ツインズ・イッセー   作:超人類DX

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多分嘘予告しか目玉なし


ツインズ・ツインズ

 気にしても無かったというか、そんなに興味も無かったというか、知った時は結構びっくりした。

 兄ちゃんはそんな俺に『イッセーって鈍いな』と軽く笑ってたけど、普通に考えて初見で気づいた兄ちゃんの方が凄いだけだと思う俺は多分悪くない。

 

 

「生徒会の人達も悪魔だったのかぁ。だから最近廊下とかでかち合うと逃げるように道を開けるんだな」

 

「そういう事だ。悪魔の時点でカスに変わりは無いから油断はするなよ?」

 

「おう、カスとは思わないけどそうするぜ」

 

 

 まぁ、多分向こうから色々とマイナスイメージ持たれてるだろうし、そもそもが絡む事も無かったんで放置な方向に落ち着こうと思う。

 無論、兄ちゃんと相談してもしレイナーレさん達に何かする様なら許さないけど。

 

 

 

 

 イリナとゼノヴィアに言われて少し思い出した。

 生徒会の方の悪魔って、確か何処ぞの組織の変態に拉致られて玩具になったとかそんな末路だった気がする。

 いや勿論この世界では『まだ』無いが、果たしてどうなる事やら。

 

 確か玩具にしてきた変態の所属した組織は――そう、白音だったかに兵隊を全部食われた挙げ句、それに巻き込まれる形で結局は同じように食い殺されて終わったんだったっけか。

 

 リーダーだったらしい無限の龍神と徒党なんぞ組みやがったせいでかなり厄介な状況だった事だけはハッキリしてるが、何せもう1万だか2万年以上昔の事だ。

 白音を殺せたのが合わせて117年前だから、忌々しくもクソ猫は覚えてたものの、それ以外は基本曖昧すぎてよくわからん。

 

 そもそも、この世界と俺が居た世界は色々と流れも違うし、あてにするのはやめた方が良いかもしれない。

 

 

『……』

 

「おいイッセーとマコトは何したんだよ? 生徒会の人達にかなりガン見されてるじゃんか」

 

「そんなの俺が聞きたいぐらいだぜ。兄ちゃんは?」

「一山いくら以下の女に見られても不愉快なだけだな。かき揚げうどん」

 

「ひでぇ……。

何時も思うが、マコトの好みのタイプって何だよ? どんな美少女を前にしても褪めてるどころか殺気立ってるから、謎過ぎるんだけど」

 

「俺が好きだと思ったら、それが好みのタイプだ」

 

「いやそれ答えになってないからねそれ?」

 

 

 例え話、目の前で同じく変態に拉致されそうになってもどうせそのまま見送るつもりだしな。

 寧ろその前に一回でも突っかかってきたら……げげ。

 

 

「ん? あれ、なぁ兄ちゃん。あの金髪の子ってこの前見た悪魔じゃないのか?」

 

「は? …………………………あぁ、居たなそんなの」

 

「名前は知らないけど、何で学校に居るんだ? 搭城さんと一緒に居るし」

 

「知らね。くだらんコネでも使って転校でもしたんじゃねーか? 悪魔とゴキブリは放っておくと増殖しやがるからな」

 

「飯時なのにその表現はどうかと思うぜ兄ちゃん……」

 

「おっと、すまんね」

 

 

 何の理由があってかは知らんが、くだらん悪魔のゲームに付き合ってやった際に、殺し損ねた悪魔一匹が人間様の学校にシレッと通ってようが、どうでも良いが、どうせなら絡んで来ないものかと実は俺は思ってる。

 

 理由? 絡んで来たら即ぶっ殺してやれるからだ。

 ゼノヴィアとイリナ――――今は名を変えた天使のあの二人の間入りによって、今後ゴミ共が『理由もなく絡んで来たら即ぶっ殺す』という条件を付けて、わざわざ皆殺しにするのをやめてやったんだ。

 

 反故にするもんなら今度こそ皆殺しにしてやる気満々な俺としては、喧嘩の1つでも是非売って欲しい。

 グッチャグチャの挽き肉にしてやれるしね。

 

 

「なんかこっち見てる気がするんだけど、何だろう?」

 

「………」

 

 

