ドラゴンクエストⅡ 大空と大地の中で   作:O江原K

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サマルトリアのアーサーの巻 (勇者の泉)

 

まだ小雨が降るなか、アレンは旅支度を終えて町を出た。サマルトリアで

味わった多くのやりきれなさやもどかしさを抱きながらの一人旅だ。

彼が八つ当たりする相手といえば、その行く手を阻む魔物たちだった。

 

 

「・・・・・・ぎゃあああぁぁ―――――――っ!!」

 

「ちっ・・・ハーゴンってのはどうやらほんとうに下衆なやつみたいだ。

 もうとっくに死んだ魂までもこうしててめえの好きなように操れるなんてな。

 ぜひとも早くくそったれの顔を拝んで完膚なきまでにぶっ飛ばしてやりたいぜ」

 

 

死者の魂である『幽霊』が、アレンによって二度目の死を味わうことになった。

今の彼は危険だ。やり場のない怒りを遠慮なく発散できる対象を欲しているからだ。

 

「・・・雑魚が次から次へと・・・うりゃぁあ――!!」

 

やはりハーゴンによるものなのか、巨大化したねずみで『山ねずみ』と

呼ばれる魔物たちをアレンは銅の剣で叩きつけ、散らしていく。

その勢いは勇者の泉に到着するまでの旅路の間、そして身を清める泉が

最深部で待っている洞窟に入ってからも衰えなかった。山ねずみや

ドラキーたちとの戦いが外を歩いているよりも激しくなっていったが、

これまで通り薬草を頼もしいお供に、彼の快進撃は続いた。

 

(おれは仲間なんていらない。そうだな、この大量の薬草と数枚保険として

 用意しておいた毒消し草さえあればいい。呪文が使えるとかいう

 あの野郎も必要ない。仲間にしてくれって言われてもお断りだな)

 

サマルトリアの王の言うことに従い勇者の泉までやってきたが、アレンは

そこから先は王の言葉通りに動く気など全くなかった。途中で息子と出会ったら

仲間にしてやってほしいと頼まれていたが、彼と共に旅をしようなどとは

これっぽっちも考えてはいない。あくまで先祖代々の伝統に倣って

泉の清い水で偉大なる勇者ロトの導きを求めようとしていたに過ぎなかった。

 

洞窟内の魔物たちを目に入ったものは一匹残らず打ち倒して、ようやく

最深部までやってきた。そこには番人である謎の老人が待っていた。

父たちから聞いていた老人と全く同じ外見であったので、もしや何十年、

いや何百年と朽ちることなく生き続けているのか、と驚かされたが、

ここは聖なる場所だ。人間ではないのかもしれない。深く考えるのは

やめにして、老人に話しかけ、その言う通りに儀式を受けた。

それが終わり再び地上に向かってここまでの道筋を戻ろうとすると、

老人はアレンに言っているのか、それともひとり言なのか。小声で呟き始めた。

 

 

「・・・一足違いであったな・・・。サマルトリアの王子、そなたと同じく

 ロトの血をひく者は既に身を清め、そなたを探しにローレシアへ・・・・・・」

 

アレンの足が止まった。自分がどこかで彼を追い越して、自分のほうが先に

ここに辿り着いたとばかり思っていたからだ。思わず老人のそばに戻った。

 

「・・・やつが先に・・・本当なのか?それにしてはこの洞窟は魔物で

 うじゃうじゃしていたけどな。おれがほとんどやっつけてやったが」

 

「うむ・・・確かにそなたの剣や身につけているものは血で満たされておる。

 あの者とは真逆じゃな。不要な戦闘を嫌い、ほとんど戦わずにここまで

 やってきたというサマルトリアの王子とは・・・。しかし正反対の

 人間だからこそ案外うまくやっていけるもの・・・・・・」

 

 

