マコトが悪魔に対して何故ここまでの対応なのか……D×Sシリーズを知る方はお分かりでしょうが、簡単に説明するなら――――
偶発的とかほざいていたが、昔俺は悪魔にスキルの一部を勝手に使われた事がある。
碌に修行もせず、俺の力の一部で調子こいてレーティングゲームにその時は勝ったが、俺はそんな奴等に対して殺意しか沸かなかった。
何せその後、俺はそのクソ共に……………。
「テメー等と行動するなんてクソ食らえだ。
だから俺達は俺達でやるから、そっちはそっちで勝手にしてろ」
「………」
「でもそれでは、レーティングゲームのルールとか……」
「知るか。そら、行くぞイッセー」
「おう。じゃあそういう事なんで、当日先輩達の部室で……」
あぁ、思い出すだけでムカつくぜ。
しかしまぁ、レイナーレさんを納得させるのには苦労したけど、やっと悪魔さん達との縁が多少遠退いてくれる算段に出くわせただけでもアリっちゃあアリだよな。
そのレーティングゲームってのに勝つのが条件だけどよ。
「けど良いのかよ兄ちゃん? 一応チーム戦なんだろ? 味方になる相手の強さくらい把握しておいた方がいいんじゃ……」
「把握するまでも無く、奴等はカス同然だ。
でなきゃ、偉そうに条件引っ提げてお前に協力するようほざく訳もない。
今のお前なら、間違いなく奴等全員を皆殺しに出来る」
「ふーん……」
余計に絡んでこない。勧誘は二度としない。レイナーレさんをこの町に住まわせる事を認可する。
メイドの悪魔さんを通して交わしたグレモリー先輩との密約の為、まずはグレモリー先輩を勝たせなければならないという任務を達成しないといけないという事で、俺は今兄ちゃんからマンツーマンで特訓を受けていた。
「此処で良いだろう」
グレモリー先輩達とは決して一緒にはしないと頑なに拒んでたので、今更ながらグレモリー先輩達の実力がイマイチわからんけど、兄ちゃん曰く俺でも勝てるらしい……。
ホントかどうかあんまり自信無いんで疑わしいけどね。
「赤い龍との精神間でのやり取りはもう慣れてるよな?」
「おう、兄ちゃん言われた通り、意思疏通はバッチリだ」
「よし、ならば赤い龍と話をさせろ」
まあ、何にせよ勝てば良いので修行はサボらない。
小猫ちゃんが兄ちゃんと一時的に仲間になって、もしかしたら一緒にレーティングゲームの日まで修行が出来ると思ってたのか、アッサリと『テメー等の近くなんて虫酸が走る』と言って別行動になった時は、物凄く悲しそうな顔だったなぁ……。
なんて思いつつ、兄ちゃんに言われた通りにこの前やっと自在に出来るようになった神器に宿る赤い龍というべらぼうに凄いらしい龍を腕に籠手として生成し、それを介して兄ちゃんと話せるようにアシストしてやる。
「……………。聞こえるかドライグ?」
『……あぁ』
こうでもしないと、赤い龍……ドライグの声は外に聞こえないので仕方ないし、兄ちゃんが話したいというのなら別に苦労も無いのでバンバン話せるようにする。
けれど、何でだろうね……この前初めて相棒と呼んでくるドライグを兄ちゃんと話させる様にしてやったら、何故か兄ちゃんがレアに思えるほどビックリした顔をしてたんだけど……。
「イッセーの成長率も大概バカにはできないだろ?」
『ふっ、まだまだひよっこだがな』
まるで昔馴染みだぜって空気で互いに楽しそうにして話してるのが、不思議でしょうがない。
「スキル無しを考えたら凄いと俺は思うがな」
『コイツの中からお前を見てたが、すっかり弟思いになったなお前は』
「実際俺の弟である事があり得ないレベルで良い奴だからなコイツ。
何もかも俺には無いものを持ってる時点で精神レベルは俺を越えてる」
「あんまりそう思えないけどな俺は……」
『いや、確かにマコトの言うとおりお前は精神が良い意味で堅い。
そういう奴程オレの力とは相性が良いもんなんだぞ?』
「そう、かぁ?」
まあ、深く考えてもしょうがないし、兄ちゃんは兄ちゃんだ。
その兄ちゃんを失望させない為にも、俺自身甘ったれるだけじゃなくて強くならなきゃな。
「禁手化の状態を全力で放出させながら、3日は休まず戦えるようにしろ」
「げっ、あの鎧を付けてか!? つ、疲れるんだよなぁ……アレ」
独りになったアイツは、ある日オレに言った。
『飽きたから死ぬよ』
ヘラヘラと、太陽も星も無くした世界に措いてまだ生き続けた男はそうオレに告げた。
けれどオレは知っていた。
飽きたから死ぬのでは無い。元々アイツはアイツの精神を癒し、支えた二人の仲間を失ってから既に死なないだけの無意味な生であった事を。
