ガシャットぐらし!   作:よこちょ

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どうも!よこちょです。
最近リアルの方が忙しくて全く執筆時間が取れず、遅れてしまいました。待っててくださった方々、申し訳ありませんでした。これも全部テストが悪いんや…………
言い訳はこれくらいにして、ちょっとしお知らせをば。この度、ちょっとアンケート機能を使って、アンケートを取りたいと思います。
内容は、「この事件が終わった後の話」です。
選択肢として、「普通に本編を進める」、「閑話として別エピソードを挟む(CR側等)」、「葛城と学園生活部の女子達との恋愛チックエピソード」の3つです。協力よろしくお願い致します。
では、第27話「治療と覚悟」をどうぞ!


第27話 治療と覚悟

美紀「はぁ…はぁ……はぁ………」

 

雨が降り続けている校庭で、美紀はまだ逃げ続けていた。背負った胡桃も未だ目覚めぬままである。

 

美紀「はぁ…………はぁ……………はぁ………………」

 

一度呼吸する度にその息は浅くなり、体温は奪われていく。それでも希望を捨てず、なんとかこの状況を脱しようとあがいていた。

 

美紀「もう少し……もう少しだ…………頑張れ私………頑張れ私……………!」

 

己を鼓舞し、寒さで震える足を動かす。だが、ぐっちょりと濡れた制服が身体にまとわりつき、足取りは遅い。そのせいでじりじりと後ろとの距離が縮まっていってしまった。

 

美紀「まずい……早くしないと」

 

だが、その焦りが最大の危機を生んでしまった。

 

美紀「あっ………!」

 

寒さ、疲労、そして焦り。

奇しくも胡桃と似たような理由で足を取られ、転んでしまった。

立ち上がろうとするが一度止まってしまった足は動こうとせず、棒のように動かない。

 

美紀「嘘……!嫌!動いて!動いてよ!」

 

必死に動かそうとするがピクリとも反応はなく、まるで自分のものでは無いような感覚に囚われる。

その様子はまるで、蜘蛛の巣にかかった蝶。もしくは足をもがれたアリのようだった。

 

美紀「嫌…嫌……嫌………」

 

パニックに陥る美紀の前に、とうとう葛城が追いつく。

雨の中で長々と追いかけっこをさせられたせいで濡れた全身から水が滴り落ち、涙と同化して地に落ちる。

変身後の葛城の鋭角に尖った装甲から水が落ち、美紀の頬を濡らす。

 

美紀「嫌ぁああああああ!」

 

恐怖で目を瞑る美紀の人生に終止符を打たんと、右手をゆっくりとした動作で上げる。

そして右手はまるでギロチンのように勢いよく下がり、美紀の首を落とす

 

 

 

 

 

 

───────ことはなかった。

 

 

 

ガキンッ!

 

 

 

金属同士がぶつかる様な音を立てて、右手が止まる。

その音に目を開け、美紀が目にしたのは

 

美紀「胡桃せん……ぱい………?」

 

胡桃「おう!悪ぃな、美紀。遅くなっちまった。」

 

精神世界の影との対話を終え、覚悟を決めて戻ってきた胡桃だった。

胡桃の目には覚悟だけでなく、気絶する前にはなかったいつものような優しさと勝気な強い光があった。

 

胡桃「美紀は一旦下がっててくれ。こいつはアタシがやる。せいっ!」

 

生身のまま変身した葛城を蹴り、反動で後ろへ下がる。

葛城は急な反撃に驚いて体制を崩し、その場でよろめく。そして、隙が生まれた。

 

胡桃「よし!行くぜ!」

 

美紀が後ろへ下がったことを確認し、再び「タドルクエスト」のガシャットを手に持ち、起動させた。

 

 

『タドルクエスト!!』

 

心なしかいつもよりも大きな音に聞こえる電子音と共に現れたパネルを殴るように展開し、ニヤリと不敵に微笑む。

 

胡桃「アタシはもう、さっきまでとはひと味違うぜ?『義彦』。」

 

『ガシャット!ガッチャ〜ン!!レベルアップ!!!』

 

『辿る巡る辿る巡るタドルクエスト!!』

 

胡桃「義彦、お前を元に戻す!」

 

再変身を果たした胡桃は仮面の下でニカッと笑い、そう宣言した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

胡桃「美紀!さっきみたいに援護頼めるか!?」

 

