無題   作:海猿

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東方紅魔郷編
紅い月の夜


 これは、弾幕ごっこなんて存在しない幻想郷のお話。

 

 

 

 今は昔、人里から遠く離れた山の頂上に『博麗神社』というものがあったそうな。

 その神社は妖怪の住む神社として、村の人々からは恐れられていた。

 

 しかし、実態は?

 

「最近、晴れないわねぇ」

 

 ただの使えない巫女が一人いるだけだった。

 

 

 

 彼女の名前は『博麗霊夢』自称楽園の素敵な巫女で『空を飛ぶ程度の能力』を持っている。

 そんな彼女は、とある人物から頼まれこの紅い空を青くするためにとある洋館まで行くことになっているのだが、

 

「なんで私がそんな危険な所に赴かなきゃいけないのよ」

 

 自分では役不足だと言わんばかりに、布団に横になり惰眠を貪り続けていた。

 しかし、霊夢はただ寝ているだけじゃない。ずっと機を待っていた。自分以外の戦力がやって来るのをがやって来るのを、ひたすら寝ながら。

 

 そして今日。痺れを切らした『魔法使い』がやって来るッ!

 

 

「霊夢ゥ~!」

 

 遠くの空から聞こえてきた声は、次第に近付いて、博麗神社の上空で止まった。

 

 そこには金髪に白黒の服を着たいかにも魔法使いという姿の『霧雨魔理沙』が立っていた。

 

「あら魔理沙、いらっしゃい」

 

 あくまで知らんぷりを続ける霊夢は、陽気に魔理沙に声をかける。

 

 しかしそんな対応がまた、魔理沙の感情に働きをかけ、頭に血が上り始める。

 

「霊夢! お前一体いつになったらこの異変を解決する気なんだ!!」

 

 そんな溜まりに溜まった怒りを放出する魔理沙。そんな魔理沙をゆっくりなだめつつ、苦しい表情を浮かべる霊夢。

 しかしこれは霊夢の想定内。こうして怒りによって思考能力が鈍った魔理沙を連れていくことが、霊夢の作戦その一だったのだ!

  

「いやいや、よく考えてみてよ。私みたいなふつーの巫女がやる仕事じゃないじゃない?」

「カンケーないぜ! とにかくいくぞ!!」

 

 魔理沙はそう言って霊夢の首根っこを掴むと、箒に跨り空へと飛び立った。

 

(作戦その一、大成功――!)

 

 魔理沙の後で、箒に跨りほくそ笑む霊夢がいた。

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

「お前、ここが唯一の長所を発揮するところだろ」

「唯一とは失礼ね! まだあるわよ!

多分」

 

 とりあえず出発した一行は、満場一致で『霧が出てるから霧の湖の方へ向かう』と、短絡的思考ではあるが行き先が決定した。

 そして箒には魔理沙と、唯一の見せ場を放棄した霊夢が跨っていた。

 

「だから! 私はもっと別の長所が……」

「霊夢」 

 

 自分でも思いつかない空を飛ぶ以外の長所を必死で考えている霊夢を呼び止め、魔理沙は意識を前方に向ける。

 

 その先には『闇を操る程度の能力』を持つ、黄色の髪に赤のリボンをつけた妖怪の『ルーミア』だった。

 

「らーらーらー、ららーらー」

 

 鼻歌交じりに空を飛ぶルーミアに、魔理沙は狙いを定め、

 

「『ブレイジングスターッ!』」

 

 魔力によって、スピードとパワーを増強させている箒で、そのまま突っ込んだ。

 恐ろしいスピードで貫かれたルーミアは、断末魔をあげる間もなく星になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

 

「ここが……紅魔館!」

「近くで見ると更にでっかいわねー」

 

 その後なんやかんやあって、二人は紅魔館前まで辿り着いた。

 とてつもなく巨大な館に怖気付いている霊夢を横に、魔理沙は何かのにおいを感じ取っていた。

 

「霊夢、こっからは別行動にしないか?」

「嫌だけど?」

 

