アレンとアーサーは最初の目的地であるムーンブルクを目指し、その大陸へ
降り立っていた。しかしムーンブルク城まではまだ遠く、人の住む小さな
集落がいくつかあるにはあるが道を大きく外れてしまう。よってしばらく
旅を続け、ひとまず『ムーンペタ』の町を目指すことに決めた。
「あの町もムーンブルクほどじゃないけど遠いんだよな。先は長いぜ・・・」
「何日かはかかるだろうし焦らないほうがいいだろうね。魔物も多い」
この辺りの魔物はローラの門の敵たちとほとんど変わらないが、
ムーンブルクの城が襲われ機能しなくなったせいか、その数が以前に
訪れたときよりも目に見えて数が多い。不要な戦闘は極力避けなければ
話にならない。これまでにないほど野宿が続き、自分たちでも目に見えて
動きが鈍っているのがわかる。一日の移動距離も減っていた。
(いまだけはアーサーの消極的な戦い方にも賛同するしかねえな。しかし
あの魔術師をナイフで突き刺したときのあいつはとてもじゃないが
腰抜けだとか弱虫なんていうのとは程遠かったな。よくわからん・・・)
何度もやって来ている土地なのにこの苦労だ。これから全く知らない地へ
旅をしたときどうなるのだろう。一か八かの進軍は死という結果を見るだけだが、
逆に慎重になりすぎてもいつまで経ってもハーゴンの居城にはたどり着けない。
どれだけ無難に過ごそうとしても予想外の事故はいつか起きる。あまり
時間をかけすぎても、先に世界が邪教の手に落ちてしまうだろう。
「今日は疲れたね。あそこなんかキャンプにちょうどいいんじゃない?」
「もう休むのか?うーむ・・・確かに魔物がやってきそうにもないし
絶好だとは思うが・・・あと少し頑張れないか?」
「じゃあ別の場所にするか。ぼくもこれ以上歩けないってわけじゃないから。
ただあまり急ぐ必要もないだろうと・・・・・・ん?」
二人は前からふらふらと誰かが一人で歩いてきているのを目にした。
自分たちと同じ旅人だと思われるが、まだ遠くにいるにも関わらず
足取りがおぼつかないのがわかる。よほど酒に酔っているのか、
もしくは疲れているか・・・。魔物に襲われ怪我をしている可能性もある。
放ってはおけないので近づいて声をかけてみることにした。
「おい、あんた大丈夫か?今にも倒れちまいそうだ・・・ぜ・・・・・・」
その旅人と思っていた人間の姿を間近で見て、アレンたちは思わず絶句した。
ぼろぼろの布の服に包まれた身体から強烈な腐臭を放ち、それよりも異常なのは
顔面が半分以上崩れている点だ。どう考えても人間ではないだろう。
いや、人間だったというのが正しいか。それは動いている死体だったのだ。
「な・・・何だこいつは―――っ!?魔物なのか!?そして臭い!おえっ!!」
「こんなやつは以前はいなかった。これもハーゴンの力によるものなのか?