それでも尚生き続けたのは、狂った猫娘を完全に殺すという目的があったからであり、それも遂げてしまった後の約100年は、オレが見るのも辛いほど生きる屍とアイツは――一誠はなっていた。
だからこそオレも一誠に並んで消滅を選んだ。
そして何の皮肉か、消滅を選んだ筈なのに微妙に色々と差異があるこの世界で、兵藤イッセーの宿主となった瞬間この記憶を思い出した時は本当に驚いた。
何せ、イッセーは一誠では無く双子の兄の誠となって生きていたのだからな。
それも、生きてるだけの屍だった頃とは見違える程に生き生きしながら……。
フッ、相変わらず悪魔は毛嫌いし続けてる様だが。
「ぜぇ、ぜぇ! ひぃ、ひぃ……!」
『三時間か……心許ないな』
「禁手化をコントロール出来たのがついこの前だし、寧ろ速度としては早いだろ」
『おいおい、オレが見てきた中でも最強の宿主は、コントロールして五分後には完璧に扱えるようになってたんだぞ? しかも、展開時間にしてもほぼ無限大に――』
「過去の『老害』なんぞどうでも良い、近い内にそれすら越えるんだからよイッセーは」
「そ、そのドライグの言う歴代の赤龍帝には勝てる気しないんだけどなー……おれ」
「バカ野郎、お前なら出来る。
寧ろその話を踏み台にしてブチ越えろ」
ただ、オレの出すお前についての例えを老害と断ずるのはどうかと思うぞ一誠――いや、マコトよ。
正味、どれだけお前がこのイッセーを買ってようが、オレは間違いなくお前こそが最強で最高の赤龍帝だっとこれまでも、これからも思い続けるつもりだ。
イッセーがマコトのアシストを抜きに考えての成長速度は目を張るものがあるとしても、オレの中にある思い出は決して消えはしない。
結局先輩二人と合流する事無くレーティングゲームの日がやって来ました。
圧倒的に駒の数が足りないという理由で、せめて兵士の補充を一時的に許可されたからこその人選なのですが、正味私は困っている。
だって、このゲームにもし勝って部長の縁談が無かった事になったら、その瞬間部長はイッセー先輩とマコト先輩に対しての勧誘行為――いや、無意味に絡む事自体を止めなければならないのです。
それは当然、部長の下僕である私達も先輩二人に近付く事を禁止される……それが私にとって一番困る事。
「こんばんわー」
「………」
だって怒られる機会すら失われるんですよ? そうしたらもう私は先輩の事を指をくわえて見てるだけしか出来ない……。
「今日はよろしくね二人共? その、あくまでも体の話なんだけど、二人は私の将来の眷属候補という体にしてレーティングゲームに参加して貰うわ。
転生していないのは、私の実力が足りなくて出来ない……という感じで」
「だってさ兄ちゃん? 別に体なら大丈夫だろ?」
「終わったら高らかに『グレモリーの眷属になるのは気が変わって嫌になったから辞める』と言ってやるって意味でならな」
そんなの……嫌です。
…………。無神臓を奪い取られてた時期、俺はゴミ共に軟禁されていた。
従って俺はレーティングゲームなんて茶番に参加した事が無く、もっと言えばこれからぶちのめす相手が前と合致しているのかすら知らない。
「徹底的に潰すぞイッセー。奴等が約束を守るなんて信じる事無く、奴等が俺達に関わりたくなくなる衝撃を与える」
「おう」
「一番良いのは、俺達の名前を聞いただけで悪魔共がその場で胃液ぶちまけるレベルの恐怖を植え付けられればパーフェクトだな」
「それは難しいんじゃね?」
だがやる事は決まってる。
相手が悪魔な時点で容赦なんてしない。
徹底的に、奴等が俺達に関わりたくなくなる程の恐怖を……。
最初はイッセーだけに任せて高みの見物を決め込み、ゴミ共が約束を反故にした瞬間ぶっ殺すために動くつもりだったが、気が変わった。
「お時間になりましたので会場にご案内します」
ゴミはきっちりとゴミ箱に捨てなきゃな。何せゴミなんだから。
「尚、今回のゲームは魔王様もご覧になられます」
「え!? お、お兄様が!?」
さて……ゴミの駆除当日となり、来たくもない旧校舎に俺とイッセーは足を踏み入れ、奴等と意味もなく話す事無く時間が来るのを待っていたのだが、この前勝手に家に上がり込んで舐めた口を叩いたボケカス悪魔が澄ましたツラしながら時間と言いに来た事で、俺とイッセーは奴等のテリトリーへと入る為、ボケカスが展開した魔法陣による移動をする。
「あれ、移動したのに部室?」
