ツインズ・イッセー   作:超人類DX

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移行シリーズ。


内容はある意味転生者ポジになってる皮肉的話。


その男、兄につき

 そっくり、双子、漫画みたい。

 物心が付いた時には既に周りからそんな評価を下されていた気がする。

 

 事実俺たちはソックリだ。

 身長も体重も顔立ちも身体付きも何もかもが同じ。

 けれど間違われた事は一度も無かった。

 

 理由は簡単だ、そこまで見た目が同じでありながら、中身はしっかり違っていたからだ。

 

 そう、俺達双子は……中身が違かった。

 

 

 まあ普通に好きだけどね? 兄ちゃんの事は。

 

 

 

 

 その日、兵藤一誠はデートをしていた。

 

 

「こっちこっち!」

 

「お、おう! へへっ……!」

 

 

 切っ掛けは些細な出会いだった。

 何でも一目惚れしたから付き合って欲しい……。

 

 クラスメートの男子の嫉妬じみた視線を背中に受けながら、長い黒髪の美少女と言っても差し支えない女子に告白された一誠は、浮き足立った気分で初めてのデートを楽しんでいた。

 

 

「あ、これ兄ちゃんのお土産に良さそう」

 

「お兄さん? あ、そういえばイッセー君は双子のお兄さんが居るって言ってたね?」

「おう! 俺なんかとは正反対にスゲー兄ちゃんだぜ!」

 

 

 何せ変態なんて学校じゃ言われてる程の女の子大好きな性格だ。

 美少女に告白されたともなればはしゃぎっぷりも半端では無く、ついつい無言で漫画を読んでた双子の兄貴に自慢しまくったりもした訳で……。

 

「お兄さんが好きなのね」

 

「兄弟だしな、周りは取っ付きにくいなんて言ってるけど、俺にとっちゃ優しい兄ちゃんだぜ! へへ……」

 

 

 兵藤一誠は齢17を迎える今この瞬間を楽しんでいた。

 

 

 

 

 さて、デートも終盤に差し掛かり、日も傾き始めた頃。

 デート相手の女子である天野夕麻に誘われるまま、中々の雰囲気を感じる公園とやって来ていた。

 

 

「今日はありがとねイッセー君」

 

「いやぁ、俺なんかで良ければもう全然……で、話って何?」

 

 

 その理由は、二人だけで話がしたいという夕麻のリクエストだった。

 可愛らしく頬を染め、何かを言い淀んでいる姿に堪らん気分を覚えつつ、無駄にキリッとカッコつけながら言葉を待つイッセー

 

 

「その、ね? お願いがあるの……」

 

「お願い?」

 

 

 上目遣いになってイッセーにそう切り出す夕麻の姿にちょっとドキドキのイッセーは、そのまま言葉を待つ。

 もしかして……という期待を胸に抱くのは年頃の少年故の純粋さかもしれない。

 

 

 けれど……。

 

 

「私の為に……………死んでくれない?」

 

 

 夕麻から放たれた言葉は、余りにも唐突だった。

 

 

「え?」

 

 

 微笑みながら死んでくれと言われたイッセーは当然唖然なって夕麻を見つめる。

 その刹那、夕麻の手からこの世のものとは思えない……まるで漫画を思わせる様な現象が形となって現れ……。

 

 

「ね、お願い♪」

 

 

 可愛らしくそう言いながら、イッセーには見えない速度でその心臓を貫かんと放たれ――

 

 

「がっ!?」

 

 

 無かった。

 

 

「え……えっ!?」

 

 

 一体何が何だか訳がわからないイッセーは、夕麻の声にハッと我に帰る。

 デートしてたら死ねと言われ、手から変な光を出したと思ったら夕麻の姿が消え、直ぐ横の茂みに吹っ飛んでる。

 イッセーで無くても狼狽えるだろう怒濤の展開に、混乱して立ったまま動けなかったイッセーだったが、今調度夕麻が立っていた筈のその場所に冷めた様子で立っている男に、目を見開く。

 

 

「に、兄ちゃん!?」

 

「………」

 

 

 自分と同じ顔、同じ声、ほぼ全て同じ。

 向かい合えば鏡でも見てるのでは無いかとすら錯覚するだろうソックリな双子の兄が、デートだった筈の現場に現れた事に、弟のイッセーはただ驚いてしまう。

 

 

「ど、どうしたんだよ兄ちゃん。と、というか夕麻ちゃんは……?」

 

 