美紀「もちろんです!今度こそ!」

 

胡桃「あぁ!義彦を引っぱたいて正気に戻そうぜ!」

 

美紀「えぇ!」

 

胡桃「いくぜ!はぁっ!」

 

さっきとは段違いの勢いで踏み込み、葛城の懐まで一瞬で肉薄する。そのままの勢いで拳を鳩尾の部分へ叩き込み、吹っ飛ばす。

 

葛城「ガァッ!」

 

これには流石に声を漏らす葛城だったが、ゾンビに近い肉体になって手に入れた強靭な肉体で即座に立ち上がり、突進する。

圧倒的パワーで重機関車のように突っ込んでくる葛城。普通に受け止めるには、胡桃だけでは少々力不足だろう。

だが、今ここに居るのは胡桃だけではない。

 

美紀「──っ!そこ!」

 

美紀が正確な射撃で頭、肩、腹、膝、脛を素早く撃ち抜き、勢いを大幅に殺す。

勢いを失った葛城は不利を悟る。跳躍で後ろへと一時撤退しようとするが、そうはいかせなかった。

 

『ガ、キーン!』

 

胡桃「それはもう予想済みだ!」

 

ガシャコンソードのモードを切り替え、地面に突き立てる。突き立てた場所から氷が伸び、周囲の水だけでなく降ってくる雨までもを凍らせる。

そして凍った氷は葛城の足をまるで植物のつるのように絡み取り、地面に縫いつけた。

普段の葛城ならば跳んで避けられたはずの攻撃。だが、力の代償に理性や判断力を失ってしまったこの状況ではいとも簡単に引っかかる。

 

胡桃「よっしゃ大成功!美紀、今のうちに決めるぞ!」

 

美紀「はいっ!」

 

胡桃はガシャットを引き抜き、腰のホルダーへ、美紀はガシャコンマグナム狙撃銃モードに変えてからスロットにガシャットを挿入した。

 

『キメワザ!』

 

『タドル!』『バンバン!』

 

『『クリティカルストライク!!』』

 

美紀「はぁあああああっ!」

 

胡桃「うおぉおおおおっ!」

 

胡桃美紀「「セイヤーーーーーーー!」」

 

銃口から放たれた光弾が一直線に葛城へと伸び、腹部直撃する。その衝撃で中に少し浮いて動けなくなった所に胡桃のキックが炸裂した。

必殺技をモロに二発も喰らった葛城は吹き飛び、崩れて鉄塊と変わり果てたサッカーゴールにぶつかって止まった。そしてその衝撃でバグルドライバーは吹っ飛び、胡桃の足元へと落ちてきた。

当然変身が解除された葛城はその場に倒れ、雨を受けていた。胸は上下しているので、生きている。

その事実に安堵した2人は胸をなでおろす。

 

胡桃「ふぅ。…………これで、いいんだよな?義彦」

 

胡桃は変身を解除して近づき、そう語りかける。

反応は返さないが、その顔から何かを感じ取ったのか、満足そうに笑う。

それに合わせたのか空模様も回復し、太陽が姿を見せ始めていた。

 

胡桃「ま、これでさっきのキックのお返しができたし、あとはりーさん達を待とうぜ」

 

美紀「はい。………それはともかく、結構エグいことしますね。胡桃先輩。」

 

胡桃「美紀も同罪だぜ?ま、義彦が起きたら謝ろうぜ。」

 

美紀「…………………………そうですね。」

 

────────────────────────

 

あぁ…………よかった。

 

 

影は1人、安堵する。

己の守らんとしたものに対し、牙を向いたことを後悔しながら。

 

 

あぁ…………寂しいな

 

 

影は1人、涙を流す。

己の大好きな居場所を傷つけ、迷惑をかけたことを悔やみながら。

 

 

そして影は1人、決意した。

だがその決意は、己にとっては1番残酷な道。

そして、己の居場所をさらに傷つけるものだと知っていながら。

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

 

 

一方その頃。

CR出発した悠里一行は、巡ヶ丘高校へと車を全速力で走らせていた。

 

パラド「おい永夢!もっとスピードでねえのか!?」

 

永夢「無茶言わないでよ!道にあいつらがいるせいで上手くスピードが出せないんだよ!」

 

と、必死の思いで走らせてはいるのだが、いかんせん道をゾンビや死体が塞いでいるので上手くスピードが出せずにいた。

 