 条件の中に無意味に見てきたらぶっ殺してしまっても構わないってのも付け加えておくべきだったな。

 確かにイッセーの言う通り、昼休みの食堂という多人数がごった返してるという状況を利用してか白髪の雌猫と……金髪碧眼のクソ悪魔が飯を食ってる此方側を見ている。

 目が合えば即座に目を逸らしてはいるが、イッセーにバレてる時点でぶっちゃけ手足ぶった切ってあの紅髪のクソ悪魔の真ん前に投げ捨ててやりたい。

 

 が、まぁ、今はまだ我慢してやろう。

 

 

「放っておけ。どうせ何にもできやしない」

 

「……うん」

 

 

 二人がしてくれた事を早速無下にしてはいけないしね。

 今はまだ我慢してやるよ……今はな。

 

 

「それより兄ちゃんに一つ相談が……。

どうしたらレイナーレさんをデートに誘えるかな……。ずっと断れてるせいで地味に自信が無くなって来たぜ……」

 

「押すしかないだろ。てかそれしか俺は知らないぜ」

 

「そっか……そうだよな! っし、今日も帰りに寄ってお誘いしちゃるぜ!」

 

 

 

 

 既に悪魔側から相当に警戒されている双子(ツインズ)

 いや、恐怖されているといった方がただしいのか……。

 赤い龍帝を宿す弟と、悪魔を心底毛嫌いしている人格破綻者みたいな兄。

 前者はまだ話が通じる可能性があるが、後者に関しては目が合ったから殺すだの、イライラするから殺すだのとでも言いそうなレベルに話が通じない。

 というより、ライザーフェニックスとの非公式ながらもリアス・グレモリーのデビュー戦前ということもあって多数の悪魔が見ていたその目の前で、多くの悪魔を残酷に処刑しまくる力を持つただの人間という時点でおかしい。

 

 赤い龍を宿す弟ならまだ無理矢理納得できるけど、兄の方はあの尋常では無い悪魔への嫌悪と共に何故そうなのかが理解できない。

 

 そしてある意味ではぐれ悪魔の天使バージョンみたいな立ち位置で滅多に人前に姿を現す事が無かったルイゼンバーンとオーデルシュヴァンクという謎過ぎる人脈を持ってる。

 

 当たり前だが、現在悪魔達は天使と堕天使の動向以上に、このたった二人の人間の双子の動向に神経をすり減らさなければならなくなってしまっていた。

 

 相対的にそんな双子と負けたとはいえやり合ったライザー達の評価が上がるのも無理は無いのかもしれない。

 そして、眷属にした訳でもないのに、その二人を加えて無理矢理ライザーとの婚約を破棄したリアスの評価が勝っても右肩下がりしていくのも……。

 

 

「何度も言わせないで頂戴! あの二人に関わる事は厳禁なのよ!」

 

「「………」」

 

 

 そんな危険な存在に其々の理由ではまってしまった悪魔二匹が生まれてしまったのも、皮肉な事にあるのかもしれない。

 

 

「話そうと近寄る事もしてません。ちょっと遠くから眺めてただけです」

 

「見たら何かされるという条件はありませんでしたわ。ですので見てただけです」

 

「そんな屁理屈があの二人に……特にマコトに通用すると、あんな光景を見せられてもまだ思ってるのアナタ達は!?」

 

 

 オカルト研究部の部室に木霊するリアスの怒声。

 例のレーティング・ゲーム以降、精神が半壊しかけてたライザーとの婚約は破棄されたものの、その破棄だけの為に化け物双子を連れてきた揚げ句眷属にもできずに悪魔社会にダメージを与えた卑怯者とまで陰口を叩かれ始めていた彼女は、自分の戦車である小猫と、その婚約破棄をさせた相手の妹であるレイヴェルに対して、正直頭の中がパッパラパーになってしまったとしか思えない行動や感情を持っている事に対して、感情的に注意をする。

 

 レーティング・ゲームの際に観戦者を含めた悪魔達が殺されかけ、小猫は獣臭いとティーカップを投げつけられ、レイヴェルに至っては本当に一歩間違えたら死んでたかもしれない危険な目にあったというのに、寧ろその日以降から理解できない程に其々小猫はマコトに、レイヴェルはイッセーにへと……こう、ストーカーじみた行為に走っている。

