ツインズ・イッセー   作:超人類DX

8 / 17
悪魔が後半空気。
理由? 降臨したからだよ。



破壊の龍帝を継ぐ者

 お話にならない。

 所詮クソ悪魔はどこでもクソ悪魔だったって事だ。

 

 

「やったぜドーナシークさん、カラワーナさん、ミッテルトちゃん、アーシア……そしてレイナーレさん! 俺達はやったぜ!」

 

「当然だな。所詮ゴミはゴミなんだからよ」

 

 

 あの堕天使達と堂々と一緒に居れる事が勝利と共に確定したのがそんなに嬉しいのか、ズタズタになってそこに転がってる――ええっと、何だっけ? フェニックスとか言った悪魔をそこら辺に放り投げたイッセーは、子供そのまんまに跳び跳ねて喜んでいた。

 

 純粋というか、単純というか……まあ、それが俺の弟である事が信じられない良い子って事なんだが……。

 

 

『………』

 

 

 イッセーと俺を漸く御せる相手じゃないと見て思い知ったのか、化け物を見るような目をするボケ共及び、この光景を何処かで見ていただろうカス共が果たしてそう簡単にイッセーの約束を守るのかどうか……。

 ここからが俺の役割だ。

 

 

「よくやったね、リアス。それと――キミ達も」

 

「わーいわー……い? あれ、誰っすか?」

 

「………」

 

 

 反故に少しでもした瞬間……殺す。

 

 

 

 実に後味の悪い勝利結果なのかもしれないと、リアスは思った。

 だってそうだろう、勝利のほぼ99%がイッセーとマコトの人を超越した力による暴れっぷりなのだから。

 

 

「初めましてだね、妹のリアスが世話になってるとグレイフィアから聞いてたよ。

私はサーゼクス・ルシファー……一応魔王の一人だ」

 

「まおー? まおう……魔王……魔王!? グレモリー先輩のお兄さんって魔王だったんすか!?」

 

「………。ゲーム開始前に申した筈ですが……」

 

「へ? …………。あ、その……ゲームに勝たなきゃって考えてたので聞いてませんでした……あははは」

 

「………」

 

 

 四大魔王の一人にて、リアスの兄である紅髪の優男風な男性悪魔……サーゼクスの出現にイッセーは驚きながらペコペコと一応頭を下げている。

 だが、その隣に居るマコトは魔王を前にしてもシラケた表情を一切崩さず、それどころか滲み出る見下した顔を止めようともしていない。

 それがリアス達をハラハラさせる。

 

 

「ま、魔王様……その、今回のレーティングゲームに於ける勝利後の取り決めなのですが……」

 

「うん解っている。勝ちは勝ちだし、リアスの婚約は無しだ」

 

 

 とはいえ、兄がこうして目の前に現れたのならまずは勝利後の取り決めについての確認をしなければならない訳で、微妙に引っ掛かりつつも反論できない言い方をされつつも婚約話が無くなるというサーゼクスの言葉に内心ホッとしたリアスは、すかさず今回の事で心底自分達がいくら勧誘しても無駄だと理解させられてしまった双子の兄弟との取り決めについての確認をしようと恐る恐る兄に話す。

 

 

「二人が親睦を深めているとある堕天使の集団を、駒王町に住まわせる事についてですが……」

 

「うん、それも良いだろう。アザゼルとは既に話してあるからね……ここ最近の経過を見ても、この二人と一緒ならなにもしないだろう」

 

「っしぃ! やったぜレイナーレさん……!」

 

「…………………」

 

 

 ニコッと笑みを浮かべてレイナーレ達の住居許可を下したサーゼクスに、小さくガッツポーズを取るイッセー

 イッセーにしてみれば、双子の兄だけが無茶をやらかして悪者になってしまわない様に、そして何時かレイナーレと堂々と町中をデート出来るようにしたり、最早仲間と言っても過言では無いミッテルト、カラワーナ、ドーナシーク、人間のアーシアの為に動いてきたのだ。

 魔王・サーゼクスの言葉はまさにその甲斐がある言葉なのだ。

 

 しかし、これはあくまで第一段階。

 第二段階である自分と兄に余計な干渉や絡みを無くすという取り決めが決められる事で漸く、学校に行く度に絡まれて学校中の彼女等のファンにゴチャゴチャ文句言われる煩わしさから解放されなきゃ意味が無い。

 

 

「俺と兄ちゃんに対しての勧誘行為及び、無駄な絡みもこれからは無しになるって事で良いんですよね?」

 

