とある科学の《絶対零度》   作:魔王の後継者

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06 幻想御手【レベルアッパー】

 

二人揃って白井に追い出された後、帰路に着き歩きながらもまだ二人の会話は継続されていた。

二人とも中性的な顔つきなので端から見たら兄弟なのか姉妹なのか分からないが取りあえず美形だな~と周りの注目を集めている。

まじめな顔つきで話し合っているので声をかけようとする人はいないが。

 

 

「いやそもそも能力開発は頭の開発の元々副産物的なもので実際能力を上げようとして実験をするのは何か違う気が……」

 

「話脱線してるぞ」

 

 

ちょくちょく話がそれたりもしているがきちんと蒼が気付く。

関連していることから話がそれることもそこそこあるわけだ。

 

話に夢中になって帰り道から脱線してることには二人して気づいていないが。

 

 

「……でもあれでしょ? 能力の強さなんて結局演算処理能力の高さに比例してるんだから外部に演算処理装置みたいなものを用意すれば……」

 

「いやでも兄様、そもそも能力は現在人以外は使えないわけで……」

 

 

段々話が深くなっていくにつれ二人の歩行速度が上がり、ヒートアップしていく。

 

 

「だからみたいなものであって機械じゃなくてもいいんだよ。今は脳波を固定する方法もあるのだからそれで一定のまとまりを作ってやれば演算処理能力は向上するわけで……」

 

「いやだからその能力のまとめる都合のいいものが……………………」

 

 

そこまで言いかけて和が固まる。

固まって冷や汗を流す和を疑問に思い蒼が声をかける。

 

 

「和?」

 

 

ハッとして気づいた和が口を開く。

 

 

「あります。……能力者が常に無意識で放出しているものが。……AIM拡散力場を利用できるならですが」

 

 

蒼も言われて気づく。

AIM拡散力場を利用できるなら確かに今自分が言った推論が可能だと。

同系統の能力者でネットワークを構築すれば能力のノウハウを共有し、且つ演算処理能力を向上させることで能力は十分に上がりうる。

そして次に思い出したのが机上の空論である、虚数学区。

学園都市に来る前や来た直後調べたありとあらゆる研究や噂の中の一つ。

もしかしたらレベルアッパーが有るとしたら開発者は人体を使った超大規模演算機器を作ろうとしている、もしくは虚数学区を再現しようとしている……?

 

前者にしろ後者にしろこの推論があっているなら恐らくレベルアッパーの使用者の意識は失われる。

なぜならレベルを上げる事が目的で作られたのなら意識を保っている必要があるがこの推論の通りならば使用者の意識を保つ必要は無い。

……だとしたら相当拙いだろう……

 

考え込みながら歩く蒼。

前を見ずにあるいていたので人にぶつかる。

 

 

「あ、すいません」

 

 

謝って、気付く。

ぶつかった相手はこの間の柄の悪そうな奴らだった。

相手も気づいたのか表情を変えて口々に言う。

 

 

「て、てめえはこの間の!」

 

 

Aさんが怒鳴りつけ、

 

 

「前はまんまと逃げやがって!」

 

 

Bさんが都合良く記憶を改竄し、

 

 

「何の能力を使ったのかしらねーが!」

 

 

Cさんの言葉に能力使ってないし、と思いつつ、

 

 

「今日はてめえからぶつかってきたんだ!容赦しねえぞ!」

 

「そうだぞてめえ!!」

 

 

DさんEさんに呆れつつ、

 

 

「レベルアッパーを使ってlevel3になった俺たちの力、見せてやるぜ!」

 

 

Fさんの言葉に反応した。

 

レベルアッパーだと?まさかの展開。

情報が向こうから歩いてやって来ましたね……

 

 

「兄様……」

 

「ああ、分かってる。ちょっと君らにレベルアッパーについて聞かせてもらおうか……」

 

 

 

 

 

 

 

 

●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○

 

 

 

 

 

 

あのあと、()()()()()に快く情報提供してもらい、現在手元には"レベルアッパー"という名前の楽曲が入った音楽プレーヤーがある。

まさか名前そのままだったとは、と思いつつそれを眺める。

 

 

「音なら正確に脳に情報を取り込むのに向いてますね兄様。視覚的な情報元よりも受け手に影響されにくいですし」

 

 

視覚的な情報元では受け手の着目点などによって情報の発信者の意図通りに伝わらないケースが発生しやすい。

それに対して音、聴覚的な情報元では発信者の意図通りに情報を伝えやすいのだ。

それが信号パターンならなおさらである。

そう思いながら机の上に置き、和の方を向く。

 

 

「まあ取りあえずこれは明日皆に伝えるとしますかね」

 

「そうですね。……じゃあ私もそろそろ寮に帰ります」

 

 

そう言い、立ち上がる和。

 

 

「おやすみ~」

 

「おやすみなさい兄様」

 

 

挨拶をして和が出て行ったのを確認してから再び音楽プレーヤーに目を向ける。

そして考える。

……"レベルアッパー"いったい誰が作ったものなんだ?

予想が正しいとしたら高レベルの能力者に憧れる学生達の心を利用しているに同じプログラムだ。

それほどのものを作っただけの知能は尊敬に値するが、これは許されることなのか…………?

思考が頭の中でぐるぐると迷い、纏まらない。

 

 

「よしっ」

 

 

声を上げて起き上がる。

 

 

「思い悩んでいても仕方ないし、寝よう」

 

 

考えを自分の奥底へ押し沈め、気持ちを切り替え明日へ備えることにしたのだった。

 

 

「zzz…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………そしてその翌日。

虚空爆破事件の容疑者、 介旅初矢が警備員(アンチスキル)の取り調べの最中、突然謎の昏睡状態に陥ったと言う連絡が蒼の元に届いた。

 

 

「…………最悪の予想通り、ってことですかね……」

 

 

 

 




ぐーてんもるげん!
皆さんお久しぶりです。

今回は少し短めですね。
マジ恋が一段落着いたのでまたちょくちょく更新していきます。
皆さんよろしくお願いします。

次は木山せんせーの登場ですね。

でわでわ、あでゅー!

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