アレンたちの船は無事にローレシアの港に入り、二匹のしびれくらげに見張りを任せる。
久々にアレンが戻ったと知ったならば国じゅうが大騒ぎすることは確実だ。
「だがおれたちはまだ何も成し遂げてねえ。そういうのは後にとっておこうぜ」
アレンがそれを嫌ったので、町の誰にも見つからないように忍び足で行動し、
城までの最短距離を通って城門へやってきた。さすがにここからは身を隠すのは
難しい。父である国王のもとに真っすぐ向かうとしても、入口の兵士に話を
するのは最低限必要だった。アレンを先頭に、あとの二人はその後ろに続いた。
「・・・お、おおおっ!あなたは・・・ローレル王子!ほ、本物ですか?」
「本物のおれだよ。しばらく留守にしていたから見違えるようにいい男だろ?
父上に会いたいんだが・・・今日いまから平気かな?」
「もちろん!一応確認してきますが・・・王子が戻られたとあれば王様も
どのような務めも会食も後回しにしてお会いになられることでしょう!」
兵士は大慌てで、しかしアレンの無事を心から喜んでいるような足取りで
城のなかへと消えていった。これなら彼の言葉は嘘ではないとわかる。
彼が向かったであろう先では、ところどころから歓声が沸いているのが
外で待っているアレンたちにも聞こえてきた。
「・・・ふふ、あなた、愛されているのね。立場の低い人たちから慕われて
いるというのは将来の王様として結構大事なことだと思うわよ」
「おれはもともと家族である王族や深い付き合いの貴族にはあまり好かれて
いないんだよ。そういうやつらからの評価が高いのは弟たちだ。
まああいつらも悪いやつじゃねえんだ。会っていくかな・・・」
アレンの三人の弟たちにも顔を見せにいくことにしたが、まずは国王からだ。
思っていたよりも速やかに玉座の間へ通された。かつてはアレンも父と並んで
座っていたのだから、本来許可などいらないのかもしれないが。
「しばらく留守にしていたせいで国王になる権利を没収されたかもしれないしな。
だったらこうやって部屋に入るべきだろう。さて、おれが座っていた場所には
バージとラッキー、どっちが座っているのやら・・・」
「そんなことあるわけないだろう。早く行こう」
弟の誰かに取って代わられたかもしれないアレンの特別な地位。それでも構わないと
彼はローレシアを一人旅立ったのだが、いざ久々に帰ってみるとやはり不安だった。
「・・・父上!私アレン、ただいま戻りました!何の連絡もなく今日この日まで
帰らなかったことを・・・・・・!」
アレンは父の隣に誰も座っていないことに安堵していた。父の反対を振り切って
出ていってしまったというのに、父は温情ある扱いをしてくれたようだ。
その父はというと、アレンのよく知る普段と変わらぬ厳格な顔つきで、
「おお、我が息子よ。ムーンブルクの調査・・・のわりには遅かったではないか。
もう少し時間がかかっていたら旅の途中の荒野で死んだものとして葬儀を行い
バージを第一王子としなければならないところだったぞ」
「・・・・・・ち、父上!」
「ははは、冗談だ。お前が死ぬなどとは夢にも思っていない。寄り道が
長くなっているのだろうというのはわかっていた」
そんな冗談を言う父親だったか、とアレンは苦笑いを浮かべていた。
「しかし息子よ、アーサー王子と合流できただけではなくムーンブルクの
セリア王女まで!王女、お父上や城の者たちのことはすでに聞いた。
だがそなただけでも無事であったというのはよかった。そなたが幸せに
生きていくこと、それが彼らの最大の供養になるのではないか」
「・・・ありがとうございます、ローレシア王・・・」
「これからはこの私がセリアの父親代わりだ。困ったことがあったら
