ツインズ・イッセー   作:超人類DX

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どこまでも悪魔には攻撃的なマコト君。


鬼ぃちゃん

 監視は思う存分して貰う。だって悪いことなんてして無いんだから。

 何を心配しているのかは知らないけど、それで勝手に納得して貰うんだったら、好きなだけ監視でも何でもしてくれて結構だ。

 兄ちゃんは『邪魔なら殺せば良い』と相変わらず悪魔さんであるグレモリー先輩達に対してかなり厳しいけど、そこはレイナーレさん達の為にお願いだよとねだって何とか抑えて貰う形にして何とかやり過ごしてれば、多分その内監視も終わるだろうとか思っているつもりだったさ。

 

 

 

「へぇ、イッセーとマコトの……」

 

「はい、是非我が部に勧誘したくて毎日アプローチを掛けているのですが、中々首を縦には振って貰えずじまいです」

 

「あらそうなの? リアスちゃんみたいな可愛い子からのお誘いなら、マコトは兎も角イッセーなら喜んで入りそうなものなのにねぇ」

 

 

 

 そう……

 

 

「あら起きたのね、イッセーとマコト。ほら、こんな朝早くからアナタ達を勧誘しに来た部活の部長さんにちゃんと挨拶しなさいよ?」

 

「おはようイッセーにマコト。お邪魔してるわ」

 

「何で家に入れたんだよ母さん」

 

「………」

 

 

 最近、休日になったら家まで来て上がり込む真似さえしなければ、このまま平和にフェードアウトすると思ったのに……。

 

 

「そんな言い方しなくても良いじゃないイッセー……。わざわざアンタとマコトを訪ねてくれたのよ?」

 

「そういう問題じゃないんだよ! 折角兄ちゃんが平和路線を考えてくれかけてたのに! これじゃ全部台無しだ!」

 

 

 見るまでも無い。多分母さんが今居なかったら、即座に兄ちゃんが木刀でも何でも手にしてグレモリー先輩を撲殺するまでズタズタにするかもしれない……。

 昔から母さんに『手が掛からなすぎて寂しい』って言われるほど大人しい兄ちゃんの方を見れないくらい怖い……。

 

 

「えっと、もしかしてマコトは気に入らない感じ……なの? お母さんやっちゃったの?」

 

「…………………」

 

「あ、あの……マコト? お母さんが悪い事しちゃった? だったら――」

 

「別に。お袋は知らんかったんだから、お袋は悪くない」

 

 

 途端に母さんが兄ちゃんの顔色を窺うように話し掛

けたお陰で、一応母さんが悪いという流れにはならずに済んだものの……。

 

 

「ねぇお袋……イッセーがコーヒーゼリー食べたいって言うから買ってきて欲しいな~ 勿論、そこの人の分も俺が後で立て替えるからさ……」

 

「! わかったわマコト! お母さん頑張って買ってくるわ!」

 

 

 不自然な程に穏やかな顔して母さんに微笑み掛けながら、然り気無く家から出る様に促してる時点でもうヤバい。

 

 

「じゃあ行ってくるわね?」

 

「あ、お母様お待ちを――」

 

「行ってら~」

 

 

 やっと意味を知ったグレモリー先輩が慌てて母さんを止めようとするが無意味。

 全く手は掛からない、何故か親父共々距離を置かれてる気がする。反抗期って訳じゃないのに会話がかなり少ない。

 

 そんな兄ちゃんからのお願い事、おねだりをされたとなれば、変な意味で調教されてる母さんが喜ばない訳がない訳で……。

 暗にパシりにされてるというのに、ものっそい嬉しそうな顔してイソイソとコーヒーゼリーを買いに出てった母さんは既に呼び止めようとしたグレモリー先輩の声なんて聞こえる筈も無く、先輩の声は虚しく溶けていく。

 

 そして――

 

 

「知ってるかクソ悪魔。

十六世紀の頃人間の貴族の間で行われた娯楽があってな、奴隷の骨を身体の端から一本ずつハンマーで砕いていくんだと。

で、砕かれていく奴隷は決まって初めは『助けてくれ』と泣きながら懇願するんだけど、最後は『殺してくれ』と言い出す――――その言葉を吐くのは果たして何本目になるのかというのを人間の貴族様方は仲良く賭けるんだって」

 

「うっ……!」

 

