ドラゴンクエストⅡ 大空と大地の中で   作:O江原K

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第三章
最後の冒険の巻 (ロンダルキアの洞窟①)


 

アーサーと別れたハーゴンとサマンサは少しばかりの寄り道の後、サマルトリアに

無事に戻ってきた。サマンサは愛する兄アーサーの帰りを静かに待っていると

約束していたが、ハーゴンによって城に入るよう勧められると不安そうな顔で、

 

「・・・ねえウオッカ。おにいちゃん・・・ほんとうに大丈夫かな?」

 

自分もサマンサのことを愛していると明らかにし、サマルトリアに戻ると

約束したアーサーだが、その一方で世界の平和のため、何より二人の仲間のために

命を捨てることも厭わないと宣言した彼だ。彼女が心配になるのも当然だった。

そのサマンサを力強く励ましたのは彼女よりも見た目は幼く見えるがその遥か

数十倍は生きている、サマンサの親友ハーゴンだ。優しく、それでいて頼りになる

口調でサマンサに語りかけた。

 

「・・・君の兄であり将来を誓い合った彼が約束を破るはずがない。そして

 わたしも確かに君に約束した。彼を必ず生きて君と再会させると。

 たとえわたしが命を落とそうともテンポイント、つまりアーサーだけは・・・」

 

するとまだハーゴンが話している最中にサマンサは彼女の手を力一杯に握り、

 

「だめだよ!ウオッカもちゃんと元気にまたわたしに会うんだよ!せっかく

 わたしの初めての友だちになってくれたウオッカなんだもん・・・。

 信じてるからね。それまでわたしももっと魔法の練習をして待ってるから!」

 

 

内に秘めたる力はこの世代で類を見ない怪物だというのにまだまだこれ以上

強くなるつもりなのか。このサマンサ・マルゼンスキーならありえる、と

ハーゴンは笑みを浮かべた。しかし恐れはない。彼女は敵ではないからだ。

だがその力を利用しようとも思わない。サマンサは親友だったからだ。

 

「・・・ああ。そうだった。わたしの夢・・・全てが終わった後に君たちが

 サマルトリアから船で旅をしてやがて見つけた『楽園のような地』で

 もう一度三人で酒を飲みながら語り合い、そして遥か未来の君たちの

 子孫とも同じようにする・・・そのためにもわたしはまだ死ねないな。

 このハーゴン・・・いや、ウオッカが改めてきみと約束を交わそう」

 

 

決して長い時間ではなかったが、二人で話をしながら旅をしたのはサマンサだけでなく

ハーゴンにとっても貴重で楽しいひとときだった。確かな満足感や喜びを抱いて

彼女の居場所であるロンダルキアに戻ったとき、それらを打ち消してしまうほどの

憂鬱さをもたらす相手が彼女を出迎えた。

 

「これはこれは・・・偉大なる師、誰よりも知恵を持つラビであり神の子であられる

 ハーゴン様!この頃よく外に出ておられるようですが・・・ご無事で何よりです」

 

ハーゴンを裏切り主権を手にしつつある、自ら神を名乗った三人の悪魔のうちの

一人であり、その首領格でもある『ベリアル』だった。牛に似た頭に悪魔の尻尾、

それでいて巨漢である異形の姿通り、魔物たちのなかでも最も力を持つ者であり

それゆえに自ら魔物たちの頂点、つまり魔王になろうとしている者だった。

 

「毎度あなたは我らの目を欺き・・・どのような奇跡をお用いに?」

 

ハーゴンは彼に何も答えようとしなかった。するとベリアルは激高しながら豹変し、

 

「何を企んでいようが無駄だ!オレの仲間である二人の神、またそれ以外の

 この地の力ある魔物たちの目はごまかせてもこのオレは騙せん!オレは

 お前が下界で何をしてきたのか全てを知っているのだぞ!」

 

「・・・・・・」

 

「どの道お前はもうただ生かされているだけ。我らの活動の隠れ蓑に過ぎない!

