ツインズ・イッセー   作:超人類DX

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此処から今までとは全く別の話になります。


もし、完全敗北していたら……


ツインズ・ネオ
白猫ルート


  そっくり、双子、漫画みたい。

 物心が付いた時には既に周りからそんな評価を下されていた気がする。

 

 事実俺たちはソックリだ。

 身長も体重も顔立ちも身体付きも何もかもが同じ。

 けれど間違われた事は一度も無かった。

 

 理由は簡単だ、そこまで見た目が同じでありながら、中身はしっかり違っていたからだ。

 

 そう、俺達双子は……中身が違かった。

 

 

 まあ普通に好きだけどね? 兄ちゃんの事は。

 

 

 

 

 その日、兵藤一誠はデートをしていた。

 

 

「こっちこっち!」

 

「お、おう! へへっ……!」

 

 

 切っ掛けは些細な出会いだった。

 何でも一目惚れしたから付き合って欲しい……。

 

 クラスメートの男子の嫉妬じみた視線を背中に受けながら、長い黒髪の美少女と言っても差し支えない女子に告白された一誠は、浮き足立った気分で初めてのデートを楽しんでいた。

 

 

「あ、これ兄ちゃんのお土産に良さそう」

 

「いやぁ、俺なんかで良ければもう全然……で、話って何?」

 

 

 その理由は、二人だけで話がしたいという夕麻のリクエストだった。

 可愛らしく頬を染め、何かを言い淀んでいる姿に堪らん気分を覚えつつ、無駄にキリッとカッコつけながら言葉を待つイッセー

 

 

「その、ね? お願いがあるの……」

 

「お願い?」

 

 

 上目遣いになってイッセーにそう切り出す夕麻の姿にちょっとドキドキのイッセーは、そのまま言葉を待つ。

 もしかして……という期待を胸に抱くのは年頃の少年故の純粋さかもしれない。

 

 

 けれど……。

 

 

「私の為に……………死んでくれない?」

 

 

 夕麻から放たれた言葉は、余りにも唐突だった。

 

 

「え?」

 

 

 微笑みながら死んでくれと言われたイッセーは当然唖然なって夕麻を見つめる。

 その刹那、夕麻の手からこの世のものとは思えない……まるで漫画を思わせる様な現象が形となって現れ……。

 

 

「ね、お願い♪」

 

 

 可愛らしくそう言いながら、イッセーには見えない速度でその心臓を貫かんと放たれ――

 

 

「がっ!?」

 

 

 無かった。

 

 

「え……えっ!?」

 

 

 一体何が何だか訳がわからないイッセーは、夕麻の声にハッと我に帰る。

 デートしてたら死ねと言われ、手から変な光を出したと思ったら夕麻の姿が消え、直ぐ横の茂みに吹っ飛んでる。

 イッセーで無くても狼狽えるだろう怒濤の展開に、混乱して立ったまま動けなかったイッセーだったが、今調度夕麻が立っていた筈のその場所に冷めた様子で立っている男に、目を見開く。

 

 

「に、兄ちゃん!?」

 

「………」

 

 

 自分と同じ顔、同じ声、ほぼ全て同じ。

 向かい合えば鏡でも見てるのでは無いかとすら錯覚するだろうソックリな双子の兄が、デートだった筈の現場に現れた事に、弟のイッセーはただ驚いてしまう。

 

 

「ど、どうしたんだよ兄ちゃん。と、というか夕麻ちゃんは……?」

 

 

 唯一、イッセーが激流なら兄は静水と評される性格の違いにおける双子の弟は、今さっきまで死んでと物騒な事を言われた相手が吹っ飛んだ先……いや多分兄に蹴り飛ばされしまった茂みを見て心配そうに声を出す。

 

 

「お、女の子蹴るとか兄ちゃんにしては過激っつーか、早く夕麻ちゃんを――」

 

 

 殺されかけた自覚をイマイチしてないのか、夕麻の心配をしていたイッセーに、双子の兄は横目で一瞥するだけで特に気にしてる様子は無く、茂みをジーッと見つめてる。

 すると、茂みの中からイッセーにも感じ取れる程の殺意が膨れ上がり、そこから背に漆黒の翼を携えた天野夕麻が怒りの形相を浮かべながら姿を現した。

 

 

「貴様、人間風情が……!」

 

「え、えっ!? な、何だよこれ!?」

 

 

