ツインズ・イッセー   作:超人類DX

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平和路線にしたいね


残姉ちゃんのモヤモヤ

 一誠先輩――では無く、今はマコト先輩なのですが、先輩がかつて一誠先輩として悪魔に憎悪をたぎらせていたあの時代では、両親は居ませんでした。

 

 後になって聞いた話によれば、先輩の両親は先輩の持つ異常性に嫌悪と恐怖を抱き、先輩を置いて蒸発してしまったらしい。

 

 なので意外でしたと言いますか……。

 

 

「小猫がイッセーとマコトの家にって……何時そんな事になったのよ?」

 

「昨日」

 

「色々あって先輩のご両親とお話したらそうなりました」

 

 

 先輩がご両親の言うことに基本逆らわないというのは、私にとってやっぱり意外なのでした。

 

 

 

 

 リアスの眷属になってからそれなりに時が過ぎていた。

 基本的な仕事……つまり雑用に勤しむ日々というのは、双子にしても別段不満は無く、寧ろ雑用だけやってるだけの日々の方が楽であるとすら思っていた。

 

 

「イッセーの様子?」

 

「ええ、双子で仲が良いアナタなら何か知ってるのかと思ったのだけど……」

 

「いや、別に四六時中一緒って訳じゃないんだけど……。

白音は何か気づいた事はあるか?」

 

「いえ特には。強いて言うなら最近頻繁に一人でフラフラと外に出る事が多い気がしないでもありませんね」

 

 

 そんなほのぼのとした日常を送っていたマコト達なのだが、最近イッセーの様子が少しおかしいというリアスから振られた話に、マコトと白音は特に変わってないぞと返す。

 

 

「最近イッセーが教会に近づいたって話は知ってるでしょう?」

 

「あー、そういえばありましたねー

確か道に迷っていた女の人を教会に案内したって話でしたっけ?」

 

「……」

 

 

 困った様な表情を浮かべながら話すリアスに白音がポンと手を叩きながら思い出すかの様に呟く。

 

 リアスの言った通り、最近……つまりつい二日程前、イッセーが悪魔に転生した身で町外れの教会に近づいたという事があった。

 

 その理由というのが、今白音が呟いた通り、教会を目的地とした外国人のシスターが道も聞けずに困っていた所を転生悪魔となる事で言語の壁を克服したイッセーが通りかかり、話をしている内に流れで案内する事になった……というものであった。

 

 

「しかしそれって、リアス部長がイッセー先輩に注意をして終わった事じゃないんですか?」

 

「その筈だったのだけど、どうやらあの後もそのシスターの子と会ってるみたいなのよ」

 

 

 再び困った様に話すリアスにマコトと白音は、何でリアスが気にしているのかを察して目を細める。

 

 シスターと教会。それはつまり悪魔では無い別勢力が管理下に措いている施設と人材であり、悪魔であるイッセーがその別勢力の存在と仲を深めるのは少しばかり厄介な事になってしまう恐れがある。

 

 だからこそリアスは二度と教会に近付くなとイッセーに忠告をしたのだが、どうも話の様子からしてイッセーはそのシスターと頻繁に会っている。

 

 

「けど意外ね、イッセーがマコトに話さなかったなんて」

 

「双子だからって互いの事を全部話すって訳じゃないだろ……」

 

「……」

 

 

 本来ならそんな話等もイッセーからマコトに話したりする筈なのだが、今の今まで聞いてなかった。

 ぶっちゃければ、イッセーがそのシスターと仲良くなるというのであればマコトとしても反対なんてものは無い。

 悪魔達がそれを良しとしないらしいが、それでもイッセーがどうしてもと言うのなら、兄らしい事なんて一切やれてない自分としては『一肌脱いで』やる事も吝かじゃない。

 

 

「しかしシスター……ねぇ?」

 

「本当に何も知らないの?」

 

「そのシスターって人の顔すらまだ見てませんからね。私も先輩も」

 

 

