こちら、潜水母艦エピメテウス。緊急出航する!   作:なすきゅうり

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生暖かい目で見ていただけると幸いです。


突然の転移、本人混乱

 

―――時に2022年。人類は異星文明プライマーと全面戦争に突入。

 

―――様々な紆余曲折を経て、元民間人、ストーム1を隊長とするストームチームは□□□(検閲済み)を破壊。

 

―――その内より現れた『□□□(検閲済み)』…即ち(検閲済み)を撃破。

 

―――人類は勝利した。だが失ったものはあまりにも大きかった。

 

―――それでも人類は立ち直る。プライマーの技術を奪ってでも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『旧横須賀にて』

 

 

 

 

「こちら、潜水母艦エピメテウス。入港許可を求む。」

 

《こちら横須賀、何も残っちゃいないが、歓迎する。》

 

 半分ほど海面から身を出した巨大な潜水母艦が、瓦礫の港を進む。

 横須賀。かつて日本有数の軍港であったが、プライマーとの戦闘で壊滅。戦争終了後、日本で真っ先に応急修理を受け、瓦礫の山からかろうじて港っぽいなにかになった場所。

 本来、横須賀はエピメテウスの受け入れを想定した作りでは無かったが、この未だ瓦礫も多く見受けられる港の形をしたキャンプ地モドキが、現状の世界で最も修復された港なのだ。エピメテウスはここに来るしか無かった。

 

 

「よぉし、ようやく一息つけるんだ。間違ってもぶつけるなよ。」

 

「問題ありません。最新の地形データ、潮流データ共に取れてます。」

 

「横須賀の使用可能桟橋に、こちらの内蔵するタラップでギリギリ届きそうです。」

 

「どうにかなりそうだな。」

 

 エピメテウス艦長は思い返す。今に至るまでの半年以上の戦いの数々を。

 どれも生半可なモノでは無かったし、徐々に狭まる人類の活動圏から毎回、最低限の補給しか受けられない状況であったのも負荷の増大に繋がった。現に、姉妹艦たる『セイレーン』『パンドラ』は今や物言わぬ海底の鉄クズだ。一歩間違えばこの艦(エピメテウス)も同じ運命を辿っていた。

 今こうして生きていられる事実に感謝するとともに、喪われた戦友たちに追悼の意を。艦長の胸の中は、それだけであった。

 

 

 

 

「接岸まで5、4、3、2、1…目標地到達、投錨。」

 

「投錨確認、タラップ展開、メインハッチオープン。」

 

「艦内放送を開始。」「ヨーソロー。」

 

 艦長はマイク片手にハッチへと歩き出す。

 

『諸君、本艦はたった今横須賀に到着した。諸君らがこの戦争を戦い抜いた猛者たちであることは誰よりわかっているし、同時に死ぬほど疲れていることもわかっている。だが地上の惨状はそれ以上だ。3日後には各地復興の橋頭堡として世界各地を回る事となっている。明日、フタマルマルマルには持ち場に居ろ。それまでは自由解散とする。以上。』

 

 放送の終わるころには、艦長はハッチにたどり着いていた。艦長以外にも何名か既に来ていたが、全員艦長に道を譲る。よって艦長はエピメテウス乗員の先頭として、一番最初に、半年以上ぶりの地球の大地を踏みしめることとなった。

 

 

 

 

 一方その頃、エピメテウス自身も、長いこと張っていた緊張を解き、眠ることにした。

 

 前提として、エピメテウスは潜水母艦であり、当然無機物であるから、本来は考えたり眠ったりはできない。だがエピメテウスの、火器管制系、探査系、制御系、他にも様々なシステム系統が戦争中、自然と結びつきを強め、結果としてある程度人らしく思考するだけの演算領域を確保したのだ。だからこそ考えすぎで疲れたり、眠ったりすることが擬似的に可能であり、戦時中何度もあったピンチを、咄嗟の判断でエピメテウス自身が回避した事も数知れず。

 

 艦内でエピメテウスが擬似的とはいえ『生きている』事に勘づいている乗員は何名かいるが、しかし皆その事には口を閉ざしているため、この事実はほとんど誰も知らない。その事をエピメテウス自身、『悲しい』と何度か思ったことがあるが、直後には『ま、いっか』と思考放棄していたりする。

 

 

 そうして眠っていたエピメテウスだが、突如、何かに引っ張られる感覚に襲われる。エピメテウス自身は仮想的存在であるため物理的に引っ張られることはありえない。ならばと座標系、探査系に目を走らせてもエピメテウスが物理的に動いてる訳では無い。つまり異常事態。

 だがしかし今、エピメテウスは猛烈に眠い。それに電子仮想体のエピメテウスをどうにかできる力に抵抗(レジスト)する術などない。そんな思考を睡眠(セーフモード)の限られた領域でこなしたエピメテウスは、諦めて寝続けることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――夢を見た