 唯一、イッセーが激流なら兄は静水と評される性格の違いにおける双子の弟は、今さっきまで死んでと物騒な事を言われた相手が吹っ飛んだ先……いや多分兄に蹴り飛ばされしまった茂みを見て心配そうに声を出す。

 

 

「お、女の子蹴るとか兄ちゃんにしては過激っつーか、早く夕麻ちゃんを――」

 

 

 殺されかけた自覚をイマイチしてないのか、夕麻の心配をしていたイッセーに、双子の兄は横目で一瞥するだけで特に気にしてる様子は無く、茂みをジーッと見つめてる。

 すると、茂みの中からイッセーにも感じ取れる程の殺意が膨れ上がり、そこから背に漆黒の翼を携えた天野夕麻が怒りの形相を浮かべながら姿を現した。

 

 

「貴様、人間風情が……!」

 

「え、えっ!? な、何だよこれ!?」

 

 

 イッセーはまるで漫画の世界に迷い混んでしまった気分だった。

 デートしていた相手に死ねと言われたかと思えば、兄が乱入して蹴り飛ばし、その相手が背に翼なんて生やしながら自分達を上空から見下ろしてる。

 特撮アニメでもあるまいし……と軽くイッセーは目眩を覚える気分だったが、不思議と段々冷静になっていた。

 

 

「あ、でも兄ちゃんに比べたら全然かも」

 

「…………」

 

 

 そう、隣で白けた顔してる双子の兄の幼少期から垣間見せる異常性に比べれば、背中から翼を生やしたり、手から妙に光ってる槍みたいなのを出したりするなんてものは……まあ、普通だったとイッセーは段々自分の中で今起こってる現象に順応していた。

 

 

「その顔、そこの人間が昼間言ってた双子の兄かしら?」

 

「……」

 

「あ、あの……穏やかじゃない感じかこれ?」

 

 

 そんな訳で、天野夕麻なる謎過ぎる生態系の存在を前に、イッセーはただ事では無いと察して相変わらず冷めた顔の双子の兄と、頬に殴られた跡を残して怒り顔の天野夕麻を交互に見ながらどうしたら良いのか解らないといった顔をしてる。

 しかし二人して睨み合ってるせいか、イッセーの疑問は風に溶けて消えるだけで答えは無い。

 

 

「えーっと、夕麻ちゃんは……」

 

「ふっ、その名前は偽名よ人間君?」

 

「え? ……あ、そ、そうですか」

 

 

 それならばと夕麻に聞いてみようと話し掛けたが、アッサリとさっきまでの優しげな声が嘘みたいにきりすてられてしまい、軽くイッセーは落ち込んでしまった。

 何せ空気を読むまでもなく、この天野夕麻という演技をしていた何者かは自分なんて好きでも何でも無く、何かしらの目的があって騙してたのだから……。

 

 

「この気配……」

 

 

 ということは自動的に自分は兄に助けられたのだと、理解したイッセーは残念に思いつつも、影ながら大体何時も助けてくれる兄に対して尊敬の眼差しを送る訳だが、その兄は相変わらず冷めた顔だった。

 

 

「チッ、もう勘づいたのかしら。鬱陶しいわね……!」

 

 

 すると天野夕麻だった何者かが急に明後日の方向を睨み、舌打ちをすると……。

 

 

「見逃してあげるわ人間共。

私の名前はレイナーレ、至高の堕天使になる者よ」

 

「はぁ、堕天使……すか」

 

「……」

 

 

 何かから逃げるかの様に自分と双子の兄に本名らしき名前と正体を話した。

 その自己紹介に対し、兄はノーリアクション、弟のイッセーは唐突過ぎて理解できません的に気の抜ける反応だったので、レイナーレなる堕天使は若干肩透かしを食らった顔をする。

 

 

「……………もうちょっと驚きなさいよ、本来なら貴方達みたいな人間風情が見れる存在じゃないのよ?」

 

 

 何か調子が狂う。

 微妙に冷静なイッセーと云い、不意討ちとはいえ自分を蹴り飛ばしたこの双子の兄といい、存在を知らずとも、堕天使としての力を一応誇示したのなか何故そんな抜けた反応なのか……。

 人間を見下しまくるレイナーレとしては面白くなく、いっそ自分の恐ろしさを知らしめてやろうと考えるが……。

 

 

「堕天使さんって美人だな。兄ちゃんもそう思わね?」

 

「……。さぁな」

 

「えー? 俺美人だと思うんだけどなー……。ほら、学校で有名なグレモリー先輩とか小猫ちゃんとか姫島先輩並みにさ」

 