 イッセーはまるで漫画の世界に迷い混んでしまった気分だった。

 デートしていた相手に死ねと言われたかと思えば、兄が乱入して蹴り飛ばし、その相手が背に翼なんて生やしながら自分達を上空から見下ろしてる。

 特撮アニメでもあるまいし……と軽くイッセーは目眩を覚える気分だったが、不思議と段々冷静になっていた。

 

 

「あ、でも兄ちゃんに比べたら全然かも」

 

「…………」

 

 

 そう、隣で白けた顔してる双子の兄の幼少期から垣間見せる異常性に比べれば、背中から翼を生やしたり、手から妙に光ってる槍みたいなのを出したりするなんてものは……まあ、普通だったとイッセーは段々自分の中で今起こってる現象に順応していた。

 

 

「その顔、そこの人間が昼間言ってた双子の兄かしら?」

 

「……」

 

「あ、あの……穏やかじゃない感じかこれ?」

 

 

 そんな訳で、天野夕麻なる謎過ぎる生態系の存在を前に、イッセーはただ事では無いと察して相変わらず冷めた顔の双子の兄と、頬に殴られた跡を残して怒り顔の天野夕麻を交互に見ながらどうしたら良いのか解らないといった顔をしてる。

 しかし二人して睨み合ってるせいか、イッセーの疑問は風に溶けて消えるだけで答えは無い。

 

 

「えーっと、夕麻ちゃんは……」

 

「ふっ、その名前は偽名よ人間君?」

 

「え? ……あ、そ、そうですか」

 

 

 それならばと夕麻に聞いてみようと話し掛けたが、アッサリとさっきまでの優しげな声が嘘みたいにきりすてられてしまい、軽くイッセーは落ち込んでしまった。

 何せ空気を読むまでもなく、この天野夕麻という演技をしていた何者かは自分なんて好きでも何でも無く、何かしらの目的があって騙してたのだから……。

 

 

「この気配……」

 

 

 ということは自動的に自分は兄に助けられたのだと、理解したイッセーは残念に思いつつも、影ながら大体何時も助けてくれる兄に対して尊敬の眼差しを送る訳だが、その兄は相変わらず冷めた顔だった。

 

 

「チッ、もう勘づいたのかしら。鬱陶しいわね……!」

 

 

 すると天野夕麻だった何者かが急に明後日の方向を睨み、舌打ちをすると……。

 

 

「見逃してあげるわ人間共。

私の名前はレイナーレ、至高の堕天使になる者よ」

 

「はぁ、堕天使……すか」

 

「……」

 

 

 何かから逃げるかの様に自分と双子の兄に本名らしき名前と正体を話した。

 その自己紹介に対し、兄はノーリアクション、弟のイッセーは唐突過ぎて理解できません的に気の抜ける反応だったので、レイナーレなる堕天使は若干肩透かしを食らった顔をする。

 

 

「……………もうちょっと驚きなさいよ、本来なら貴方達みたいな人間風情が見れる存在じゃないのよ?」

 

 

 何か調子が狂う。

 微妙に冷静なイッセーと云い、不意討ちとはいえ自分を蹴り飛ばしたこの双子の兄といい、存在を知らずとも、堕天使としての力を一応誇示したのなか何故そんな抜けた反応なのか……。

 人間を見下しまくるレイナーレとしては面白くなく、いっそ自分の恐ろしさを知らしめてやろうと考えるが……。

 

 

「いや……処理が色々と追い付かないというか、ひょっとして俺は殺されそうになってたのか……?」

 

「ああ」

 

「そっか……やっぱ騙されてたんだな俺……は、ははは」

 

「……。心配しなくてもアレは殺す」

 

 

「人間の分際で大きく出たわね。そんなに死にたいなら相手をしてあげても構わないけど、生憎忙しいから今日の所は見逃してあげるわ…」

 

 

 時間が無かったので、取り敢えずそう言って二人の前から姿を消したレイナーレ。

 それが間違いで後悔する事になるとはこの時知らずに……。

 

 

 

 何か色々あったけど、結局何だったんだ? つーか堕天使って……堕天使なのか?