いつでも言うがいい。そうだ、今日からでもこのローレシアで・・・」
彼女を引き取ろうとするが、これは息子のアレンと同じ反応だった。アレンも
最初はセリアをローレシアで保護しようと考えていたのだ。セリアは深く
頭を上げながらも、これまでの経緯や自分の意志を王に説明した。
「む・・・そうであったか。セリアもまた勇者ロトの血が選びし勇者の一人と
いうわけか。ならば私が止める理由はない。行くがよい」
「・・・必ずや父をはじめとした者たちの仇を討ちます。そして新たな父である
ローレシア王たちの待つ世界に平和をもたらしてみせます」
王はここで少しだけ表情を柔らかくすると、一人上を見ながら呟くように言った。
「・・・しかし残念だ。もしセリアが城に残ってくれるならば私はセリアの
ほんとうの父親になれたのかもしれないのに・・・」
「それはどのような意味なのですか?ローレシア王」
「いや、私の四人の息子のうちの誰かと・・・・・・と思ったのだ。
そうなると一番可能性があるのは第一王子であるアレン、将来の
ローレル王であるこの者だと思ったのだが・・・・・・」
しばらく沈黙が続いた。やがて王の言葉の意味をすべて理解したセリアは
顔を真っ赤にすると勢いよく立ち上がり、
「・・・わたくし、外の空気を吸いたくなりましたので失礼しますわ!」
一人部屋を出ていってしまった。アレンもまた体が熱くなるのを感じながら父に迫る。
「ち・・・父上!父上が失礼なことを申されるから王女はお怒りになられて
出ていってしまったのではないですか!?なんてことを・・・!」
「むむ。そんなに嫌だと思われているとは・・・そなたこそこれまで王女に
どれだけ失礼な振る舞いをしてきたのだ?では仕方ない。バージか
ラッキーにこの話を持ち掛けてみるとするか・・・」
「そういう意味で言ったのではなくて・・・!」
アレンは父に遊ばれているとわかっていながらも抵抗を続けざるをえなかった。
アーサーはそれを微笑ましく見つめていたがある人物の登場で空気は一変した。
「・・・それとも何ですか?強姦未遂犯がいるこの城にセリア王女を
託されるのは不安だと・・・そう仰るのですね?兄上」
やって来たのはアレンの末の弟、プレス・トウコウだった。彼はサマルトリアの王女、
つまりアーサーの妹であるサマンサに襲いかかろうとしたところを何者かによって
阻まれ、危うく命を落とすほどの攻撃を受けてしまった。その日以来精神的にも
深い傷を負い、アレンが旅立つ日の見送りにもこなかったほどなのだ。
その彼が今やそれまで通りの話し方で近づいてきたが、その容姿はアレンが
知っていたプレス・トウコウとは全く変わってしまっていて、
「・・・お前・・・トウコウか?その髪・・・それに痩せたな」
「・・・・・・まあ全ては自業自得、犯した罪のせいです」
プレス・トウコウの髪は老人のように真っ白になってしまっていた。全体的な
風貌の変化も、彼がいかにこれまで心の外傷と戦ってきたかがわかる。
アーサーからすれば自分の愛する妹を犯そうとした憎むべき相手であったが、
トウコウのその姿に何かを言う気持ちもなくなっていた。そしてアーサーが
彼に声をかける前にトウコウのほうがアーサーの足元にひれ伏した。
「・・・私は大きな罪を犯しました。あなたやあなたの妹君にとってこの世で
最も卑しむべき者のように扱っていただいて構いません。私のしたことは
決して許されることではない、一生をかけても償いきれないものだからです」
「・・・アーサー・・・テンポイント王子、私からも息子と共に謝罪がしたい。
この者の言うようにあなた方の望む通りの罰を与えてほしい。奴隷のなかでも
一番下の者として死ぬ日までサマルトリアで過ごすことになってもよろしい。