とりあえず逃げよう。動きは鈍そうだしぼーっとしている」
もともと穏やかだった魔物たちが急に人を襲うようになった、ということは
よく知られている話だが、サマルトリア付近の幽霊や今回の死体のように
これまで見なかったような新種の魔物が出現していた。この死体は
『リビングデッド』と呼ばれるもので、まだまだその実態については
魔物の研究を進める学者たちでも解明できていなかった。
「気持ち悪い野郎だったぜ・・・・・・まだ臭いが鼻についてやがる!」
「今回は一体しかいなかったからよかったけどね。いつかはあれとも
戦わなくちゃいけなくなるかもしれない」
「だよなぁ。強そう弱そうっていうのは抜きにしてああいうのは
勘弁してほしいぜ。なめくじやムカデがマシに思えてくるもんな。
あんなのと戦った後に町に入ったら女の子たちに避けられちまう」
それから数日間の旅の途中、一日で一体か二体はリビングデッドを目撃しては
全力疾走で逃げていた。そしてこんな不快な気持ちにさせてくれる元凶である
ハーゴンにどう怒りをぶつけてやろうかとアレンは憤りを溜めこんでいた。
そしてようやくムーンペタの町が見えたが、久々の人の住む地へ駆け込みたい
気持ちを抑え、染みついた臭いと汚れを落とさなくてはならなかった。
ある程度落としたらあとは宿屋で水浴びだ。この日はちょうど太陽が
沈みかけていたのでどの道町に入ったら宿に向かい用事は明日だろう。
「・・・・・・では一人部屋を二部屋、でよろしいでしょうか」
「ああ。それで頼む。一人8ゴールド・・・だったな」
「確かにいただきました。ではごゆっくりお休みくださいませ」
二人分の代金を支払い、受付を後にする。しばらくしてから彼らは
互いに両こぶしを握りながら高々と掲げ、高々と笑顔になった。
他の宿泊客がいなければ勝利の雄叫びをあげたい気分だった。
「よっしゃあ!!部屋を無事確保だ!しかも二部屋とれちまうとは!
せっかくのベッドで眠れるチャンス、緊張したぜ~っ!」
「満室も珍しくないからね。この宿屋は。ここを逃すと衛生面最悪、
治安は最低、そんなところしか残っていなかった。ふ―――っ」
部屋が空いていないので泊まれない、と言われるのも覚悟していたので
彼らは心から喜んでいた。寝心地のよいベッドによる安眠、温かい食事、
全てが得られるのだ。サマルトリアを出てから今日までずっと
外で寝ていたのだから、ほんとうに久しぶりの宿だった。
「夕食を食べたらそのまま寝よう。ぐっすり眠れるだろうなぁ。
明日は武器と防具の店、それに道具屋に行くことから始めよう。
ムーンブルクの様子とかを聞いて回るのはそれからにしよう。
何ならもう一泊していってもいい」
「そうだな・・・。一泊程度じゃ疲れも抜けきれねえよ。じっくり町を
見て回りたいしな。今日のところは酒はやめておくとするか」
アーサーはほっとした。彼が酒を飲むと言ったら、止まらなくなるに決まっている。
他の客のこともあるので付き添っていなくてはならない。また深夜まで悪酔い
したうえに自力では部屋まで帰れなくなっているだろう。これでもうアーサーの
睡眠時間もほとんどなくなることが決まってしまっていた。
「じゃあぼくもお酒はいいかな。また明日にしておこう」
二人の間ではすでに明日もこの宿に宿泊することが薄々決まっていた。
先を急がなければいけないのはわかっているがここは清潔で料理も上質だ。
サービスも申し分なく、一泊で終わらせるには惜しかった。いろいろと
もっともな理由をつけて滞在を長引かせたかったのだ。
「だから今日のところはもう寝よう。ベッドを満喫させてもらうよ」
「ああ。しかしおれは正直お前がここまでやれるとは思ってなかったぜ。
城を出て世界に飛び出したいっていうお前の願いは結構強いみたいだな。
ま、おれも負ける気はないが・・・そもそも勝ち負けって話ではないけどな」
アレンとアーサーはそれぞれ自分の部屋に戻った。穏やかな気持ちで眠りに
つけるのがこんなにありがたいことだなんて、としみじみと噛みしめていた。
いかに自分たちがこれまでの人生、恵まれた立場だったのかを思い知った。
そして次の日の朝、二人は目覚めてから顔を洗った後に合流した。アーサーは
元気そのものだったがアレンのほうはどうやらそうではないようだ。
「・・・・・・きみ、眠れなかったんだね?あんなに疲れていたのに・・・」
「・・・お前はぐっすり寝られたみたいだな。あれでよく眠れたな・・・」
「何の話?そういえば犬の鳴き声がしていたね。でも気になるほどだったかな?