 

 だからイッセーは、内心『なんだ、普通に対話すれば分かってくれるじゃんか』とさっきから無言の兄に対して呟きながらサーゼクスに対して確認したのだが……。

 

 

「そうだね、どちらにせよキミ達の実力を考えて妹の器では転生させる事は不可能だ」

 

「じゃあ――」

 

「そう、不可能……その不可能が一番危うい」

 

「―――は?」

 

 

 サーゼクスの表情はいつの間にか穏やかな表情から変わっていた。

 

 

「聞けば、マコト君……だったかな? キミは我々悪魔を異常なまでに毛嫌いしていると聞いたけど」

 

「…………」

 

「聞けば、少しでも癪に触れば暴力行動に出ようとするらしいけど」

 

「今日のレーティングゲームでも、執拗なまでにライザー達を嬲っていた……」

 

 

 見下した目を止めてないマコトに対して鋭い目付きを向けるサーゼクスは、今回見たレーティングゲームで見せられた赤龍帝と単なる『人間だと思っていた』少年――特に人間だと思っていた方の少年が終盤になってこれ見よがしに見せつけてきた数々の『単なる人間では片付けられない力』を見て、放置するにはあまりにも危険だと判断していた。

 

 ―――いや、判断してしまっていた。

 

 

「ちょ、ちょっと待ってくれよ魔王さん!

確かに兄ちゃんは悪魔が嫌いで、今だってめっちゃ不機嫌かもしれないけど、それは悪魔さん達が無駄に絡まなければ普通で居られるってだけな話で――」

 

「魔王様に何て口の聞き方をする。この人間風情が!」

 

「先程から我々悪魔に対しての数々の無礼。本来なら即座に首を撥ね飛ばしてやるものを、サーゼクス様の慈悲で生かされていることをまだ知らぬか」

 

「……………」

 

 

 だからサーゼクスは、自分とグレイフィアの他に自らの眷属、今回のレーティングゲームを観戦をしていた貴族クラスの悪魔多勢を一気にその場に呼び寄せ、慌てて何かを言おうとするイッセーを黙らせながら言った。

 

 

「持っていた聖剣クラスの武具。純粋天使と肩を並べる聖なる力に悪魔を殺せる膂力、そして悪魔を殺すことに躊躇いが全く無いその思想。

キミ達の言う通りに放っておきたいのは山々だけど、放っておくにはあまりにも力を持ちすぎている」

 

「な……」

 

「…………」

 

 

 簡単に言えば人間と名乗るにはあまりにも過ぎた力を持っている。

 だから放って置く訳にはいかないというサーゼクス達悪魔の主張にイッセーは愕然とした。

 

 

「そこのメイド悪魔さんの言った事を全部じゃないにしても信じてたのに……」

 

「っ……」

 

 

 だからそのままにはしない。その言葉に純粋故に純粋に落胆したイッセーにサーゼクスの隣に控えていたグレイフィアは罪悪感でも感じたのだろうか、目を逸らしてしまう。

 

 

「悪魔のうそつき……」

 

「くっ……」

 

 

 そしてその言葉が、グレイフィアだけでは無く、リアス達の心を抉った。

 だがそんな心境を抱く悪魔は彼女達だけであり、他の悪魔達は赤龍帝、聖剣使いと発覚した双子をどう扱うかという事で頭が一杯だった。

 

 使い潰すか、このまま数に任せて始末してしまうか……それとも例の堕天使達を人質に操るか等々、既に勝っている気でいる。

 

 そう――

 

 

「くくく……」

 

「……。可笑しいかい? 私としても放っておくという妻の話をそのまま飲みたかった。けど――っ!?」

 

 

 

 

 

 

「アッハハハハハハハ!!!」

 

 

 大きな地雷である事を知らずに……そしてマコト自身が仕掛けた釣りである事を知らずに悪魔達は今完全に踏んで――いや、釣られてしまったのだ。

 

 

「ほーらなイッセー、所詮ゴミはゴミだって言っただろう? 少しでも甘い顔をすればすぐに付け上がる。救いようもねぇゴミ種族だとよ」

 

「兄ちゃん……」

 

 

 その変化はすぐに察知した。

 変わった笑い声と共に、能面の様な表情が目の前の存在をぶっ殺すと言わんばかりの獰猛な嗤いへと変化してた――いや、明らかに容姿の一部が激変していたからだ。

 

 

「見事に思った通りになったなぁ? げっげっげっ、なぁイッセーよ?」

 