ですが命を奪うことは・・・父としてのお願いだ、この通り!」
なんと王までもが地に頭をつけてアーサーに身をかがめた。いつか謝罪をするとは
語っていたが、一国の王がこれほどの行為をするとは、とアーサーを驚かせた。
(・・・・・・どうなってんだ・・・・・・おれもやったほうがいいのかな)
アレンはアーサー以上に戸惑っていた。しかし何もできないまま様子を見ていると
アーサーは二人の前に座り、顔を上げて立ち上がるように促した。
「・・・・・・アーサー王子・・・・・・」
「・・・もう終わったことです。私の父が何と言うかはわかりませんが私はもう
これ以上何も求めません。どうかこれまでと変わらず平穏にお過ごしください。
このローレシアで国と世界の発展のためにご尽力なさってください」
そう言い終えると、プレス・トウコウに握手を求める。トウコウは感極まって涙を
抑えきれず、顔じゅうをしわだらけにしながら両手でアーサーの右手を握った。
「・・・アーサー王子・・・!私の主!何と言えばよいか・・・」
「ふふふ、ですからそういうのはもうやめましょう。一人の友人として接してください」
(よかったな・・・トウコウ。アーサーがいいやつで・・・)
アレンは懸念していた事柄が丸く収まったことに安堵し、彼もアーサーの寛大な
許す精神に感謝していたが、ここで一つ疑問が湧いてきた。
(しかし・・・よくこんなにうまく話が進んだな。仮にもアーサーはトウコウを
半殺しにした張本人じゃあねぇか。トウコウのトラウマはどうしたんだ?
アーサーが許してくれたのも奇跡的だがトウコウのほうもよくあっさりと
近づけたものだな。今度こそ殺されるかも、とは思わなかったのか?
それともすでに死を覚悟したうえで近づいてきたというのか・・・。
何だかわからなくなったぞ・・・)
アレンはこの和解にだんだんと頭を悩ませるようになったが、余計な口を挟み
台無しにしてもいけないので自分の胸のうちに秘めていた。
「蒸し返すようだけど一応聞いておこうかな。どうしてぼくの妹を襲ったんだ?
こうして話しているとあなたはそんな行為をする人間には思えない」
すっかり和やかな空気のなか、アーサーが確かめるようにトウコウに尋ねる。
トウコウはというと、少し沈黙した後に口を開いた。話したくないというよりは、
これを話していいものか、または話したところで信じてもらえるだろうかという
思いからきていた。しかし自分の兄とアーサーがもはやムーンブルクの調査
ではなく、邪教を壊滅させるために今後も旅を続けることを今日知ったので、
ならばむしろ言うべき事柄なのではないかという結論に達した。
「・・・あの日、私がサマンサ王女をよくない目で見たことは確かです。
もちろん普段はそのようなことはありません。ですがちょうどあの日の
あの瞬間、不道徳な思いを抱いて王女のことを見つめていました」
「・・・・・・まあ十代半ばの男だからな。おれも人のことは言えねえよ。
年中そんな発情期ってわけじゃねーけど旅の途中でもそういう気持ちに
なることはある。ただ、そこで自分を抑えられないようじゃ獣といっしょだぜ」
「私も力づくで欲求を満たそうなどとは思っていませんでした。そのようなことを
すれば仮にその悪事がうまくいったとしてもいずれどうなるかはわかっていますから。
ですがその気持ちを孕んだことが私にとって最大の失敗でした」
アレンとアーサー、それに王が耳を傾けているなかで、トウコウは続けて言った。
「その瞬間でした、突然邪悪なる者が私に語りかけてきたのです。あの娘を犯せと。
お前の欲望は果たされるためにあるのだと。その声はあまりにも甘く、
しかも執拗に私に囁き続けてきたのでとうとう耐え切れなくなってしまった!