「で、俺から見たら今のテメーははまさにその奴隷だと思うんだけど――――どう思うんだ? あ?」

 

「い、いや……それは……」

 

 

 物凄くヤバい例え話を話ながら、鉄製の金槌を手に嗤っている兄ちゃんに、流石に察したのか、青ざめた顔して弁明しようとするグレモリー先輩。

 

 

「ち、違うの! 本当は勝手に上がり込むのは悪いと思ってたわ! け、けどどうしてももう一度話がしたくて――ひいっ!?」

 

 

 突然だが、兄ちゃんには所謂怒りゲージ的な段階が存在する。

 ゲージが溜まる度に兄ちゃんは怖い顔になるという意味では所謂、変身的なものなんだが……。

 

 

「言い訳したいなら地獄の閻魔にでもしてろ」

 

 

 今の兄ちゃんは結構イッちゃってるのかもしれない。

 口調こそ穏やかだけど、グレモリー先輩が後退りしながら怯えてる時点で、今の兄ちゃんは目の色が文字通り変化しちゃってる位キレてる。

 

 ほら、漫画とかの表現であるだろ? 人外っぽく魅せる為に瞳の白と黒の部分が反転する奴。

 兄ちゃんの場合は、スイッチが入るとそれが素で表れるんだわ。

 反転し、黒と金色のヤバい眼に……。

 

 

「イッセーに言われてるし、雑魚がどう騒ごうが所詮俺達には何も出来ねぇと思って我慢してやったさ。

けどな、人様の家にまで勝手に上がり込み、あまつさえ俺達の親に適当こいて取り入ろうとするだぁ? ―――――――今すぐ死ねやこのボケがぁ!!」

 

「ストップ兄ちゃん!」

 

「ひい!?」

 

 

 そんな状態の兄ちゃんが、全く躊躇無く逃げようと後退りするグレモリー先輩のドタマ目掛けて当たればいくら悪魔でもヤバいだろう金槌の一撃を振り下ろす。

 しかし咄嗟にそれはマズイと俺が後ろから兄ちゃんに飛び付いて抑え掛かったお陰でその金槌がグレモリー先輩の頭をグッチャリ潰しましたなんてホラーな事だけは何とか避けられたものの……。

 

 

「な、な、なによ……神器も持たない人間なのに、何でこんな怯えてるのよ……わたしは……!」

 

 

 グレモリー先輩にとっては軽くトラウマになってしまった事だけは避けられなかった。

 けど慰めたりするつもりは無い。何にせよ家にまで朝っぱらだってのに来たって事は、何か言いたいからであるからに決まってるからであるからだ。

 

 

「完全にプッツンした兄ちゃんを止められる自信は俺にありませんので、用件があるならさっさと喋った方が良いっすよ?」

 

「あ、お袋? コーヒーゼリーのついでにシャンプーとリンスが切れてたから買ってくんね? 金は出すから」

 

「――てな感じで、ウチのかーちゃんが外に出てる間に先輩を消す気満々みたいですし」

 

「ぅ……」

 

 

 大体朝から、教えても無いのに家に来てる時点で兄ちゃんじゃないけど地雷にしか思えない。

 優しくしたら付け上がるだけのカス集団……なんて兄ちゃんみたいな事は思わないけど、警戒するに越したことは無いんだ。

 だから兄ちゃんが殺人犯になる前に用だけ聞いてとっとと追い出すのが一番良いので、金槌で自分の肩をポンポン叩いてる兄ちゃんにビビってるグレモリー先輩にとっとと喋って頂く様に促す。

 

 

「い、一時的で良いから私達の仲間になってくれない?」

 

「は?」

 

 

 そんな感じで促してやった結果、どっかりとソファに座って不機嫌オーラ全開の兄ちゃんの挙動を窺いながら打ち明けてきたグレモリー先輩の言葉に、俺は予想してた様で予想外だったので、ちょっとポカンとしてしまう。

 

 

「何ですか? 一時的な仲間……?」

 

「そ、そう……一時的」

 

 

 目を泳がせながら一時的に仲間になって欲しいと言ってくるグレモリー先輩の意図が若干わからなかった。

 アレだけしつこく仲間になれと言ってきたのを俺達で突っぱねてきても尚しつこかったのに、それを譲歩したのか一時的と来た。

 兄ちゃんは不機嫌のまま黙ってるので何を考えてるのかイマイチ解らないが、取り敢えず持ってる金槌で殴り掛かる気が無いところを察するに何故かを知りたい様なので、俺がそのまま何故と問う。