「そうだな兄ちゃん……。兄ちゃんの言ってた通りだったよ」

 

 

 目の色は反転し、左右の米神からは天を真っ直ぐ差す様に伸びた角二つ。

 まるで悪鬼を思わせるマコトの容姿にその場に居た悪魔達は、始めて見るその変化にリアス達をも得体の知れない危機感に襲われる。

 

 

「な、何よ……あれ……マコト、なの?」

 

「せんぱい……?」

 

 

 思わず後退りしてしまう程の重苦しい殺意。

 抱えていた憎悪の解放にリアス達は明確な恐怖を感じてしまう。

 それはサーゼクス達も同じであり、即座にサーゼクスを庇うように眷属達が臨戦態勢を取る。

 

 

「貴様、我等に今何と――」

 

 

 そんな中、空気を読んでない悪魔の一人がマコトに食って掛かった。

 それを聞いたサーゼクスが内心舌打ちをしながら即座に黙るように口を開き掛けたのだが……。

 

 

「蚊――もしくはそれ以下の塵に対しての正当な評価に文句でもあるのか? あぁ?」

 

「ぐきゃぁぁぉぁっ!?!?」

 

 

 誰にも捉えられない圧倒的な速さでその悪魔の目の前へと移動したマコトが、嗤いながらその悪魔の腕を腕力で無理矢理千切った。

 

 

『っ!?!?』

 

 

 完全に見失っていたサーゼクスを含めたすべての悪魔は、悲鳴をあげる悪魔の後頭部を掴み、地面へと叩き付けるマコトに圧倒されて身体が硬直してしまう。

 

 

「ひ、が……が……ぁ!」

 

「ほぉら、大事な同族のピンチだぜゴミ共? さっさと助けろよ?」

 

 

 そう挑発めいた口調でサーゼクス達を煽ったのと同時に、マコトは先程叩きつけた悪魔の後頭部を踏みつけていた足に力を込め……。

 

 

「あらら? ごめーん、殺しちゃったぁ」

 

 肉と骨が潰れる嫌な音と共にその悪魔の頭を完全に踏み潰し、絶命させた。

 

 

「偉そうにほざいてた割には脆いな」

 

『……!』

 

 

 動けない……サーゼクスも含めて齢17程度の子供の放つ無尽蔵の殺意に圧されて動けない。

 助けを求めるように、残った腕をサーゼクスに向ける貴族悪魔が、嗤ったマコトによって頭を踏み潰されても動くことが出来ない。

 

 

「クククッ……! なぁイッセーよ、お前が手を汚す必要は無いぜ? 今を以て俺がこのゴミ共を残らずに絶滅させてやるからさ……お前は何の心配もいらないよ――――げげげげげげげーっ!!!!」

 

 

 一体どれ程の人生を送ったからこれ程までの殺意を身に付けられるのか……。

 両の腕は禍々しく、まるで猛禽類を思わる鈎爪の形へと変化させながら、吐き気すら催す程の憎悪。

 

 

「ばーん」

 

「ごぱっ!?」

 

「どーん」

 

「ぴげっ!?」

 

「げげげげ……ばきゅーん!」

 

「グガァッ!?」

 

 

 その憎悪と殺意を押さえる事すらなく、次々と集まっていた悪魔を嗤いながら破壊していくマコトに、サーゼクス――いや、リアス・グレモリーとその仲間達は漸く理解した。

 

 

「き、貴様自分が何をしてるのか分かっ――ひぃっ!?」

 

「煩いウジ虫だなぁ……死ねや」

 

「ギィィヤァァァッ!?!?!?」

 

 

 マコトは、自分達の想像が生易しいレベルで自分達悪魔を殺したがっていた事を。

 

 

「またしてもゴミ共をぶち壊せる……。

げげげっ、良いね実に――新しいぃぃぃっ!!!