 

 上層部に無意味な接触をして怒りを煽る行為を禁止されてるにも拘わらず、この二人は言ってもそれを理解してる様でまったくしていない。

 

 これ以上他の悪魔からの評価を下げたくないリアスは最近騎士の木場祐斗が、どこで何を見たか知らないが、様子のおかしい事にも気付けず、全然反省の色のない二人にヒステリックに怒るのだけど……。

 

 

「同じ学校なんだから、バッタリ会うに決まってるのに……」

 

「会うなら別に何もされませんのに……」

 

「そういう問題じゃないのよ!」

 

 

 逆に何故あんな光景を目の当たりにしておきながら、恐怖を感じてないのかが理解できないと、自分の眷属の変な肝の座り方に引くリアスは、ブツブツと不満気に話す戦車と婚約破棄相手の妹に顔を歪める。

 嗤いながら悪魔の手足を引きちぎり、その理由も『視界に入るだけでぶっ殺したくなる』というサイコパスみたいな理由で虫みたいに殺戮するような兄と、話は通じるかもしれないけど、下級の堕天使達の為に悪魔全土に平然と喧嘩を売ろうとする弟のどこがそれぞれ良いのかリアスは本当にわからない。

 

 そりゃあ其々力は異常に強いし、支配下に置けば間違いなく若手の中で最強になれるかもしれないけど、首輪を付けようとしないあの猛獣を誰が操れるものか。

 

 リアスはとにかく必死になって、これ以上自分の評価を下げたら困るという意味も込めて、世間知らず気味な二人にクドクドとお説教っぽく説得するのだけど、二人のこの反抗的な態度を見る限りじゃ聞く気は殆ど無さそうだ。

 

 いや、それどころか……

 

 

「すんすん……マコト先輩の匂いがします。この校舎の近くに居ますよ」

 

「すんすん……イッセー様とご一緒ですわね」

 

 

 変態じみた無駄な技能まで習得し、今も鼻をちょっとヒクヒクさせながら、リアス達に全然感じない二人の匂いをかぎ分けて近くに居ると言い出してる。

 

 

「は、はぁ? アナタ達何を言って……」

 

「冥界の技術を結集した最新式のカメラの用意をしました。行きましょう小猫さん!」

 

「もちろん……!」

 

「ちょ、アナタ達私の話を――おいっ!?」

 

 

 恐怖を乗り越えた……というよりは恐怖が一周して壊れたとも言えなくもない二人は、静かに成り行きを見守っていた女王の姫島朱乃のドン引きな顔も、ボーッしてる木場祐斗も気にせず、お高いカメラを持って勢いよく部室を飛び出す。

 

 盗撮しますよー……的な事を大声で言いながら。

 

 

「むむ、発見」

 

「よくよく拝見していると、お二人は瓜二つですけど目付きとかの微妙な差違があるんですよね。

例えばちょっと穏やか気味なのがイッセー様で、そうでないのがイッセー様のお兄様とか」

 

「ええ、そこに気付いたのは私も最近です。

レイヴェルさんは流石ですね」

 

 

 これが皮肉な事にレイヴェルと小猫が意気投合し、喧嘩する程仲が良い……では無くて普通に親友っぽくなってるのだから、良いのか悪いのかさっぱりわからない。

 カメラ片手に数メートル後ろから仲良く談笑しながら正門を出る双子を覗いてるのが健全ではないにせよ、鳥さんと猫さんは実に気が合っているのだ。

 

 

「しかし許可も無くシャッターを切るのはやはり失礼な気がしませんか小猫さん?」

 

「それは確かに……。

でも接触を禁止されてる以上、そこは一応守らないとリアス部長が怒られてしまうし……」

 

「そうですわね。実の所私の実家でも父や母や兄にイッセー様に抱いた思いを打ち明けたら烈火の如く反対されまして……」

 

「それはまた……お互い難儀ですね」

 

「ええ、ホントに。

ちょっと『赤龍帝様の奴隷になりたい』って言っただけで何でああも反対されるのか……」

 

「レイヴェルさんはまだ良いですよ、イッセー先輩だし芽もありそうだし。

獣臭いって言われそうもないし……」

 

