ソードアート・オンライン アンチ・ヴァルト   作:大野秋人

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第0話 英雄の終息

ーーー爆ぜる。爆ぜる。爆ぜる。

 

 

嘗て何かしらの都市だったそれは今やもう見る影もなく、ただあるのは崩壊とそれに伴って生まれる衝撃音のみだ。既に天井はラグを含んだ金切りにも似た振動を撒き散らしながらこの世界に残っているプレイヤーの排除へと移行している。

 

地上はもう終わったのだろうか?少なくともこんな大破壊が起きている以上は《黒の剣士》とラスボスの戦いは決着を迎えたことだろう。そして、ここで未だに死と隣り合わせの状況のプレイヤーは消失した筈だ。本当に気に喰わない話だが。

 

HPはもう半分を切った。敵が放った剣戟の痛みがまだ節々に残っている。アイテムウィンドウはもう機能していない。ゲームが終焉を飾った証拠だ。だが、それはこちらの危機に直結する。

ふと、真上から振り下ろされた敵の短剣の切っ先で少年は屋外の崩落をとうに過ぎた地面だった箇所に墜落しかける。それをユニークスキル込みの足技で跳躍し斜め後方で剣を振るう。

 

金属と金属が火花を散らす。今この世界で争いが起きているのはもうこの場所のみだ。

 

浮遊と落下をランダムで繰り返す地面に何とか掴まることができた。が、次にはもう敵の切っ先が己が首元を切り盛んと迫る。それを弾き、また自身の撃も弾かれ、散るのはただ一瞬の閃光のみ。

敵から飛ばされた瓦礫の一部を魔剣の一振りで粉砕する。そして、次には己の身体に切り傷が追加される。もうこれの繰り返しだ。幾度も跳ね返され幾度も弾き返される。

 

しかし、だからと言って負けたわけではない。負けを認めたわけではない。

 

敵の突貫が目の前に写る。それを辛うじて背負い投げ、地面に叩きつけた。敵のHPに少しの空洞が生まれる。

 

「さっさと潰れろやこのヤロー!地上はもうカタついてんだ!後はテメェとあのスカした女さえ消えれば終わんだよ!」

 

「それが?地上でドヤ顔が得意な剣士様とクソみてぇなギルドの親玉が喧嘩してんのなんざ興味ねぇんだよ!俺が興味あんのはただテメェとの潰し合い一つさ!」

 

不意に腹部への圧迫感を覚える。次には宙を舞う自分自身。そして武器を構え直し下から直上でで迫る敵の姿だった。その丁度、側面に攻撃補正を展開。簡易的なソードスキルを発動する。

迸る緑の残光が敵の短剣を捉え、

 

「甘めぇ!」

 

そして、敵がそれを軽々といなして見せた。短剣の剣先が自身に向き直る。それを蓮撃の形で発動したソードスキルで吹き飛ばす。ここまで来たならばもうなりふり構ってはいられない。

轟音と衝撃から発生した爆煙が二人を吹き飛ばす。

 

背骨に打撃を含んだ痛撃が走る。思わず血を吐き出しそうになるがこの世界ではそれは叶わない。

頬か何かが零れ落ちて来る。涙かと思い頬を拭えば電子に消える己の皮膚片。もう時間がない。

HPはもう三割を切った。これで決めねば敗北する。

空を蹴り歩を超越したその足技で敵に近づき、空色に煌めいたその光剣を敵に振り上げる。

それを感知していたのか敵も同じ手段で自身との間合いを詰めた。

 

 

ぶつかる。そして再度の轟音が発せられた時、その世界は完全に闇に消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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