今ならわかります、それは悪霊の神、兄上たちが戦っている神々であると!」
決して責任転嫁や苦しい言い訳をしているようには見えない。ただ、そう簡単に
鵜呑みに出来る内容でもない。彼を唆し背中を押した者がいることはともかく、
それが大神官ハーゴンを頂点とする邪教で崇拝されている神々の仕業とは。
「・・・・・・おい、そいつはどこから来たんだよ。お前の頭のなかを的確に
見透かしたうえで気がついたらそばにいただと?」
「もしかしたら実体はなかったのかもしれません。私の心に話してきたようにも
思えます。ですがあれは私の心のなかの悪などではなく、別の誰か、
まさに悪霊の神々かそれに遣わされた者によるものとしか・・・!」
「・・・・・・なるほど、わかったよ、もういい。参考にはさせてもらうぜ」
アレンはトウコウの話を打ち切らせ、父に頭を下げるとアーサーを連れて
玉座の間を出た。アーサーと二人で意見を交わし合いたかったのだ。
城内でも人気のない寂しいところへ行き、あまり使われていない椅子に座った。
「なあアーサー、お前はおれの弟の言葉をどれほど信じている?」
「うーん・・・でもこれまでにもそんな話はあったじゃないか。邪教に傾倒した
人間たちが犯罪を犯したとき、これは神のご意志だとか神がそうするようにと
自分を導いたとか・・・精神が壊れているとしか思えなかったけどね」
「でもトウコウは邪教の信者なんかじゃないぜ。ルビス様への祈りを欠かさない。
ほんとうにそんな神々がいるのか?ほんとうなら確かに恐ろしいがそれなら
神じゃなくてただの悪魔だぜ。おれは旅に出た最初からその思いは変わらん」
「それは同意だね。たとえ神だとしても放ってはおけないな。ぼくの妹も
危ない目に遭ったんだ。いつまた同じことが起きるかわからない。ぼくも
邪教を打ち砕くための旅、最後まで共に行かせてもらうよ」
「そいつはありがたい決意表明だぜ!あともう一つ聞きたいことが・・・・・・」
アレンが会話を続けようとしていたが、それは突然妨げられた。
「ぎゃあ――――――――――ッ!!!」
「だ、誰か来てくれ――――――っ!!」
ちょうど彼らのいる真下、つまり地下から男たちの悲鳴が聞こえた。そこは牢屋だ。
しかもそれは囚人ではなく兵士たちの声だった。緊急事態が起きたのだ。
アレンとアーサーはすぐに立ち、牢へと走った。
「いきなり何だってんだ?囚人が暴れやがったのか!」
「ローレシアの屈強な兵士たちでも手に負えないような囚人がいるのかな?」
二人の後ろからセリアも来た。先に退室していた彼女は偶然そばにいて、この悲鳴が
聞こえていたのだ。図らずともアレンたちと合流することになった。
「あなたたち!今の声、ただ事じゃないわ!」
「ああ!だがどんなやつだろうと魔物たち相手に戦っているおれたちなら楽勝だろ!」
すぐに事態を鎮圧するつもりでアレンたちが階段を数段ずつ飛ばしながら駆けおりた
先には予想をはるかに上回る凄惨な光景が広がっていた。
「うっ・・・・・・!こ、これは・・・酷ぇ!」
「囚人たちがみんな死んでいる!壁が血だらけだ」
見張りの兵士が二人倒れていたが、一人は胸元に深い傷があり、もう一人は
左腕を失っていた。すぐにアーサーとセリアがそれぞれ一人ずつ介抱する。
「どうだ!二人は助かりそうか?お前たちの回復呪文で何とかなるか!?」
「・・・ええ!切断された腕は厳しいでしょうけど命は助かるわ!ベホマ!」
「ぼくもベホイミを覚えておいてよかった!これ以上出血しなければ大丈夫だ」
アーサーがベホイミを使えるようになったうえに、セリアはそれよりも上、
『ベホマ』の呪文を唱えることで傷ついた兵士に奇跡的な回復をもたらした。
二人の呪文によって彼らの死の危機は去ったが、まだ意識は戻らない。
しばらくはこのままだと思われるので、事情を聞くことができなかった。
「・・・・・・間抜けどもが・・・・・・私の言葉にしっかりと耳を傾けなさい」
だが、この惨劇の犯人がゆっくりとアレンたちの前に姿を現し、聞かれても
いないのに説明を始めようとした。全身が返り血で満ち、明らかに狂った
目つきをしている男だったが、アレンはその人物を知っていた。
「・・・てめえか。おれが旅立つ少し前だったな、まだ一歳にもならない赤ちゃんを
強姦し殺害した罪で捕まったクズ野郎。まだ死刑になってなかったのか」
「ふふふ・・・それは本日でした。しかし私をここから出してくれるという
ありがたい声に私は確かな希望を得ました。私は生まれ変わったのですよ」
その男の罪状や血にまみれた外見も嫌悪感を抱かせたが、完璧なる狂人で
ありながら丁寧な言葉遣いであるのもまた底知れぬ不気味さがあった。
「あなたみたいな外に悪人を出すなんて・・・どうしようもない悪党がいたものね」
セリアが吐き捨てるように言うと、男はそれに反応し、両手を大きく広げながら、
「悪党!?罰当たりめ、これは神だ!この世を支配する神々が私を救われたのだ!
