この話は時系列気にせず読んでください。
では、本編どうぞ!
特別編 ばれんたいん
2月14日
それは通常ならば「バレンタイン」と呼ばれるイベントが開催されやがる日である。
葛城「はぁ………」
由紀「?よっくんどうしたの?急にため息なんて吐いて」
葛城「…………んにゃ。なんでもないよ。」
何を隠そう、俺は今まで1度だってこの日にチョコを貰ったことがないのだ。まあそのおかげで無駄にソワソワしたりすることもなくなったのだが。
気にしていないといえば嘘になるが、こればかりはしょうがない。
葛城(とは言え、この歳になっても0はなぁ………)
コンコン
悠里「あら?お客さんかしら?」
胡桃「誰だろ?どうぞー」
貴利矢「おーっす!皆元気か?」
美紀「あ、貴利矢さんでしたか。今日はどうされたんですか?」
貴利矢「いやいや。ちょーっばっかし義彦を借りていこうかと。いいかな?」
ドアから唐突に入ってきたのは貴利矢さんだった。
相変わらずラフな格好をしているが、この時期にあの格好は寒くないんだろうか?
葛城「別に俺は構いませんよ。どこ行くんです?」
貴利矢「んーどこってわけじゃないんだが…………。まあ着いてくりゃ分かるさ。」
葛城「はぁ………了解です。んじゃ、ちょっと行ってくるよ。」
由紀「はー!行ってらっしゃーい!」
胡桃「ゆっくりしてこいよー」
美紀「あんまりゆっくりすぎてもダメですよ?ちゃんとした時間に帰ってきてくださいね」
悠里「ともかく、気をつけてね?」
葛城「はいよ。んじゃ、いってきます」
……………ちょっと気になるけど、まあいっか。
由紀「…………行ったかな?」
胡桃「もう大丈夫だろ。すみませーん!もういいですよー!」
胡桃はそう言い、窓を開ける。
すると、外から一機の鳥型の機械が飛んできた。
黎斗「ふぅ。お邪魔するよ。」
悠里「わざわざすみません。私達のワガママを聞いてくださって。」
黎斗「フフフ。気にしないでくれたまえ。これは私のためでもあるんだ。ほら、頼まれていた品だ。」
黎斗が手渡したのは、大きめなアタッシュケースだった。それには、でかでかと「学園生活部専用」と書かれており、中からはほんのりと甘い香りがしていた。
美紀「すごい!ホントに準備出来てるんだ!」
黎斗「当然だァ!神に不可能はなァアアアアい!」
胡桃「ははっ。相変わらずだな。黎斗さんは。」
黎斗「当然だ。神だからな。ともかく、材料は提供した。後は好きにやりたまえ。では。」
そう言い残し、黎斗はサッと飛び去って行った。
悠里「さて、私達も取り掛かりましょうか。」
由紀「おー!よーし。何作ろっかなー」
美紀「もう。はしゃぎすぎですよ。適度に急いで作っていかないと………」
胡桃「ま、早いとこやっちゃおうぜ!」
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一方その頃。
葛城「…………で、なんで俺はここにいるんすか?」
葛城が連れてこられたのは、近くの公園だった。
そこには他にも飛彩、貴利矢、黎斗もおり、バレンタインだというのに女性が一人もいないという残念な状況が生まれていた。
飛彩「………いや。少し、話しておきたいことがあってな。」
飛彩がそう話し始める。
飛彩「………お前は、『自分の気持ちを素直に伝える』ことは出来ているか?」
葛城「…………唐突ですね。」
飛彩「まあ驚くのも無理はない、か。だが、どうしても言っておきたかったんだ。」
飛彩の真剣な眼差しに、葛城背筋が伸びる。
それを見た飛彩は、そう緊張するな、と言いながら話を続ける。
飛彩「……………俺は、自分の気持ちが伝えられずに後悔したことがある。何度その時の自分を嘆いたか─数え切れん。」
飛彩の目は遠く、まるで過去をを見ているように見えた。
飛彩「だから、お前にはそんな思いをして欲しくなくてな。…………すまんな。こんな日だと言うのに。」
葛城「いえ。ありがとうございました。俺も、ちゃんと伝えたいと思います。」
飛彩「それがいい。」
しばし、公園に沈黙が流れる。