 それよりも気になるのは、そのシスターについてだ。

 最早数えるのも無謀になる程の過去になるが、己が『一誠』として生きていた頃は、そのシスターなる存在は居なかったと記憶している。

 それは恐らく白音も同じであり、イッセーの何気ない一言に対し、リアスには分からない様に目で何かを伝えようとしている。

 

 つまり一誠=マコトが会うことが無かった人物なのだ。

 

 

「…………」

 

 

 ぶっちゃけると、物凄く気になる。

 記憶に無い存在なので人柄も分からないが、少なくともイッセーが普通に会っているという事を考えれば、悪い人柄では無いのだろう。

 しかしながら、それでもやっぱりマコトとしては心配になってしまう。

 

 基本的にマコトは他人を信用しない性格なのだ。

 

 

「……」

 

 

 だが直接問い質しても、逆に鬱陶しいと思われてしまってはマコトとしても結構な精神的ダメージになってしまうと、弟のイッセーに対して微妙弱気な事を考えていたマコトは、取り敢えずイッセーを遠くから付け回す――じゃなくて、観察する事に決め、リアスには『そのシスターがどんな人物か見て、危険そうなら黙らせる』と尤もらしい事を言って部室を離れた。

 

 

「心配性なお兄さんですね?」

 

「茶化すな。行くぞ」

 

「はーい」

 

 

 『この手』に於てはプロフェッショナルとも言える白音を連れて……。

 

 

 

 

 

 感知と対幻術に於いては先輩曰く、私の方が上というお墨付きを貰ったのは五十年位前だったでしょうか。

 この世界に白音として微妙に道の違う人生をやり直してる今でも、記憶と力を取り戻してからの私は、かつて一誠先輩と出会う前は恐れていた力も習得・昇華させる事で進化を続けている。

 

 

「ええっ!? 白音は仙術が使えるの!?」

 

「姉様のを見てましたし、リアス部長の元に落ち着いてから自分なりにですが、習得しました」

 

「そう、なんだ……」

 

 

 元々は姉様――といっても、スキルを持っていた方ですが、そっちの姉様を見てたので基礎的な事は独学で覚えていた。

 

 

「折角教えられると思ったのに……」

 

「いや、多分姉様の仙術とは色々と違うかと」

 

「へ? それはどういう――」

 

 

 それを一誠先輩に一度『肉塊(アイシテ)』貰った際に至った領域により、更に研ぎ澄ませ、今じゃ姉様の使う仙術とは別領域とも言っても良い。

 軽く目を閉じ、この星に存在する大気を含めて伝う『自然と生命エネルギー』を身に取り込む事で発動する私の仙術。

 

 

 

「六道・白音モード」

 

 

 名を六道の仙術。

 文字通り自然の力を取り込み、精神のエネルギーに加えて発動させる私の仙術は姉様の仙術とは根底から違う。

 

 

「………………え?」

 

 

 大元は多分姉様と似てるのでしょうが、私のこの仙術はハッキリ言ってしまえば、神の域を冒すとも言われる領域……らしいです。

 というのも、この力に至った時に夢? と思われる場所で出会った厳格そうなおじいさんにこの力について教えて貰ったものですので、薄い紫色をした波紋の様な瞳をしたおじいさんから聞かないと理屈はイマイチ分からないんですね。

 いえ、まぁ……そのおじいさん曰く『完璧に使えてる』らしいんで深くは考えませんけど。

 

 

「おっと、極限までセーブしないと格好まで変わっちゃうんでこの辺に留めましょうか」

 

 

 なので、先輩の家でのんびりやってる姉様を引っ張り出し、イッセー先輩の事を吹き込み、尾行する話をしつつ、マコト先輩に頼まれて姉様の前でこの仙術を見せたら案の定唖然とされてしまった。

 

 

「え、え? お姉ちゃん知らないんだけど? なにそれ?」

 

「…………仙術?」

 

「いやいやいやいや! それ仙術の域越えてるよ!? なにその隈取り!? というか半端無い力を感じるんだけど!?」

 

 

