ラダトーム城から緊急避難のルーラで脱出したアレンたちが飛んできたのは
竜王の城だった。それも最深部に近い場所まで一気にやってきた。
「まさかラダトームよりも竜王の城のほうが居心地がましになるとは
思わなかったぜ。ブライアン様の時代には考えられない話だな」
ほんの少し歩いただけで現竜王、ホクトボーイのもとにまでたどり着いた。
アレンたちを友と認めた彼は上機嫌で彼らを迎えた。
「おお、そなたたちは!こんなに早くまたわたしに会いに来てくれたのか!」
「まあ・・・・・・そうだな。でもまずはお前の親父さんに会わせてくれ」
「むむ・・・そういえばわたしと話した後に父とも何やらやっていたようだったな。
どうせろくなことではあるまい。父の考えは古いからな。まあよい、早々に
終えてこちらに来るのだぞ」
アレンたちは先代竜王の部屋へと案内を連れずに歩いていく。そもそも三人が
ラダトームへ行くきっかけを作ったのはこのシービスケットだった。人と魔物の
真に平和な関係をラダトームが果たして心から望んでいるのかどうかを
確かめてほしいと彼は言った。アレンたちの姿を見ると彼はゆっくりと席を立ち、
「・・・きみたちか。で、どうだった?ラダトームは本気で我らとの・・・」
「それどころじゃなかったんだよ。まあとりあえずは聞いてくれ」
アレンはラダトームでの全てを話した。町の様子も、城内や兵士たちの守りの固さ、
更にはダイヤモンド王子によってセリアが襲われかけたためアレンが助けに
割って入り、そのためにもうラダトームには入れなくなったことまでを伝えた。
「ムムム・・・許せんやつらだな。このわしも怒りに満たされてきた。しかし・・・
我々との交友の真意に関しては・・・わからず。城の警備も強固か。
わし個人としてはいますぐにでも民を無視して私腹を肥やし、それだけでなく
若き処女を強姦するというのなら王族どもを攻めに向かいたいところだが・・・
戦いを始める正当な理由には足りない。まだ様子を見るべきか・・・」
「それがいいと思うぜ。おれも心底腹がたったけれど、この城の魔物たちでも
勝てないかもしれないぜ。守りに隙が無いんだ。それにあんたたちが行動を
起こしたらおれたちの国もきっとラダトームに味方することになる。
おれは意地でも加わらないけど、それでもあんたたちの仲間にはなれねえよ」
しばらくは現状のままアレフガルドは流れていきそうだ。不満や苛立ちを
忍びながら、それでもうまく繕いながらやっていくのしかないのだろう。
少し狂えば大惨事になりかねない、危険な関係をとりあえずは続けるのだ。
「目的は果たせなかったが、それでもそなたらがわしの願いに応えラダトームに
行ってくれたことは確かだ。感謝の意を込め約束通り『素晴らしい宝』を渡そう」
アレンたちがすっかり諦めていた豪華な報酬。先代竜王シービスケットは寛大にも
それを譲ってくれるようだ。アレンたちに広い心を要求しただけあり、
彼自身もそれ以上であることを示した。
「・・・いいの?後でやっぱやめたって言ってももう遅いのよ?」
「うむ、二言はない。ラダトームのことはともかく、わしときみたちの
友情の証だ。それに関してはわしも息子と同じだ。お――――い、
タウィー!例の物を持ってくるのだ!以前から言っていたあれを!」
タウィーというのは、この城に仕えているグレムリンの名だ。三人が初めて
竜王の城を訪れた先ほどはそのグレムリンがアレンたちを案内したのだが、