 突然の提案に首を傾げ拒否する霊夢。それもそのはず、魔理沙がいないと決定的な火力不足に陥るからだ。

 

 

「んー、やっぱりお宝のにおいがするぜ! あっちだッ!!」

 

 

 しかし、霊夢を完全に無視して魔理沙は飛び立っていってしまった。

 

「ちょっ! えぇ……ひとりぃ? まじで……?」

 

 説得の余地もなしに飛び立った魔理沙を眺めながら霊夢は意を決して紅魔館の扉を開く

 

「マスタースパークッ!」

 

 遠くから聞こえる叫び声と爆発音を無視して……

 

 

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 扉を開くと、紅魔館の名の通り紅く彩られた洋風の室内に、薄暗く蝋燭の灯りだけがゆらめいていた。

 

「中は思ったより綺麗ね」

 

 静寂に包まれている館を歩き回る霊夢だったが時折不吉な違和感を抱くものの、至って静かで霊夢以外の人物は何も存在していないように思える。

 そんな中、静寂を切り裂く何かが飛んでくる音が霊夢の鼓膜を打つと突然、霊夢の目の前に研ぎ澄まされた銀のナイフが現われる。そのナイフは霊夢の耳の横を通り過ぎ地面に刺さると、音もなく――消えた。

 

「……」

 

 霊夢には何が起こっているのか分からない。唯一分かっているのは『敵の攻撃』を受けている、ということだけだった。

 突然現れた銀のナイフは確認する間もなく消え去った。超スピードなんて言葉では説明出来ない異様な光景に、霊夢は息を呑む。

 

 そんな霊夢を見ながら、不敵な笑みを浮かべるメイドが一人……

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 紅魔館の周りを飛びながら、魔理沙は何かの匂いを察していた。

 

「この辺から……魔法の匂いがするぜ!」

 

 魔理沙の鼻には高度な魔法の匂いが漂っている。 

 その先にあるものは、紅魔館の厚い壁。出入口のようなものは見当たらない。

 霊夢の所まで戻ってもいいが――

 

「こっちの方が、楽チンだぜッ!」

 

 そう叫ぶ魔理沙は、片手にミニ八卦炉を握りしめている。

 そしてミニ八卦炉を前にかかげると、

 

「『マスタースパーーークッ!!』」

 

 荒々しく魔法の光線が放たれる。そして、その光線は紅魔館の壁を破壊し、エネルギーが尽きるまでどこまでも伸びていく――と思われたが、

 

「……あ、あら、ごほっ、けほっけほっ……ウェッ」

「あああっ! パチュリー様が! 埃に殺られる!」

 

 何者かが、魔理沙のマスタースパークを打ち消した。

 

 髪と服が紫に染め上げられている瀕死の少女と、悪魔のような翼を生やす赤髪の少女がそこにいた。

 魔理沙から見るに、弱そうなのは紫色の方だが、魔理沙の鼻は確実に強敵を嗅ぎ分けていた。

 

「今、私の『マスタースパーク』を打ち消したのは……お前だな?」

 

 魔理沙は紫の少女。紅魔館に存在しているヴワル魔法図書館の館長。パチュリー・ノーレッジに狙いを定める。

 

「そうだとしたら……げほっ! げっほげっほ…………ごめん小悪魔、私ちょい休む」

「ヴゑゑゑゑゑ!? パチュリー様!?」

 


















 さあ第一話。どうだったでしょうか? 
 これは一応東方Projectに弾幕ごっこという概念が存在しないパラレルワールド的な作品なんです。はい。
 まぁ、よく見れば分かるんですが、(現段階だとわからないと思いますが)霊夢さんが強いってわけじゃないんですよね。
 今作の霊夢さんは空を飛ぶ程度の能力しか使えません。『霊力』とか『弾幕』とかが使えないらしいです。そんな中、魔理沙は魔法をバンバン使うし、妖怪は普通に人よりハイスペックだし……と霊夢さんかなりの高待遇ですね。
 説明が分かりづらかったら、ジョジョ二部を思い出してくれれば問題ないと思われます。

  
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