 軽くの仙術状態ですが、姉様は驚いてしまってるみたいですね。

 言われた通りこの状態になると目の周りに変な隈取り模様が浮かんでくるんですよね……。

 

 

「姉様は出来ないんですか?」

 

 

 取り敢えずイッセー先輩を尾行する気満々なマコト先輩を横に、すっとぼけながら私は姉様に聞いてみるが、当たり前の様に否定されてしまった。

 

 

「無理無理無理! そんな膨大すぎる仙術なんて練ったらパンクしちゃうにゃ!」

 

「そうなんですか……?」

 

「うん、でも凄いよ白音! お姉ちゃんより凄いなんて思わずスリスリしたくなるにゃん!」

 

 

 しかしこの時代の姉様ってアホなので、怖がられるよりも歓喜された顔で飛び掛かって抱き着かれてしまった。

 …………。アホで良かったとこの時だけは本気で安堵した。

 

 

「白音、見つけたか?」

 

「あ、はい……。この二キロ程先にイッセー先輩と別の人の気配を掴みました」

 

「よし、行くぞ」

 

 

 そんなこんなで、使わないと鈍ると思ってわざわざこの状態を見せたけど、姉様がアホっぽかったお陰で怖がられる事も無く、無事先輩と例のシスターと思われる気配を感知し、マコト先輩を先頭に私は飛び付いてくる姉様を避けながら尾行を開始するのでした。

 

 随分と話は逸れましたが、今回のこの尾行は私と先輩が全く身に覚えの無いシスターなる人がどんな存在なのかを探る為であるのと……。

 

 

「本当にシスターっぽいな……服装が」

 

「そうですね……。しかしやはり『覚え』が無いですねあの人」

 

「…………」

 

 

 感知によって即座に見つけ出したイッセー先輩。

 そしてイッセー先輩と『楽しげ』にファミレスで談笑してるシスターとの様子を姉様に見せ、果たしてどんなリアクションなのかを確かめる為というのも含まれてます。

 

 この前を境に黒歌姉様と私はマコト先輩とイッセー先輩の実家に厄介になる事になった訳ですが、どうもこの世界のイッセー先輩と黒歌姉様は、時期が時期だったせいか、妙に馬が合うと言いますか……。

 

 

「結構楽しそうですね姉様?」

 

「そーだね」

 

「金髪緑眼ね……まあ、悪くはねーな」

 

「そーだね、可愛いんじゃないの?」

 

 

 あー……まあ、馬が合うせいで、何と言いますか、やはり予想した通り、口ではどうでも良さげにしてますが、その顔は『面白くない』って様子でした。

 

 

「良いんじゃないの? イッセーがあの子と仲良くしてようが」

 

「まあ、一々口出すするのは無粋ですが、立場上そうもいかないんですよ。それは姉様も経験してますよね?」

 

「そりゃそうだけど、だからと云ってわざわざ後を付けるのはどうかと思うにゃん」

 

「そのコメントに対して突っ込みをしたい所だが、ならこのまま帰るか?」

 

「………………………………」

 

 

 マコト先輩の言葉に対し、返す事はせずともジーっとファミレスの中で楽しそうに談笑してるイッセー先輩を見つめてる黒歌姉様。

 明らかに帰るつもりが見受けられない。

 

 

「やっぱり気になりますか? イッセー先輩のこと」

 

「は、はぁ!? べ、べっつにー? アイツが誰と楽しくしてようが知らないにゃん!