 

 

「さっさと帰るぞ」

 

「あ、おい待ってくれよ兄ちゃん! 堕天使って何だよ? てか兄ちゃん何か知ってるだろ?」

 

 取り敢えず、何故か兄ちゃんは知ってそうだから話を聞いてみようと、公園を出ようとするのを追っ掛けながら質問してみる。

 昔から兄ちゃんは不思議というか、スゲーからな……堕天使ってのを知ってたとしても俺は別に驚かない。兄ちゃんはすごいから。

 

 

「帰ったらな……。

てかお前、さっき殺されかけた自覚あるか?」

 

「あー……あるようで無いな。

ほら、兄ちゃんに助けられちゃったし、殺されかけたというよりは騙されてた事にショックが……」

 

「…………。へ、呑気な奴」

 

 

 堕天使ってのが本当だとしても、兄ちゃん助けられたのと、その堕天使が美人だから呑気に構えてられる事に呆れられても否定も反論も出来ない。

 デート普通に楽しかったしな……嘘なのはちょっと傷付いてるけど。

 

 

「また会ったら殺されるんだぞ?」

 

「あーうん……殺されるのは嫌だなぁ」

 

 

 今度会ったら殺すか……ハァ、世知辛い世の中だぜホント。

 

 

「分かってるよ……殺すってんなら俺だってヘラヘラしないよ」

 

 

 分かってる。次はボーッとはしないし、黙って殺されてやるつもりも無いさ。

 

 

「この変な籠手の力を鍛えれば、自己防衛くらいは何とかなる筈だし」

 

 

 妙に真っ赤な……何でか俺だけ念じると腕に出てくる変な籠手の力を使いこなせばね。

 

 

 

 

 何故俺は生きている? 間違いなくあの時自分の意思で消滅を選んだというのに……。

 しかも、戻されるというフザケタ現象に加えて存在しない筈の存在として……。

 

 

「そういえば、レイナーレって人は何で俺達を見逃したんだろうな?」

 

「俺達を殺す暇も無い何かが起こったんだろうよ」

 

 

 過去の……性格なんかまるで違う俺の兄として。

 ……。欲の代償としてが理由なのか? それとも他に理由があるのか? 俺が俺だった頃とは何もかもが状況の違いこの世界で何をさせたいのか……俺には何もわからない。

 

 

「にしても兄ちゃんはやっぱ強いよな~ 堕天使を蹴っ飛ばすとか凄いだろ」

 

「…………」

 

 

 相棒も無い。仲間も居ない。全て存在しない。

 残ったのは進化の産物である永遠に近い命と、進化できる異常……そして破壊の技術。

 生憎この世界にもクソみてーな悪魔やらその他が存在してるので、自衛の手段としては重宝できるが……。

 

 

「俺も兄ちゃんみたいになれるのかね……この変な籠手鍛えればよ」

 

「さてな、だが俺みたいになるのは辞めとけ」

 

 

 コイツ、イッセーだけは俺が一誠だった頃みたいな目に逢わせる訳にはいかねぇ。

 クソみてーな悪魔共に散々弄ばれた、クソみてーな経験を、俺には無いものを沢山持ってるコイツに味合わせる訳にはいかねぇ。

 だから……。

 

 

「そこの二人、ちょっと良いかしら?」

 

「え? …………あ! リアス・グレモリー先輩!?」

 

「……………」

 

 

 あの時と同じようなら、また壊さないといけないな。

 

 

「に、兄ちゃん兄ちゃん! グレモリー先輩が目の前に居るぞ!」

 

「…………」

 

「やべーよ俺! テンション上がってきたぜ!」

 

「………………」

 

 

 イッセーが横で興奮した顔をしてる中、ソレは俺達の前に現れた。

 かつて俺が俺だった頃にぶっ壊してやった悪魔と同じ姿をした悪魔が。

 この紅い髪……換算すれぱ何千年振りなんだろうか。

 

 

「あら、知っててくれて光栄だわ」

 

「そりゃあもう! 学園二大お姉様ですから! な、兄ちゃん!」

 

「……………」

 

「……。そっちの子は警戒してるのかしら?」

 

 

 ふっ、とっくに忘れた事とはいえ、相変わらずムカつくツラだ。

 イッセーに頼まれて来たくも無かった駒王学園に入学した時から、見ただけで殴り殺してやりたくなる衝動――は沸きはしなかったが、好き好んで関わりたいとは絶対に思わなかったもんだ。

 

 

「いや、兄ちゃんは口下手なんで……あははは」

 

「そう……」

 

 

 この世界のリアス・グレモリー・クソアクマは、はしゃぐイッセーと対極に居る俺を訝しげな表情を向けるが、無視する。

 

 

「……………邪魔――」

 

 

 というか、見ててウザいと思うのは変わらないので、思わず自然に口から思ったことを声に出してしまいそうになる。

 

 