「イッセー様のお兄様は悪魔がお嫌いですからね……はぁ、何故サーゼクス様はあの時お二人との約束を反故にしようとしたのか……。

アレさえ無かったら今頃接触禁止という事も無かったかもしれないのに」

 

 

 コソコソと貴族の娘っ子の眷属と貴族の娘っ子が人間の双子をストーキングしながら、カメラのシャッターはまだ切らずにその姿を網膜に焼き付ける。

 

 

「…………。ねぇ兄ちゃん、今日も後ろから付いてきてるんだけど、小猫ちゃんとあの子が」

 

「ちっ、いっそ絡んでくりゃ良いものを。即生皮剥いでやるのに……」

 

「兄ちゃんってさ、ルイゼとイミテの言うことは律儀に守ろうとするよな。

……ちょっと悔しいんだけど」

 

「それを言われたらお前にかなり申し訳ないんだけど……」

 

 

 当然そのストーキングは二人にバレてる訳だが、意図せず天使二人が見えないストッパーになってるおかげでギリギリのラインで無事で済んでる二人と、その二人を焦がれるように。

 

 しかしその空気を壊すというか、ストーキング二人にとっては歓迎すべきではない存在が出てくる。

 

 

「おーい、マコト~!!」

 

「イッセーさーん!!」

 

 

 双子の背中を見ているだけしか出来ないストーキングコンビの目に飛び込んでくるは、双子の名前を親しげに大声で呼びながら走ってくる金髪の少女が二人。

 

 

「……。誰ですのあの女性は?」

 

「片方は堕天使で片方はどうも神器持ちの人間みたいです。

何でも堕天使一派に保護されてるとか……」

 

「保護? では何故イッセー様にあんな親しげなのでしょうか?」

 

「イッセー先輩は堕天使一派のリーダー格のレイナーレにご執心なのですが、妙にモテるみたいで、あの人はどうもイッセー先輩に友達以上の感情を持ってるみたいです」

 

「……………。ほほぅ、それではあの小さい堕天使の方は?」

 

「名前はミッテルト。…………………………………………………。私よりちっさい癖に、悪魔じゃないせいかマコト先輩と仲良くできるだけの堕天使ですよ。深い意味も何も――」

 

 

 私服姿のアーシアと、変わらずのゴシック系のミッテルトを本能的に敵と感じつつ見据えながら、小猫の解説を聞くレイヴェル。

 あのアーシアという少女がどうもイッセーに近くてもやもやしてしまう中、小さいほう……つまりミッテルトもイッセーにと思って訊ねてみたのだが、どうやらそれは違うらしく、一気に声が低くなった小猫が否定しようとしたのだが……。

 

 

「何だ、遊びに行ってたのか?」

 

「マコトとイッセーのお陰で街に堂々と出れる様になったんで、アーシアと色々な店に行ってたっす」

 

 

 寄って来るや否や、小猫の主張を否定するかの如く、あの悪魔にとっては殺戮マシーンにしか見えないマコトに飛び付き、実によく鍛えられてそうな胸板に顔を埋めてる。

 それに対してマコトも特に投げ飛ばすとかもせずに好きにさせてるのがまた『絶対殺すマン』の側面しか知らないがレイヴェルを大きく驚かせるのと同時に、悔しそうな顔をしてる小猫が小さく『ぐぬぬ……』と唸ってる声が聞こえた。

 

 

「凄いですわねあの堕天使。見たところ下級クラスだというのに、イッセー様のお兄様に怖いもの知らずというか……」

 

「レイヴェルさんは殺され掛けたから知らないかもしれませんが、マコト先輩は悪魔以外だと割りと普通なんです……」

 

「ルイゼンバーンとオーデルシュヴァンクという天使とも親しいらしいですし、謎過ぎる人脈ですわね……。

それよりあの女性は――」

 

 

 

「げーむせんたーというのは騒がしい所でしたけど、とっても楽しかったです!」

 

「へー、ゲーセン行ったのか。…………正体分かる前のレイナーレさんと行ったのがもう懐かしく思えるぜ。

てか、またレイナーレさんと行きたいなぁ……」

 

「えっと、あの……もしレイナーレ様から断られてしまったら私と行きませんか?」

 

 

 

「あれ、なんでしょう? ムカムカしますわ」

 