今回はどこにもいなかった。そしていま、いくら名前を呼ばれても返事がない。
「・・・いないのか?いつもわしの声が聞こえたらすぐにやってくる
お前が・・・仕方ない、わしが自分で・・・・・・」
先代竜王はアレンたちを部屋に残して自ら宝を取りに出ていった。その宝が
保管されている宝物庫に向かう途中、ふと一枚の紙が視線に映った。
これは見慣れないな、と注意深く見てみることにした。人間の言葉を使用するように
強制されていた彼らなのに、その紙は魔族の文字で書かれていた。
それは『手紙』であり、内容は別れのあいさつ、そして謝罪だった。
全てを読み終えると、シービスケットはふるふると震え、立ちつくしてしまった。
「やけに遅いな・・・まさか場所を忘れたとかじゃあ・・・」
「・・・馬鹿が・・・!タウィーめ、一人で行ったのか・・・!」
その場から動かなくなってしまい、宝どころではなくなったようだ。
不穏な空気とこれから起きる事態の深刻さは三人でも察知できた。
グレムリンのタウィーは竜王の城にはおらず、もう戻る気もないのだ。
夜のラダトームの町。一人の少年がナイフを研いでいる。彼の肉付きや服、
雰囲気から貧しい家の子どもであることは明らかだった。ラダトームの町では
どこにでもいる存在で、餓死してしまった幼い子らの死体も珍しくなかった。
その少年に一人の女性が近づいていった。肌が浅黒く、髪は短い黒髪だった。
「・・・きみ、そんなところで何をしているの?私は城の人間じゃないし、
周りには誰もいない。力になれるかもしれない、こっそり教えてくれない?」
少年の目つきは鋭く血走っていて、幼い子どものものではなかった。
それと同時に強い決意が、しかしどこかに恐怖心のようなものも感じられる。
「・・・おれが五歳の時父ちゃんは死んだ。それから母ちゃんはおれたちを
食べさせるために無理して病気になった。そして金がなくなったおれたちの
家に兵士たちや金貸しがやってきて・・・!おれのたった一つ年下の妹を
売春宿に無理やり連れていった!まだ九歳だぞ、おれの妹はっ」
「・・・・・・・・・」
「だから明日の朝、まだ太陽が昇る前に殺してやる。宿の連中も、商人たちも
兵士たちも、腐った王とその息子たちも!このナイフで刺してやる!それが
母ちゃんや妹の苦しみを晴らし、残った家族を守ることになるからだ!」
この少年の持っているナイフでは誰一人倒せずに逆に捕まり処刑される
だろう。その女性は少年からナイフを取り上げると、それを池へ投げ捨てた。
「・・・お、おい!どうしてくれるんだよ!おれの武器が・・・!」
「・・・・・・きみは妹思いの、そして家族思いのいいお兄ちゃんだ。
だからきみが死んだらみんな悲しむ。ばかなことはやめて家に帰りなさい」
「そういうわけにはいかねえんだ!お、おれがやらなくちゃ・・・」
「・・・・・・わかった。でも予定通り明日の朝まで待っていて。
そのときにはきっと終わっているはずだから。家にいなさい」
それはどういう意味なんだ、と少年が尋ねようとしたときにはもう女性は
いなかった。思えばあんな女性はほとんどの町人の顔を知っている彼でも
知らない顔だった。しかしその言葉に従い家に戻った。
(・・・そう、このようなことはいなくなったとしても誰も悲しまない
私のような者がやるべき。だから竜王様たちとの関係も絶ってきた。
これでわたしが捕らえられたとしても迷惑はかけない。野良の魔物が
勝手にやったことなのだから。そう、これは私の仕事なんだ)