た、ただホラ……アイツはスケベだからあのシスターにセクハラしないかと思って……」

 

 

 私と違って素直じゃないですね姉様は。

 まあ、声が上ずってる時点で丸分かりなんですけどね。

 

 

「ぐぬぬ……おいシスター……ソイツはいっつも胸の事しか考えてない変態にゃ。

だから早いとこそれに気付けぇぇ……!」

 

 

 ふふ、これはイッセー先輩が帰ってきたら楽しくなりそうです。

 

 

 

 

 

 ひょんな事から知り合いになったシスター見習いの女の子。

 名前はアーシア・アルジェントという子なんだけど、外国人で、しかも日本語も儘ならないままこの町に派遣されたというのもあって色々と不便を感じてるだろうと、出会って道案内の延長で手助けできる範囲の事を何と無くしている。

 

 リアス部長に二度と教会に近づくなと昨日怒られたばかりだが、要は教会に近付きさえしなければ問題無い……なんて屁理屈を自分の中で作ってしまってる辺り、俺も中々悪い男だ。

 

 

「じゃあなアーシア」

 

「はい……あの、また会えますか?」

 

「おう、この町に居る限りは何度でも会えるぜ」

 

 

 今日は町を案内したり、何か食ったりと中々に楽しく手助けが出来て満足な気分でアーシアと別れた俺は、鼻歌混じりで家に帰る。

 

 今度会ったら兄ちゃんや小猫ちゃん……そして黒歌にこっそり会わせようかな……とか考えつつ、家に入ると……。

 

 

「ただいまー」

 

「おう」

 

「おかえりなさいイッセー先輩」

 

「…………ふん!」

 

 

 父さんはまだ仕事から帰ってきてない。

 母さんは多分夕飯の買い物とご近所のマダムとの立ち話で家に居らず、入って直ぐのリビングにてくつろいでいた兄ちゃんと小猫ちゃんと黒歌に挨拶をしたのだけど、兄ちゃんと小猫ちゃんは普通に返してくれたのに、何でか黒歌はソファをひとつ占拠して横になりながら不機嫌な態度を見せてきた。

 

 

「え、何だよ?」

 

 

 帰ってくるなりいきなり不機嫌な顔をされる覚えも………いや、まああるにはあるかもしれないが、それでも今朝のアレだって普通に気にしてないと言われたし、だったら何で黒歌はこんな不機嫌なんだと思った俺は、クッションを煎餅にしちゃう程にさば折りしてる黒歌に話し掛けてみる。

 

 

「別になんでもない」

 

 

 ふんとそっぽ向きながら何でもないと言われてしまうが、そんな態度で何でも無くない事ぐらい俺でもわかる。

 

 

「いやいやいや、そんな不機嫌に何でもない訳は無いだろ。兄ちゃんと小猫ちゃんは何か知らない?」

 

「……。イッセーお前、あのシスターっぽい女と今日も会ったのか?」

 

「へ? な、何で兄ちゃんが知って―――いや、うん……会ったよ。

でもリアス部長は『教会に近付くな』って言っただけでアーシアと会うなとは言ってな――」

 

「大丈夫ですよイッセー先輩。別にマコト先輩はそういう事を言ってる訳じゃ無いので。

先輩が言いたいのは……」

 

 

 少女漫画を読む兄ちゃんに身を寄せてそう言った小猫の視線が俺から横でふて寝してた黒歌に向けられる。

 その視線を追った俺は、黒歌にも知られたのかと理解する。

 

 

「え、黒歌も見たのかよ? 何だ、だったら来てくれれば良かったのに」

 

 

 どうやら三人は今日の事を見ていたらしい。

 俺としてはそれならそれで、見てるだけじゃなくて顔を出してくれれば良かったと、軽い調子で言ったつもりだったのだが……。

 

 

「へー? 新しいセクハラ対象者として紹介でもしてくれたわけ?」

 

 

 クッションに顔を埋めていた黒歌が少しその不機嫌全開な顔を覗かせ、俺を睨みながら意味わからん事を言ってきた。

 

 

「セクハラて……俺別にそんな事しないんだけど。てかシスターにんな事したらヤバイだろ流石に。てか何さっきから怒ってんだよ?」

 

「べっつにー!? 私に飽きたらず、シスターの子にまでセクハラ噛ますなんて、とんだ性欲男だなとか思っただけどー?」

 

「だからそんな事しないっての! い、いや……お前にしてみれば信用できないかもだけど……」

 

「当たり前よ! あんな辱しめをしておいて信用しろなんて無理にゃん!」

 

 

 クッションを投げ付けながら『うー……!』と唸りながら睨まれても―――あれ? 何だ、可愛いぞ?