 

 

「えっと、それは……」

 

 

 難しい質問をしたつもりは無いんだけど、何故かと聞いた俺に対してグレモリー先輩が何かを言いづらそうに俯き始めた。

 ていうか、今更ながらグレモリー先輩以外居ないのは何でだろうか? 何て考えながら先輩の言葉を待っていると……。

 

 

「こんな所に居ましたかリアス様」

 

 

 ちょうど今俺達の居る我が家のリビングの端から、テカテカと光る――何だっけ? 魔方陣ってのが急に出現したかと思ったら、知らない女の人の声が聞こえた。

 結構急な出来事で俺は思わずそのテカる魔方陣の方へと視線を移すのだが、グレモリー先輩の表情が急に焦りを帯びている。

 

 

「もう此所がわかったのね……」

 

 

 …………。あ、リアス様って聞こえたのは気のせいじゃないって事はグレモリー先輩の知り合いなんだ。

 しかもそれはつまり悪魔で……。

 

 

「こんな所に逃げても逃げられませんよ?」

 

 

 魔方陣から出てきたのは、銀髪で……メイド? それっぽい服装のやっぱり悪魔さんだった。

 

 

「…………………」

 

 

 全体的に見て美人だとは思うメイドの悪魔さんが、嫌そうな顔してるグレモリー先輩に向かって何かを言ってるのだが、俺達はガン無視でもされてるのか全く触れてこない。

 自分の家なのに何故かアウェー感が半端無いけど、俺が心配なのは兄ちゃんだった。

 またしても悪魔さんが家の中に入ってきたとなれば、兄ちゃんの怒りゲージも迸る事間違いないという意味で心配なんだけど……。

 

 

「何故この様な人間の元に居るのですか?」

 

「……。二人は只の人間じゃないわグレイフィア」

 

「だとしても、眷属でも無い人間にリアス様は何を話されるつもりですか」

 

「…………」

 

 

 いやさ、言い争うなら外でやってくんないかな。

 俺達には関係の無い場所で思う存分やる分には誰も文句なんて無いし。

 てか、さっきからナチュラルに見下されてる気がするんだけど……。

 

 

「帰りますよリアス様。こんな場所に居ても解決なんてしません」

 

「くっ……」

 

 

 挙げ句の果てには父ちゃんがあくせく働いて買ったマイホームをこんな所呼ばわりしてくれて本当光栄だね……。

 いやホントさ……。

 

 

「帰――がっ!?」

 

「…………ごちゃごちゃうるせーぞ? ゴミ共がぁ……!」

 

 

 もう、どうして悪魔さんは悉く兄ちゃんの琴線に触れるんだよ……。

 

 

「グ、グレイフィア!? ちょ、マコト! 何して――ひっ!?」

 

 

 黙ってた兄ちゃんが、こんな所呼ばわりした――えっと、グレイフィアって悪魔さんの言葉を聞いた瞬間、一瞬で座ってた体勢から移動してメイドの悪魔さんの首を容赦なく締め上げながら……あ、やべ、額から角が生えてる幻想が見えるくらいキレてる。

 多分それをグレモリー先輩も幻視したのだろう、兄ちゃんの顔を見るなりまた悲鳴を上げて腰が抜けた様だ。

 

 

「が……がぁ……!」

 

「さっきからウチの親父が必死こいてキャッシュで買った家をこんな所呼ばわりしてくれて実に愉快だぜ? 思わずぶっ殺してやりたくなるくらいによ……!」

 

「ぎ、ぎぃ……ぎぎ……!!」

 

 

 鬼みたいな形相でグレイフィアって悪魔さんを締め上げ、今にも首の骨をへし折ろうとする勢いの兄ちゃんがこれ以上無く嗤っている。

 

 

「兄ちゃん!」

 

 

 マズイと悟った俺は直ぐに止めさせようと兄ちゃんに呼び掛ける。

 別にこの締め上げられてる悪魔さんを助けるとかそんな理由じゃないが、レイナーレさん達の事を考えると殺してしまったらマズイ。

 その為に兄ちゃんに我慢して貰うってのも、少しばかり気が引けてしまうが、兄ちゃんが殺人犯のレッテル張られてしまう事を思えば止めて然る話なのだ。

 