「あーっと! すいません、俺達これから家族で外食だったんだ! 名残惜しいけどさよならですグレモリー先輩!」

 

「え? あ、ちょっと!?」

 

 

 まあ、大袈裟に大声を出したイッセーが、俺の腕を掴みながらクソ悪魔にペコリと頭を下げて、そのまま俺を連れて全力疾走で逃げたお陰で聞こえる事は無かった様だが。

 

 

「はぁ、はぁ……に、兄ちゃん……グレモリー先輩にアレはヤバイって。

別に何かされた訳じゃ無いのに、兄ちゃんが悪者になっちゃうぜ……?」

 

「お前はどうか知らないけど、奴等悪魔は少しも信用できないんだよ」

 

「あ、悪魔? お、オイオイ兄ちゃん? 堕天使の次は悪魔かよ? しかもグレモリー先輩がか? 色々と冗談が過ぎるんじゃないか?」

 

「俺が冗談をお前に言った事があったか?」

 

「……………………。あ、無いや。

え、という事はマジなの?」

 

 

 イッセーがこんな性格じゃなければ、今頃とっくにぶち壊してやってた。

 悪魔である事を堕天使を知った今話してみても、まだ何もされてないイッセーは驚いてるけど否定的じゃないから……今はまだ何もできねぇな。

 

 

「悪魔か……スゲーなこの世の中ってのは。

知らない事実ばっかりでよ。当然教えてくれるんだろ兄ちゃん?」

 

「あぁ、お前は奴等の見た目が好みみたいで好意的なんだろうが、余程自我が強くない限りは近付くのは良くないと思うぜ」

 

「何だか前に悪魔から何かされた様に聞こえるんだけど、何かされた?」

 

「……いや。

しかし悪魔だぞ? 良い響きな訳が無い」

 

「まー確かにそうかもな」

 

 

 だが、俺とは違って異常性は持たないものの、イッセーの力を利用しようものなら俺は例えイッセーに止められても容赦せずぶっ壊す。

 かつて、俺が皆殺しにしたように……。

 

 

 

 兵藤一誠 通称・イッセー

 

 種族・人間

 能力・赤龍帝の籠手(最初期段階)

 

 備考・女の子好きだし、ちょっと変態入ってるけど、基本ブラコン。

 

 

 兵藤誠 通称・マコト、またはマコ兄。

 

 種族・人間(超越完了)

 能力・複数能力保持者。

 

 備考・孤独に生き続けて自ら消滅し、全く違う過去へと生かされてる元・兵藤一誠にて破壊の龍帝。

 自分と違って性格が腐ら無かったイッセーの安全安心の為には、種族単位でぶち壊すのも躊躇わない危険なブラコン化完了。

 

 

「明日何か言われたりするかな?」

 

「さぁな……ま、何かあるだろうな」

 

 

 

 

 マコ兄はどうやら悪魔がそんなに好きじゃないらしい。いや、悪魔を好き好むというのもおかしな話かもしれないけど。

 

 思い返してみれば確かに兄ちゃんってのは、学園で俺を含めて他の生徒達がグレモリー先輩達とオマケのイケメン野郎を見てイケメンに野次飛ばしたり、美少女揃いの面子にひゅーひゅー騒いだりとしてる中、一人兄ちゃんだけは心底冷めた目で見るよう事が多い。

 

 そのせいで女子に嫌われてる俺とは違い、男女関係なく微妙に嫌われてるのだけど、兄ちゃんってのはそんなの全く気にしないタイプなので、ますます嫌われてしまう。

 

 まあ、最近は俺の伝で元浜と松田って同志二人とはそれなりに話しもする感じだけどね。

 

 

「……。まあ、お前の自由だし、恐らく明日にでも奴等から接触がある。

その際、奴等の戯言に対してどう思うか、どうしたいかはお前の自由だ。

もし話しを聞いて、奴等が勧誘したりしても……選ぶのはお前だ」

 

「…………って言ってる割りには兄ちゃんは嫌そうなんだけど」

 

「実際は嫌だしな。

もしお前が悪魔に転生するなんて事になったら、俺は暫く真面目に不安になる」

 

「そこまで? そもそも俺なんか勧誘なんてすると思わないけどな……」

 

「いやする。

前にも言ったがお前の持つその力――神器(セイグリッドギア)は、奴等にとっても価値があるからな……」

 

「ふーん、この籠手がねー……」

 

 