 

 

 自分達なぞ虫けらみたいに何時でも殺せたのだと。

 

 

「ver時由時在(オーバークロッカー)……クロックアップ」

 

「なっ!? 消え――ごばっ!?」

 

「見え……グボァ!?」

 

「こ、この化け物が! 何処に……ギャアァァァァッ!!」

 

 

 心底自分達が大嫌いなんだと……。先程までイッセーの言動に対して顔をしかめて見下していた悪魔だけを執拗に、目視すら許さない程の圧倒的な速度で身体の一部を破壊するマコトにリアス達は遅過ぎる後悔をする。

 そして――

 

 

「彼を止めるよ皆――うっ!?」

 

「……………。兄ちゃんが手を汚してる今、俺ももう躊躇はしない。

越える時は一緒だと約束したんだ……アンタの相手は俺がする」

 

「イ、イッセー……アナタ……」

 

「力を持ちすぎてるという自覚はある。けど、そんな理由でアンタ達に人間である俺達を縛り付けられる権限なんてありはしない……! 行くぞドライグ!」

 

『ふん、所詮どこだろうと悪魔は悪魔か。

良いだろう相棒、そこのバカ共に誰が誰を御そうとしたのか思い知らせてやれ』

 

 

 マコトと比べて遥かに話の通じるイッセーまでも、悪魔であるリアスやサーゼクス達に静かな怒りの視線を向けながら、龍帝の籠手が付いた腕を向ける。

 

 

『過去最高峰の赤龍帝から残された力をお前に注いで解放させても、正気を保てるのは今のお前はまだ1分が限界だ。それまでに決めろ』

 

「あぁ、わかってるさ」

 

 

 明らかな失望。そして明確な見限り。

 近くで嗤いながら同族を殴る蹴るを続けるマコトとは違うタイプの怒りを剥き出しにしたイッセーは、静かに力を解放した。

 

 

 ―我、解放するは無神の理を与えられし龍帝なり―

 

    ―無限を超越し、夢幻を破壊せん―

 

 ―我、全てを喰らい、全てを糧とし永遠の進化を遂げる無神臓を宿し、汝を滅ぼさん―

 

 

 ドライグからイッセーの身に注がれしが全身を真っ赤に包む。

 それは、過去最強最悪と称されたとある破壊の権化が至りしひとつの形。

 

 外見に変化は無い、余計な鎧も獣を思わせる歪な変化も無い。

 左腕に赤龍帝の籠手が生成されただけという、基本的な姿でしかない見た目。

 

 しかしその本質は明らかに違う。

 瞳は紅く輝き、その威圧感は今のマコトにすら匹敵しうる。

 

 それもその筈、今のイッセーはドライグから力を注ぎ込まれる形で覚醒させた状態。

 

 

無神の龍帝(インフィニット・オブ・ドライブ)!」

 

 

 かつて兵藤一誠としての力の一部を貰ったドライグによる永久進化の象徴。

 破壊の龍帝の一部分……。

 

 

「1分以内に俺を止めないと、暴走して無差別に壊しちゃうんで止めたければささっとした方が良いっすよ?」

 

 

 永久進化形態。

 それがマコトとドライグの扱きにより限定的に覚醒させたイッセーの切り札だった。

 

 

「まだそんな力を……! まいったねこれは」

 

「い、イッセー…」

 

「リアス達は下がってなさい。今の彼等はお前達の手にはとても負えない」

 

「っ……!」

 

 

 外見の変化が無い、けれど放たれる威圧感は空の上に海があるかとすら思わされる程に異質なものへと変わっており、正直サーゼクスですら立っていられるのがやっとな程であり、冷たい汗が止まらない。

 

 

「他人を殺めるのはこれが初めてだ……。

ふふ、兄ちゃんはスゲーよ、こんな怖いと思う事を既に……。でも、兄ちゃんだけが悪者になるなんて俺は耐えられない。墜ちる時は俺も堕ちてやる……………手加減はしねぇ……死にてぇ奴だけかかって来いっ!!」

 

「くっ!?」

 

 

 イッセーの怒号にも似た叫びだけでビリビリと空間が揺れ動き、サーゼクス達の身を押し潰さんとする。

 すかさずサーゼクスは眷属達と共に何とか臨戦態勢を取ってイッセーを迎え撃とうと構え――――

 

 

「ストップだ」

 

 

 た瞬間、空から一筋の光がイッセーとサーゼクス達の間に降り注いだ。

 

 

「っ!?」

 

「何だ……!?」

 

 

 両者を制止するかの様に割って入ってきた光にイッセーが足を止めながら、切り札形態を解除する。

 本来ならこの一瞬でサーゼクス達を葬るつもりだったのを止められ、ちょうど正気を失う1分を迎えてしまいそうになった為だ。

 

 

「ん?」

 

 

 その光は他の悪魔を生かしたまま痛め付けていたマコトの目にも止まり、屍の山となっているその場所から最後の一人の顔面をぶち抜こうと放った拳を寸前で止め、イッセーとサーゼクス達の間に注ぎ込む光を見つめる。