 お前は仲間たちを人質にされ、お前の仲間たちはお前を人質とされている!

 何もできやしないんだよ。大神官様よォ!」

 

「・・・・・・」

 

ベリアルの言葉に最後まで一切答えずにハーゴンは去っていこうとした。

 

「何か言ったらどうだ――――っ!!」

 

ここでようやくハーゴンは彼の目を見て語り始めた。

 

 

「・・・・・・邪悪な道から立ち返りなさい。君たちに求められていることは

 ただそれだけだ。君たちはわたしの教えを聞き一度は賛同した。しかし

 それを退けこのような歩みを続けるならば・・・」

 

「どうなるってんだ?聞くだけ聞いといてやるぜ」

 

「君たちにとってはわたしの教えなど聞かずに無知な野生の魔物のままでいたほうが

 ましだった・・・いや、むしろ生まれてこなかったほうがよかったと言える

 終わりを迎えることになるだろう。このことを覚えておかなければならない」

 

言い終えるとハーゴンは自らの部屋へと消えていく。本来軟禁状態であるはずの

彼女がこうして何度も抜け出していたのはその奇跡の力によるものだったが、

もうハーゴンはしばらくはここに留まることに決めていた。待っていれば

自らの待ち望んでいる者たちがロンダルキアのこの神殿にやってくるからだ。

 

一人残されたベリアルはハーゴンの予言的な言葉にも不敵な笑みを浮かべ、

 

「フン、負け惜しみを。やつの希望の根拠はわかっている。ロトの末裔どもだ。

 神の子め・・・だがあのちっぽけな勇者どもは我ら真の神々と戦うどころか

 ここまで辿りつけもしない。『ロンダルキアの洞窟』が何人たりとも

 我らの望まぬ客を葬り、その墓としてきたのだからな。例外はない」

 

 

 

 

 

アレンたちはロンダルキアへ向かうための入り口を探していたが、しばらく

探索しているうちに明らかに怪しい沼地を見つけた。逆に言うならば

それ以外には何も手がかりを見つけることはできず、この沼地が

全く関係のないものであったなら完全にお手上げということだ。

 

「・・・不自然な毒の沼地か。ラーの鏡を探して一日中沼に潜ったのを

 思いだすぜ。いまならトラマナの呪文のおかげでもっと楽だっただろうな。

 ここを調べるならおれがやるからお前たちは見張っていてくれ」

 

アレンとセリアは知らないことだが、アーサーはベラヌールに一人残っていたときに

ハーゴンと接触し、幾日かを共にした。そのとき幾つかの『ヒント』を直々に

もらっていた。まずはロンダルキアへ向かうための第一の謎についてだ。

 

『悪霊の神々どもはロンダルキアへの人間の侵入を許さない。だが自分たちに

 仕えようとする人間たちは別だ。それを見分けるための道具をすでに

 君は持っている。それを天に掲げるだけで道は開けるだろう』

 

『・・・この邪神の像か!確かに何度もこれは邪教の中心地に行くために

 欠かせないものだと言われていた。これを天高く・・・』

 

『だがいきなりそうしたのでは不自然だ。君の二人の仲間がいない間に

 町で聞いていたことにするといい。そして・・・』

 

アーサーは沼地に潜ろうとするアレンを制し、ハーゴンの勧め通り

偶然聞いたということを説明しながら、邪神の像を上空に向け、

 

 

「ロンダルキアへの門よ!我らを受け入れよ!神の子のもとへ導くがいい!」

 

 

大声で叫んだ。アレンとセリアはその彼を見てほんとうに邪教の信者に

なってしまったのではないかと思えるほどの名演技だった。すぐに

アーサーがいつも通りの穏やかな顔に戻って微笑むと二人はほっと息をついた。

 

「・・・驚いた。わたしたちと離れている数日のうちに悪魔に

 憑りつかれてしまったのかと・・・いや、信じていないわけじゃないわ」

 