 でまぁ話を戻すと、兄ちゃん的には如何に美人やら可愛い見た目でも悪魔ならあまり信用しない方が良いとの事らしい。

 言われてみれば確かに、一般的に知られる悪魔像ってのはあんまり良い印象なんて無いし、こうまで兄ちゃんに悪魔は駄目だと言われると無視なんて出来ない話しでもある。

 

 とはいえ、悪魔……というか、オカルト研究部の人達って、美人または可愛い子しか居ないんだよなぁ。

 一人イケメンが居て余計だけどさ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんてのがレイナーレって堕天使とのやり取りで色々知ったその直ぐ夜での話。

 悪魔は総じて信用するなとまでハッキリ言いきった兄ちゃんの言葉全部を信じるというのも流石にアレなので、取り敢えず何時もの様に纏まってそこら辺を歩くグレモリー先輩以下オカルト研究部の人達を元浜や松田達と眺めてみた訳だが……うーん、目が覚める程に素晴らしいね。色々と。

 

 

「お前夕麻ちゃんとはどうだったんだよ?」

 

「おう、軽く幻滅されて振られちまった」

 

「え? ……………あ、悪い。流石にバカに出来ねぇや」

 

 

 その際皆から夕麻ちゃん……いやレイナーレさんの話を振られ、堕天使でしたなんて言えない俺は、普段の行いから無難な理由を付けて振られたと返しておく。

 その際、微妙に皆から同情された様な気がしたけど、別に悲しくなんか無いんだからね!

 

 

「………」

 

 

 ちなみに兄ちゃんは、皆して悠然と歩くオカルト研究部員を見てる中、一人全然興味無さそうに漫画なんて読んでいた。しかもジャンルが少女漫画。

 

 

「こんな漫画があったなんてな……『前』は全く気づかなかった。げげげ……やはり新しい……」

 

 

 たださ、兄ちゃんにとってツボに入る内容の少女漫画だったのは分かるけど、だからってそんな悪い顔して笑ったら変な奴に思われるよ……。

 ほら、漫画読んでる兄ちゃんに気付いた何人かが引いた顔してるし……。

 

 

「……イッセーは分かりやすいが、何でマコトってのはああも分かりにくいという奴なんだ」

 

「オカルト研究部達より少女漫画て……」

 

 

 なんてボソッと言ってる元浜と松田に対して俺はフォローがちょっと出来ない。

 だってまさか兄ちゃんがマジな意味であの人達が嫌いなんて言ったら、兄ちゃんが悪者にされちまう。

 そんなの言える訳が無いよ……。

 

 

 

 マコトとイッセー。

 似てるけど中身が変に違う双子の兄弟として学園ではそこそこ有名だったりする。

 例え話、イッセーの悪ふざけには割りとノリノリ……でも顔には出さずに付き合う癖に、一定の美少女を目の前にすると全然反応が異なる。

 そう、リアス・グレモリー達を前にすると如実に。

 

 

「兵藤一誠君と兵藤誠君だね?

リアス・グレモリーの使いで来たのだけど、よければこれから一緒に来てくれるかな?」

 

「わぉ」

 

「……………」

 

 

 寧ろ嫌ってる様にも見える程。

 だから誠は彼女達のファンから微妙にヘイトを買ってたりするのだが、そんな事なぞ知らないそのオカルト研究部の部長に命じられて二人のクラスにやって来た、美男子部員の木場祐斗に、女子達が黄色い声を出している中、何故か「あ、やっぱり」といった顔のイッセーと、心の底から冷めた顔をするマコトにちょっと戸惑う。

 

 

「昨日の今日で本当に来たよ。スゲーよ、兄ちゃんの言ってた通りだ」

 

「だろ」

 

「……。なるほどね、少しは僕たちの事を知ってそうなら話しは早い。その昨日の事について部長がお話ししたいと言ってる。

だから来てくれないか?」

 

「あー……どうする兄ちゃん? 正直話してた方が色々と良いような……」

 

「決めるのはお前で、俺は只の付き添いだ」

 

「おっけー おい木場、行くから案内よろしくな?」

 

 

 まるで見透かされてる様な双子の態度に内心少しだけ警戒する木場だが、そうとは知らないのか、マイペースに案内宜しくと言ってきたイッセーに『じゃあ付いてきてと』二人を先導する。

 その途中、何人かの女子が三人を指しながら何かを言っていたのだが、三人は多分知らない方が良いのかもしれない。

 

 

「こっちだ」

 