まだ老人が話している最中であるのにアレンはこの場を離れ、出口を目指した。

毒を持つ『キングコブラ』が敵意をむき出しに襲ってきたところで、

怒りに満ちたアレンに銅の剣で撲殺された。口を大きく開けたまま絶命し、

定めた狙いに届かなかった毒牙がむなしかった。この洞窟で最も力ある

キングコブラが一瞬で倒されたことで、同じく毒を武器とする、緑色の

溶けたようなスライム『バブルスライム』はもうアレンに近づこうとは

しなかった。数日前に現れた別の人間は最低限の戦いしかしていなかったが、

いまアレンに見つけられたら命はないからだ。立ち止まり、振り返ってでも

自分たちを一匹残らず駆逐しようとするだろう。慌てて巣へと逃げ帰っていった。

 

そのアレンはというと、もう魔物へ苛立ちをぶつけようという気持ちは

静まっていた。仮に魔物を見つけても、相手から襲ってきたり進路を

塞ぐようなことをしなければわざわざ戦うつもりはなかった。なぜなら、

もう『代わり』はいらなかったからだ。『本物』に怒りを叩きこむ気でいた。

そのために彼は洞窟を出たらすぐにローレシアへ戻るのだ。

 

 

(・・・サマルトリアのテンポイント・・・!もともと気に入らないやつだったが

 いよいよ我慢できなくなったぜ。とんでもねえ腰抜け野郎でもあったとはな。

 出会ったら一発張り飛ばして、それから故郷に送り届けてやる。あいつが

 勝手に野垂れ死ぬのは構わねえがおれの足を引っ張るのは最悪だからな・・・)

 

 

 

久々の地上の空気と太陽の眩しさを味わう間も惜しむかのようにアレンは

キメラの翼を放り投げた。これまでの半月ほどの旅が馬鹿らしく思えるほど早く、

まさに瞬間的にローレシアまで戻っていた。このキメラの翼は自分が

思い定めた場所にしか飛ぶことはできないのが唯一の欠点といえるだろう。

魔法力がある者ならまた違うのだろうが、それがないアレンには関係ない話だ。

 

 

「・・・ああ、王子様・・・!よくぞご無事で!」

 

「あなたはこの間の・・・。もうすっかり昔からこの城にいるみたいだ」

 

「ありがとうございます。全て王子様と王妃様のおかげです。

 ところで・・・今日はどうなさったのですか?」

 

城では先日彼が連れてきた女性が慣れた手つきで柱を磨いていた。父がいま

王の間にいることを彼女に確認してからそこへ向かった。アレンが一度

ローレシアに帰ってきたことを知らない城の者たちは王子の突然の帰還に

びっくりといった様子だった。理由を尋ねようにも彼はとても不機嫌そうで、

ちょっとでも間違ったことを言ってしまったらどうなるかわからないので

声もかけられないまま放っておくしかなかった。どうせアレンは王の間へ

急ぎ足なのだから、王がどうにかしてくれるだろう、と。

 

 

 

「・・・・・・父上!!」

 

「おお、息子よ。そなたが戻ってきた理由はわかっておる。サマルトリアの王子、

 彼がそなたを訪ねてきたのだ。しかし留守だと知り帰っていったが・・・

 そなたも彼に会い、二人で旅を始めるためにきたのだろう?」

 

父は自分のことを半分しかわかっていない。アレンはため息をついた。

彼に会いに来たのは正解だが、仲間となるためではなく、一発殴って

やるためだ。卑怯な臆病者、自分のためなら妹すら売るような男を。

 

「彼は言っていた。急いで帰っても仕方がないからのんびり戻ると。

 途中のリリザの町にでも何泊かする気なのかもしれぬな。今日じゅうに

 リリザを目指して発てば町で会えるだろう。行くといい」

 

「・・・・・・そのように致します。では、私はこれで・・・・・・」

 

 

