アメストリス絶対法   作:蕎麦饂飩

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コーネロに関してはオリジナルの設定です。


信仰試験レコンキスタ

教主コーネロ。

その始まりはある小さな貧しい集落であった。

 

イシュヴァールとの戦争の前から貧しくはあったが、その戦争が始まった時には大した産業も無かったが、

地理的に言い足がかりになると言う理由でイシュヴァールに狙われ、

それに対して焦土作戦として村に対する一切の食糧等の流通を停止させ、

村を枯らせる事で、その拠点としての価値を奪おうとアメストリスは決定した。

 

それにより、食糧難の為にイシュヴァール人による略奪が横行して、その村は壊滅の寸前となった。

その村は今では数割がイシュヴァール人の血を引く混血児で構成されている。その理由は言うまでもない。

 

ただ、イシュヴァール人に村人を裁くその権利は一切無いが、その村にも()はあった。

その村は昔から、旅人を泊めては時折殺して奪い、その秘密を村全体で共有して覆い隠す盗賊の村であった。

加えて、その排他的な性質から、近親相姦を行わなければそうなり得なかったと思われるほど、彼らの血は濃かった。

事実、コーネロの両親も血が繋がった兄妹であった。

彼らはそれらの罰を受けたと言えなくも無い。だが、何度も言う様にその罰を与えるのはイシュヴァール人である必要は無かった。

 

 

その村が咎人の村になった事にも、当然のことながら理由があった。

その村は嘗て流行病が広がった時に、驚くほど死人が少なかった。

イシュヴァール人や更に西の地域からの医療知識を積極的に受け入れて、その知識を保存して昇華し、

既存の医療知識と対等の目線で融合させた事が一つの原因であった。

 

知識に偏見なく受け入れて混ぜ合わせた村は、周囲の地域が疫病に襲われている間も、

その被害を局限出来た。故に妬まれた。

悪魔を信仰して、他の村を襲わせた異端者の集団であると。

 

そう囁かれた結果、悪魔だと排斥され続け、忌み嫌われ続けた村人は排他的になり、

感情と情報は内側へと隔離され、村の外へ向ける人の心を捨てた。

悪魔と呼ばれた結果、その人々の心に悪魔が宿ったとも言えただろう。

 

 

コーネロが教主を務めていたレト教のルーツは、その村が中心であったとも言われている。

医療などの知識を偏見なく開放的に受け入れた。その際に、レト神の原型も出来たと言われている。

だからこそ、信者に対して医療知識に基づき、最小限の賢者の石の使用で怪我を治して信者を確保する事も出来た。

そして元々は、レト神とイシュヴァラ神には共通のルーツがあったとも。

 

違いとして、イシュヴァラ信仰は偶像崇拝に厳しかった事に対して、レト信仰は偶像崇拝に寛容であった。

故に、その村では様々な偶像が存在していた。

その事が、イシュヴァラ神を信仰するイシュヴァール人の衝動にも火を注いだと言えよう。

 

 

コーネロは、戦争が始まった時、古臭い街を離れて学術、特に心理学と錬金術を学ぶ為に中央に行っていた。

それで戦火を免れた。そして、新聞でも一切語られなかった己の村の惨劇を、後に知る事となった。

村はコーネロが還った時に酷いありさまだった。

母と父は殺され、弟は見せしめとして生きたまま火葬にされ、

妹はイシュヴァール人の子供を身籠っていた。

 

コーネロはイシュヴァール人に恨みを抱いたが、当のイシュヴァール人は殆ど壊滅していた。

そして、その恨みの矛先はアメストリスへと向かった。

アメストリスがその村を切り捨てた事は、中央でメディアに触れていたコーネロには自明の理であった。

 

コーネロには、もう自国が信用できなくなった。

だからこそ、己で国を作らなければならない。次第にそう言った思考に傾倒していった。

そしてその手段を叶える悪魔の契約、『賢者の石』をホムンクルスから受け取って行動を開始した。

 

 

しかし、それはアメストリスの国家に尻尾を振る忠犬によって、文字通り撃ち砕かれた。

そのコーネロに同情したわけではないが、彼の死後、復活した教祖としてコーネロになり替わったエンヴィーは、

彼の過去を利用する事にした。

 

即ち、彼の姿で昔の村に逃げ込んだ。

彼の村は、全員で殺人を隠した事実を共有した共犯者の村。

 

結束は、固かった。

その村の住人は、コーネロを護る為にリオールにやって来た。

動く事も出来ない人々を除き、家族総出でリオールの街へと。

 

その中には、小さな子供を抱えたコーネロの妹の姿もあった。

 

 

 

 

 

鎮圧が始まった時、コーネロの信徒以上に、彼の家族である村の人々は苛烈に戦った。

それが村の掟であり、常識だった。

もし、それを破って生き延びても、最早村では生きて行けなくなる。

故に、必死だった。それに、コーネロが成功していた間は、レト教への寄付金の一部はその村に送られていた。

コーネロは村の復興の救世主でヒーローだった。一族の誇りであった。

 

だから、国家の狗が周囲一帯に声が広がる無線放送設備を錬成して、

 

「今、一人死刑にした。そして今、更にもう一人死刑にした――――」

 

と、銃声を響かせながら放送して、

 

 

「国家反逆罪は大罪故に、判決――――――死刑。

この事への命乞いは認めない、情緒酌量の余地は無い、取引の場所も時間も用意しない。

該当者は全員処罰する。

全員これ以上罪を重ねる事無く罰を受け入れろ。刑の順番を優先されたい者だけが前に出るといい。

さあ、次は―――――――――お前の番だ」

 

 

その様な悪魔染みた宣告をした後でさえ、一切抵抗は緩まなかった。

コーネロの妹も、子供とは血が繋がっていないがその父親となった村の男性も、

皆、皆死に絶えた。

 

 

 

 

 

そして、彼らが死に絶える時にコーネロに祝福をとレト人に祈ったが、

嘗てイシュヴァールの民がイシュヴァラ神に救われなかった様に、その願いは通る事は無かった。

 

 

彼らの絶望の願いを聞きながら、再び同じ人物によって頭蓋を打ち抜かれたコーネロの死体は、

口元を吊り上げていた。

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