「あ、噂に聞いてたけど、本当に旧校舎なんだな」

 

「………」

 

 

 こうして木場に案内されるがままにやって来たのは、今は全く使われなくなった駒王学園旧校舎。

 普段絶対に立ち寄る事も無かった旧校舎へと案内されたイッセーは、聞いていた通りだとぼんやりした声で感想を呟き、マコトは更に冷めた顔をしてたりと双子でありつつ真逆の反応をする中、旧校舎の中を進んでいくと……。

 

 

「ここが僕たちの部室だよ」

 

「おぉ」

 

「……………」

 

 

 辿り着いたオカルト研究部の部室の扉の前で一旦止まった木場に、イッセーは新鮮なモノを見るように感心した声を、マコトはどこまでも氷点下な顔だった。

 

 

「部長、お二人をつれてきました」

 

 

 そして漸く……マコトにとっては約数万年振りになるかもしれない忌々しいオカルト研究部の部室の扉が開けられた。

 

 

「…………」

 

「お、おぉー……オカルちっくぅ~」

 

 

 初めて訪れたイッセーは、内装のアレさに変なリアクション、そしてマコトは今すぐにでもぶち壊してやりたい憎悪を心の奥底に秘めさせながら一歩足を踏み入れる。

 そして内装に変なリアクションをしてたイッセーの目に飛び込んできたのは……。

 

 

「昨日振りね兵藤一誠君に、兵藤誠君」

 

 

 黒髪を後ろに束ねるタレ目気味な美少女を横に、目立つ紅髪を持つ美少女が悠然とした態度で二人を迎える。

 オカルト研究部部長、リアス・グレモリー

 副部長・姫島朱乃。

 二人を案内した平部員・木場祐斗。

 同じく平部員・塔城小猫。

 

 

「私達オカルト研究部は貴方達を歓迎するわ」

 

 

 イッセーにとっては憧れの。マコトにとっては世界が変わろうとも殺意しか沸いてこない面子との対面が果たしてどうなるのか。

 それを知るのは未来のみである。

 

 

「さて早速だけど、兵藤一誠君……ふむ、イッセーと呼んで良いかしら?」

 

「へ? あぁ……はい、どうぞお好きに」

 

「ありがとう、じゃあそっちはマコトとでも――」

 

「……………」

 

 

 リアスに促される形でソファに座るイッセーと、ちょっと遅れてマコト。

 早速リアスの問いに対してガン無視しており、若干顔をしかめるリアス達にハラハラするイッセーは、慌てて話を切り替える。

 

 

「えーっと、それで話というのは?」

 

 

 悪魔は信用してないマコトに絡んでしまったら間違いなくヤバイとイッセーがわざとらしく声を大きめにリアスに対して用件を問う。

 それが功を奏したのか、マコトへ向けられた意識がイッセーへと切り替えたリアスが、隣に立つ学園二大お姉様の片割れである姫島朱乃に小さく何かを告げ、一枚の写真をテーブルの上に置いた。

 

 

「この写真の相手に見覚えがあるでしょ?」

 

 

 イッセーとマコトにも見えるように写真を置いたリアス。

 

 

「あ、この人昨日の……そう、レイナーレって堕天使!」

 

「………」

 

 

 写真に写るは長い黒髪の……というか昨日イッセーがデートした相手、堕天使のレイナーレが天野夕麻に化けてた姿であった。

 その写真を見て思わずといった様子で堕天使の方の名前をイッセーがさん付けして声に出したので、リアス達の表情が若干訝しげになる。

 

 

「名前を知ってるの?」

 

「え、はい。昨日名乗られたんで……な、兄ちゃん?」

 

「…………」

 

 

 イッセーの答えに対してだけ、無言ながら軽く頷くマコト。

 

 

「そう、でもアナタ……イッセーは彼女に殺されかけたわね?」

 

「ま、まあ……騙されてショックでした」

 

「でも怪我はしてないみたいだけど……?」

 

「それはまあ……ちょうど何かに気付いてどっか行っちゃったからとしか……」

 

 

 想像していたよりも尋問されてる感が半端ない……と、内心残念に思いつつスラスラとあった事を話すイッセー。

 もうちょっとこう、和気藹々さがイッセーはご所望だった様だ。

 

 

「なるほど、じゃあ質問を変えるわ。

アナタが何故この女に殺されそうになったのかは知ってるの?」

 

「えーっと………あれ、何でだ? 何でだっけ兄ちゃん?」

 