 

―――私ではない、誰かの夢

 

―――地球を丸呑みにする敵と、私の知らないEDFの戦い

 

 

―――炎上し、それでも支援の手を止めない要塞

 

―――自身を顧みず、人類のために持てる全てを放つ流星

 

 

―――やっと目前までたどり着いた悲願、蒼い星

 

―――砲が潰れ、脚が砕けて、それでも殲滅の為に

 

 

―――救いがない、とは思わない

 

―――きっと私達とプライマーも、これと大して変わらない

 

―――純粋な思いが、純粋な願いが、ぶつかり合う様

 

―――ただただ美しい

 

―――散る命、失せる本能

 

―――でもそれでも、引き金だけは、絶対に離さないで

 

 

―――今、一つだけ思った

 

―――どうか、彼らの総てに、報いあれ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …眠い。超眠い。ばり眠い。めっちゃ眠い。ぶち眠い。

 

「………ぅ……ぁ………。」

 

 うぅぅ、ここ…どこ…?つか私…。えっと…。自己診断(セルフチェック)スタート。

 

 

――自己診断(セルフチェック)、スタート

 

――エラー、船体に異常があります

――エラー、機関系、応答がありません

――エラー、電装系、チェック不能箇所多数

――エラー、GPS、戦術情報局、接続されていません

――エラー、生体反応1、乗員が規定に達していません

――エラー、艤装系、FCS、オフライン

――エラー、演算容量が不足しています

――エラー、演算容量が不足しています

――エラー、演算容量が不足しています

 

 

 分かった。自己診断(セルフチェック)強制中断。

 

 

――自己診断(セルフチェック)、中断

 

 

 

 ふむふむ、なるほど、分からん。

 

 

 情報過多でパンクしそうなので、一旦思考停止し、腕組みでもしながら少しづつ考える。

 

 まず第一に、自分自身。今しがた自然に腕を組んでみせたが、そも私は潜水母艦だ。腕に該当する部位を持ち合わせたことは無いし、(チラッ)カメラからの映像以外で景色が見えるはずもない。だが現にこうして腕を組み、両の目に景色を写している。無機物であるはずの自分が、生きたカラダを持ち、全身で、己とこの見知らぬ砂浜を感じ取っている。事実は小説より奇なり?

 

 第二に、ここ何処?眠る前は横須賀に居たはずだ。断じて今眼前に広がる南国的砂浜で寝た記憶はない。それにさっきのセルフチェックでもあったが、今GPSが繋がらない。地図もない、位置知れる人もない、おまけに電波もぐーるぐる。オラこんな場所ぁいやだ〜、オラこんな場所ぁいやだ〜。

 

 第三に、というより第一第二の総合的に、不可解と意味不明が多すぎる。今私の認識する範囲で起こった事をありのまま話すとすれば、『潜水母艦の付喪神モドキやってたと思ったら人化して見知らぬ場所にテレポートした』…B級映画の題材のがまだよっぽどマシに思えてくる。誰だこんな現象起こしたヤツ、出てこい、テンペストぶち込んでやる。

 

 

「………はぁっ……。」

 

 ほぼ無意識のため息。

 少し考えを巡らせても、状況のキャパオーバー具合が酷いもんだとしか分からなかった。仕方がないから余計な思考、演算は中断、保留、凍結、カット。今はこの生きたカラダを堪能しよう、脳死で。

 

 

 そうして改めて、自分の姿を舐めまわすように視てみる。手始めに髪から。

 

 とりあえず、で首周りをまさぐってみると肩に直線距離でギリギリ届くくらいの房が二房。たどってみるとポニーテールくらいの高さで括られている。言うなればツインポニーテール。生憎様、私はファッションのフの字も知らぬ潜水母艦だからこの髪型の正式名称は知らない。ちょうど結び目はポニーテールとツインテールの中間あたりに居る。うなじの方から髪は垂れてないから全部房の方に持っていってるのだろう。前髪はM字型、頭頂部付近に括られなかったアホ毛(弱)が一本。

 髪の色は茶髪系、相当明るめ。つか薄め。もう少しイエローが入ると金髪に分類されるくらいの明るさ薄さ。触ってみると手櫛が面白いように通る。さら、さらさら、さらさらさら。楽しい。さらさらさらさら。いつまでもこうしていたい、でも時間は有限。…とっても口惜しいけど、そろそろ次に行こう。さらさら。

 

 お次はカラダ。…の前に服。流石に真っ裸ではなかった。

一通り全体を見渡してみると、あれ?この服、フィンダイヴァーのじゃない?

