしゃがみ、時には立ち上がり、時には傘をくるりと回転させてその布地で飛んでくる銃弾を次々と弾いていく。
「今だ、七時方向」
反射的に鉄哲は拳を固め、ナイトアイの背後へと歩を進めた。そして数メートル先で見た。酸素ボンベとガスマスクを背負った人影の姿を。
「一年B組、なめんじゃねえ!!!!」
しかしあと一歩の踏み込みが足りず、鉄哲の拳はヴィランでなくその手にある拳銃を弾き飛ばすだけに留まってしまう。
「糞っ!?」
追撃しようと更に進むが再びガスの中に姿をくらました。が、呻き声と共にガスが霧散し始める。鉄哲が見たのは、傘の取っ手についた血をティッシュで拭うナイトアイと、ガスマスクが叩き割れる程の打撃を食らって昏倒した年端も行かない少年の姿だった。
「一撃で意識を刈り取れなかったのは減点だが、飛び道具と利き手を潰したので良しとしよう」
右腕に氷の丸楯を創り出した轟は、貫かれた左脇腹を抑えて息を荒らげていた。肝試しの順番を決めるくじの結果、一人で行くことになったのが思わぬ形でヴィランと一人で対峙するという結果を呼び込んだ。しかも相手は地形と『個性』を使い慣れた動きを見せてくる。一方、こちらは山火事を懸念して左を迂闊に使えない上に気絶した生徒を一名背負っている。お世辞にも戦えるような状況ではない。が、逃がしてくれるほど柔な相手でもない。
「あぁ・・・・・・
幸いと言うべきか、さっきまで見えていたガス溜まりは少しずつ引いている。恐らくその『個性』を持ったヴィランは倒されたのだろう。ならばここは遅延戦術一択だ。
右腕の楯を更に大きくして兎に角距離を離そうと走る。左足から限定的に炎を凝縮させて放出して更にスピードを上げる術も、それと同時に氷壁を生み出す術も編み出した。今はそれに頼りながら、轟は逃げた。
「ああでも肉、肉ぅ、に、ににに肉面んッ!見せろ!見せろ見せろ見せろ見せろぉおおーーーー!!」
しかしヴィランーームーンフィッシュはその必死の抵抗をあざ笑うように口から伸び縮みする刃のような歯で氷を貫き、追い縋る。
——考えろ。こんな時あいつなら、緑谷ならどうする?手数、射程距離、環境。全部こっちはアウェーだ。そんな状況をどうやってひっくり返す?
しかしそれ以上の思考をする事は叶わなかった。
「肉肉うるせえぞ、ったく。こんな所に居やがったか、肉バカめが。今度はその歯ぁ生えねえように引っこ抜いた方がよさそうだな、ええ?」
空中で月明かりに照らされた小さな黄色い影がムーンフィッシュの歯を速度の乗った跳び蹴りで一気に纏めてへし折ったのだ。
「おお、轟の坊主。
老兵に似つかわしい老獪な笑みを肩越しに見せ、親指を突き上げたグラントリノはさっさと行けとばかりにその指で轟の進行方向を示す。
「大部分はもう合流しとる、お前が戻りゃあもう残りは十人もおらん。急げ!」
「流石にどこに誰がいるかまではわからないか・・・・・・」
木の梢でスマートフォンを操作しながら出久は毒づく。ヴィランとそうでない者の反応は違うが、固有の発信源までは分からない。
「一番近いのは、この二つ」
しかしその発信源はどちらも止まっている。そして二つのすぐ近くに別の発信源が一つ。嫌な予感がした出久は即座にフルカウルで木を足場にしながら急行した。視界や進行を阻む枝葉を手刀で切り払った先には、蛙吹を気に釘付けにしてナイフで近づく金髪の女がいた。年恰好からして同い年ぐらいだろうか、学生服を着ている。
「DOUBLE DELAWARE SMASH!!」
マグナム弾にも劣らない勢いで放たれた圧縮空気はその女の背中に背負われた機械と右手のナイフを粉々に破壊した。
「蛙吹さん、麗日さん、大丈夫?!」
「平気、ナイフ掠っただけやから。それより気を付けて。その人に血ィ、取られた!」
「血を!?」
「私も大丈夫よ。危なかったけど。気を付けて、このヴィラン、普通じゃないわ」
「痛いです、そこの緑髪の——」と彼女は続けようとしたが、痛みも忘れて出久の方を呆然と見た。
——顔が血で赤くて、カアイイ!!!
実際出久の顔は木々の梢を飛び回っていたせいで枝や葉などで所々切り傷が出来ており、深手ではないにせよ額や頬、顎、首筋など、至る所から出血していた。
「貴方ですね、緑谷君は!!私、トガです!トガヒミコ!」
砕けたナイフの破片を歯で引き抜き、傷を舐め上げる姿は正しく御伽噺に出てくる吸血鬼のようだった。出久も思わず首筋の肌がぶ割と泡立つのを感じ、身構える。しかし、スカートの中にその血まみれの手を突っ込んで引っ張り出したのは――ピンク色のガシャットだった。
『ときめきCrisis!』
「あれってデク君が持ってるのとおんなじ奴?!」
「どこでそれを!?」
「秘密です♪知りたかったら——私にチウチウされてください!」
「二人とも、先に戻ってて。アレを使ってくる以上、今この場で彼女を倒せるだけの力を持ってるのは僕だけだ。早く!」
「分かった。気ぃつけてね!」
「ケロ、ちゃんと無事に戻ってきて、緑谷ちゃん。約束よ!」
出久は無言で頷き、バッグからドライバーとガシャットを引っ張り出した。
「緊急事態、正に今だよね」
「ああ、出久君も同じの持ってる!!私とお揃い!お揃い!!」
鎖骨にガシャットの端子を押し付け、トガヒミコは変身した。
引っ張りに引っ張りましたが、ようやく次で出久君単体での初変身です。
名前ももうあります。
次回、File 62:ご唱和ください!I’M A KAMEN RIDER
SEE YOU NEXT GAME........