「びっくりさせてごめん。でも、大げさなくらいやったほうがいいと思ってね。

 おっ・・・見なよ、あれを。岩山が・・・」

 

アーサーの声に応えて岩山が開け、洞窟の入り口が現れた。それこそがロンダルキアと

下界をつなぐ唯一の道だった。もちろんこれですぐにロンダルキアへ行けるなどとは

誰も思っていない。ここからが本番であり、敵の攻撃もいっそう激しくなるのだと

覚悟していた。少しでも油断すれば志半ばで命を落としかねない危険な匂いが

その洞窟からはいやでも感じ取ることができた。

 

「・・・油断してなくても運が悪けりゃ結局死ぬ、そんな気配だが・・・

 でもおれたちの旅はずっとそうだったじゃねぇか!今さらビビるな!」

 

「あなたの言う通りね。さあ、躊躇う時間も惜しいわ、行きましょう!」

 

 

三人は力強く進み、ロンダルキアの洞窟へと潜っていった。アーサーは

これまでの旅でもずっと前のめりになりがちな二人をうまく支えていたが、

特に今回はハーゴンから洞窟の至る所に罠があると警告されていたので、

滅多にしないことではあるが二人の前に立ち、先の進み方を提案した。

 

「二人とも、その熱心さを削ぐようで悪いけれど・・・聞いてくれないかな。

 どうだろう。今回は最後まで向かうのを目標にするべきではないと思うんだ。

 二回か三回にわけてこの洞窟をじっくりと探索して、攻略し制覇すべきだと」

 

「・・・あ?確かに長い洞窟だというのはわかるが勢いに任せたほうがよくないか?」

 

「ここにきて無難な安全策というのは逆に身を滅ぼしかねないわ。悠長に構えて

 いられる時間はもうないかもしれないのに・・・」

 

仲間たちの反応は悪かったが、それでもアーサーは自分の意見を更に続けた。

今までであればアレンたちの熱意に押し切られ、彼らの無茶に付き合って

いたが、いまは違った。いかに精霊ルビスに愛された勇者たちとはいえ、

無策では永遠にロンダルキアにたどり着くことはできない。ハーゴンは

その点に関してもアーサーに自分を強く持つよう励ましていた。

 

『・・・あの洞窟をどう歩むべきかわたしが直々に彼らに教えてもいいが、

 わたしでは彼らは聞く耳を持たないだろうからね。君が言うんだ』

 

 

「アレン、それにセリアも。この洞窟は今までとは違うんだ。邪教の者たちに

 とってはいわば最終防衛線とも言える最後の砦だ!ここを突破されたら

 ロンダルキアの陥落は待ったなしだと考えているはずだ。逆の立場に

 なって考えてみるといいよ。そんな重要な場所に全く何の罠も張らない、

 そんなことが果たしてあるだろうか。弱気になるというわけじゃない。

 確実な勝利を得るために万全を期してこの山場を乗り切ろうって話だ」

 

アーサーの言葉に今度はアレンもなるほど、とうなずき、

 

「・・・確かにそうだ。逆の立場か・・・ここまで来られたら焦るだろうな。

 そうなったら捨て身の攻撃で襲いかかってくる魔物どもも多そうだ。

 自爆覚悟のやつだっているはずだ。だったらわざわざ連中の明日なき戦いに

 付き合ってやる必要もないか。余裕を持って対処すべきだな」

 

セリアはまだ納得しきれていなかったが、自分の昂っている感情よりも仲間二人の

冷静な考えのほうが正しいと認め、大人しく引き下がった。あくまで優位なのは

自分たちなのだと思うことにし、臨機応変な対応をよしとした。

 

「わかったわ。ならどうするの?印でもつけて歩くのがいいかしら」

 

「ああ、そうだ。次回来た時にそれを見れば一直線で先へ行けるためにね。

 あとは少し面倒だけど大きな石を転がしながら歩きたい。こういう暗い

 ところは落とし穴が怖い。あらかじめその位置も把握しておこう」

 