 

「兄ちゃんが殺るのは簡単だけど、その一線越えるときは俺と一緒にって約束じゃないか! 一人で突っ走るのは頼むから止めてくれよ!」

 

「………」

 

 

 もし悪魔達がレイナーレさん達に何かするなら、その時は俺も覚悟する。

 実は前に兄ちゃんと約束し、その時まではどんなにイラついても直接殺す真似をするのは止めるという話をしていた。

 確かに自分達の家をこんな場所呼ばわりした、今兄ちゃんに締め上げられて口から泡を吹き始めてるメイドの悪魔には俺もイラッとはしたかもしれない。

 けれどそんな理由で殺ってたらこの先キリが無い訳で……。

 

 

「げほ!? ごほっごほっ!」

 

「グ、グレイフィア!」

 

「に、兄ちゃん」

 

「…………」

 

 

 何とか離してくれた兄ちゃんに俺は心底ホッとするしか無いぜ。

 

 

「さ、最強の女王のグレイフィアをこんな……」

 

 

 意識が飛ぶ手前で解放され、床にへたり込みながら噎せるグレイフィアってのに駆け寄るグレモリー先輩が怯えながらも驚愕した面持ちで、完全に見下しきった顔の兄ちゃんを見る。

 何か言葉を察するにあのメイドってのは最強の一角らしいのだけど………てことは少なくとも今の兄ちゃんの実力は悪魔の上位も余裕でぶちのめせるのか。

 

 ………。俺を鍛えてくれる時からずっと思ってたけど、兄ちゃんってやっぱりすげー――わ?

 

 

「ぶっ!?」

 

「がふっ!?」

 

 

 遠くてデカい兄ちゃんの背中に偉大さを改めて感じててボーッとしてた俺だったが、兄ちゃんが二人の顔面目掛けて白い粉を思いきり投げ付けたのを見てハッ現実に返る。

 

 

「お、おい兄ちゃん床が物凄い事に……って、塩かこれ?」

 

「よくあんだろ、二度とこの場所に来て欲しくないゴミ相手には塩を撒けってよ」

 

「あ、なるほど……でもこの二人、目に入っちゃったのかのたうち回ってるけど……」

 

「目が痛い!? 目がーっ!」

 

「ぐ、め、目が開けられない……!」

 

 

 色々と徹底してる兄ちゃんに苦笑いしか出てこない。

 

 

「失せろゴミ共。そして二度と来るな、クソ悪魔の悪臭が家に充満するだけで吐き気がする」

 

「う……い、いやあの……仲間の話は――」

 

「ある訳ねーだろカス。

そこのゴミ連れて失せろと二度も言わせるなよ………殺すぞ?」

 

「ひっ!?」

 

 

 結局グレモリー先輩がへし折れたという結果で、一体何しに来たのかわからないまま、顔を抑えてのたうち回るグレイフィアってのを連れて消えた。

 

 

「一時的に仲間になれって、なんだったんだろ?」

 

 

 帰った後、床にぶちまけた塩を箒とちり取りで掃除しつつ、グレモリー先輩の来た理由について兄ちゃんに訪ねてみるのだけど……。

 

 

「カス共のくだらねぇ浅知恵だろ。そうやって一時的にとかほざいておきながら、そのまま取り込むつもりなんだよ」

 

「そうなのか? ……でも今日のグレモリー先輩は妙に違和感のある様子だったけどな」

 

「同情したら最後だ、奴等に一度でも甘い顔したら付け上がるだけだ」

 

「まあ、レイナーレさん達と遊べる時間が無くなりそうだったし、言い方はともかく断るのは正解だったかもな」

 

 

 

 

 

 永遠に消し去りたい記憶。

 それを所謂『黒歴史』というのだが、クソ悪魔の奴隷にさせられたそれこそが俺の黒歴史だ。

 そして過去でイッセーの兄貴としてやり直しをしているこの時期、俺は忘れたくても忘れられない怒りを覚える記憶がある時期である事を覚えている。

 

 

「先日は大変しつれい致しました」

 

「げ……昨日の今日で来た……。(うわ、目が凄い充血してる)」

 

 

