連絡を受けて急いで家を出て病院に向かい早くも三十分。
行けども行けども目的地にたどり着くことができない。
周りをキョロキョロと見渡す蒼。
「………………あれ?やっぱりまた道に迷った?」
…………迷子モード、発動中。
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あれからさらに十分後、未だに到着しない蒼に黒子が連絡し、迷子が露見。
黒子が救出しにこなかったら一生迷ってたんじゃないかな、俺。
そして今はファミレス。介旅初矢は外傷や身体に異常はなかったらしい。
昨日話し合っていたとおり脳に大きな負荷がかかってるんじゃないか、と言うのが俺の見解だが今は確かめようがないし取りあえず発言は保留しておこう。
「迷子の蒼さんも到着しましたし、そろそろ木山先生にお話を伺いたいのですが」
目の前にいるこの女性は木山春生さん。
大脳生理学の専門の学者さんらしい。専攻はAIM拡散力場。
今黒子にさらっといじられたのはスルーしておこう。
「そうだな、それでは先程の続きだがなぜ同程度の露出でも水着は良くて下着はだめなのかという……」
「「「いや、そっちじゃなく」」」
木山先生が始めた話に美琴と黒子と和がツッコミを入れる。
あなた達は何の話をしてたんだよ……。
美琴が「しかたないわね」とため息をついて幻想御手について話し始める。
ウェイトレスがドリンクを運んできて、蒼がドリンクを飲み終え、グラスの底で水分がズズズ、と音を立て始めた頃、
「あーー、つまりネット上で噂の『
木山先生が表情を鋭くして言う。
「はい。上の方で学生に注意を呼びかけるという案も出たそうなのですが――「ねえ、白井」何ですの、蒼さん」
蒼は窓の外を指して言う。
「あの少々お馬鹿な行動をしている二人は話しに混ぜなくていいんですか?」
そして窓の外には窓に張り付いている佐天と横で手を振る初春がいた。
二人が入ってきた後、話が進む中、視線を泳がせながら話を聞いていると
「能力を向上させると言った代物である以上脳に干渉するシステムである可能性が高いと思われます。ですから『
「構わんよ、むしろこちらから協力をお願いしたいくらいだ」
「ありがとうございます」
途中から会話に入った初春はやっと理解したようで会話に口を入れはじめる。
「『
「あ、『
ポケットを漁り何かを取り出そうとするが
「ええ、『
白井の言葉を聞いて固まる。
……何か隠したなー。んー、まあ状況からするとレベルアッパーでも発見して自慢でもしようと思ってたらこの話だったって感じかな?
まあ、いいか。
「何でですか?」
と初春。
まあ、ふつうに考えて副作用があるかも知れないからだろうな。
………………何か忘れてるような……
黒子が初春に副作用があるかも知れないからということと、急激に力を付けた学生が犯罪を起こす可能性があるから、と言う二つの問題点を述べたあと、動きが固まっている佐天に初春が気づき声をかける。
「どうかしました?佐天さん」
「えっ、いやっ、別に……」
焦った様子の佐天がグラスを倒してしまう。
「あっ、すみません!」
「いや、大丈夫だ……こぼれていないしな」
そう。そこにはグラスが倒れているのに中身がこぼれていないという異様な状況が完成していた。
「兄さまですか」
「ん、」
和の言葉にストローを上げて答える蒼。
佐天が倒したグラスからこぼれそうになったコーヒーをとっさに形状固定停止したのだ。
蒼に木山先生が訪ねる。
「君の能力か。
「……さあ?詳しいことはまだわかりません。停止能力と言うらしいですけど
そこで何かを思い出したように和が声をかける。
「兄様、アレもってきました?」
……アレ?何だっけアレって………………あ、アレか。
「そう言えば昨日親切な若者から情報提供を受けまして、入手して来ました。
「「「「!!!!」」」」
その言葉に美琴、黒子、初春、佐天が驚愕の表情を浮かべる。
ポケットから携帯音楽プレーヤーを取り出し、机の真ん中に置く。
「音楽プレーヤー?音声媒体なんですの?」
それに対して蒼はやや微妙な表情を浮かべ、
「うーん、何というか音声信号という方が正しいのかな?恐らくだけどこの音声信号をきちんと受けとるためにやっぱり共感覚性も関与しているように思われる。この音楽ソフト自体に五感に作用するような働きがあってその上で、脳波を一定にロックすることでAIM拡散力場を利用したネットワークを形成し、その影響で副作用的に一時的に能力が向上しているのが
虚数学区のことはあえて伏せながら言う。都市伝説上では全く異なるアレを持ち出しても話の信憑性を下げそうだしな。
「能力を向上させることがレベルアッパーの本来の目的じゃないって事!?」
美琴ががたりと音を立てて立ち上がる。
「まだ推論に過ぎないですよ。ま、でもレベルを上げるのが目的のソフトじゃ無いのはほぼ確定でしょうね。使用者が意識を失ってちゃ意味ないですし、何より先程言ったネットワークの形成がレベルアッパーの目的なら、使用者が意識を失っていても問題ないはずですしね」
そして付け加えるように言う。
「極めつけが『
木山先生が『
「まあ、開発者の意図はどうあれ、受け取っておこう。研究所に戻ったら解析してみるよ」
「「「「「お願いします」」」」」
十数分後、話が終わり立ち去るときに木山先生が昔教鞭を振るっていた、と言ったときの表情に少し引っかかりを感じたが気にするほどのことでもないか、と思い気にしないことにした。
「あ!?ゴメーン!私用事あったんだー」
また今度ね!!、とわざとらしく声を出して抜け出す佐天。
…………ふう。
「すいません、今日は俺はここまでで。和、レベルアッパーのサイトちゃんと教えて上げてね」
「了解です兄様」
じゃあ、と手を振ってその場を立ち去り佐天を追う。
しばらく周りを探していると、夕日が射し込む駐車場で音楽プレーヤーを見つめる佐天の姿があった。
「ああ言われたけどせっかく見つけたんだし手放したくない。まだ使ってないからいいよね、ですか?」
「えっ…………」
急に話しかけられたからなのか考えを当てられたからなのか驚き、顔を上げる佐天。
「えっ、といや、これは……」
「……別に俺は回収したりはしませんよ。そう言うことは風紀委員の仕事ですし。ただ、使ってないから良い、そう考えてるならやめた方が良いですよ」
蒼の言葉に佐天が怪訝な表情を浮かべる。
「使ってからレベルアッパーを解除する方法は見つかってないので、回収はその人が使ってないから意味のある行為な訳なのでそれを使う気なら一時的なまがい物の能力のためにこの先の自分の人生を植物人間として過ごすだけの覚悟がある、と言うなら俺は止めません。君にとって能力と言う物はソコまでの価値があるって言うならですけどね」
佐天は何かを言おうとしたがぐっとその言葉を飲み込みうつむく。
「よく考えて、後悔しない選択をして下さいね」
蒼は佐天の肩にポン、と手をおいてそう言い残しその場を立ち去った。
「………………ホント、どうしたらいいんだろ……」
「可愛いは正義」この言葉の意味を理解したような気がしました魔王の後継者です。
東京レイヴンズのコンちゃんが可愛かったです。
初春と同じ声ですね。ちょっと前まで超電磁砲がやってたのでどうしてもダブります。
次回投稿は何時になるかわかりませんがきちんと書きますので。
でわでわ、あでゅー!!