いつ襲われるかもわからない外の寒空であんなに熟睡していたきみにしては・・・」
アーサーは両手を横に広げて冗談だろう、と言いたいような顔だったがアレンは真剣だ。
「犬?お前こそ何言ってる?若い女の子の声だった。何を言っていたかは
忘れちまったが必死に訴えてきてたんだよ。どこかで聞いたことが
ある声だったから気になって気になって・・・お前には聞こえなかったのか」
「夢じゃないの・・・ほら、あそこに犬がいる。ぼくのほうが正解みたいだ」
宿屋の外に出て早朝の新鮮な空気を吸った。するとアレンは犬のほうへと近づいていく。
「おいアーサー、こいつがお前の言っている犬だな?なかなかかわいい犬だぜ。
お前もこっちにきてこの犬と少し触れ合っていかねえか?」
「いや、ぼくはいい。犬より猫のほうが好きなんだ。犬にはあんまり興味がない。
それに野良犬じゃないか。ぼくならその犬には近づかないね」
「おれは興味がある!たとえばこいつがオスかメスか・・・な~んてことに!」
アレンは犬を抱え上げるとひっくり返して腹の側が自分に見えるようにした。
犬はばたばたと暴れて嫌がっていたがその小さな体ではアレンに勝てなかった。
「・・・おっ!何もついてない!ということはこいつは・・・・・・」
アレンが力を抜いたその瞬間だった。犬はアレンの拘束から抜け出すと、口を
大きく開いて彼の右手に狙いを定めた。そして力いっぱい噛みついていた。
「ぎゃああああぁぁぁ―――――――ッ!!こいつ!噛みやがったッ!アーサー!
早くこいつを追い払え!何て凶暴なクソ犬だ――――っ!!」
「・・・きみが怒らせたんだろ?だから近づくなって言ったのに・・・」
仕方なくアーサーが助けに向かうと、犬は自分からアレンを噛むのをやめて
どこかへ走り去ってしまった。危害を加えられると察知したのだろうか。
「なかなか知性は高そうな犬だなぁ。ところでその傷・・・ホイミしておく?」
「くそっ・・・あんな犬にやられるなんてな。ホイミよりも薬草がいい。
どんな病気を持ってるかわかったモンじゃねえ。ちゃんと治さないと・・・」
朝からとんだ災難だ、とアレンは涙目で宿に戻っていった。深々と
噛みつかれていて、出血も目立っていたので最終的にはホイミの呪文に
頼らざるをえなくなってしまった。
朝食を食べ終えてから本格的に町のなかを見て回る。すると、一人の女性が
アレンに声をかけてきた。アレンもまたその女性を知っていた。
「あっ、あなたはアレン様!私は昔ローレシア城でお仕えしていた・・・」
「そういうあなたは・・・!覚えてるよ、まさかこんなところで再会できるなんて」
思い出話に花が咲いていた。相手の女性は一目でアレンだとわかったのだ。
この出来事だけ見れば奇跡的な再会だが、その後も二人とすれ違う町の人々は、
「ん?あれはローレシアのローレル王子とサマルトリアのテンポイント王子
じゃないか。護衛もつけずに二人でいるなんて・・・」
「あのトウショウボーイと流星の貴公子が?仲悪そうだって噂だったけどなぁ。
ローレシアとサマルトリアの関係も昔ほどじゃないみたいだけど・・・」
ムーンペタには幾度も訪れているのだ。先程の女性がローレシアから
どこか別の町へ行き、最近になってこの町に越してきただけで、他の町人から
すれば彼らの姿は珍しくなく、今回は何の用だろう、とか普段と違って
王や兵士たちはいないんだな、としか思われていなかった。
「ムーンペタ・・・『人と人が出会う町』と言われているが・・・おれたちは
さっきのアレで終わりか?おれが子どものころ城の厨房にいた人なんだよ」
「どうだろう。再会だけじゃなくて新たな出会いもあるかもよ?ぼくたちの旅も
二人だけじゃなくてせめてあと一人でもいれば結構楽になりそうだけど
いきなり仲間を募るのもあまりいい行動ではないだろうね」
今やどこに邪教の信者が潜んでいるかわからない。表向きはこれまで通りの
一市民として社会生活を送っている。もしアレンたちがハーゴン討伐を
大声で叫ぼうものならあっという間に包囲網が完成するだろう。
