葛城「めぐねぇの私物棚に入っていた冊子。そこには、この事件が起こると予めわかっていたというような内容が書かれていた。失意にの中に新たな希望を見つけた学園生活部は、未探索区域である地下二階へと足を運ぶのであった。」
胡桃「まぁ向かってんのはあたしとお前だけだけどな。」
葛城「細かいことは気にすんなって。禿げるぞ?」
胡桃「女子に向かって禿げるとか言うな!」(ブォン)
葛城「おいスコップを振り回すんじゃない!危ねぇだろうが!悪かったって。謝るから。」
胡桃「ふんだ。変な事言うからですよーだ。」
葛城「だから悪かったって………。っと、そろそろ着くな。では、第23話!『間違い』お楽しみください!」
胡桃「お前誰に話してんだ?」
葛城「気にすんなって。禿げるぞ?」
胡桃「また言ったーーー!」
11月16日 加筆 内容に変更はなし
地下二階 シャッター前
葛城「ここだな」
未探索区域に繋がる地下二階への入り口。
一度見たら忘れないような血だらけのシャッターは、以前と全く変わらない様子──机がつっかえ棒の様になって若干開いてる──で、そこに存在していた。誰の血が付いているのかは考えないようにしながら、俺達は目の前に立つ。
葛城「………んで?どうやって入る?潜るか?」
胡桃「まぁ開ける訳にもいかないしな。」
葛城「了解。んじゃまぁ、失礼してっと。」
机一個分の隙間を屈んで潜り、向こう側へと移動する。
葛城「……なんでここ水浸しなんだよ。」
来て始めて分かったのだが、床全体に水が溜まっていた。お陰であいつらが居ても足音が聞きやすいのだが、こっちは足が水浸しだ。後で洗濯し直さなきゃならなくなっちまったぜちくしょう。
胡桃「うへぇ。びちょびちょだよ……」
胡桃ちゃんも濡れたらしく、嫌そうな顔をしている。
葛城「まさか濡れてるとはな」
胡桃「ホントだよ。あーあ。選択し直しかー」
葛城「まぁやるのは多分りーさんだけどな。……ちょっと待て。なんか聞こえるぞ。」
会話している声に釣られたのか、ピチャリ、ピチャリと水を踏む音が奥から聞こえてきた。
葛城「胡桃ちゃん」
胡桃「あぁ。」
俺はバグヴァイザーを、胡桃ちゃんはスコップを構え、どこからかかって来てもいいように臨戦態勢を整える。
その間にも足音はこちらへと近づいてきて──遂にそいつの顔が見えた。…………いや、見えてしまった。
胡桃「なんで………こんなのって………!」
息が詰まる。息の吸い方を忘れた肺が酸素を求めて暴れるが、そんなのも気にならないくらいに愕然とした。
驚きのあまり俺は声も出せず、ただ浅い呼吸のようなものを繰り返した。
葛城「…………めぐねぇ、か?」
漸く搾り出せた声は掠れ、音になっているかも怪しかった。
が、その声が聞こえたのだろうか。ゾンビの様になってしまっためぐねぇは、口の端を釣り上げて笑ったように見えた。
side胡桃
胡桃「ぁ………あぁぁぁぁぁッ!」
訳が分からなかった。
確かに、私達はめぐねぇが死んだという場面を直接見た訳では無い。だが、あの大群に囲まれて生きているということはないだろうと思った。だから屋上にめぐねぇのお墓も作った。
…………でも、どこかで一瞬考えたんだ。「めぐねぇの変わり果ててしまった姿を見たことがない」って。
でも、考えたくなかったんだ。あのめぐねぇがアイツらみたいになった姿なんて。
…………でも、こんな風に帰ってくるんだったら、ちゃんと考えとけばよかったな。
そんなことを頭の隅で考えながらスコップを振り上げ、前へと突進する。狙うのはめぐねぇの頭部。
胡桃(…………せめて。せめて苦しまないように!一撃で!)