「…………。くだらね」

「あ、そっか……そういや兄ちゃんって『何故か』嫌いだもんな」

 

 

「…………………」

 

 

 呑気だった。超呑気だった。

 地味にやっと口を開いたかと思えば、自分を見て美人だ美人だと誉めちぎるイッセーに、心底どうでもよさそうな冷めた顔の双子の兄。

 嘗めてるなこの人間共……とレイナーレは頭に来たが、もう直ぐそこまでやって来ている『敵対種族』との小競り合いを今は避けたいと考えていたので、取り敢えずそのまま飛んでその場から撤退しようと翼をバサリと羽ばたかせる。

 

 

「レイナーレさーん! 嘘でもデートしてくれてありがとー!」

 

「っ……!」

 

 

 去り際に、殺そうとまでしていたイッセー本人から笑顔で手を振られ、若干殺そうとしていたレイナーレの心にしこりを残して……。

 

 

 

 

 

 何か色々あったけど、結局何だったんだ? つーか堕天使って、堕天使なのか?

 

 

「さっさと帰るぞ」

 

「あ、おい待ってくれよ兄ちゃん! 堕天使って何だよ? てか兄ちゃん何か知ってるだろ?」

 

 取り敢えず、何故か兄ちゃんは知ってそうだから話を聞いてみようと、公園を出ようとするのを追っ掛けながら質問してみる。

 昔から兄ちゃんは不思議というか、スゲーからな……堕天使ってのを知ってたとしても俺は別に驚かない。兄ちゃんはすごいから。

 

 

「帰ったらな……。

てかお前、さっき殺されかけた自覚あるか?」

 

「あー……あるようで無いな。ほら、兄ちゃんに助けられちゃったし、あのレイナーレって人? 美人だったからなぁ」

 

「…………。呑気な奴」

 

 

 堕天使ってのが本当だとしても、兄ちゃん助けられたのと、その堕天使が美人だから呑気に構えてられる事に呆れられても否定も反論も出来ない。

 デート普通に楽しかったしな……嘘なのはちょっと傷付いてるけど。

 

 

「また会ったら殺されるんだぞ?」

 

「あーうん……殺されるのは嫌だなぁ」

 

 

 けど、まあ美人だしな。

 俺は許すようん……演技だったとしてもね。

 それに……。

 

 

「だったら強くなれば良いだろ? 兄ちゃんみたいにさ」

 

 

 次はボーッとはしないし、黙って殺されてやるつもりも無いさ。

 

 

「この変な籠手の力を鍛えれば、自己防衛くらいは何とかなる筈だし」

 

 

 妙に真っ赤な……何でか俺だけ念じると腕に出てくる変な籠手の力を使いこなせばね。

 

 

 

 

 

 何故俺は生きている? 間違いなくあの時自分の意思で消滅を選んだというのに……。

 しかも、戻されるというフザケタ現象に加えて存在しない筈の存在として……。

 

 

「そういえば、レイナーレって人は何で俺達を見逃したんだろうな?」

 

「俺達を殺す暇も無い何かが起こったんだろうよ」

 

 

 過去の……性格なんかまるで違う俺の兄として。

 ……。欲の代償としてが理由なのか? それとも他に理由があるのか? 俺が俺だった頃とは何もかもが状況の違いこの世界で何をさせたいのか……俺には何もわからない。

 

 

「にしても兄ちゃんはやっぱ強いよな~ 堕天使を蹴っ飛ばすとか凄いだろ」

 

「…………」

 

 

 相棒も無い。仲間も居ない。全て存在しない。

 残ったのは進化の産物である永遠に近い命と、進化できる異常……そして破壊の技術。

 生憎この世界にもクソみてーな悪魔やらその他が存在してるので、自衛の手段としては重宝できるが……。

 

 

「俺も兄ちゃんみたいになれるのかね……この変な籠手鍛えればよ」

 

「さぁな」

 

 

 コイツ、イッセーだけは俺が一誠だった頃みたいな目に逢わせる訳にはいかねぇ。

 クソみてーな悪魔共に散々弄ばれた、クソみてーな経験を、俺には無いものを沢山持ってるコイツに味合わせる訳にはいかねぇ。

 だから……。

 

 

「そこの二人、ちょっと良いかしら?」

 

「え? …………あ! リアス・グレモリー先輩!?」

 

「……………」

 

 

 コイツを狙うゴミは変わらずにぶっ壊してやる。

 

 

「に、兄ちゃん兄ちゃん! グレモリー先輩が目の前に……!」

 

「…………」

 

「やべーよ俺! テンション上がってきたぜ!」

 

