葛城「皆が風呂に入ってる間に見つけためぐねぇの棚。そこには見たことがないような冊子があった。不思議に思いつつも部室へと戻り、心当たりがないか聞こうとみんなを待つのであった………」
葛城「………まぁ今俺1人なんだがな。」
学園生活部部室
胡桃「変な本をめぐねぇの棚で見つけた?」
葛城「あぁ。」
風呂に入っていた女性陣と入れ替わりで風呂に入り、汗を流した俺は答えた。
葛城「つっても鍵がかかってて開かなかったんだがな。んで、鍵の在処を知らないか聞こうと思ってたんだが……知らないか?」
美紀「うーん、ありましたっけ?」
由紀「あ、あれかも!めぐねぇの私物入れにあったやつ!」
悠里「確かに、あの鍵はまだ試したこと無かったわね……。確か棚の上に置いたはずよ。胡桃?」
胡桃「任せとけって!よっと。」
身軽な動作で飛び上がり、カラフルな箱を取って着地した。相変わらず身軽なことだ。
胡桃「えーっと…あ、あったあった。これだろ?」
クルクルと指先で回しながら放る。
放物線を描いた鍵は俺の掌に収まり、カチャリと音を立てた。
飾りっけのないプレートが付いた鍵で、めぐねぇっぽさは一切なかった。が、プレートに書かれている名前からめぐねぇの私物だと判断できた。
葛城「さんきゅ。んじゃ、ちょっくら取ってくるわ。」
胡桃「寄り道すんなよ〜」
葛城「へいへい。お前は俺の母親かっての。」
胡桃「何言ってんだ?私は同じ部活の部員だぞ?」
葛城「わーってるよ。ノリだノリ。」
どうやら女性には某腐り目ボッチのやり取りは通じなかったらしい。
若干の残念さを背に、俺は先程までいた職員室へと再び足を運んだ。
残念さ孕んだ背中には、さっぱりと流したはずの汗がじっとりと熱を持っていた。
────────────────────────
職員室
再び戻ってきた。
あの嫌な雰囲気の冊子を取るためだけに。
出来れば見たくないという気持ちが大きい。
葛城「………開けるか。」
が、今ここで見ないのも嫌だ。
ただの直感なのだが、あの冊子には「何か」がある。それこそ、このパンデミックに関する重大な秘密とか、そういった類の物が。
意を決して引き戸をスライドさせる。
中からちょっとホコリが立ち、視界を狭める。それにより、人が触っていないことが判明したわけだ。
そして、目的の冊子は完全にホコリを被り、指紋の1つも付いていなかった。外についていたビニールが破れてるあたり、一回くらいしか読まなかったんだろう。
葛城「一回しか読んでない重要書類。でもって門外不出の禁断の書物………怪しすぎるだろ。」
おどけながらも慎重に最初のページを捲る。
葛城「ッ!!」
が、捲った途端に首を締められたような閉塞感を感じた。
表紙についていた血糊が原因ではない。原因はその内容だった。
曰く、
この巡々丘市自体が一種の実験都市と化しているということ。そしてこの巡々丘高校は、市内にいくつも作られていたシェルターの1つだということ。
そして───パンデミックが起こった時の対処法。
このパンデミックの元凶であるウイルスのこと。その種類。
内容を総括すればこんな感じのことが書かれていた。
葛城「…………道理でこんなに設備が整ってたりしてる訳だ。」
最初から少し疑問に思ってはいたのだ。
なぜこの学校には「普通の事態」では必要のない設備──雨水の浄水器や屋上菜園、大規模なソーラーパネル等─があったのか、と。楽しい生活の中では改めて考えることはしてなかったが………それは、最初から「こうなることを予想してた」としたら辻褄が合う。
そして、ついでに気づきたくないことまで気づいてしまった。
備蓄されていた資材数では、どう頑張っても全校生徒が生きながらえることは不可能だ、と。
俺達は少数人数だからこそ今日まで生きてこれたが、最初から俺ら生徒を生き残らせる気は無かったってことは確かだ。
考えただけでも寒気がする。