 奴隷にさせられ、その上俺のスキルが勝手に奪い取られたクソみてーな時期。

 この世界では当然同じ轍を踏むつもりは無く、クソ共の話は真っ向から突っぱねてるのでイッセー共々力を勝手に使われる心配は無いが、恐らくこの時期はアレがあった筈だ。

 

 

「リアスお嬢様によりお二人の事を伺いました、兵藤イッセー様、そしてマコト様。

私はグレモリー家メイド長、グレイフィアです」

 

「……はぁ」

 

「………」

 

 

 クソゴミが結婚させられるとかそんな話がな。

 恐らくグレモリーのゴミが家に来た理由は、悲劇のヒロインでも演じてイッセーの情に訴えるつもりだったと思う。

 まあ、即座にゴミ共々黙らせて追い出してやったがな。

 

 

「無礼をお許し頂けるとは思っていません、けれど、先日リアスお嬢様がお二人に懇願しようとした話を聞いて頂きたく、今日は謝罪を含めてやって来た次第です」

 

 

 レイナーレ、ミッテルト、ドーナシーク、カラワーナ……そして人間で神器使いのアーシア。

 かつて一誠として生きていた時には記憶に無い存在がイッセーと俺と仲良くやってる時点で、俺の記憶は最早宛にならないのは分かってる。

 が、やはり酷似している所は酷似しているようで、この銀髪のカス悪魔が懲りずに朝のジョギングをイッセーとしてて公園で駄弁っていた所に来た時は、本気でぶち殺そうと思ったもんだ。

 

 

「実は、近々リアスお嬢様は婚約者と結婚する事になりまして……」

 

「は!? 結婚すんですか!?」

 

「………」

 

 

 話せとも言ってないのに、ベンチに座る俺とイッセーにベラベラと勝手に喋るクソ悪魔。

 いっそ舌でも引っこ抜いてやりたくなるが、イッセーが若干興味を抱いたらしく、タイミングが上手く測れない……。

 

 

「へぇ、若いのにもう結婚ですかぁ……。おめでとうございますとか言えば良いんですか?」

 

「………。お嬢様自身が望まれてる結婚であるなら、それで良いのかもしれません」

 

「へ?」

 

 

 イッセーは甘い。

 直接何かされる前に俺が悉く潰したせいで、悪魔に対して憎悪の感情を持たないというのもあるのだろうが、それ以前にイッセーは甘い。

 レイナーレに殺されかけた時もそうだが、普通そんな相手を好きになるか? そんな要素を見出だすか? 元々一誠として生きていた俺ですら理解出来ない感情と行動をイッセーは持ち合わせている。

 

 今だって、わざとらしくテンションを落としながらさもウチのグレモリーお嬢様は可哀想ですと語るカスの話に若干同情的だ。

 

 

「結論から言えば、お嬢様は結婚を望まれません。

ですが立場上、血を絶やさない為に決められてしまいました。ですので、先日はお二人の元へ……」

 

「そうだったんですか……。一時的に仲間になれってのはそういう意図が……」

 

「はい、お二人の実力――特にマコト様の力を一時的に抱え、結婚強硬派に対しての抑止にしようと考えていたようです」

 

 

 結局体よく利用したいだけという意味が込められてるカスの言葉に、イッセーが若干どころか変に同情的な態度を示し始めてる。

 ………チッ。

 

 

「くだらねぇ前置きは要らねーからさっさと要点だけ話せカス」

 

 

 イライラする。

 やはり顔見てるだけで悪魔はぶっ殺したくなる。

 攻撃的な口調で捲し立てる俺に、イッセーがオロオロするが、悪魔に同情すれば碌でもない事になるんだ……寧ろこれが普通なんだよ。

 

 

「近々、リアスはその婚約者とレーティングゲーム……我等悪魔が行う戦闘方式のゲームを行います。

そのゲームにもしお嬢様が勝利すれば婚約破棄、敗北すればそのまま結婚という取り決めをしているのですが……」

 

「が?」

 

「お嬢様はまだ悪魔として未成熟故に公式のレーティングゲームの経験がありません。加えて駒となる眷属の数も揃ってない。

ですので、このまま行けばまず敗北は免れません」

 

「なのにやるんですか? まるで見世物にしますって聞こえるんですけど?」

 

「……………。ですからお嬢様はお二人に一時的な仲間になって欲しいと望まれました。

レーティングゲームに確実に勝つために……」

 

 