そうなれば町も安眠できる場所ではなくなり、最悪ローレシアや
サマルトリアの国そのものに魔物たちが攻め込んでくるかもしれない。
「ムーンブルクは魔物の排除に熱心だった。だから真っ先に狙われたんだ。
この町ではぼくたちのことが知られてはいるけれど、真の目的までは
明らかにするべきじゃないと思う。これから先の町では場合によっては
きみが最初にリリザで言ったように身分も隠しておかないとね」
「ああ。あくまでおれたちはただの旅人だ。いまはまだそうでもないが
そのうち魔物や邪教の連中を倒し続けたら目をつけられちまうだろうしな。
町をのんびり散歩できるのも今のうちかもな・・・」
人々からある程度話を聞き終え、やはりムーンブルク城は壊滅させられ、
そのせいで魔物の影響がこの辺りにも及び始めている実態などを知った。
それから彼らは武器を新調するために武器と防具の店に向かった。
アレンは店内に入るとすぐに鋼鉄の剣に惹かれ、手に取った。
「・・・おっ!こいつはいい。おれはやっぱり剣で戦いたかったんだ。
鎖鎌はもういらねえ。銅の剣もずっと使っていてもう限界だった。
おれは鋼鉄の剣を買う!アーサー、お前もこいつでいいな?」
アーサーにももう一本手渡した。しかし二、三回試しに振ってみたところで
彼は店主に返してしまった。代わりに鉄の槍を購入する旨を伝えていた。
「ん・・・?槍だと?金ならまだ余ってるぜ、剣のほうがいいだろうよ」
「うーん・・・ごめん、アレン。ぼくにはその剣は使いこなせそうにない。
こっちの槍ならまだ軽くていい。余ったお金であの鎧でも買いなよ」
「・・・・・・そうか。ならそうさせてもらう。使いやすい武器にしなきゃな」
アレンはアーサーにこれ以上無理に勧めはせず、言われた通り鋼鉄の鎧を
買ってここで装備していった。これまではちょっとした腕力の差かと
思われていた二人だったが、やがて『戦士』としての格と適性の違いが
徐々に明らかになっていく。この店でのやり取りはその最初だった。
武器と防具に続き、道具屋で薬草と毒消し草をまとめ買いした。更に
魔物たちを寄せつけない聖水と緊急時のためのキメラの翼も。
これで残金は今晩の宿泊費以外ほとんど使い切り、明日からの
ムーンブルクへの長旅の準備は整った。ちなみに、買い物の際に
何枚かおまけの『福引き券』をもらい、気合いを入れて福引きに挑戦したが、
「・・・ゴミすら当てられなかったか・・・。あんな券は売って金に
しちゃえばよかったな。しかし運が悪いのはおれか?お前か?」
「さあ。どっちが回してもダメだったからね。まあ楽しませてもらったよ」
もともと当たりが入ってないんじゃないかとか、この町の権力者やムーンブルクの
貴族や王族が決まって当たりを出すんじゃないかと二人は愚痴をこぼし合った。
しかし彼らは王子という立場であることをだいたいの町の人々はわかっているので
あまり大声では言えなかった。福引きに文句を言ったり裏を疑ったりしているのが
知れたら彼らどころか国の権威にも関わりかねない。福引き自体は、王族でも
たまには庶民の文化に触れあいたいのだろうと思われるだけだろうが、
もしまた挑戦する機会があっても自分たちの素性が知られていない町がいいという
結論になった。もうやることもないので早めに宿屋に行くかと話していると、
「アーサー!あれを見ろ、あの男の格好はムーンブルクの兵士だ!」
「生き残りがいたんだ!もしかしたら現地に行かなくても彼に話を聞けば
終わるかもしれないね。さっそく行こう!」
「・・・お前、そういう手抜きするやつだったのか~?真面目そうに見えるのに。
まあいいか・・・話を聞かなくちゃいけないのは確かだしな。もしもーし!」
アレンが大きな声で呼びかけると、その兵士はびくっと身体を震わせた。
「驚かせてしまいましたか・・・これは失礼。私たちは・・・」
「おお・・・あなた方は王子様たち!私はムーンブルク城の兵士です!」
「随分とやつれていますね。無理もない。そのとても辛い気持ちを
突くようなことになるかもしれませんが、話していただけませんか?