その女性の正体こそ、竜王城から姿を消したタウィーだった。グレムリンという
悪魔族の特技に、姿を変えて人を欺くというものがあった。いまの姿は、
もしタウィーが人間であればこのような外見である、というイメージによって
形成されているので、変身による体力の消耗も最小限に抑えられていた。
そのぶんこれから果たそうとしている復讐に全力を費やせるというのだ。
(シービスケット様、お許しください。私はもう忍ぶことができません。あなたや
あなたのご子息である現竜王様が築きあげてきたものをあなたの代からずっと
一番のしもべとして仕えてきた私が壊すこの裏切りを・・・)
タウィーはずっと隠してきたが、ラダトームの者たちへの恨みと憤りがついに
彼女を行動へと移した。百年前からの苦しい歴史を体験しているうえ、彼女の
両親はそのきっかけとなるラダトームとの戦いで戦死した。それだけならば
戦争で負けた者たちの宿命として、悔しくともまだ諦めることもできた。
しかし、ラダトームの王がいまの代になり、一見平和な関係を築きつつ
あったその裏で、事件は起きた。ラダトーム側は王族の娘を竜王たちに与え、
代わりに竜王軍側は数匹の力ある魔物たちを、労働力や武力の強化のために
ラダトームに派遣した。その魔物たちのうち、いま生存が確認されている者は
一匹もいない。そのなかには彼女の兄、『ドクターフェイガー』がいた。
彼はグレムリン族のなかでも特に優秀で、炎はもちろん物理的な攻撃力も
その種のなかではずば抜けていたのだが、回復呪文に関してはまさに別格で、
ホイミを数回唱えるのが限界の者がほとんどのなか、ベホイミを何度でも
使えるほどの天才だった。だからラダトームにも回復呪文を教える者として
遣わされていたのだが、どうしたことか連絡が途絶え、ラダトームに
問い尋ねても相手にされない。タウィーは悟った。兄はもうこの世にいない。
「あのとき・・・最も力ある竜王マンノウォーが倒された日からずっと、
人間たちの悪辣さと残虐さは同じ状態のままだった。私は人間が憎い!
だから竜王軍をシービスケット様たちに隠れて鍛えに鍛えあげ、
屈強な軍隊として仕上げてきた。いつでも戦争ができるように」
ここでタウィーは小さなため息をついた。しかしその顔には笑いさえも浮かんでいた。
「・・・でもそれでは多くの仲間たちに迷惑がかかる。今度こそ魔の島の、いや、
アレフガルド全ての魔物が根絶やしにされてしまうかもしれない・・・。
私の身勝手な復讐心なのだから、私だけでやるべきことだったんだ・・・」
タウィー自身、どれだけ成果をあげたとしても、もう自分の命はなくなることを
知っている。それでも気持ちが穏やかだったのは、先ほどの少年に自分の兄
ドクターフェイガーの面影を見たこと、それに加え彼女が勇者ロトの末裔である
三人の勇者たちに確かな希望を見いだしたことが理由だった。今まで人間という
種族そのものを忌み嫌っていたが、その思いを改めることができたからだ。
いつかラダトームを襲撃し人間たちを残らず打ち倒してやろうという自分の考えが
魔族として正しいと信じて疑わず、人間との友好関係を推し進めようとする
ホクトボーイたちに不満を抱えながら生きてきた自分の考え、それこそが
間違いであるとわかったとき、なぜかそこには爽やかさがあった。
「これで心残りなく私は消えていけるというもの。間違った思いに支配されていた
代表ともいえる私が死ぬことでアレフガルドは新たな輝かしい未来を掴める!
