未探索区域である地下二階へと脚を運んだ胡桃と葛城。だが、中に入ってから目にしためぐねぇの変わりように動転し、立ち竦んでしまう。
だが、そんなことはお構い無しに攻撃してきためぐねぇ。動けない胡桃を庇った葛城は噛まれ、感染してしまった。
それぞれの思いが交錯する時、そこには何が生まれるのか。
第24話、「彼と願いと彼女らと」。お楽しみください!
学園生活部 部室
由紀「…………2人とも遅いね〜。何してるんだろ?」
美紀「きっと、新しい物資に舞い上がって足でも挫いたんでしょう。」
悠里「葛城くんはドジなとこあるから。そうかもしれないわね。」
美紀「名前出てないのに確定されてるの、葛城君らしいですね。」
由紀「2人ともそんなこと言わないの!」
部室に残された3人は、元気に会話をしている。
──ように見えた。
会話をしながらも、3人の視線は部屋の壁にある時計に向きっぱなしだ。
胡桃と葛城が出発してからはや30分。ぱっと見てくると言っただけにしては、あまりに長い時間が経っていた。
時間の経過に何か嫌なことを感じたのか、はたまた急に降り始めた雨を見て不吉なことを感じたのか。3人はこうして空元気出し、明るい会話をしていた。
──もっとも、大体は葛城がドジやらかしたんだろうという内容だったのがなんとも言えないが。
悠里「………この天気だと、思い出すわね。」
由紀「………うん。めぐねえのこと、でしょ?」
美紀「めぐねぇが亡くなった日も…こんな天気だったんですか?」
悠里「えぇ。………ちょうど、こんな風な雨の日だったわ。」
コチ、コチ、コチ、コチ
秒針の音がやけにハッキリ響く。
これが沈黙のせいなのか、3人の心情のせいなのかは分からない。
美紀「…………きっと、偶然ですよ。ここ最近、曇りが続いてましたから。」
沈黙を破り、発言した美紀の口振りもどこか頼りなかった。
まるで、このあとを案じているかのような───
──それからさらに10分が経過した頃だろうか。
不意に廊下がドタドタと騒がしくなり、凄い勢いでドアが開いた。
胡桃「────みんな………ごめん…………」
ドカンという大きな音と共に姿を表したのは、大きな目を涙で泣き腫らし、今にも倒れてしまいそうな程に憔悴しきった胡桃だった。
悠里「胡桃!」
慌てて駆け寄り、倒れそうな身体を支える悠里。
悠里「由紀ちゃん、救急箱を!」
由紀「う、うん!」
タタタッと開いたドアから駆け出していく由紀。保健室に救急箱を取りに行ったのだ。
悠里「胡桃!大丈夫!何があった……ッ!あなた、血が!」
胡桃の制服や肌には既にドス黒くなってしまった血がこびりついていた。
胡桃「私じゃない。噛まれたのは……………葛城だ。」
その瞬間、沈黙が部屋を支配した。
悠里「う、嘘。葛城くんが───」
美紀「…………なんで……なんで………」
胡桃「私のせいなんだ。私のせいで………あいつは………」
また、沈黙。
会話が途切れた時とかの比では無いほどの重苦しい沈黙が、部室に漂っていた。
由紀「救急箱持ってきたよ!………って、あれ?みんなどしたの?」
重苦しい空気の中に由紀が帰ってきた。
葛城が噛まれた、と聞いた由紀は、ショックに耐えきれずに気絶してしまった。
悠里「由紀ちゃん!」
慌てて抱えおこし、ソファーに寝かせる。
胡桃「………とにかく、行かなくちゃ。」
悠里「行くって………まさかあなた!」
胡桃「アイツは……最期に頼むって言ったんだ。………なら、原因のあたしが!」
悠里「でもそんなこと!」
美紀「2人とも落ち着いてくさだい!」
悠里「………そうね。ごめんなさい。」
胡桃「………ごめん。」
ハッと我に返った2人。
謝罪を口にした後、現状の確認に入った。
胡桃は、めぐねぇがゾンビのような状態になって地下二階にいたこと。そして、自分を庇って葛城が噛まれたこと。そして、最期に「後は頼んだ」と言い残したことを話す。
悠里「………とにかく、CRの人達に状況を話しましょう。何か活路があるかもしれないわ。」
胡桃「でも………通信できるバグヴァイザーは葛城が持ちっぱなしだ。」
悠里「そんな……!」
探索で葛城が持っていったバグヴァイザーのみ、CRとの通信が可能だったのだ。それがない今、CRの面々とは連絡が取れない。
降って湧いた危機的状況が、さらに厳しいものであると知った3人は、頭を抱える。
そして
悠里「………なら、行くしかないわね。」
美紀「行くって……まさかCRに?」
悠里「えぇ。その病院なら何度か行ったことがあるし、なにより車の運転は私か胡桃しかできないもの。」
胡桃「じゃあ私が!」
悠里「胡桃は万が一のためにここに残って。」
美紀「………現状、それしか方法がありません。なら、出来ることをやりましょう。」
胡桃「………頼む。りーさん。」
悠里「えぇ。任せておいて。」
力強く頷き、駆け足で駐車場へ向かう悠里。
暫くしてからエンジン音がなり、車が校門から出ていくのを確認できた。
胡桃「とにかく、りーさんを待とう。」
美紀「えぇ。………その間に、何も起きなければいいんですが。」
美紀のぽつりと零した声は、またもこの後を案じるものだった。
────────────────────────
side???