葛城「………とにかく戻ろう。このことを伝えなければ」
ページを閉じ、小脇に抱えて職員室をあとにした。
その足取りは、来た時よりもさらに沈んでいたとハッキリ自覚出来た。
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学園生活部 部室
悠里「この本が……………めぐねぇの棚に……………」
胡桃「嘘だろ………?」
由紀「嘘じゃ…………ないんだよ、ね?」
葛城「………あぁ。俺が伝えたことは憶測も混じってるが……大体の大筋は合ってると思う。」
俺は知り得た情報を隠すことなく伝え、更に情報の推測まで話した。
隠すことは当然出来た。が、今隠しても後にバレた時に更なる混乱を招くと考え、全て余すことなく話すことにしたのだ。
美紀「………みなさんが知らなかったってことは、隠してた。ってことですよね……?それって……」
胡桃「おい美紀。」
美紀「………すみません。失言でした。」
みんな一様にショックを受けている。今までの信頼を裏切られたような気がしたのだろう。無理もない。
だが、そんなことはないと思う。
葛城「いや、めぐねぇはそんなことはしない。多分、言いたくても言えなかったか、そもそも見てないんじゃないか?」
封もほぼ切られてなかったしな、と付け加える。
それに、例え見ていたとしても、言わなかった判断を褒めるべきだろう。俺は今回全てを話したが、それが常に正しいとは限らない。隠すべきこともあるだろう。特に、こんな重大なことなら。
胡桃「確かに、めぐねぇはそんなことする人じゃないな。」
悠里「きっとこの冊子の存在走ってたけど見るたことは無かったのね」
美紀「それで非常時になって見てみたら………ってところでしょうか?」
由紀「めぐねぇ………言ってくれればよかったのにね。」
各々が肯定的に受け止めてくれた様子を見て、そっと胸を撫で下ろした。もしかしたら受け止められずに倒れるんじゃないかとも危惧したんだが……杞憂に終わって何よりだ。
葛城「………さて、落ち着いたところでひとつ見てほしい。ここだ。」
みんながある程度落ち着き、いつもの調子を取り戻したところで本題に入った。
葛城「実は、この書類によってまだ未探索の場所があると判明した。」
冊子に書かれていた校内の見取り図の一部、地下二階部分を指す。確か、前見た時にはシャッターが閉まってたはずだ。だから迂闊に通れなかったんだが………何かあると分かれば話は別だ。
美紀「ホントですね」
胡桃「あぁ………ってことは!」
悠里「また新しい物資があるかも!」
由紀「ホント!?やったー!」
葛城「だろ?」
新しい物資。食料や水でもありがたいが、もしかしたら予備電源とかも見つかるかもしれない。というか最近曇り続きで残りの電気が心許ないし、電気系統が一番ありがたい。
胡桃「よし!そうと決まれば早速行ってみようぜ!」
葛城「いや、まだ未探索なんだ。念の為戦える俺らだけで行ってみることにしよう。」
悠里「大丈夫なの?」
葛城「任せとけって。パパっと行って来るだけだしさ。」
胡桃「そうそう。新たな物資を期待してくれたまえよ?」
俺はバグヴァイザーを腕に取り付けながら、胡桃ちゃんはスコップを片手に持って準備を整えながら、軽い調子で答える。
まぁあいつらは全員倒したしな。危険はないと思うが…………まぁ、念の為、な。
葛城「おし、じゃあ行ってくるわ」
胡桃「行ってくる〜」
美紀「いってらっしゃい!」
由紀「お土産待ってるねー!」
悠里「気をつけてね?」
こうして、俺達は未探索区域である地下二階へと繰り出した。
遂に地下二階へと足を踏み入れる2人。そこに待ち受けるものは!?
次回、ガシャットぐらし!第23話。「間違い」
お楽しみに!
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