「それなら億劫な仕事ではないわ。一人有り余るほどの力馬鹿がいるもの。

 ねえアレン、あなたならそれくらい楽勝でしょう?」

 

彼女が指さしたのは洞窟が崩れたときのものか、多くの岩石の山だった。

これらを使って進めば自分たちは落ちなくてすむし、落とし穴の跡が

残ったままになっているので罠はその役目を果たさないということだ。

 

「・・・嫌だって言ってもこんな重労働おれしかできねえな。仕方ねえが

 受けてやる。後で何かうまいモン食わせろよ」

 

「あら、奉仕の精神は見返りを求めないから美しいのよ。心の狭い残念な男ね」

 

 

アレンとセリアも、今回の探検はあくまで下準備だというアーサーの作戦を

受け入れた。もともと危なくなったらリレミトで撤退すればいいと当初は

三人とも言っていたのだ。しかしアーサーの離脱により二人旅をすることになり、

またその旅によって得た最高の結末に酔って気分が高揚し、これからは物事が何でも

自分たちの都合よく進むと思いかけていた二人を制するためには危険を訴える

だけでは足りなかった。アーサーはそこのところをよく知っていたので、

この洞窟を注意深く探索する更なる利点についても二人に話していた。

 

 

「勇者伝の記録を覚えている?勇者ロトはゾーマの城で回復をもたらす奇跡の石を

 拾い、ブライアン様もロトの剣を見つけたのは竜王の城の深い場所だった。

 この洞窟もこれだけ広ければ魔物たちの隠しているお宝がありそうだね」

 

「・・・おれたちは強盗じゃないんだぜ。泥棒しに来たわけじゃないだろうが。

 だが相手がクソッたれの連中なら話は別だな!これは戦利品、分捕りものだ。

 やつらの宝を根こそぎ奪い取り歯ぎしりさせてやるとするか!」

 

「あの悪魔どもはわたしたち人間から多くのものを奪ってきたわ。金品も

 土地も、二度と戻らない命までも・・・。これはその復讐よ、やりましょう。

 過去の歴史を考えてもルビス様だってそれを咎めはしないみたいだわ」

 

アーサーはハーゴン本人の口から、実のところ現在自分の居城には宝と呼べる

ものはほとんどないからいざやって来た時には寄り道は無用だと聞かされていて、

むしろこの洞窟にこそ手に入れるべき多くの貴重な品々があると明かした。

それを手に入れることができれば悪霊の神々たちとの戦いにおいても必ず

役に立ち、勝利に限りなく近づくことができるだろう、と。

 

 

 

三人の洞窟探索は順調に思えたが、もちろん邪悪な神々の直属の魔物たちが

黙ってはいない。アレンたちをその魂ごと食らいつくし貪ろうとする獣も、

戦うためだけに生かされ力を与えられている、骸骨剣士スカルナイトや狂戦士

『バーサーカー』といった刃を手に持つ敵も、気持ちの悪い『ダークアイ』も、

種族を超えて結束しアレンたちをこれ以上行かせないために群れとなった。

 

「うーむ・・・こんな岩をごろごろ転がしているうちにすっかり囲まれたな」

 

「初めて見る魔物もいるわ。どこから仕留めても無傷というわけにはいかないわね」

 

やはりこういう展開になるか、とアレンは剣を構え、セリアは魔力を放出するための

集中力を高めていた。そんななかアーサーは敵の群れの顔ぶれを見て、これならば

いける、と何かを確信し、そして呪文の詠唱の準備を始めた。やがて自らの

指先から青白い、しかし神秘的というよりは背筋が凍りそうな不気味な気が

放たれた。これで準備は完了だ。あとはその宣告をするだけだった。

 

「・・・ザラキ」

 

彼が呪文『ザラキ』を唱えると、一斉に襲い掛かってくる魔物たち目がけて

その青白い何かが向かっていき、敵たちを包みこみ始めた。すると間もなく

僅かに苦しみに悶えたかと思うと、獣も化物も人の姿をした魔物も

分け隔てなくその場に崩れ落ちた。先頭にいたアレンが確かめてみると

すでに魔物たちの息の根は止まっていた。ザラキとはまさに凍てつくような、

相手の命を一瞬で奪う即死の呪文だった。

 