 

 ……じゃなくて、確かに出会ってから今まで俺は黒歌にその手の事に対しての信用を一切回復してないどころか、地層突き抜ける勢いで落としてるからな俺。

 これは黒歌に何も言い返せない。

 

 

「いやでもこれは本当だからな? つーかシスターの子にそんな真似したら今日だって会ったりしないっつーか、寧ろ二度と顔見せるなとか言われるだろ?」

 

「ふんどーだか! でも別に私はイッセーがどこぞの女とそんな関係になろうと知らないけど!」

 

 

 兄ちゃんと小猫ちゃんからのフォローは、さっきから無言で見守ってる辺り『自分で解決しろ』って事だから当てに出来ない。

 結局この日の俺は黒歌の機嫌を何故か直す事に専念させられるのだった。

 

 

 あ、あと母さんに黒歌が告げ口しやがったせいで何故かめっちゃ怒られた。

 

 

 

 

 イッセーに八つ当たり気味に怒った黒歌だが、その実内心では戸惑っていた。

 

 

(うー……なんでイッセーがあのシスターの子と楽しそうにしてるのを見てムカムカするんだろ?)

 

 

 つい抑えられずイッセーに八つ当たりしてしまったが、考えてみたら宿無しの自分に親に怒られてまで寝床を与えてくれた相手に八つ当たりするのはあまりにも不義理な気がすると、すやすや眠るイッセーを横にちょっぴり罪悪感に苛まれる黒歌。

 

 確かにイッセーの言うとおり、本当にあのシスターに対してセクハラは行ってないのだろう。

 でなければあんなにあのアーシアなるシスターが楽しそうは笑顔をイッセーに向けやしない。

 

 しかしだからこそ黒歌はそれが気にくわなかった。

 イッセーがそのシスターに親切にしているのが――というよりは、楽しげな笑顔をイッセーに向けるシスター自身を。

 

 

「くかーくかー」

 

「………」

 

 

 ベッドを撤去し、四人並んで布団を敷いて眠るスタイルに固まってるせいで、自然とイッセーと隣合わせになる黒歌は、呑気に眠るイッセーを見つめる。

 

 

「…………」

 

 

 スケベで単純、自分が阻止しようとする白音とマコトの仲を認めて自分の邪魔ばかりする奴。

 しかし同時に白音との仲を修復する手伝いをしてくれたりもしたばかりか、本当は自分が図々しくしただけなのに、両親に怒られるのを覚悟で真実をねじ曲げ、自分が好みと思ったから連れ込んだとまで言い張り、この家に住まわせてくれた。

 

 聞き分けが無いくせに自分を庇うもんだから、つい少しだけかっこいいと思ってしまった。

 

 だからか、黒歌は自分の他に親しくなったそのシスターが気にくわなかった。

 

 

「……」

 

 

 よくわからない感情でモヤモヤしながや暫くイッセーの寝顔を眺めていた黒歌は、背を向けて布団を被り、このまま眠って忘れようとする。

 

 

「すーすー……」

 

「すやすや……」

 

 

 だがイッセーの反対に眠るは、愛しき妹がセクハラ男の兄であるマコトに幸せそうに寄り添って眠る姿であり、黒歌は複雑過ぎる気持ちを大きくしてしまって眠れなくなってしまう。

 

 

「うー……」

 

 

 見たくないとばかりに再びイッセー側に正面を向ける黒歌はモヤモヤは未だに止まらず、小さく唸るような声を出す。

 こんなモヤモヤは今まで無かった。発情期に入ってもこれ程までにモヤモヤと晴れない気分は無かっただけに、黒歌はどうすれば良いのか分からない。

 

 

「…………」

 

「くーくー……ふへへ」

 

 

 それを知らずにだらしない顔で寝言で笑ってるイッセーが何と無くムカつく。

 というかモヤモヤが何なのかはわからないにせよ、モヤモヤさせた原因であることは何と無く分かるし、なんでこんな時に限って気の紛れそうなセクハラをしてこないんだ。

 