でも・・・それでも私は兄さんの復讐を果たさずには死ねない!お許しを!」
タウィーは少年と異なり、狙いをラダトームの高貴な者たちに絞っていた。
夜の闇に紛れて侵入し、捕らえられるその瞬間まで少しでも多くの人間を
打ち殺すことで、家族や仲間の無念を晴らそうというつもりでいた。
「・・・闇は満ち、時は来た。いざ!」
彼女が意を決して城に入ろうと足を踏み出したそのときだった。突然目の前が
眩しくなり、そのために倒れてしまい動けなくなった。見張りの兵士たちが
怪しい存在である彼女の姿を照らしたというわけではなさそうで、しかも
その光は人によるものではない。魔族である彼女には、むしろ自分と同じ側、
しかし遥かに格上の存在によってもたらされた眩しい光だと理解できた。
立ち上がれないままでいると、光のなかから彼女に呼びかける声があった。
『君はどうしてこんなところにいるのか。魔物でありながらそのような姿に
自らを変え、よくない事柄のために進んでいこうとする者よ』
つい先刻に自分が少年の思いを見透かして接したのと同じで、今度は自分が
あの少年のような立場にいるのだ、とタウィーは目の前の存在を恐れた。
「・・・私には何のことだかわかりません。あなたが何者かさえも・・・」
『わたしは君を知っている。グレムリンのタウィー、これまで長年、竜王軍で
忠実に働き続けた者を。その君がいま、正しくない思いを果たそうとしている』
「あなたと何のかかわりがある!私をとどめないでもらいたい!この私のような
消えたとしても誰も悔やまない者がやるべきことを!」
タウィーは押さえつけられている感覚を強引に振りほどいて立ち上がろうとした。
すると光のなかから発せられる声は、心から彼女を思いやる憐れみ深いものとなった。
『・・・それは違う。たとえ誰も悲しまないとしても・・・このわたしが悲しむ。
これまでたくさんの悲しみを耐えてきた君をどうして見過ごせるものか』
「・・・・・・・・・あ、あなたは・・・・・・!?」
『君だけではない。このラダトームからは多くの魔物、また人間からも
無数の助けを求める叫び声と苦痛にうめく声がわたしのもとに届いた。
そのためにわたしは来た。さあ、君は罪を犯す前にここから去っていきなさい。
これから先はわたしの裁きだからだ。城に入ってはならず、町から出なさい』
この声は天の使いのもの、もしくは神自らなのではないかとまでタウィーは
思うに至ったが、よく考えたら悪魔である自分を神や精霊たちが憐れむはずが
ない。この者はもしかしたら・・・・・・と思考を巡らせていると、
『そう、君が町から出たなら城からは大きなざわめきが起きるだろう。そのとき
最初に目にする男、それこそ君が求めている魂だ。その者の命は君に
任されている。わたしの言うことを聞くならば必ずすべてはうまくいく』
光は消えてしまい、彼女は普通に立てるようになった。あれだけの輝きと
響く声でのやりとりがありながら、兵士たちは誰も気がついていない。
様子を見に来る町人たちもいない。あれは自分だけが見せられた幻だったのでは
ないだろうか、タウィーはしばらくその場でいろいろなことを考えていたが、
「・・・・・・・・・」
その声に聞き従って城に入るのをやめて、町の出口を目指した。あれは神では
ないが、タウィーにとってはそうとしか思えない導きの声だったからだ。
「・・・・・・あの方からの合図があった。『始めろ』ということだ」
「思っていたより遅かったわね。何かあったのかしら・・・・・・」
「さあ。でもあの方なら心配はない。あの方もまた、私とお前を信頼して
この役目を与えてくれたんだ。始めよう」
タウィーの前に現れた光が消えたのとほぼ同時刻、ラダトーム城の隅の一角の
小さな部屋から二つの影が出ていった。その主から与えられた指令を果たすために。
ラルス王の玉座の間には、王と長子マジェスティ、そして顔面に包帯が巻かれた
ダイヤモンドがいた。大臣もそばで立っているが、彼らの話には加わっていなかった。
「・・・まんまと逃げられてしまったか。しかし遠くまで行ってはいないだろう。
明日からアレフガルドじゅうを捜索する。何としても捕らえねば」
「ご安心を、父上!すでに準備は整っております。セリア王女は私の妻に、
残りの二人もこの城に監禁し、日に三度パンを与えればよいことに
変わりはありません。ローレシアやサマルトリアには気づかれることなく
事は進められるでしょう。彼らは魔物との戦いで人知れず死んだと
片づけられることでしょう。私たちの悲願が叶うことに変わりはない・・・」
ラダトームは最初からアレンたちをこの地に縛りつけ生涯出さないつもりだった。
セリアがダイヤモンドの妻としてラダトームに留まるのはもちろんのこと、
アレンとアーサーも何らかの方法で自分たちの管轄下に置く計画だった。
彼らをもてなしたやり方からすれば、アレンは大勢の女性たちによって
骨抜きにさせ、アーサーは彼の研究心に付け込んで、多くの資料や文献を
与えることで縛りつけようとしたと考えられる。そのうち彼らにも妻と
何らかの特権を与えればこの地に永住することをよしとするだろう。
「ロトの末裔たちのことはそれでいいとして・・・竜王軍の魔物たちは
どうする?そろそろ不満を持つ魔物が暴れだすかもしれないぞ?