 

 説明しよう。フィンダイヴァーとは、かつては存在していた、ウィングダイバーの派生兵科である。フィン(足ひれ)ダイヴァー(潜行者)の名の通り、その肉体で素早く潜る事で敵の意表を突くための兵科で、マイナス三次元的動きはダバ子に負けず劣らず芸術的だった。だけど、結局やってる事は海女(あま)の強化版みたいなもので、活動時間限界や武装の問題、それ潜水艦で良くね?問題とかで瞬く間に廃れていった。そーんな幻の兵科。

 

 ただまぁ、今私の着てるこの服は、フィンダイヴァーのインナー的服なんだよね。部位によってはこのインナーがそのまま海水に曝されることもあるからインナーだけでも性能(防寒性・遮水性)は十分なんだけど、本来はこの上からアーマーなりフィン(推進系)がついたりする。つかこのインナー、両手両足のパーツがついてない。両手は手袋、両足はソックスみたいのが存在する筈なんだけど……。無いね。あたりを見渡しても何も無い。仕方ない。無くても性能は変わらないからね。手首と脛にそれぞれ遮水ポイントが設けられているのだ。

 

 しっかしこのインナー、オートフィットとかも出来るんだけど、そのおかげでカラダのラインが浮き出て、なんかエロいなオイ。胸も尻も、そう大して出てるワケじゃないんだけども、競泳水着の感のあるフィンダイヴァーインナーと合わさると健全な競泳女子感が出てね。それをこういう目(エロ視線)で見ているって考えると、こう…背徳的な感じがして…イイな!自分のカラダでなければ尚のこと良かった!まぁしかし、このエッチぃカラダもエッチぃココロも、私のものだからな。受け入れるのは当然であるし、()でもしよう。あぁ、人間って素晴らしい!

 

 

 あ、そうだ。このインナーのセンサ系に繋げないかな?センサ系に繋げたら私のカラダのスペックが見た目以上に分かるし、インナーマッスルが使えたらクマだろうとへし折れる…んだ……けーど、っと!良し、繋がった!

 

――システム検出

――FD.IF ver 1.2.5

――Syncing.........Ok

――Vitaldata........Autocheck

――Powerassist...Ready

――Otherparts.....none

 

――Language.......change?

 

 あー、うん。言語を日本語に設定。

 

――了解しました

 

 ……一応これでも(ワタクシ)エピメテウスは国際的に活動するからまぁ、英語分かるし英語でも良いんだけどね。なんでか日本語の方がいい気がスルなー。ドウシテダロウナー。

 そんなことより、バイタルデータを見せて。

 

――バイタルデータ

 

――種族 エラー ※不明なデータベースに接続しようとしています※

――性別 ♀

――身長 約148cm

――体重 約46kg

――STR 24(+12)

――CON 30

――破損 エラー ※不明なデータベースに接続しようとしています※

――補給 エラー ※不明なデータベースに接続しようとしています※

 

 ……不明なデータベース多すぎない?STR(筋力)CON(タフさ)の値が人間辞めてるのも相当にやばいけども。一先ず、一旦カラダ探りを止めてシステム&ハード的問題を解決していこう。

 とりあえず、不明データベースの接続先とウイルス危険性のチェック。

 

――接続先名 ''Read me From the world''

――ウイルスチェッカー 反応なし

 

 『読んでねby世界』って…どういう事だってばよ。…でもこれ以外に現状のヒントになるものがなぁ…無いのよなぁ…。ネットワーク状況は?

 

――不明データベース以外全てオフライン

 

 デスヨネー。(乾いた笑い)

 

 

 しゃーない、不明データベースにアクセス。ただしファイヤーウォールは逐次構築せよ。

 

――了解、接続します

 

 さーて、鬼が出るか蛇が出るか。………っつ、これはちょっと………想定外に量が多い。んー、今の処理容量じゃ限界が早いな。よし、寝よう。思考演算分の領域が今は惜しい。おやすみなさい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――ほぼ同時刻、同島、大体反対側にて

 

 

 

「これは…なんだか面白い状況ね!」

 

「同意。」

 

「だってアンタ…アルゴでしょ?」

 

「肯定。そういうアナタはデスピナ?」

 

「そうよ。1400m級空母ネームシップ、幼妻空母デスピナとはアタシのことなんだから!」

 

「漢字違う漢字違う。それ(幼妻)じゃ夫がロリコン犯罪者。」

 

「あら、そうね。そうだわね。じゃあ改めて。」

 

 

 

「こちら要塞空母デスピナ、アタシに任せなさい!」

 

「識別コード、アルゴ。正式名、変形汎用戦艦。蹂躙、殲滅する。」

 

 

 

 この世界に現れたのはエピメテウスだけでは無いようで…?

 

――to be continued...




「所で」
「何かしら?」
「さっきの決め台詞…要る?」
「うーん、今思うと必要無かったかもしれないわね!」
「デス(´∀)ヨ(∀`)ネー」
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