「…………………神器(セイグリッドギア)

 

『!?』

 

 

 どうして狙われたのかというリアスの質問に対し、身に覚えの無い様子でイッセーがマコトに振り、それに対してマコトが心底嫌そうに小さく呟く神器の言葉に全員が目を見開く。

 

 

「あ、それかぁ。やっぱりデートは嘘だっんだね……」

 

「ちょっと待った。今アナタ、神器って言葉を出したけど、アナタ達は神器を知ってるの?」

 

 

 堕天使から無傷で生還してる時点で、まるで無知と踏んでいた訳では無かったが、まさか神器の存在についてこうも当たり前の様に口に出した二人にリアスが食い入る様にして二人に問いかける。

 

 

「一応……兄ちゃんは無いみたいですけど、俺は何かあるっぽくて」

 

「……………」

 

「……。じゃあ今此処で呼び出せる?」

 

 

 その問いに対してマコトがまたしても無視する中、イッセーが答える。知っていると。そして自分にはあると。

 その瞬間、リアスの目が若干光りを帯ながらコントロールの有無を聞いてきたので……。

 

 

「あ、はい」

 

 

 極々当たり前の様にイッセーはその左腕に神器の力を生成させた。

 

 

「驚いたわね。呼び出せるだけのコントロールが出来るなんて……龍の手かしら?」

 

 

 左腕に現れるそれを見て驚くリアス達がしげしげと眺めて神器の種類を予想するが、イッセーは首を横に振りながら違うと話す。

 

 

赤龍帝の籠手(ブーステッドギア)……でしたっけ? そんな名前っす」

 

『!?』

 

「何ですって!?」

 

「……。(一誠、それは言い過ぎだ)」

 

 

 シレッと答えたイッセーに今度こそリアス達は驚愕した。

 赤龍帝の籠手……二天龍の片割れが封じられた神器の中でも最上位に位置する神滅具の一つ。

 そんなレアの中でも取り分け強力な力を持つと言われもすれば、リアス達とて驚かない訳が無く、最早マコトは只のオマケと見なしてイッセーに注目を集める。

 

 

「何時から自覚してたの?」

 

「えーっと、ちっちゃい頃、テレビの前で兄ちゃんとドラゴン波の真似してたら何か出てきまして……」

 

「ドラゴン波?」

 

「え、ドラゴン波知りません? ドラゴソボールも?」

 

 

 事もなさげに答えるイッセーと、更に不機嫌そうな顔をしてるマコト。

 マコトは置いておくにしても、堕天使に狙われた人間が思わぬ才能を持っていた事にやっと気付いたリアスは、マコトはともかくイッセーをこのままにして置く訳にはいかないと、とある提案を出す。

 

 

「アナタ、私達の仲間にならない? そう、悪魔として」

 

 

 これが地雷であったと知るのに、さほど時間が掛からないとこの時は知らずに。

 

 

「え?」

 

「ええ、昨日の女とのやり取りで大体予想は付いてるでしょう? 女が人間では無いことを」

 

「そりゃまぁ……」

 

 

 仲間にならないか? というリアスの言葉にイッセーは顔をしかめる。

 敢えて一定の力を持ってますと出した瞬間、もう勧誘までしてきた……そう、兄の言葉通りだったと。

 

 

「あの女は堕天使、私達の天敵。

そして私達は実は悪魔なの」

 

「………」

 

 

 余りにもマコトの予想通り過ぎる。

 改めて兄に対して妙な尊敬心を抱くイッセーは、リアスを筆頭にその場から悪魔の羽を背に広げる部員達を見ながら、さてどうしようかと考える。

 

 

「そして私達は仲間を増やせる。アナタの持つ神器を狙ってあの堕天使がまた来る事を考えれば、私達の仲間になればアナタを守る事ができるわ」

 

「はぁ……」

 

 

 ぶっちゃけ超胡散臭い。

 マコトの言葉による先入観のせいもあるが、力を見せた瞬間に間髪入れずに勧誘する時点で、自分達に力を貸せよと言われてる気しかしない。

 

 それでもイケメンアンチクショウの木場を除けばイッセー好みの美少女達の仲間になれるというのには魅力だとは思うが……。

 

 

 

「どう? ついでにお兄さんも一緒に仲間にできるけど?」

 

「………………は?」

 

「…………」

 

 

 先程からめちゃ不機嫌なマコトをついで呼ばわりしたのが、イッセーにとって何よりの地雷であり、それまで割りと穏和な雰囲気を出していたイッセーの顔つきが変化する。

 