「今回のレーティングゲームの会場は駒王学園のレプリカです。当然レプリカとして作りましたので、いくら暴れても本物の駒王学園に被害はございませんのでご安心ください」
「へー……建物のレプリカなんて作れるんだな悪魔さんは」
「学生の俺達にレプリカとはいえ、学舎をぶっ壊させるとはな……。悪魔ってのはつくづく良いご趣味をお持ちでヘドが出るぜ」
『…………』
移動する際のイラ付く光で目が眩んだと思いきや、ボケカス曰くレプリカらしい会場にイッセーがちょっと感心している横で、俺は皮肉を忘れずぶちまけておく。
その際、ボケカス共が居たたまれない顔をしたが、俺は全然気にしない。
「両者転移された場所が本陣となっております。『兵士』のプロモーションはリアス様は新校舎。ライザー様は旧校舎に立ち入った瞬間可能となりますが、此度のレーティングゲームにおける兵士であるマコト様とイッセー様は正式な転生を済ませておりません、従ってお二人にはプロモーションはございません」
「将棋で言うところの成り駒って奴が無いのか……まあ、あんま関係無いわな」
「私としてはかなり痛い条件なんだけどね……」
「テメーがとっとと駒を用意しないからだろ? イッセーのせいにしてんじゃねーぞクソカス」
「い、いや私は別に……」
「マコト先輩。今日くらいはそのカスだ何だと罵倒するのは――」
「近寄るんじゃねぇボケが! 獣臭ぇんだよ!」
「っ……!」
白音……いや、この世界の雌猫が近寄ろうとしたので、近くにあったカップを投げ付けながら怒鳴る。
何時見ても気に食わねぇ……コイツだけはマジで気に食わねぇ。
「に、兄ちゃんよ、いくら何でも今のは酷いぞ……」
「っ……解ってるよ。だがわかるだろ? 俺は悪魔の近くに居るだけで蕁麻疹が半端ねぇんだよ」
「いやそんなのもう分かりまくってるぜ。けど見ろよ、小猫ちゃんがガチで凹んでる……」
「獣臭いって……先輩に臭いって……。
私、臭いますか?」
「だ、大丈夫よ小猫! さっきお風呂に入ったんだからあり得ないわよ」
「マコト君が私達を毛嫌いしてるからだから……ね?」
イッセーに言われてボケ共を見ると、確かに白――違う雌猫が凹んでカス共に心配されてる様子が見える。
「ほらぁ、ゲーム前なのにメンタル壊してどうするんだよ兄ちゃん? ホント兄ちゃんって普段はクールなのに、悪魔さんが絡むと前が見えてないというか……」
「っ……お前に言われるとなれば相当なんだろうな」
だが俺は絶対に反省なんかしねぇ。
イッセーに言われたら自重だけはしてやるが、ゴミ共に罪悪感なんか絶対に死んでも思わねぇ。
「……。説明を続けさせて頂きます。
制限時間は人間界における夜明けまで。時間にしておよそ6時間ほどと推測されています。ただし、これは前後する可能性が十分にありますので注意してください。これより10分間の作戦タイムとします。10分後、試合開始となります」
初っぱなから空気をゴチャゴチャにしたのを感じたのか、早口気味にそれだけを言ったボケカスは、さっさとその場から消える。
「えっと、取り敢えずレーティングゲームのルールは今日の夕方に説明した通り。ただ、二人がライザーの本陣に入り込んでもプロモーションが無いから、素の実力のままということになるけど……」
「オッケーっす。その為に兄ちゃんからしごかれましたんで」
「………」
俺に話し掛けたらもっと拗れると漸く学習したのか、グレモリーがイッセーにだけ話し掛けながら何かを手渡す。
「それ、通信機だから耳にでも付けておいて」
「だってさ、ほら兄ちゃんの分」
「………」
レーティングゲーム自体、長期戦になる事が多いらしく、王から駒共に指示を出すためにこういった通信のデバイスが必要だというので、嫌々ながらも取り敢えず言われた通り耳に付けておく……まあ、音量は0に当然するがな。
「獣臭い……」
そんな訳で、作戦なんてのを勝手に話してるグレモリーの話を無視しながら時間が経つのを待っている俺だが、後ろで雌猫がまだ一人で凹んでるのか、俺に言われた言葉をブツブツ復唱しながら俯いている。
「………と、いう訳なんだけど……」
「小猫ちゃん、聞いてるかしら?」
「あ……はい、聞いてます。私は獣臭いんですよね?」
「いや、全然違うからね塔城さん?」
「兄ちゃんに言われたのが相当キたみたいっすね……。なんかごめんなさい」
チッ、ゴミが。あの白音だったら寧ろ何故か嬉しそうに笑って―――――っ!? クソが! さっきから何を思い出してるんだ俺は……!