永夢「くっ……こうなったら…………。黎斗さん!黎斗さんだけでも先に行ってください!」

 

黎斗「いいだろう!エクストリームガシャット、起動!!」

 

黎斗はエクストリームガシャットを起動させ、操縦席へと乗り込む。そしてミニクーパーの窓から飛び立ち、空から巡ヶ丘高校へと向かう

 

悠里「私も行きます!」

 

黎斗「え、ちょっと待、うおぉお!」

 

…………はずだったのだが、待ちきれなくなった悠里がエクストリームガシャットを掴み、一緒に空へと舞い上がって行った。

黎斗の情けない声と共にエクストリームガシャットは大きく体制を崩した。

 

黎斗「ば、馬鹿か君は!?落ちたらどうするつもりだ!?」

 

珍しく焦ったリアクションをする黎斗のことはガン無視し、悠里は言う。

 

悠里「その時は走っていきます!だから、早く!」

 

黎斗「くっ、いいだろう!しっかり捕まっておきたまえ!」

 

黎斗は悠里の目に、「仲間への思い」を感じ取り、できる限りのスピードでエクストリームガシャットを飛ばす。

少し予定外のアクシデントはあったものの、2人は先に、空から高校へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

胡桃「わかりました!ありがとうございます!」

 

プツッ、と言う音と共に通信が切れる。

幸いなことに壊れてはいなかったバグヴァイザーで、胡桃は現状を確認するためにCRへと連絡を取ったのだ。

 

美紀「CRの方はなんと?」

 

胡桃「今向かってるってさ。りーさん、無事に着いたんだな」

 

美紀「そうですか、ホッとしました」

 

胡桃「だな。全く。一時はどうなるかと思った……けど、なんとかなったな!」

 

美紀「………いえ、まだ全部終わってはいませんよ。抗体を使って葛城君を目覚めさせないと。」

 

胡桃「まぁな。でも、こいつのことだ。案外ふっと目ぇ覚ますかもしれないぜ?」

 

美紀「………ありえそうなのが複雑です。」

 

胡桃「だろ?」

 

二人ともまだ疲れは残っており、身体を動かす元気はなかった。だが、目前の問題が解決に向かっていることで心の負担が軽くなり、何気ない会話と笑顔を出来るほどには回復出来ていた。

 

だからこそ、こんなことができたのかもしれない。

 

美紀「…………ところで、1つ聞いてもいいですか?」

 

胡桃「ん?なんだ?」

 

美紀「……………………なんで葛城君を膝枕してるんですか?」

 

現在葛城は気絶したまま胡桃に膝枕をされていた。

………当の本人は意識を失っているため気がついてはいないが。

 

胡桃「いやだって、地べたに転がしっぱなしじゃダメだろ?」

 

美紀「いや、そうですけど。でもそうじゃなくて、えっと……その!」

 

胡桃「なんだ?美紀も膝枕したいのか?」

 

美紀「違います!!」

 

胡桃がからかい、美紀が顔を真っ赤にして反論する。

こんな調子で漫才のようなやりとりをしていると、上から影が近づいてきた。

 

黎斗「ふぅ。待たせたね………っと、お邪魔だったかな?」

 

悠里「大丈夫!?…………ってなんで膝枕してるのよ」

 

美紀「あ、黎斗さんにりーさん!」

 

胡桃「お、来た来た!早いとこ治療してくれないか?」

 

黎斗からの生暖かい目線と悠里からのツッコミが刺さるが、4人とも葛城を早く元に戻したいという気持ちは変わらないので話を切り上げる。

 

黎斗「分かっているとも。とりあえず、ここじゃ治療がしづらい。部室を借りてもいいだろうか?」

 

胡桃「あぁ。じゃ、行こうぜ!」

 

黎斗「葛城君は私が背負おう。」

 

悠里「お願いします」

 

こうして、治療のために部室へと移動を開始した。




治療のために部室へと移動する胡桃達。部室で目を覚ました由紀と合流した彼女らは、葛城の蘇生を試みる。
無事何事もなく治療は完了するのか……?
そして影が放っていた言葉の意味とは一体……?
次回、ガシャットぐらし!第28話「決意は苦く、そして鋭い」。
次回をお楽しみに!

見てみたいエピソード

  • 普通に本編を進める
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  • 葛城と学園生活部女性陣との恋愛エピソード
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