貴利矢「あーあ。腹減ったなぁー。なあ神。ちょっと近くのデパートに行かないか?」
そんな沈黙を破り、突拍子もなくそう言う貴利矢。
黎斗「ほう。いい提案じゃないか。デパートならば『色々とある』だろうしな。」
飛彩「俺も行こう。デパートには『ちょっとした用事』があってな。」
その提案に乗る黎斗と飛彩。その口元には笑みが浮かんでおり、いかにも楽しげであった。
黎斗「義彦君も一緒にどうだい?君も『用事』が出来たんじゃないか?」
葛城「───ええ。勿論行きます!」
そして、葛城の顔には、まるでイタズラを思いついた子供のように無邪気で本当に楽しそうな笑顔が浮かんでいた。
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葛城「ただいまー」
悠・由・胡・美「「「「おかえりー!」」」」
葛城「……?どうしたんだ?そんなニヤニヤして。」
胡桃「まぁまぁ気にすんなって。ほら、早く奥行けって。」
胡桃に背中を押され、窓際まで押される葛城。
葛城「っとっとっと。まじでどうしたんだよみんな。」
由紀「えへへー。えっとねー。はい!これ!」
心底不思議そうに首を傾げる葛城に差し出されたのは、1個のラッピングされた箱だった。
葛城「これは?」
由紀「バレンタインのチョコだよ!」
葛城「……………………まじか」
悠里「私からもあるわよ?はい。」
胡桃「あ、アタシだってあるからな!ほら。」
美紀「私からも。はい、どうぞ。」
全員から1つずつ、箱を渡される。
中からただよう甘い匂いは、間違いなくチョコの香りだ。
葛城「あ……あ………」
由紀「?どしたの?」
無言で涙を滝のように流す葛城は、こう言った。
葛城「ありがとう。…………本当に、ありがとう」
由紀達は驚いたように目を丸くしたが、ふっ、と笑顔になり、こう返した。
悠・由・胡・美「「「「どういたしまして」」」」
葛城「……………実は俺も、渡したいものがあるんだ。はい。」
そう言って取り出したのは、同じ大きさの4つの箱。そして、包装紙に包まれた1つの包みだった。
由紀にはピンク、美紀には青、悠里には緑、胡桃にはオレンジの箱を渡す。
由紀「開けてみてもいい?」
葛城「勿論」
由紀「やったー!開けるね!」
葛城「みんなも開けてみて。」
そういうと、各々が自分の箱を開け始める。中に入って居たのは────
胡桃「これって」
美紀「ハンカチ」
悠里「よね?」
葛城「うん。えっと………その……………」
──────色違いでお揃いのハンカチだった。
驚くみんなを前に、気恥しそうにする葛城だったが、意を決し、自分の包みを開けた。
中に入っているのは、ハンカチ。これもお揃いだった。
葛城「えっと……その…………今までありがとう。そして、これからも………よろしくお願いします。」
葛城は、自分の気持ちを素直に伝えることにしたのだ。
「今まで一緒にいてくれて、ありがとう。」
そして、
「これからもよろしく。」
と。
葛城「す、すまん!急にこんなこと言って!」
悠里「………ううん。すっごく嬉しいわ。」
美紀「………ええ。気持ち、伝わりました。」
胡桃「だな。言われなくても、ずっと一緒だぞ。」
由紀「勿論だよね〜。学園生活部は、一生無くならないんだよ!みんな一緒だよ!」
葛城「………みんな。ありがとうな。」
こうして、学園生活部はバレンタインを期に、さらに絆を深め、確かめ合った。
彼らの物語にはまだまだ困難が待ち受けるだろう。時には、喧嘩したり、仲違いをするかもしれない。
だが、彼らの心にはずっと、この日が残り続けるだろう。
黎斗「ふっ、いい絵じゃないか。」
パシャリ、と撮られた写真には、5人の満開の笑みが映っていた。
彼らの物語は、まだまだ続く。
というわけでバレンタイン編お送り致しました。間に合ってよかった…………
こういったイベントの話も上げていきたいですね。
では、次の投稿まで!
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