 

 そしてレイヴェルもレイヴェルで、どう見てもイッセーに対して単なる友人以上の感情が見え隠れする態度のアーシアを見てモヤモヤムカムカしてしまう。

 こちとら悪魔という種族でまともなアプローチすらできないのに……黒い感情すら生まれてしまうのも多分仕方ないのかもしれない。

 

 まあ、当の本人のイッセーはレイヴェルの名前すら知らないのでほぼ一方的なのだが。

 

 

「ねぇマコト、この前の猫悪魔が知らない奴と一緒にこっち見てるんすけど?」

 

「あ、あの方も悪魔さんでしょうか?」

 

「あ? あぁ、放っておけ。絡んで来ない代わりに見てるだけだ。

本当なら蹴り飛ばしてやりたいところだが、イリナとゼノヴィア――じゃなくてイミテとルイゼのしたことが無駄になっちまう。

だから今は我慢だけしてやる」

 

「……へー、あの二人は今アジトで掃除してるすけど、やっぱ二人の言うことは素直に聞くんすねー?」

 

「それ俺も思ったんだよ。ミッテルトちゃんも贔屓だと思うよな?」

 

「でもマコトさんが天使様とお知り合いだったなんてやっぱり凄いですよ」

 

「いや、うん……ごめん。ジュース奢るからそれ以上責めないで俺を」

 

 

 悪魔の二人にストーカーされる双子。

 微妙な間のお陰で殺戮現場の完成が防がれてる今だけはもしかしたら平和なのかもしれない。

 

 

 

 

 かつてのゼノヴィア・ルイゼンバーンと紫藤イリナ。

 今は其々ルイゼンバーンとイミテル・オーデルシュヴァンクという全然人間達にとっては有名じゃない天使として生き、悲願の再会を果たした最高戦力天使の二人は、本来なら格下であるレイナーレ達下級・中級堕天使の下でマコトと同じくパシりとして生活していた。

 

 

「アナタ達の持ってるその刀だったかしら? 聖剣とは違うみたいだけど……」

 

「む? ああ、これか? これは確かに聖剣では無いな」

 

「寧ろ妖刀ね」

 

「天使が妖刀……。やはり噂に違わぬ変わり種だなアナタ達は」

 

「そうね、セラフ所属じゃないし、三大勢力戦争の時も雇われたからアナタ達堕天使や悪魔と戦っただけだし」

 

「うむ、どうも私もイミテもミカエル殿達と考え方が違うというか……」

 

 

 破壊の天使コンビ。と、表の歴史には刻まれてない渾名を持つ二人の天使の、どうも天使らしくない物言いに、レイナーレやカラワーナやドーナシークは肩透かしを食らう気分しかない。

 

 天使でありながらアウトローというか、聖剣の力よりとある犬妖怪の牙から作った妖刀を使いたがるのも天使としては変すぎる。

 

 まあ、確かに二人に妖刀の説明を受けていた際、下手な聖剣よりはるかにヤバイ力が宿ってるみたいだけど。

 

 

「イミテの持つ刀はひと振りで百の命を癒すって言ってたけど、それじゃあ戦えないんじゃないの?」

 

「まあ、普段は斬っても斬れないナマクラに見えるかもしれないわね。

けど、この天生牙は癒しだけじゃなく、この世とあの世を繋ぐ力もある」

 

「つまり……?」

 

「現実世界から冥道のへと扉を開け、そこに閉じ込める事も出来るって訳よ」

 

「………えぐいわね。ならルイゼの持つ二本の刀は……」

 

「うむ、私が使うのはもっぱら此方のひと振りで千の有象無象を爆砕する剣でな。

こちらのひと振りで百の有象無象を薙ぎ払う牙はあんまり使わん」

 

「それはそっちの爆砕する刀の方が強いから?」

 

「いやそうじゃない、この鉄砕牙は斬った相手の魔力を吸い取って成長できる刀だし、決して爆砕牙より弱いわけではない。

使わんのは、私より相応しい使い手に渡そうと思っているからだ」

 

 

 白鞘の刀の共に腰に下げていた古ぼけた刀に手を触れながらルイゼンバーンは刀の譲渡を考えていると話すと、レイナーレ達の脳裏に一人の人物が過った。

 