心に生まれた恐怖とかを噛み砕くように大声を張り上げ、前へと進む。
葛城「胡桃ちゃん!」
後ろからあいつが叫ぶ声が聞こえる。
でも大丈夫。心配すんなって。ちゃんとやるからさ。
胡桃「あぁぁぁぁぁ!あっ………!」
大丈夫。ちゃんとやる。
そう思っていたのに………。
振り下ろす直前に頭を過ぎったのは、まだ葛城も美紀もいない最初の頃。まだめぐねぇの生きていた頃。
屋上に逃げ込んで……由紀やりーさんと出会って……先輩をスコップで倒して……めぐねぇに部活を作って貰って……
次々と思い出が走馬灯のように頭を走り、それは私の腕の動きを止めてしまった。
ギリギリとどんなに力を加えているつもりでも、腕が微かに震えるだけで1ミリたりとも進まない。
そんな私を見ためぐねぇはまた口の端を釣りあげて大きく口を開き、腕も勢いよく振り上げた。
胡桃(…………あぁ。あたし、しくじっちゃったかな。)
めぐねぇの振り下ろす腕がやけにゆっくり見える。
人間死にそうになると時間がゆっくり感じるってのは本当だったんだな。
胡桃(みんな………ごめん。)
そう思ったところであたしの意識は途切れ──ることはなかった。
葛城「うおぉぉぉぉぉ!」
バグヴァイザーからデタラメにビームを乱射しながらこっちに走ってくるのは、見間違いようもない。葛城だ。
葛城「ごめん!」
一言謝ってからあたしの制服を掴み、後ろへと勢いよく飛ばす。その間も、時間がゆっくり流れていた。
だから、しっかりと見えてしまったのだ。
あたしを後ろにやるためにはどうしても、自分が前に出なくてはならない。
だが、前にはめぐねぇがいた。
ザシュッ
ゆっくり見える視界の真ん中で、葛城がめぐねぇに攻撃されていた。
腕には大きく開けられた口がトラバサミのように喰い込んでおり、顔には大きく爪で引っかかれた跡があった。
葛城「ガッ……うおぉぉ!」
それでも一矢報いようとしたのか、バグヴァイザーのチェーンソーでめぐねぇの片足を斬り付けて体制を崩し、ヤクザキックで鳩尾を抉っていた。
そこで、あたしは地面にお尻から落下し、時間が戻った。
正常に戻った時間の中でまず目に入ったのは、鮮血で紅に染まった水だった。その紅の出処には、片目と腕を抑え必死に痛みに耐えている葛城と、薄い声を漏らしながら壁に倒れ込んでいるめぐねぇだった。
胡桃「か、葛城!!!」
side葛城
視界の半分が赤に染まる。
それと同時に、今まで感じたことの無いような痛みが全身を駆け巡り、俺の身体を燃やすように暴れている。抑えて鎮めようとしたが、全く効果がない。
胡桃「か、葛城!!!」
胡桃ちゃんが俺を呼ぶ声が微かに聞こえる。パシャパシャと水を跳ね飛ばしながらこちらへ来ているようだ。
葛城「馬鹿!こっち来んな!」
俺は噛まれたのだ。すぐに奴らのようになるだろう。せめて胡桃ちゃんだけでも無事に帰さなくては……!
胡桃「でもお前、血が!」
葛城「俺の事はいい!いいから行け!」
胡桃「でも………」
葛城「早く!」
行かせるために、そして生かせる為に少々荒っぽいがバグヴァイザーからビームを乱射する。絶対当たらないように狙いは外しているが…………まずい。身体が勝手に照準を合わせようとしやがる。
勝手に動く手を必死に抑えながら撃っていると、出て行ってくれた。
葛城「ふぅ………危機は去った、か。」
ずるりと壁にもたれこみ、荒い息を吐く。
葛城(あぁ。俺はここでおしまいだな。)
思い返せば、よくもまぁこんなに楽しい日々が遅れたものだ。
学園生活部に入部してからというもの、毎日がとても楽しくて楽しくてしょうがなかった。女子と無縁な生活を送っていた俺にとっては、最初で最後の女子と話す機会になっちまったが、それもいい思い出だ。
葛城(…………みんな。すまないな。俺が死んでも………元気でな。)
葛城「後は、頼んだ………ぞ………」
そう思い、俺の意識は闇の中へと消えていった。
そして沈む意識とは裏腹に、葛城の周囲は謎の光に満ちていた。
原作とは違い、胡桃の変わりに噛まれてしまった葛城。
彼が最後に願った学園生活部の安寧は崩れるのか否か。
そして闇に沈んだ意識を代償に生まれた光の正体は………?そしてその光が示すのは、希望か、絶望か。
次回、ガシャットぐらし!第24話『彼と願いと彼女らと』お楽しみに!感想待ってます(ステマ)
お知らせ この度、がっこうぐらし!の原作漫画を全巻買って読破しました!なので、タグから「原作未読」を削除させて頂きました。
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