父には絶対に秘密だが、アレンはリリザの町には当分の間入れない。

しかも追いかけっこをしてまた空振りだ。だんだんと面倒になっていた。

サマルトリアの王子なんかもうどうでもいいか、と。自分が構わなければ

いつまでも彼はリリザかサマルトリアで待ちぼうけだろう。あんな腰抜けが

一人でこの大陸から出られるわけもない。おかしいな、と待ち続ける

その姿も滑稽だ。放っておいて人々の笑いものにしてやろうと考えた。

 

(おれは違う。おれは・・・一人でも行ける。ムーンブルクに、そして

 ハーゴンを倒す旅に!リリザにもサマルトリアにももう寄らない。

 おれはこのままムーンブルク大陸へ行けるあのトンネルへ・・・)

 

 

 

「しかしサマルトリアのテンポイント・・・か。あれはなかなか

 熱い男だった。そなたにも負けず劣らずな。そなたと剣で戦っていた

 ときにはあのような熱意は感じられなかったので驚いたが・・・」

 

「・・・・・・?何の話ですか、父上」

 

アレンはここで思い出した。テンポイントは最初から身を清めた後は

ローレシアに行きローレル王から謝罪のための金額を聞きだしてくると。

自分と出会うためだけでなく、国の政治活動もしていたのだ。だが

父は彼を『見直した』というような表情だ。一体何があったのか。

 

「そなたもサマルトリアで聞いただろうしこの城の者たちもよく話題にしている、

 プレス・トウコウの件についてのサマルトリアの出方だ。どうやら向こうが

 金を支払うことで手打ちになるという話だ。事が更に大きくなる前にな。

 彼もやはりその話をしてきたよ。こちらにとっては耳が痛かったがな」

 

「・・・・・・ええ。私には意見を述べる資格がないので何も言えませんが。

 彼は違うようですがね。既に王と並んで重要な決定に口を出せる立場。

 何十万ゴールドでこちらが受けるかを確認するために来たのでしょう?」

 

何が耳が痛いだ、とアレンは父へも怒りを募らせた。自分の息子の愚挙は

なるほど父として痛い。しかしそのおかげで大金が手に入るではないか。

建前では愚かな息子だと苦い表情を見せても、心では愉快に笑って

よくやった息子よ、と褒めちぎっているのではないのか。隣国だけではない、

この国もだめだ。やはり自分が全てを変えるしかない、アレンが

失望と共に強い決心を抱き始めたとき、父の言葉はアレンの心を動かした。

 

「ああ。確かに最初はそう言っていた。自分の父を始め、城の者たちは

 ローレシアに賠償金を支払うことにし、あとは金額の問題だと。

 だから自分がその交渉に・・・ここまではいつも通り、わしらの

 知っている王子だった。だが・・・・・・そこから先は違ったのだ」

 

 

 

 

『・・・しかし国王、この件に関する決議は全ての者の意見が一致しない限り

 可決することはありません。そして私がそれを止めている者であり、今後も

 反対の意思を示し続けるため永久に承認されることはないでしょう』

 

『・・・・・・ほう。珍しいものだ。このローレシアにまでそなたの噂は

 届いている。その若さで父を支え、人々を煩わせるような行いは一切ないと。

 我が息子にも見習わせたいと思っていたのだ。事あるごとにわしや

 大臣たちと衝突を繰り返す『闘将』気取りのアレンにも・・・』

 

『国王、なぜ私がこのようなことをしたのか・・・おわかりですか?』

 

 

サマルトリアのテンポイント、またの名をアーサーという男はあくまで

冷静な口調で、しかしその瞳には熱い炎を秘め、王に対して臆さずに語った。

 

 

『今回の事件、論ずるまでもなく罪を犯したのはあなたの第四王子だからです!