 

 

「その二人の人間に手を出すことは許さん……と、言いたいが」

 

「あーらら、殺られてるのは悪魔の方だったわね」

 

「……!?」

 

 

 そしてマコトは目を見開く。

 降り注ぐ光がやがて目を覆う程の眩い閃光を放ち、止んだ先に佇む白い翼を6対に広げる二人組の存在に。

 

 

「なん、だと……?」

 

 

 ありえない。そんなバカな。だって気配なんて無かった。何故か驚くサーゼクス達とは逆に怪しげな表情をするイッセーに気付かれないまま、マコトの頭の中ではそんな言葉が何度も繰り返されていた。

 

 

「ルイゼンバーン……!? それにオーデルシュヴァンク……!」

 

「……?」

 

 

 それに気付かず、突如として割って現れた女性二人組にサーゼクスは何かを知ってる様な素振りで、二人組の名と思われる言葉を口にする。

 その表情は、何処か苦虫を噛み潰したものであるのは何故なのか……。

 

 

「サーゼクス・グレモリーか。

久しいなんて挨拶をするつもりは無い」

 

「用が済んだらさっさと帰ってあげるから、そこで大人しくしててね」

 

「……」

 

 

 そんなサーゼクスに二人組は素っ気ない口調でそれだけを言うと、訝しげな顔で見ていたイッセーへとちょっと優しげな視線を向ける。

 

 

「え……」

 

 

 その表情にイッセーは少し戸惑いつつも、どうやら敵ではないと本能的に察知する。

 

 

「ソックリだな。というか、ドライグはキミの中か」

 

「みたいね。ふふん、聞こえてるでしょドライグ?」

 

「えっと……」

 

『名前が違うからお前達とは思わんかったぞ俺は』

 

「ド、ドライグ?」

 

 

 察知はしたものの、自分というよりは自分の中に居るドライグに用があるみたいな態度に、イッセーは微妙に疎外感を覚えてしまう。

 例によってドライグは目の前で笑い掛けてくる――よく見たら昔どっかで見た覚えがあるようで無い容姿をする茶髪の女性と、逆に見た覚えの無い青髪に緑色のメッシュが前髪に入ってる女性の事を驚きつつも知ってるみたいな態度。

 

 そしてその最たるものは――

 

 

「…………。ほん、もの……か?」

 

「え、兄ちゃん……?」

 

 

 いつの間にか殺戮モードから元に戻っていたマコトが、唖然とした表情で二人組に向かってフラフラと近付いている。

 これでは何にも知らないイッセーは微妙に仲間外れな気分だ。

 

 

「イッセー……いや、マコトだったな今は」

 

「勿論本物だよ、私もゼノヴィアも」

 

「…………はは」

 

 

 悪魔の屍の山なんて最早どうでも良くなった。

 イッセーに始末されかけていて、今はアホ面さらしてるカス共なんて後回しだ。

 そんな事より今自分に必要なのは、目の前に現れた女性二人組が『自分の知る』二人なのかどうなのかを確かめる事。

 そして返ってきた答えは――

 

 

「相変わらず悪魔嫌いで分かりやすかったぞ?」

 

「見事に屍の山にしちゃって……これじゃ前と変わらないじゃないの」

 

「……は、ははは……! ははははは!!!」

 

 

 かつて愛した最愛の友二人という答えだった。

 その瞬間、マコトは兵藤一誠へと戻り……

 

 

「居るなら居ると早く言ってくれよな! やべーよちくしょう、この場で押し倒してメッチャクチャにしてやりたくなんだろうが!」

 

 

 嬉しそうに、子供のように笑いながら二人を抱き寄せた。

 

 

「えーっと……ドライグ、誰なのあの二人? 何か片方の茶髪な女の人はどっかで見たことがあるような……」

 

『マコト本人から聞いてみろ。許可が無い内は俺からは言えん』

 

「んだよ……俺だけのけ者かよ……」

 

 

 見たこともない兄の嬉しそうな顔。

 普段は興味ないとばかりに女性に対してドライだというのに、心の底から求めてると言わんばかりに二人まとめて抱き締める姿。

 どれもこれも弟なのに見たことの無い姿である事に若干二人組に対して嫉妬するイッセーは、拗ねた様にその場に落ちてた小石を蹴っていた。

 

 

「二人の抱き心地が変わらない……本物だ……。くく、はははは……泣きそうだよクソッタレ」

 

「お前も悪魔に容赦しないのは変わってなくて笑ってしまったよ」

 

