PLLLL、PLLLL……
時刻は午前4時。
携帯電話の甲高い着信音で目が覚める。
「……ん~……誰だ、こんな朝早くから……」
早朝でテンションが低く、気分も悪い。
周りの暗さで今の時刻が日の出前だということも理解する。
携帯電話を手に取り、開いて相手を確認する。
「うあ~……」
相手を確認した途端、さらに気分が悪くなる。
表示されている文字は『開発主任』。
こんな朝早くから何の用だ、と相手を確認し、蒼の機嫌が明らかに悪くなった。
正直、あの開発主任は苦手、というか嫌いなのだ。
通話ボタンを押して右耳にあてる。
「……もしもし……」
自分でも驚くほど不機嫌な声音が出る。
『ああ、御桜君。早朝からすまないね。君に少々聞きたいことがあってね』
それなら後にしろよと思う。
なぜに午前4時。
こちら側の不機嫌さが伝わったのか研究者が次の言葉を紡ぐ。
『すまないね。こちらも徹夜明けでね、後回しにすると忘れて寝てしまいそうでね。……まあ、冗談はおいておくとして本題に入ろうか。……君の能力名だがどういう名前にしたい?』
「……はい?」
いまいち意味が分からない。
俺の能力は完全停止能力じゃないのか?
研究者の言葉がいまいち呑み込めない。
『言っている意味が理解できているかな?……
━━━心底どうでもいいわっ!そのために朝4時に叩き起こしたのかこいつは!
……まてよ?確かに能力を知られたらその瞬間に悟られるって言うのは良くないんじゃないか?
いやまあ、隠す必要もないのだが……。
まあ確かに
御坂みたく必殺技的なのがあれば……と言っても俺の能力は派手さは皆無なんだけどな……。
うーん、必殺技、必殺技……。
うーむ……あ、そうか必
じゃあ、英語にしてアブソリュート・ゼロでいいか。うん。
横文字にすると大抵の言葉は良く聞こえるし。
そう思いいたると同時に研究者にその旨を伝える。
『ふふっ、了解したよ。学園都市の
ほくそ笑んだであろう研究者の笑みが聞こえたが無視をする。
そして、その答えを聞いても今なお思うことは変わらない。
こんな朝早くから電話かけて来るな、と。
○ ● ○ ● ○ ● ○ ●
あの後目が冴えてしまい、結局眠れなかった。
━━━……あの野郎……。どうしてくれようか……。
延々と不満の考えが浮かび上がる。
不機嫌さ全開の頭でそんなことしか思い浮かばない。
そうして不満ばかり考えるが意味がないのでやめる。
「さてと。今日はどうするかな……」
現在の時刻は7時。
日も出ているし気分を切り替えるために出かけようかなと考える。
━━━あ~……映画でも見に行こうかな~。
あ、でもこの街にB級、C級の映画やってるのかな~。
丸一年B級C級しか見てなかったからなんとなくメジャーなのよりこっちの方が良くなっちゃったんだよな~。慣れって恐ろしいよな~。
あそこの館長の趣味に浸食されったってことだよな~。
そんな意味のないことを考えながらパソコンをネットに繋ぎ、検索をかける。
「お~、意外とあるなぁ……。一番近いのは……ここか」
そのページを開き情報を確認する。
「えーっと、9時からやってるのか。今やってるのは……『宇宙ゴキブリVS地球ゴキブリ』……なんだこれおもしろそうだとまったく思えないな……。よし、見に行くか」
面白くなさそうといったにもかかわらず見に行くと言い出すあたり、マイナー思考に浸食されている。
そんなことはさておき、服を着替えて出かける準備を始める。
現在の時刻は8:20。
映画館までの距離がこの寮から20分ほどの距離なので余裕を持って出るならちょうどいい時間だ。
そう思い、寮を出た。
○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ●
「なんか……予想と違ってでかいなぁ……」
マイナー映画なんてやってるから小さい映画館を予想していたのだが普通に大きかった。
ちょっとした裏道を挟むからか人の通りは少ないが、まあ学園都市の中だけあって普通に道はきれいだし、ある程度は開けている。
「おっと」