 私の妹に欲望のままに襲いかかろうとしたのはあなたの息子だ。それなのに

 こちらが多額の金を支払うことになればこちらが悪いと認めたようなもの。

 サマルトリアの・・・いや、サマンサの尊厳のために私はあなた方に対し

 1ゴールドとはいえ払ってやるべきではないという考えをお伝えします』

 

『・・・・・・・・・!!』

 

『私の父や人々は我々が強硬な姿勢を見せたら戦争になりかねないと

 恐れていますがそんなことは起こらないと断言できます。それは

 国王、あなたが善悪と分別をわきまえた方であるからです。

 何が正しく何が間違っているか、あなたはわかっておられます』

 

 

 

 

「・・・それで・・・父上はどのようにお答えに・・・?」

 

「ふ・・・全てあの者の言うことが正しい。あっぱれだと褒めてやった。

 我らとしても早急に緊張を終わらせたいのは確かだ。もちろんあちらからの

 金など受け取れない。王子を帰らせた後、正式な謝罪の手紙を書いた。

 プレス・トウコウがまともに会話ができるようになったらやつにも直接

 公の場で頭を下げさせるためにサマルトリアに連れていく。そこで、だ。

 息子よ、とりあえずはこの手紙をリリザにいるであろう王子に渡してくれないか?」

 

 

「・・・!そのように致します!では、私はこれで!」

 

先ほどと言葉は同じだが、声の弾み方は全く違った。声だけではない、心までも

飛び跳ねるかのようだった。父を少しでも疑っていたことを恥じると同時に、

父はやはり正義感に満ちた誇れる王であったことをうれしく思った。

アレンを喜ばせたのは父だけではない。先ほどまで忌み嫌っていた人間もだ。

彼となら共に旅ができる。早く彼に会いたくなった。

 

アレンはいい意味で単純な男であった。それまでどれだけ憎んでいた者でも、

そのよいところに触れることができればすぐに考えを改められる。最初に抱いた

偏見を即座に捨て去ることができた。悪を憎む強い気持ちはあるが頑固で

聞く耳を持たないわけではないので、そこもアレンが民衆に好かれる理由だった。

 

 

 

「うおお―――っ!!死にたくなければどけ―――っ!おれは急いでいるんだ!

 お前たちみたいな連中相手に数秒使うのも惜しいほどにな―――――っ!!」

 

彼は父の手紙を受け取るとすぐにリリザに向けて駆け出した。彼の迫力に

魔物たちは近づけず、逆に逃げていってしまう。理性のない大なめくじや

アイアンアントまでもが、あんな人間がいる限りローレシアの近くで

暴れるのは自殺行為だと理解し、勇者の泉のバブルスライムのように

種の危機を覚えた。ハーゴンによる強い影響すらそれを凌ぐものとは

ならなかったので、ローレシアの魔物たちはこの日を境に世界の異変の前、

勇者ブライアンの時代のように大人しくなり、人を襲わなくなった。

ただ、それが自分によるものであったことをアレンが知るわけもなかった。

 

 

やる気に満ちていた最初の日よりも時間をかけずにリリザに辿り着いた。

アレンは躊躇うことなく町に入った。町の者たちからの冷ややかな視線など

お構いなしだ。正式に立ち入りを禁止されたわけではないのだ。

彼は一番初めに自らが問題を起こした宿屋へ向かった。直感よりももっと上、

探し求めている人物がそこにいるという確信があったからだ。これも

勇者の泉での『ロトの導き』によるものなのか。同じロトの子孫同士だ。

もしかしたらあっちも自分がやって来ていることを感じ取っているかもしれない。

これ以上の追いかけっこはごめんだ。ここで終わりにしようとアレンは走った。

 

 

 

アレンが目指していた宿屋、まさに彼が嫌な客を叩きのめした食堂で

その少年は料理をじっくり味わいながら口にしていた。夕方の早い時刻で、

まだ客も少年一人であったので、主人と談笑しながら食事をしていた。

 

「・・・なるほど、そんな男がいたのですか。それは災難でしたねぇ」

 

「この町をよく知らない旅人だったとはいえいい迷惑でしたよ。あんな大物に

 あのような真似をしてくれたのですから。確かに気分がスカッとしたと言う

 町の者たちもいますが当事者の私からしたら・・・」

 

「ははは、しかし長い目で見ればその旅の男が正しかったのでは?