そして神のお告げだ!お前たちロトの末裔をおびき寄せて殺害し、神々への
手土産とするようにと!私は神々の使いとなりこの素晴らしい力を受け取った!」
「神々の使い・・・ラダトームを滅ぼしたのも『神の子の使い』とかだったな」
「ははは!しかしお前たちを地獄へと落とすのだから『地獄の使い』なのかも
しれないな、私は!王子たち二人はすぐに『ベギラマ』の炎で焼き殺すとして
王女は体も心も壊れるまで存分に楽しませてもらうとしよう!」
地獄の使いを名乗る囚人相手に、三人も武器を構え戦う態勢をとる。
「確かに心底救いようのないくずのようね。同じ息を吸うのも躊躇うわ」
「ああ。そしてこいつはもう人間じゃあなさそうだ。遠慮なく殺せるぜ。
しかしこれでトウコウの言葉も嘘じゃないって確証になったぜ」
魔物に対するかのようにアレンたちは地獄の使いをここで打ち倒すつもりでいたが、
その対応が正しかった。彼の言葉は嘘ではなく、『神々』から力を授かっていたからだ。
その神々はプレス・トウコウを唆したものと同じであった。トウコウには力を
与えなかったが、もともと邪悪であるこの囚人であれば魔物としての素質が高いと
いうことなのだろう。ベギラマすら使えるというのだから、全力で潰す必要がある。
「偉大なる神々よ!豚の糞ほどの価値もないこの虫けらどもを今から私が――――――」
さっそくアレンたちを神々の前で地獄へ送ろうとベギラマの詠唱を始めたが、
突然その動きが止まった。そしてバリバリという何かが裂ける音が牢獄に響いた。
すると、地獄の使いの胸から剣が飛び出してきて、血や臓物も共に飛び散った。
「うおおおぉぉっ!!いきなり剣が!これもこいつの能力か!?」
「ばか!違うわよ!血を噴き出して苦しんでいるじゃないの!」
地獄の使いは悶え始めると、ふらふらと回転した後に口から大量の血を吐くと、
「・・・・・・がごぉっ・・・・・・そ、そんな、なぜ・・・・・・」
そのまま息絶えてしまった。地面に倒れたことで、彼を背後から討った者が
アレンたちにも見えるようになった。
「次から次へとどうなってやがる!?こいつらそもそもどうやってここへ・・・」
アレンは言葉が続かなかった。そこに立っていたのは美しい女性だったからだ。
もしかしたら悪魔を討つためにやってきた自分たちと同じ正義の戦士なのではないかと
思うほどだった。しかも閉ざされた空間に突然の登場、普通の人間ではあるまい。
アーサーも女性の正体がわからずにいたが、セリアだけはその格好に見覚えがあった。
「・・・・・・その服装・・・!わたしの国を滅ぼした・・・いや、お父様を
殺した男と同じものだわ!あなたも邪教の幹部・・・神官なのね!?」
「正解。あなたたちの味方ではないことは確かだわ」
この女性も邪教の者だった。しかも地獄の使いよりも更に高位の存在、
神官なのだ。アレンたちの危機は去っていないどころか、むしろ増していた。