 そう言って俺を見るクソ悪魔。

 チッ、イッセーの言うとおり、このクソ悪魔を怒りに任せて殺しかけたのは不正解だったな。

 完全にマークされてる。

 

 

「知るかゴミ。ナマモノの粗チンがナマモノにぶちこまれ様が俺達には何の関係もねぇ」

 

「そ!? に、兄ちゃんったら……」

 

 

 だがありえない。

 ゴミ共がゴキブリみてーに数増やそうが、ゴミはゴミなんだ。このカスはテメーのお嬢様に同情して、多分独断でこんな真似したのだろうが、頼む相手を間違えてんだよバカが。

 

 

「もし協力を頂けたら、魔王様の女王として私がお二人と仲良くしている堕天使をこの地に居ても問題ない様に手配します」

 

「え?」

 

 

 ……。

 

 

「つまり、堂々とレイナーレさんとデート出来るってのか!?」

 

「ええ、そしてお嬢様からは二度とお二人を勧誘することもありません」

 

「おおっ……! どうする兄ちゃん!? 意外と悪くない条件だぜ!」

 

 

 イッセーにとっては願ってもない条件に、目を輝かせながら俺に話しかけてくる。

 カス悪魔も俺の答えを待ってるのか、じーっと見てくるのだが……。

 

 

「……。イッセーが決めろ、俺はそれに従う」

 

「「え?」」

 

 

 話にならねーなと悪魔を即座に破壊しに冥界に乗り込むのはもう訳のない話だ。

 しかし、それはかつての一誠……つまり俺が選んだ道であり、この世界のイッセーは俺じゃなくこの甘い弟だ。

 勿論、調子こいてイッセーに何かする様ならうもはも無しにぶっ壊してやるつもりだが、そのつもりが今のイッセーに無い以上……望んでないのならやる訳にはいかない。

 

 だから俺はイッセーに自分で決めろと促す。

 

 

「俺はそのクソゲーには出るつもり無いが、オメーがレイナーレ達のこれからの事を考えてる上でなら、文句なんか無いよ」

 

「兄ちゃん……」

 

「クソゲー……ですか」

 

 

 仮にイッセーが協力し、レイナーレ達の自由がある程度広がれば良し、その上でゴミ共が反故にすれば即座に全滅させるので良し。

 どちらにせよ、クソ共のウザい真似が消えるのならそれで良い。

 

 

「えっと、じゃあ――」

 

 

 ゴミは燃やしてもゴミだしな、所詮。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日聞かされた話に、私はまず驚いた。

 

 

「はぁ!? グレモリーの仲間に一時的になったですって!? アンタ何勝手な事をしてるのよ!」

 

「い、いやぁ……話すと色々と長いようで短いというか……」

 

 

 何時もの様に、来るや否や『グレモリーの仲間に暫くなる』と言われたのだ。驚くなという方が無理ある。

 というか、私達の僕になったのに何を裏切ってるのだと怒りすら覚える。

 

 

「裏切ったのね!?」

 

「そ、そんな訳無いよ! レイナーレさん達を裏切るとかありえないって!」

 

「じゃあ何でグレモリーなんかに付いたのよ!」

 

 

 せっかく少しは認めてあげても良いと思ってたのにと、私は感情のままにイッセーと、知らん顔してるマコトに怒鳴り散らす。

 カラワーナとドーナシークとアーシアが私を落ち着かせようとオロオロしてるけど、それすら今気にしてられなかった。

 

 

「裏切り者が! だったらこの場で殺して――」

 

「ストップっすレイナーレさん!!」

 

「っ! ミ、ミッテルト……!」

 

 

 しかし、そんな二人の前に庇うように立つミッテルトに、私はその手に生成した光槍を投げるのを躊躇わせる。

 

 

「事情があるってイッセーは言ってますし、裏切り者と決めるのは聞いてからで良いとウチは思うっす」

 

「……じゃあ何なのよ、その事情ってのは」

 

 

 大袈裟に小さな身体動かして大きく見せようとしながらイッセーの話を聞けと言われた私は、取り敢えず手に生成した光槍の切っ先をイッセーとマコトに向けたまま話せと促す。

 これでふざけた理由ならその瞬間に殺してやる……そう思いながら――

 

 

「一時的に協力したら、皆がこの地に堂々と居ても悪魔から干渉される事がないって約束をしたんだ」

 