 ・・・・・・ん、ちょっと失礼、今日ぼく以外に泊まることに

 なっている客っていますか?誰かが来ますよ」

 

店主は手を横に振る。いまのところはあなたしかいないと。しかも人の気配も

足音も全くしないのにどうしてこの客はそんなことを言いだすのか、と

不思議に思った。その答えは五分ほどしてから明らかになった。

 

ドドドド・・・牛か馬が暴れ回っているのかという音が聞こえてきた。

まさか自分の牛ではあるまいなと主人が宿の外に出てみると、大型の

動物などではなく、一人の少年が音の主だった。脇目も振らずに

こちらへ走ってきている。しかも彼は先日この宿で大暴れした・・・。

 

 

「あ・・・あ・・・あんたは―――――っ!ぶげぇっ!!」

 

「そんなところに突っ立っているんじゃね―――っ!どけ―――っ!!」

 

主人を吹き飛ばし、宿の扉を乱暴に開けた。そのすぐ先にアレンの探し人がいた。

ようやくアレンは落ち着き、ゆっくりと彼に近づき、互いに固い握手を交わした。

 

 

「・・・こんにちは、サマル王子。お会いできて光栄です」

 

「そういうあなたは・・・ローレル王子。いや~・・・探しましたよ。

 しかしこちらこそ光栄です。若き闘将自らやって来てくださるとは・・・」

 

するとどちらが先かはわからないが、二人ともくすくすと笑い始め、

やがて大笑いしながら握手にこめる力をもっと強くした。そして

手を離すと椅子に腰かけたが、どちらもかしこまった態度は一切なかった。

 

 

「ハハ・・・冗談はこれくらいにしようか。なあ、アレン。ぼくたちはもう

 何回、何十回と顔を合わせた仲だ。とりあえずきみも何か食べたらどうだ」

 

「・・・そうだな、テンポイント・・・いや、アーサー。しかしここで

 出会えてよかったぜ。これ以上はうんざりだったからな・・・。

 まずは酒をもらおうかな。店の人間が誰もいないみたいだしよ」

 

テンポイント、つまりアーサーのほうはアレンに対し別に嫌な感情は持っていない。

強いて言うなら毎度の剣術大会でこのトウショウボーイには勝てないな、と

思っているくらいだ。アレンはつい昨日までアーサーを殴ってやろうと決めて

いたのだが、ローレシア城での彼の行いを聞いて考えはすっかり変わっていた。

どこか気に入らないやつ、という思いも、共に酒をかわし語りあえばもう消えた。

 

アーサーへのことだけではなく、旅の間の不快な出来事や溜まっていた苛立ちも

薄まっていき、冒険を始めたときの夢と希望に満ちたアレンが再生されていった。

 

 

「・・・あ、あの、もしや・・・そのご様子だと・・・・・・」

 

「うん、彼はローレシアの王子だよ。アレ、まさかさっき言っていた男って・・・」

 

起き上がった宿屋の主人が恐る恐る尋ねてきたので、アーサーはくすりと

笑いながら答えてやった。アレンの王子らしからぬ『お助けボーイ』ぶりは

サマルトリアにもよく聞こえてくるほどなので、ひょっとしたら、と薄々

思ってはいたがどうやら正解のようだ。主人は腰を抜かしていた。

町の権力者なんかより遥かに地位の高い人物相手に文句をつけていたからだ。

 

 

「・・・あーあ・・・・・・。知らないほうが幸せだったのにな・・・」

 

「まあいいじゃないか。そんなことよりきみの料理の皿はもう空じゃないか。

 明日からまたサマルトリアへの旅だ・・・そこの床に座ってる人、

 暇だったら早く追加のぶんを持ってきてはくれないかな・・・?」

 

 

アレンはこの後も上機嫌だった。こんなに気が合うやつだったなんて、と

明日からの彼との旅へ期待を膨らましたまま眠りについた。もちろん

これから意見の違いや何かしらの問題は絶対にある。それでもアレンの心は

再び燃えていた。

 

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