あの城でどのような戦いが繰り広げられ、いま城はどんな状態なのかを」
二人は穏やかな口調で語りかけていたが、兵士の震えは止まらない。
余程の地獄を見て、今でも苦しんでいる表れだと二人は彼を哀れに思ったが、
彼の心を痛めつけているのは少し違った理由によってであった。
「・・・・・・それが・・・実は私は何も知らないのです。城に魔物どもが
次々と侵入し、戦いのざわめきが激しくなるのを聞いたとき、門にいた私は
怖くなって逃げ出してしまったのです!武器を捨て、この町へと!
もちろん城には戻っていません。しかし旅の者たちの話やここのところの
魔物たちの様子を見るに・・・!ああ、王よ、それにセリア姫!お許しを・・・!」
この兵士は職務を放棄し逃亡してしまったのだ。アレンたちが無駄な戦闘を
避けるために逃げていたのとは異なり、逃げてはいけない場面で己の命欲しさに
そうしたのだ。自責の念や後悔から彼は震えていたのだが、当然この男も
震え始めた。闘将ボーイと呼ばれるアレンが、臆病な兵士に対し怒りによって。
「てめえ・・・!人々の命を守る兵士でありながら・・・クズが・・・!」
「ひっ・・・!ほ、ほんとうに申し訳ございません!ロ、ロ、ローレル王子・・・!」
男らしくない行為に鉄拳で罰を与えようとする彼をアーサーが割って入って止めた。
「まあまあアレン、しょうがないじゃないか。もう手遅れだったんだろう?
だったら無駄に命を散らすよりは人間としてはその行動が正しいじゃないか」
「・・・・・・・・・」
穏やかな顔でまるで神父のように許しを与えようとしている。しかし兵士は
いまだに浮かない顔だ。彼の求めているものは許しではないのか。
それを知ってか知らずか、アーサーはその兵士の兜を突然奪いとり、
茫然としている間に剣も取り上げ、最後に鎧を自分で脱ぐように言うと、
「・・・でも兵士としては正しくなかった。あなた自身もわかっているはず。
なのにまだムーンブルクの選ばれし兵士気取りとは・・・。さっさと
どこかへいなくなるんだ。二度と兵士などとは名乗らないことだ」
睨みつけると布の服一枚だけになった元兵士は走り去ってしまった。
アレンは腕を振り上げたままだった。その彼に対しアーサーは静かに、
「ぼくは余計なことをしたかもね。きみに殴らせたほうがよかった」
「・・・そうか?おれがカッとなったところを止めてくれたんだろ?
ただ、確かにあいつは誰かに裁いてもらいたかったのかもな。
仕える王も仲間も人々も見捨てて逃げちまった情けない自分を・・・」
彼らは予定通り宿屋に向かい、自らの目でムーンブルクの現状を確かめに
行くために英気を養うことを決めた。建物内へと入っていく二人の姿を、
早朝に出会った犬がじーっと見つめていた。