…………つめたい
なんでおれはここに……?
そのモノが目を覚ました時、最初の感想はそれだった。
あぁ、そうだった。
おもいだした。
…………なら、かえらなきゃ。
あのへやに…………
???「アァ……………」
口から漏れる声はただの音となって空気を震わせる。
だがその音に意味はなく、ただの振動となって空中を進んだ。
あし おもい
あたま いたい
かべ じゃまだ
???「アァァ……………」
こわれた
いいや。すすめる
進む脚は何かを探すように右へ左へと揺れる。
失われていき緩慢となる思考力の中、己に残った最後の記憶を頼りに1歩ずつ進んで行った。
あった
おれの いばしょ
そのモノが辿り着いた部屋、『学園生活部』。
それはその男にとっての居場所であり、家でもあった。
男は腕を上げ、扉を叩いた。
────────────────────────
学園生活部 部室
胡桃「っ!美紀!」
美紀「はい!」
突如として叩かれた部室のドア。
それは悠里の帰還を示すものではなく、ただ力任せに殴られたような音だった。
当然悠里はそんなことをする人ではないし、こんな状況下では来客もない。
ならば、誰が叩いたのか。
──十中八九敵、ないしそれに準ずる危険人物だ。
そう判断した2人は武器を手に取り、戦闘態勢に入っていた。
そして、戦闘態勢に入った2人の目に入ったのは
胡桃「うそ、だろ?」
美紀「なんで………あなたが………!」
葛城「アァァァ…………!」
ゾンビのようになった葛城だった。
噛み付かれた腕はその部分だけ血の異様なテカリがあり、引っかかれた顔はまるで腐ったようにただれている。肌にも血の気がなく、一目見れば「死んでいるのに動いている」。その表現に相応しい風体だった。だが、虚ろな目は濁ってはおらず、生前と同じ輝きを放っていた。
胡桃「っ!来るぞ!」
脚は健在だったのか、生前と変わらない速さで走ってくる。
胡桃と美紀は突然の自体に動転しながらも、それを躱し、少しでも距離を離すために葛城を蹴った。
すると勢い余って葛城はそのまま窓へ衝突し、そのまま外へと放り出されて行った。
胡桃「葛城!」
死して害をなす存在になってしまったと分かっていても、つい心配になってしまったらしい。割れた窓から外を覗くと、下に大きな血溜まりができていた。
美紀「葛城君、大丈夫でしょうか。」
胡桃「分からない……。とにかく、下に行ってみよう。」
美紀「はい。」
side葛城
あぁ…………
ふたりがこわがってるのがきこえる
まもらなきゃ
まもらなきゃ
降りしきる雨の中、僅かに残った思考で思う。
葛城に残った残留思念のような使命感。それは、「仲間を守る」ということだった。
だが、その尊き使命感は悪い方向へ進んだ。
感染したウィルスのせいで。
まもらなきゃ
葛城「へん………しん………」
『ハザードゾンビ………』
『ガッチョーン バグルアップ………!』
『ハザードオン!デンジャーデンジャー!ハザードオブゾンビィィィィ!ヴァァァァァ!』
大切な仲間を守ろうと犠牲になった男は、死してなお手放さなかった力を新たにし…………
胡桃「な、なんだ………これは………」
美紀「まさか………葛城……君……?」
葛城「アァァァァァァ!!!」
その力を持って、仲間に牙を剥いた。
感染した葛城は、生前の力を手に仲間へと牙を剥いた。
迫り来る葛城に、胡桃と美紀が取った行動は………?
次回、ガシャットぐらし!第25話、「新たな力と断つ想い」
お楽しみに!
感想待ってるぜ(ボソリ)
──以下、新形態の詳細──
仮面ライダーホープ(?)ハザードゾンビゲーマ
パンデミックを引き起こしたウィルスに感染した葛城が創り出したガシャット、「ハザードゾンビ」をバグヴァイザーに挿入して変身した姿。
見た目はゾンビゲーマの装甲の色が所々欠け、剥がれ落ちている。また、ボロボロのマントを着けている。
葛城自信が目と腕をやられた影響か、ゲンムのように片目が赤でもう片目が青のオッドアイになっており、腕の装甲は完全に無くなっている。
また、ハザードの名に恥じぬ攻撃力を保持しており、装甲が無いからと油断しては容易に殺されるだろう。
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