「え……?」

 

 

 私は固まってしまった。

 

 

「ほら、何だかんだでレイナーレさん達は悪魔に管理されてるらしいこの地で窮屈そうだから……」

 

「奴等に一度だけ協力したら、二度と干渉しないんだと。だから受けたんだ」

 

「イッセーはともかく、悪魔を毛嫌いしてるマコトもっすか?」

 

「あぁ、もし反故にしたらその場でぶっ殺せる良い大義名分にもなりそうだから、茶番に少し付き合ってやろうとな……くくく」

 

「そっちが本命だと私には聞こえるが……」

 

 

 持っていた光槍を思わず消してしまう。

 

 

「もし上手く行ったら、堂々とレイナーレさんとデートできるかなー……なんて、へへ……」

 

「………。アンタ、ホント……バカじゃないの?」

 

 

 私とデートを堂々としたいから。

 そんな理由で悪魔に協力するなんて言われて、私は怒りが霧散して呆れてしまう。

 アーシアが何故か私を羨ましそうに見てる気がするけど、私は逆にさっきまで喚いていたのが途端に恥ずかしくてイッセーが直視できない。

 

 

「そ、そんな上手く行くわけ無いじゃない! そ、それに上手く行ったって誰がアンタみたいなのとデートなんて……」

 

「いやー……それは承知してますよ。

けど、それ以前に皆と堂々と外出して遊べたら良いかなー……みたいな?」

 

 

 何なのよイッセーって男は。

 騙して、殺そうとした私になんでそこまで好意を向けられるのよ。

 バカ通り越して天然記念物じゃないの……。

 

 

「バカ……そんな事されたって礼なんか言わないわよ……」

 

「ははは、只の自己満足なんで気にしないでくださいよ。あ、でもこれからも俺は諦めずにデートを申し込むけどね! わはははは!」

 

「良いな……レイナーレ様……」

 

 

 ううっ……意味が解んないし、顔は熱いし、何なのよ……!

 

 

「心配しなくても、クソ共がイッセーに何かしようものなら俺が殺してやる」

 

「魔王の嫁さんを殺し掛ける実力のマコトなら信用できるっす」

 

「しかし、あのグレイフィア・ルキフグスまで殺す手前まで追い込んだなんて、未だに信じられんよ。やはりお前は普通の人間じゃないな」

 

「それに性格も変わってる……とことん変な双子だ」

 

 

 




補足

イッセー補正でこれでもまだマイルドな方です。
顔面に粗塩投げつけるだけって時点で、一誠時代と比べたらそらマイルドでしょう。

口調はすげー悪いけどね。


その2

兵藤 誠

通称マコト。

かつて兵藤一誠として生きていた破壊の龍帝が、自らの手で死んだ事により、本人の望まない形で平行世界の過去へと転生した成れの果て。

 この世界には双子の弟としてのイッセーが存在しており、更には赤龍帝の力はイッセーの中に宿っている。
己の精神に依存するスキルは現役で存在してるものの、一誠時代より約半分程力を落としている。

 とはいえ、単身のみでも永久に進化する異常性があるために化け物クラスなので、敵なんて居ないに等しいし、加えてブラコンなので弟の邪魔になる輩は残らず消すという考えも現役そのまま。(ただし、イッセーの影響かマイルドにはなってる)

生き続けるを理由に進化を続け、もはや人と呼べるのかすら疑わしい存在へとなってるのだが、かつての最愛の仲間が進化に着いていけずに死を迎えてを失ってるので、生き続ける事に現在は拘っていない。


無神臓(インフィニットヒーロー)

 兵藤誠が兵藤一誠であった事の証の一つ。
 あらゆる環境・状況に適応・吸収し、永遠の進化を促すスキル。
 長年という言葉すら生易しい時間を生きて研ぎ澄まされ続けた結果、スキル自体も極まっており、その気になれば相手の技術を嘲笑いながら模倣して極限まで進化させる事すら可能。


 ????・極
 マコトの中に宿るナニか。
 現状不明。

 ????・極
 その2
 これも現状不明。


 幻実逃否・白音からの愛

 途方もない時間を掛けてやっと始末した際、最後の最後に白音から埋め込まれたマイナス。
 効力はお察し、そしてこれのせいでこの世界の小猫たんが諸に割りを食わされてる。


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