いまでも彼らを虐げていたことがそろそろ公になってもおかしくはない。
マカヒキのやつがやつらを玩具として派手に遊び尽くしたせいでな・・・」
「それならもっと問題はないでしょう、兄上。彼らは私たちを信頼しきって
いるではありませんか。こちらから送り込んだ女たちのことが大きい。
彼らはいまだにそれを王族の娘だと思い込んで疑っていないのですから
やりやすい。あれがただの町から連れてきた女たちだとは思っていません。
万が一彼らが戦争を仕掛けてきたとしても我が軍のほうが上、それに・・・」
ダイヤモンドはにやりと笑う。すると、他二人もわかっているかのように続いた。
一人わけを知らない大臣はその秘密兵器の正体が気になり耳を傾けた。
「・・・いま勢いのあるハーゴンの軍勢と手を組めば全ては解決するでしょう。
圧倒的な力で我らに反するものを黙らせる。新たな世界の頂点を主張している
ローレシアすらも飲み込めると私は確信しています」
聞き捨てならない言葉に、沈黙を守っていた大臣がたまらず身を乗り出し、
「ま、まさか世界を破滅に導こうと暗躍する邪教と協力関係を結ぶと
いうのですか!?そのようなことを本気で・・・」
「ははは、お前は相変わらず考えが古い。そのようなことではこの先生き残れんぞ?
ロトの末裔たちを手に入れルビス様の祝福を受け、邪教の者たちと共に
安定した基盤を築いていけば我らの敵など世界にいなくなるではないか。
ハーゴンとそのしもべたちですら我らがいいように操ってやるのだ。
我らのためになるものは全てを利用すればいい!はっはっは!
お前たちも笑え!ラダトームの約束された未来を祝して・・・・・・む!?」
王が高らかに笑っていたその途中で、突然部屋の全ての灯りから光が失われた。
偶然にも全てが同時に光を奪われ夜の闇と同じほど暗くなった玉座の間は混乱に覆われた。
「うおっ!!急にどうしたというのだ!なぜ急にぜんぶ・・・!?」
「わかりません!確かどこかにたいまつが・・・・・・」
大臣は慌ててたいまつを探しに向かったが、その途中で再び部屋は元に戻った。
「何がどうなっている?今度は一斉に灯りが・・・」
王は次々と襲ってくる怪現象にすっかり戸惑ってしまっていたが、流れ出る汗も、
己のなかに流れる血液すらも凍らせる光景がその目の前にあった。
数十秒にも満たない闇の時間に起きた出来事はあまりにも衝撃的だった。
「あ・・・あああ・・・!!」
「あ、あ、あ・・・・・・兄上―――――っ!!」
ラダトームの次期国王である王の長子マジェスティの首が斬り落とされていた。
それに伴う大量の血も床や壁に舞い散っている。そして、マジェスティを
断末魔すらあげさせずに討ったのは、一歩ずつゆっくりと王とダイヤモンドの
もとへと近づいてくる、鮮やかな青と赤の髪が特徴的な二人の女に他ならない。
青い女のほうは剣を手にし、そこから赤い血がぼたぼたと垂れているからだ。
「ハァ――――ハァ――――・・・お前たちはァ―――――っ・・・」
「・・・・・・私たちは」
「一言で言うなら『神の子の使い』。その方のご命令に従って動いている」
ラダトームに潜入していた、キンツェムとプリティー・ポリーだった。