「弟君の為とはいえ、相変わらず過ぎるのよ……ま、そこがイッ――おっと、マコトくんらしいけど」

 

 

 そうとは知らず、近くには呻き声だらけの屍の山、反対では何が何だか訳がわからないといった顔の悪魔達を挟み、拗ねてるイッセーを背に異常なまでにくっつきながら話をするマコトとルイゼンバーン、オーデルシュヴァンクと呼ばれる天使らしく二人組は……。

 

 

「最期に二人から貰ったスキルを返さないと」

 

「お、おい……こんな所で……んむ!?」

 

「あ、相変わらずせっかち……あっん……♪」

 

 

『!?』

 

「うぉい!? な、何してんの兄ちゃん!?」

 

 

 普通にかわりばんこに割りと激しめのキスをし始めた。

 二度言うが、近くには悪魔の屍の山がある場所でだ。

 

 

「兄ちゃんってば!」

 

 

 いきなりすぎてびっくりしたものの、見てて段々と恥ずかしくなってきたイッセーは、モヤついた気分を晴らすかの様に後ろからばしばしとマコトの背中を叩く。

 

 

「あっと悪いイッセー」

 

「い、いや別に良いけど、マジで説明してくれよな?」

 

 

 知りもしない女に兄が持ってかれた……そんな寂しい気分だったとイッセーは後に語ったとか。

 

 

終わり。

 

 

 

 

 

 簡単に言えば、悪魔は絶滅こそ免れたけど、二度と双子に手出し出来なくなった。

 

 

「監視するのは構わないが、少しでも二人の気に触る行為。例えば人質を取って言うことを聞かせようとするなら、私達は二人と共に貴様等に戦闘を仕掛けさせて貰う」

 

「一応、マコトくんが殺しちゃった悪魔達はこの『一振りで百の命を救う聖刀』で甦らせてはあげるわ。

ただし、この刀で甦られるのは一度きりだから、蘇った悪魔にはよーく言って聞かせることね」

 

「………」

 

 

 現天界政府に属さないフリーの最高戦力クラスの天使二人がマコトとイッセーに付き、抑止力となった。

 この事に悪魔達は苦虫千匹を噛み潰した顔をしながらも頷くしかできない。

 

 更に言えば……。

 

 

「え、助けた?」

 

「は、はい……赤龍帝様の兄上の聖剣で滅されそうになった私を庇ってくれましたので……」

 

「いや、それキミの勘違いだし。

偶々兄ちゃんを呼んだ時に攻撃が止まっただけというか」

 

「それでもっ! 私は救われました!」

 

「は、はぁ……。じゃあそうだとして、キミは何をしにきたの? 言っておくけどキミ達の親玉と話して悪魔とは今後一切関わらないつもり――」

 

「ど、ど、奴隷にしてくださいまし! イッセー様の思う通りに私を使ってください! それこそ、好きに弄んで貰っても私は喜んでイッセー様の……!」

 

「……えぇ?」

 

 

 偶然が重なって勘違いした悪魔の少女が、何を思ったのかイッセーの奴隷になりたいと押し掛けてくる。

 

 

「マコトのばか! エロ魔神! うそつき!」

 

「はぁ? 何だいきなり……」

 

「恋人居ないとかいっておいて何なんすかそのボインな天使二人は! うちの心を弄ぶなんて最低だ!」

 

「知らねーよ。てか、恋人……?」

 

「それは私とイミテの事を言ってるのか?」

 

「別に私達って恋人って訳じゃ無いんだけど……」

 

「嘘言えこの野郎っ! 胸っすか!? ボインっすか!? そのおっぱいでマコトを釣ったんすか!?」

 

「そこに釣られたと言われても、強ち間違いじゃないから否定できねぇ」

 

「昔からおっぱい好きだもんねーマコトくんは」

 

「そこばっかり責めてくるからな……夜の時は」

 

 

 ロリVSボイン対決が勝手に始まる。

 

 

以上、嘘予告





補足

本人達は恋人とかいう感情が飛んでます。そうする事が当たり前だという考えでやってる。

つまり、前世時代はほぼ事実婚みたいな感じでした。

なので、改めて恋人じゃないのか? と指摘されると『え?』ってなります。

人前で平然とベロチューやらかしても、平然と押し倒してメッチャクチャにしてやりてぇとかデカい声で言ってもです。


その2
『一振りで百の命を救う聖刀』ってのの元ネタは、わかる人にはわかる……とだけ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。