 

「今、兄ちゃんをついでって言いました?」

 

「え?」

 

 

 そこを突っ込まれると思わなかったのか、急に真顔になったイッセーに言われたリアスはちょっと面を食らう。

 勿論、木場、姫島、塔城の三人もだ。

 

 

「だから、今兄ちゃんをついでって言いましたよね?」

 

「えっと……いえ、ごめんなさい私の失言だったわね」

 

 

 その静かな、有無を言わせない微妙な迫力に圧されてしまったリアスは、己の言動に謝罪する。

 

 

「ついでと兄が言われて怒らない弟が居ないと思わないで欲しいんですけど」

 

「そうね……私の落ち度だったわ」

 

「次言ったら流石に先輩だろうと許しませんので」

 

「ええ……ごめんなさい」

 

 

 完全な地雷だった。

 イッセーは基本的にマコト大好きブラコンだ。

 そしてマコトに関しての事のみ異様に沸点が低かった。

 マコトに落ち度があると思えば怒りはしないものの、今リアスは明らかに自分のついでにマコトを仲間にしてやると上からモノを言ってきた。

 リアスが今謝罪したから矛を納めたものの、無かったらそのまま帰るつもりだった一誠は、取り敢えずソファに座り直事で張り詰めた空気は何とか平行に戻るのであった。

 

 

 

 

 ……。気付いてないのでしょうか? だとしたら私は寂しいですよ先輩。

 アナタを見付けた時、私は完璧にアナタである事を確信したのに。

 

 

「あの……」

 

「? どうしたの小猫?」

 

 

 先輩は悪魔を嫌っている。

 それは多分今の態度を見てもあんまり変わってないと思う。

 私とて転生悪魔になるつもりは無かったのだけど、『部長に拾われて悪魔に転生したその瞬間』に全てを思い出してしまったので、仕方なくこの生活を送っていた訳で……。

 一応、この身であれば先輩が先輩である事を探れるし……何時でも駒なんて否定して元の種族に戻れますからね。

 

 ちなみに姉の黒歌とは離れ離れになった後特に何もせずに放置してます。あの人は適当に生きててもその内会うでしょうし……私にとって大切なのは『先輩』もこの世界に居るのかどうかなのです。

 

 だから――

 

 

「マコト先輩……ですよね?」

 

「ん、おい兄ちゃん……小猫ちゃんが兄ちゃんに何か言いたいみたいだぞ? つーか、良いなぁ兄ちゃん……」

 

「…………」

 

 

 本物かどうか……今から確かめさせてください。そして私が私である事も気付いて?

 

 

「やっぱりお前か白音……」

 

 

 そう思い、先輩の顔をジーッと見つめると、イッセー――いや、マコト先輩は私を見て小さく何かを確信した様子で、私の真名を声に出して呼んでくれた。

 

 

「……。マコト君、何故アナタが小猫の本名を知ってるのかしら?」

 

 

 ………。先輩ったら意地悪ですね。それとも私を焦らしておねだりさせたかったからですか? ふふ、気付いていながらに知らんぷりなんて……あぁ、お腹がきゅんきゅんしちゃいますよ……あはは。

 

 部長が怪しむ顔して先輩を睨んでいますが、もうそんなのどうでも良い。

 私はただ本能的に白音と呼んでくれた本物の先輩に飛び付き、この世界のイッセー先輩や部長が驚愕するのも気にしないで先輩を感じる。

 

 

「ワッツ!?」

 

「な、何をしてるの小猫!?」

 

 

 先輩、先輩……名前が変わっても変わらない私の先輩。

 このぬくもり、匂い……全部が私の知る『イッセー先輩』で間違いない。

 

 やっと触れ合えた……あはは、これからはずっと先輩の傍らに……。

 

 

 

「昔の知り合い……ってだけだ」

 

「そ、そうなの!? いいなー兄ちゃん」

 

「ず、随分とその……お熱い感じね……?」

 

「…………。否定は出来ないかもしれない」

 

 

 大好きな先輩……。

 




補足

多分ツインズと違って、白音たんとイチャイチャしてるだけでそんな害は無いと思う。

強いて言うなら、弟イッセーが原作通りハーレム王……というより、素敵な恋人を求めて頑張るかな。


  で、たまにデストロイ鬼ぃちゃんとネオ白音たんが、動いて大変な損害を敵が受けてしまうとかそんな感じ
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