「………………」

 

 

 イッセーが横で興奮した顔をしてる中、ソレは俺達の前に現れた。

 かつて俺が俺だった頃にぶっ壊してやったクソ悪魔と同じ姿をしたクソ悪魔が。

 

 

「あら、知っててくれて光栄だわ」

 

「そりゃあもう! 学園二大お姉様ですから! な、兄ちゃん!」

 

「……………」

 

「……。そっちの子は警戒してるのかしら?」

 

 

 相変わらず殺意しか沸かないツラだ。

 イッセーに頼まれて来たくも無かった駒王学園に入学した時から、見ただけで思わずぶっ殺してやりたくなる衝動を何度我慢したか。

 この世界のリアス・グレモリー・クソアクマは、はしゃぐイッセーと対極に居る俺に顔をしかめながら話し掛けてきた。

 

 

「……………。失せ――」

 

 

 だから俺は、思わず自然に口から思ったことを声に出そうとしたのだが。

 

 

「あーっと! すいません、俺達これから家族で外食だったんだ! 名残惜しいけどさよならですグレモリー先輩!」

 

「え? あ、ちょっと!」

 

 

 大袈裟に大声を出したイッセーが、俺の腕を掴みながらクソ悪魔にペコリと頭を下げると、そのまま俺を連れて全力疾走し始めた。

 俺が口走りそうになった言葉を誤魔化すかの様に……。

 

 

「はぁ、はぁ……に、兄ちゃん……グレモリー先輩に失せろはヤバイって。

別に何かされた訳じゃ無いのに、兄ちゃんが悪者になっちゃうよ……」

 

「……。お前はどうか知らないけど、俺はあの連中に近付きたくねぇんだよ。あのクソ悪魔共にはな」

 

「あ、悪魔? お、オイオイ兄ちゃん? 堕天使の次は悪魔かよ? しかもグレモリー先輩がか? 色々と冗談が過ぎるんじゃないか?」

 

「俺が冗談をお前に言った事があったか?」

 

「……………………。あ、無いや。

え、という事はマジなの?」

 

 

 イッセーがこんな性格じゃなければ、今頃とっくにぶち壊してやってた。

 悪魔である事を堕天使を知った今話してみても、まだ何もされてないイッセーは驚いてるけど否定的じゃないから……今はまだ何もできねぇ。

 

 

「悪魔かぁ……スゲーなこの世の中ってのは。

知らない事実ばっかりでよ。当然教えてくれるんだろ兄ちゃん?」

 

「あぁ、お前は奴等の見た目が好みみたいで好意的なんだろうが、敢えてこれだけは言ってやる。悪魔と堕天使……大マシは堕天使だ」

 

「何か悪魔に恨みでもありそうな感じだな? 何かされたとか?」

 

「……さぁな。

ただ、さっきのレイナーレってのとあのリアス・グレモリー共のどっちをオメーに勧めるかって言ったら、俺は迷わずレイナーレってのを推すね。

悪魔なんざ生ゴミ以下だ」

 

「お、おぉっふ……。

どんだけ嫌いなんだよ……?」

 

 

 だが、俺とは違って異常性は持たないものの、イッセーの力を利用しようものなら俺は例えイッセーに止められようともクソ共をぶっ壊す。

 かつて、俺が皆殺しにしたように……。

 

 

 

 兵藤一誠 通称・イッセー

 

 種族・人間

 能力・赤龍帝の籠手(最初期段階)

 

 備考・女の子好きだし、ちょっと変態入ってるけど、基本ブラコン。

 

 

 兵藤誠 通称・マコト、またはマコ兄。

 

 種族・人間(超越完了)

 能力・複数能力保持者。

 

 備考・孤独に生き続けて自ら消滅し、全く違う過去へと生かされてる元・兵藤一誠にて破壊の龍帝。

 自分と違って性格が腐ら無かったイッセーの安全安心の為には、種族単位でぶち壊すのも躊躇わない危険なブラコン化完了。

 

 

「でもレイナーレって人と仲良くなれるかな……」

 

「只の人間じゃ無いと認めさせれば芽はある……筈だ多分」

 

 

終わり





補足

原作に近い趣向だけど、ブラコンなのと若干のほほんとしてるので、敵対していた相手の心を溶かせるというデストロイヤーとして生きた一誠には無い強さを持つのが今回のイッセー。

そして、デストロイヤーに最近は基本的な自衛技術を少しだけ教えられてるので、原作と比べてフライング気味に戦える。


そして、それが本格化してしまえば……進化がヤバイかもしれない。
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