 

「それってまさかマコト……?」

 

 

 赤龍帝の兄にて神器を持たぬ人間。しかるにその力は化け物通り越して崇高にも見える理不尽さで、この二人の天使とも顔見知り……いや寧ろそれ以上の関係を伺える仲だった事を考えたら、その妖刀はマコトに渡ると考えるのは必然だった。

 が、ルイゼンバーンもオーデルシュヴァンクの二人はそんなレイナーレ達に軽く笑いながら首を横に振る。

 

 

「いや、マコトにはデュランダルがある。この鉄砕牙はマコトとイッセーが信じてるお前達の誰かに預けようと考えてる」

 

「「「………………はぁ!?」」」

 

「そうね、イッセー君は赤龍帝の籠手があるし、渡すならアナタ達の誰かの方が良いわ」

 

「ちょ、ちょっと待ちなさい! そんな貴重な武器を二人と行動を共にしてるだけの私たちに渡すなんて正気!?」

 

「な、何故そこまで我々を信用できるんだ……」

 

「堕天使よ私たちは?」

 

 

 どう聞いても聖剣並みの強力な刀剣を、よりにもよって自分達の誰かに渡すと言い出すアウトローさにまたしても驚くレイナーレ達三人だが、二人の天使は平然と宣う。

 

 

「簡単だよ。お前達をマコトが信用してるからさ」

 

「それ以上の理由なんてあるかしら?」

 

「「「………」」」

 

 

 はっはっはっはっ! と可愛らしく笑う二人に絶句するレイナーレ達。

 だがこれでやっと理解できた。何故この二人が天使でありながらアウトローっぽいのかが。

 それは普通の天使達とは根本的に価値観が違いすぎるのだ。

 

 

「それに、悪魔達がお前達に干渉しないと約束させたとはいえ、身を守る手段は多いに越したことはない」

 

「ええ、こんな事堕天使のアナタ達の前で言うべきでは無いけど、勢力が一枚岩という訳じゃあないしね」

 

「「「…」」」

 

 

 オーデルシュヴァンクとルイゼンバーン。

 聖書の神の理を超越し、堕ちる事のない永遠の二大天使と呼ばれる天使の価値観は、全てマコトに関係している。

 ただそれだけの事なのだ。

 

 

終わり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何事も歴史は繰り返される。

 それはかつて一誠であったマコトが全てを取り戻せた出会いもまた繰り返される。

 

 

「コカビエル? それって……」

 

「あぁ、しかしマコトの思ってるコカビエルとは違う。

この時代のコカビエルはただの戦闘狂だ」

 

「………そうか」

 

 

 自分達が知るコカビエルとは全く違う堕天使の暴走。

 

 

「ゼノヴィア。そして私は紫藤イリナ。

今回の堕天使コカビエルが起こした聖剣強奪の件でアナタ達悪魔と会合しに来たわ」

 

「!? お、オーデルシュヴァンクとルイゼンバーン!?」

 

 

 この時代のゼノヴィアとイリナの存在。

 

 

「俺の知るボスとは違う。だが、ボスは違えど俺はこの時代のボスの行き先を見届ける。

だからよぉ、一先ずテメー等の持ってる聖剣寄越せよぉ!!」

 

「なっ!? ふ、フリード・セルゼン……! 貴様、その力は一体……」

 

「ヒャハハハハ!! どうやら知ってる元同僚じゃあねーなぁ!?」

 

 

 慕うべきボスを失っても尚揺るがぬ忠誠心を示す白夜の騎士。

 

 

「俺が誰だかわかるよな下級の堕天使」

 

「こ、コカビエル……様……」

 

「そうだ。人間三匹と腑抜けてる様だが、俺が使ってやる。全員来い」

 

「………!」

 

 

 迫り来るレイナーレ達の危機。

 だけど……。

 

 

「レイナーレさんをテメーみたいなのに渡すかよぉぉっ!!」

 

「い、イッセー……」

 

「赤龍帝か? なるほど、そういう事か。ふん、なら貴様は死ね」

 

 

 それを守ろうとするイッセー。

 

 

「やりたきゃテメーでやれよ……似非が」

 

 

 全力サポートのブラコン。

 

 

「友人に手は出させんよコカビエル」

 