 

「お・・・おお!凄いじゃないか・・・もうやつらは全滅か!」

 

「汗一つ流さずにあの大群を・・・!これなら一気に先へ・・・」

 

アレンとセリアは大活躍のアーサーのもとに興奮しながら駆け寄った。

ところが彼の顔を見ると、もともと色白な彼がいつもよりも更に

青白くなっていた。汗一つ流さず、と言ったがアーサーの額には

冷たい汗が細かく無数に噴き出していて、やがて流れ落ちていた。

 

「・・・・・・やっぱり強力な魔法にはそれなりのものが求められるのね。

 体力や魔力どころか生気まで奪われているみたいだわ・・・」

 

「いや、違うぜセリア。こいつは・・・魔物なんて一匹残らず叩き殺して

 やりゃあいいっていうおれたちとは違うんだ。やつらの命をも大切に考え

 生かすべきものは生かすというやつなんだ・・・こんな簡単に大量の命を

 一瞬で奪える呪文・・・アーサーがその使い手だなんて酷な話だぜ」

 

 

アレンはアーサーを気遣い彼の右肩に手を置き、何回か叩く。セリアもそれに続き

左の肩に優しく手を添えた。今回のような対処に困るほどの大群相手でなければ

むやみやたらに使うべき呪文ではないことを察した。アーサーの魔力よりも精神が

先に力尽きてしまいかねないと思ったからだ。ところがその本人、アーサーは

知っている。今の自分はこのザラキに限らず、どんな呪文であっても身体への

負担が以前の数倍になっていることを。明らかな異常が彼を襲っていた。

 

(でもどうであれ連発できるものじゃないことは確かだな)

 

しかしアーサーの異変に反し、彼の快進撃は続いた。ハーゴンの残したヒントが

あったとはいえ、彼自身の勘も冴えていた。この洞窟の正しい道のりを

見つけていくのはもちろんのこと、その正規の道から逸れたひっそりとした場所に

隠されていた宝をも逃さなかった。宝は注意深く、隅から隅まで余すところなく

探し求めなければ決して見いだせないからだ。時にはあれだけ回避してきた

落とし穴にも自ら飛び込むことで得られるものがあるという直感は

もはや確信に近いものに変わっていた。実際にその通りになっていった。

 

 

そして三人は全員の体力と魔力に加え、用意していた水や食料が尽きる限界まで

洞窟を探索し、正しい道にしるしを残すこと、洞窟内の魔物たちの強さや

特徴を掴むこと、魔族が隠した宝を手に入れること・・・それらに励んだ

結果、リレミトによって脱出したときには確かな大収穫を得ていた。

 

「・・・ルビス様のお導きだ。そうとしか考えられないだろ」

 

「ええ。まさかここまで事がうまく運ぶなんて普通ではないわ」

 

アーサーは苦笑いしながら黙っていた。ほんとうはルビスと非常に険悪な間柄である

ハーゴンの導きであったなどとはとても言えない。

 

「お前もいつにも増して凄かったぜ。もしかしておれたちがいない間に一人で

 この洞窟に下見に来たんじゃねぇのか?って疑うくらいにな!」

 

「ハハハ・・・そんな命知らずな真似をしていたらとっくに生きていないよ」

 

実のところ、一人だろうが三人だろうが命が惜しければロンダルキアへ

向かおうなどとは考えないだろう。彼らが選ばれし勇者であり、またそれにふさわしい

資格を持つ勇敢な者であればこそ、その一見無謀な挑戦も可能性があると思わせた。

 

だが、あくまで僅かに可能性がある、それだけのことだ。難なく攻略できるほど

ロンダルキアの洞窟、またその後ろで待ち構える悪霊の神々たちは甘くなかった。

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