「兄ちゃん、頼むから何かフォローを今だけしてやろうぜ? 今だけで良いからよ」
「……………」
ふぉろー? この雌猫に俺がか? 嫌だ、いくらイッセーの頼みでもそれだけは絶対に嫌だ。
「でもよ、どうせこれからは余計に関わる事も少なくなるんだし、最後くらい良いんじゃないか?」
「…………」
くっ……!
マコトは究極的に悪魔が嫌いだ。
出来ることなら目の前に居る存在は粉々にしてスッキリしたいくらいだ。
しかし弟に今だけはと言われてしまった……だからマコトは言った。
「今すぐその悲劇ぶったツラやめねーと捻り殺すぞ……!」
「あ……」
獣臭いと罵倒されて凹む小猫の胸ぐらを掴み、額が接触するギリギリまで顔を近付かせながら、地獄の底から響いてきそうな低い声でそう『フォロー』の言葉を思い切りぶつけた。
それは普通にトドメの言葉であり、イッセーは思わずオイと言い掛けたのだが……。
「は、はい……やめます、ごめんなさい……せんぱい……」
『ええっ!?』
小猫の顔は寧ろ嬉しそうに微笑み、さっきまでの凹みっぷりが嘘の様に、胸ぐらを掴まれたままマコトを見つめた。
「……。ごめん、これは予想外だぜ」
「チッ!」
勿論イッセーもビックリした。しかしそれ以上に言った本人であるマコトは心底気にくわないと舌打ちしながらぽわーっとした顔の小猫を突き飛ばす。
『あの猫ガキ……。人格は違えど程度は似てるな』
「へ?」
『いや、何でもない気にするな』
その様子をイッセーの中から眺めていたドライグは、かつての事を思い出して何とも云えない気分になったが、繋がりの無い今その声はマコトに届かない。
「あ、あの……小猫?」
「なんですか部長? あ、ごめんなさい……ゲーム前なのに一人で落ち込んでしまいまして」
「い、いえ、見た感じ回復したみたいだから良いけど、あの……今ので何で回復?」
「え、だって今マコト先輩が私の胸ぐら掴んで凄んでくれたからですけど?」
「……。それで? それだけで? というか寧ろもっと落ち込む台詞を言われてたわよね?」
リアス達も心配になるが、小猫の声は寧ろ弾んでいる。
「マコト先輩。お手間を掛けさせてすいませんでした」
「ゴミが」
「……ふふ♪」
いや、もう将来が普通に心配だった。
今マコトにゴミと言われたというのに、何故かピクピクと身体を痙攣させ、何故か頬を染めながら喜んでる。
「ホント兄ちゃんって、ちんまいのに好かれるよなー……」
これにはイッセーも苦笑いしかできなかったとか。
レーティングゲーム……開始1分前。
終わり。
悪魔は悪夢を目の当たりにする。
「「バラバラ♪ バラバラ――がぼっ!?」」
「しゃあ! 撃破!」
「カスが、人間様を見下しておきながら逃げるとは、ゴミは所詮ゴミだな」
「が……ぎ……が……!」
『マコト様! リタイアした相手眷属をそれ以上攻撃なさるのは――』
それは、見下した相手の反逆に見えた。
「うわーぉ、見事に女の子で固められてるねー……」
「程度はゴミ以下だがな」
「あ、アナタ達は一体……!?」
「あ、あの子も可愛いぜ兄ちゃん? ミッテルトちゃんと同じ金髪碧眼の」
「どこがだ。生ゴミにしか見えないな」
いずれ、悪魔を壊す存在と恐怖した。
「行くぜドライグ、禁手化だ!」
赤龍帝と――
「ぺトロ、バシレイオス、ディオニュシウス――そして聖母マリアよ。我が声に耳を傾けてくれ。この刃に宿りしセイントの御名において――――否!
我が最愛の友である一人であるゼノヴィアとイリナの魂を我は解放する――」
「っ!? バカな! あんな訳の解らない人間が……!」
無神臓――ver.ハイスクールD×Sモード。
「時由時在&快楽手義者……デュランダル&天使の翼。
げげげげ……残ったのは二人の力だけだ。大好きだった二人の力だけ……げげげげげ!!!」
その日、兵藤マコトは一度きり、兵藤一誠へと再臨する。
「来いよゴミ共、イッセーの道の邪魔はさせやしねぇ!!」
―以上、似非なる予告。
補足
実はドライグは、マコトの一誠時代のドライグです。
一緒に死んだ時、時系列は違えど同じ世界に飛ばされてました。
なので、ある意味イッセーの成長にブーストを掛けられる。
その2
マコトが一誠であった時、不注意とはいえ悪魔によって無理矢理転生させられ、スキルを無理矢理使われ、挙げ句囲おうと無理矢理されたのがあって、報復をした後でも物凄く嫌ってます。