「相変わらず悪人顔ねぇアナタは?」

 

 

「っ!? き、貴様等はオーデルシュヴァンクとルイゼンバーン!? 先程の顔がそっくりなだけの悪魔祓い二匹と違って本物だとぉ!?」

 

 

 二大裏天使の降臨。

 そして――――

 

 

 

「コカビエル、お前は邪魔だそこで寝ていろ。

という訳で――ふふ、会いたかったよ赤龍帝……いや、今や赤龍帝ではなくなった破壊の男ぉぉぉっ!!!!!」

 

『DIVINE!』

 

「白音に手は出してないみたいだけど、アンタにリベンジするにゃ!!!」

 

 

 集まるは、現在、過去からの存在。

 

 

「半悪魔と黒猫コンビに白夜の騎士とは懐かしい。くくっ、良いぜお前ら。全員かかってこいやボケがぁぁっ!!」

 

「兄ちゃん、援護するぜ!」

 

「ウチもするっす!」

 

「ふっ、久々の本気だ。ヘマするなよイリナ?」

 

「アナタもねゼノヴィア。一誠君の援護よ!」

 

「こ、こうなりゃヤケよ! 行くわよカラワーナ! ドーナシーク! アーシアは隠れてなさい!」

 

「「おう!!」」

 

「は、はい……!!」

 

 

 迎え撃つは新生チームD×S。

 

 

「……良いな、私もあそこに入りたい」

 

「はぁ、はぁ……イッセー様の横顔……ハァハァ」

 

「……………。何よこれ、私蚊帳の外じゃない。惨めよこんなの」

 

 

 レベルが高過ぎて何もできない悪魔達―――

 

 

 

「あ、アナタは誰?」

 

「私は可能性のアナタ自身。

そしてアナタと同じ気持ちを持つ者であり、アナタの中に宿る肉体を失った白音。

ふふ、悔しいよね? もどかしいよね? 寂しいよね? 誰しもが悪魔であるが故にあの人近寄れさえしない自分が。

そして持たないからこそ無関心である己の非力さが」

 

「それはそうかもしれないけど……でも私に一体何が……」

 

「―――それはとっても簡単だよもう一人の私。

アナタが私を知り、私を使いこなせれば良い。

そうすればあの人は……マコトという名の、私が知る私の一誠先輩はきっと振り向く。

そして他の誰も向けない感情を独り占めできる……ふふ、さあ、この世界の私自身……私を知って使いこなしなさい」

 

「……………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「久しぶり先輩……『私ですよ?』」

 

「き……さ……まぁっ……!」

 

「ふふ、その顔。あは、あはははは! やっと先輩その顔が見られた! ふふ、安心してください。私はただこの世界の私の一部に過ぎないし、今はただ借りているだけ。だからこの世界の私は消えてないし、乗っ取るつもりだってない。

大丈夫ですよ先輩、心配しなくてもこの世界の私もアナタが大好きです」

 

「虫酸が走るんだよ…………この、雌猫ガァァッ!!!」

 

「っ!? き、来た……!この殺意は私や、そしてこの身体の私も喜んでる!!

やっぱりそれでこそ先輩っ! さあ、私を嬲ってください! 殴ってください! その感情をしゃくしゃくさせてください!! あっはははは!!!」

 

 

 

 そして白い無垢な猫の中にまるで神器の様に宿るは、悪魔を越えた悪魔(ネオ)

 

 

 

うそです




補足

レイヴェルたんと小猫たんはどうやらストーカーになったようです。

これがレベルアップすると、使用済み体操着を新品と取り替えてハァハァしだすので、さっさと何とかしましょう。

その2

元ゼノヴィアとイリナの持つ刀剣の元ネタは……まあ、そういう事でした。

ぶっちゃけチート刀ですわ。


その3
無垢な小猫たんに宿るという意味では、神器というより某グルメ細胞の悪魔と思えば早い。
そして恐ろしい事に、ネオ白音たんは小猫たんの身体を奪うというよりは、小猫たんと共有することを選んだ。

勿論相手は、殺されても殴られても、罵倒されても構わず病的に愛して止まないマコト――つまりネオ白音たんにとっては一誠。


という意味では嘘だけど『ツインズ・ツインズ』
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