周りをきょろきょろ見ながら入ろうとすると人とぶつかりそうになる。
「すいません。お先、どうぞ」
蒼より20cmくらい低い身長……145cm前後のフードをかぶった女の子?であろう人に先を譲る。
すると、その女の子は視線を蒼の方に向けて言う。
「私に先を譲るとは超見上げた心がけですね。この行動に免じて今ぶつかりそうになったことは超見逃してあげます」
━━━……超?なんだか変わった子だな~。それに高くてかわいらしい声。やっぱり女の子かな。
そう思いながら女の子が入った後に続いて入る。
すると、女の子が振り向いて言う。
「あなたは今日は何を見に来たんですか?一応言っておきますがここはB級以下の超マイナー映画しか上映してないですよ」
女の子の突然の言葉に一瞬戸惑うも冷静に言葉を返す。
「え?……ああ、問題ないですよ?俺はB級以下の映画が上映してる映画館を探してここに来たので。えーっと、今日見に来たのは『宇宙ゴキブリVS地球ゴキブリ』ですね」
その女の子にそう告げると、女の子ははっきりとした口調で語りだした。
「ああ、その映画ですか。そんな超C級臭のする名前にもかかわらず製作者サイドの勇気というか無謀というかそんな感じの暴走で本気でハリウッドを目指したにもかかわらず超失敗したC級映画です。タイトルだけでまず超敬遠され、ろくにお客は入らなかったそうです。まあ、ハリウッドを目指しただけあって絵やCGのクオリティだけは超高いそうですが」
流暢に語りだした女の子の知識に蒼は舌を巻く。
━━━もしかしなくてもこの子はマイナー映画好きなのかな、俺と同じで。
そんなことを思いながらそう言う。
「へえ~、そうなんですか。お詳しいですね」
━━━まさかのこのタイトルでのハリウッド狙いとは。
明らかに失敗しそうなタイトルにもかかわらずハリウッドを目指したとは。
いくらなんでもチャレンジャー過ぎるなさすがに。
……それにしても、始めてくる場所はどうしても落ち着かないな……。
そう思いながらそわそわとしていると三度、女の子が話しかけてくる。
「……その映画でしたら私も超見る予定でしたから良ければご一緒しましょうか?」
「……いいんですか?お互い名前も知らないのに」
蒼の言葉に女の子は数秒の間をあけて答える。
「……別に超構いませんよ。名前ならお互い名乗ればいいだけの話ですしね。なにより、学園都市で同じくらいの年のマイナー映画好きの同好の士にあったのは超初めてですのでちょっと普段より少し機嫌が良いだけです」
━━━女の子の言葉にこの街はマイナー映画が好きな人は少ないのかな?
……まあ学生ばかりのこの街でマイナー映画好きばかりがいるのもおかしな話か……。
女の子の言葉にそう自分で納得して結論づけてから改めて自己紹介を始める。
「そうなんですか……。じゃあ、よろしくお願いします。俺の名前は御桜 蒼です。まあ、蒼とでも呼んでください」
蒼が自己紹介すると、女の子がフードを外す。
まず目に映ったのは茶色の短髪。
その次にすっと整ったかわいらしい顔立ちに少し大きめの目。
先程の口振りでは中学生ほどであろう小柄な体。
俗に言う、美少女のカテゴリーに属する少女がそこにいた。
━━━……御坂や白井、佐天や初春も美少女だと思うけどこの子もまた美少女だな……。
……というか学園都市にいる子は結構美人さんが多いんだよなぁ。
…………ああ、だからか。最近美形な人との遭遇率が高いと思ったら学園都市全体のレベルが高いのか……?
そんなくだらないことを考えているとその少女が自己紹介を始める。
「私は絹旗 最愛です。超よろしくです」
この女の子、絹旗最愛との出会いが蒼のこの日を騒がしくする始まりとなるとはその時はまだ予想もしていなかった。
にゃんぱす~
魔王の後継者です。
幕間、スタートです。2か3話で終わる予定です。
乱雑解放編ですがやらない方向で行こうと思います。まだ決定ではないですが。
乱雑解放編やらない場合は改革未明編はやらないと言いましたが姉妹編が終わった後に意見を聞いて決めることにします。
次回は今月中には投稿するのであしからず。
では、また。