 そうすれば、その瞬間に叩き起こし、小競り合いをして気を紛らすのに……。

 

 

「ど、どうせセクハラしてくるんだし……」

 

 

 考えた結果、黒歌はどうせこのまま暫くしたら寝惚けてセクハラをしてくるんだからと、誰に対してなのか言い訳っぽくブツブツ言うと、スヤスヤと寝ていたイッセーにのそのそと近寄り……。

 

 

「しょうがいにゃ。どーせ何もしなくてもコイツからセクハラされるんだし……これは仕方ない事だにゃん」

 

「ん、んん……?」

 

 

 妹の白音がマコトにしているみたいに、そのまま軽くイッセーにくっついてみる。

 こうすれば勝手にイッセーがセクハラをしてくるんだと、悪いのは私じゃないと言い訳しながら……。

 

 すると案の定、寝惚けるイッセーが黒歌の方に身体を向け、黒歌の身に触れた事で、まるでセンサーの如く反応すると、そのままその身を探る様に手を伸ばして捕まえ、グイッと引き寄せて抱き枕の様に抱き締めた。

 

 

「ぁ……」

 

「んぅ……」

 

 

 その瞬間、黒歌は無意識にほんの少しだけ嬉しそうな声を出したが、その声は他の三人の寝息と共に溶けていく。

 

 

「すーすー……や、やわっこい……」

 

「んっ……! あ、あーぁ……ま、まぁたセクハラされちゃったにゃ。

あ、足まで絡み付かれて抱きつかれちゃったし、逃げられないにゃ~ だから今日のところは諦めて眠るしか無いよね? こんなスケベとなんて嫌だけど~」

 

 

 ただ普通に抱きつき、確かに黒歌の豊満な胸に顔を埋めながら心地良さそうに寝息まで立ててはいるものの、別に足を絡めて拘束なんてしてないし、更に言えば黒歌レベルなら殴り飛ばせる筈だ。

 しかし、この時の黒歌はこれまた誰に対してなのかもわからない誇張した言い訳をニヨニヨと頬を緩ませながら呟くと、そのまま自分も『寝ぼけてた』と呟きなかながら胸に顔を埋めるイッセーを優しく抱き返し、さっきまで散々悩ませたモヤモヤを消し飛ばし、そのまま目を閉じるのだった。

 

 

 

 

 

「姉様って絶対にイッセー先輩が好きですね、この期に及んで言い訳してますけど」

 

「ヴァーリ・ルシファーと一緒のイメージしか無いから違和感しか無いんだけど……」

 

「それは私も同じですけど、この世界は私たちの元の世界とは歩んだ道も違うし、こういう事もあるんじゃないですか?

ふふふ……ねぇ先輩? そんな事より私も黒歌姉様みたいにしたいな?」

 

「……。ほらよ」

 

「ん……あぁ……先輩……あは、好きぃ」

 

 

 めっちゃ見られてたことも知らずに。





補足

白音たんの仙術の元ネタは某六道仙人おじいさんです。

つーか、本人が白音たんの夢の中に現れて助言しちゃってます。

自然と己の精神の力を取り込んみ、只でさえヤバイ力を更にブーストさせる力。


段階的に力をセーブさせており……。


1…猫耳と尻尾のみ

2…それに加えて目の周りに隈取り出てくる。

3…更に綺麗な色のオーラが衣の様に全身を包む

4…衣の背に渦巻きと九つの勾玉模様が浮かび上がる

5…黒い棒と九つの勾玉が背に出現

6…黒い錫杖、九つの勾玉、夢に出てきたおじいさんみたいな衣装となり、文字通りの仙人みたいなそれになる。(ただしロリだし猫耳)


と、まあ……ある種一誠ことマコトとは表裏一体の力です。


その2

もう結婚すれば良いんじゃね? という突っ込みは……ほら、まあ、うん……
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