「はー疲れた。あとどんぐらい?」
「お前なんもしてないだろ。もうそろそろだぞ」
図々しく箒に乗り続けている霊夢に文句を言う魔理沙。
霊夢はこのまま何事もなく放棄に乗り続けるつもりだったが、そんな霊夢の前に一人の妖精が立ちはだかる。
「あたいを何やかんやでかたずけるんじゃないわよー!」
氷精チルノだった。
「「うわぁ……」」
面倒臭い奴に出会ってしまった。二人の感情は寸分の狂いもなく一致し、その後の行動さえも完璧に合致した。
「「『ブレイジングスターーーッ!!』」」
息の合ったコンビネーションで逃走経路を確保した二人だったが、逃げている背中にチルノの攻撃が刺さる。
「……甘いッ! 『アイシクルフォーーールッ!』」
「ッ――!? な、なにィーー!!」
チルノの攻撃は命中した。
魔理沙ではなく、霊夢でもなく、魔理沙の箒に。
魔理沙の箒は氷漬けにされて、とても空を飛べるような状態では無かった。
「オイオイ霊夢……こいつ、チルノのやつ……」
「ええ魔理沙……まさかとは思ったけど、まさかね……」
この一連の流れで二人は確信した。今のチルノには、
「「知性があるッ!!」」
宝くじが当たる確率は、地球に隕石が降ってくる確率より低いらしい……しかし、宝くじの確率をも遥かに上回るインポッシブルが成された瞬間だった。
この状態のチルノに出会えた二人は九蓮宝燈を十回連続で天和したぐらいの運を使い果たしたと言ってもいいだろう。
「そうだぜ、これは世界規模のNEWSだぜ。驚き具合で言えばボンチューが大人しくなったのと同等のレベルをほこっているぜ」
「ぼん……? いや、とにかくすごいってことよね、いやはやこんな歳で死にたくはないわよ」
二人とも、大真面目で、この状況の打開策を練っていた。
そして、二秒後。
「やるぞ、霊夢!」
「もちろんよ!」
二人がかりでフルボッコにする作戦に移る。
「『ファイナルスパーーークッ!』」
「夢想封印!!(物理)」
二人の魔法が、チルノめがけて放たれる……しかし、
「『パーフェクトフリィーーズッ!』」
チルノの前に氷の盾が出来上がり、二人の攻撃を防ぐ。
「ここは霧の湖! 所々に浮かぶ霧を凍らせれば私は無敵ッ! あたいってばさいきょーね!」
ポーズを取りながら、ドヤ顔で決めゼリフを言い放つチルノ。
「おいおいおいおいおい、霊夢ゥ! こりゃあちょっと真剣に挑まないとダメなんじゃないか?」
いつもとは違うチルノに、不安を隠せない魔理沙。しかし、そんな魔理沙に霊夢は
「真剣? 挑む? こんなバカ妖精程度……私一人で充分よッ!」
そう言い退けて、チルノへと飛びかかる。
「アンタがそこに立ちはだかるというのなら! 氷のように粉々に砕いてやるわ! 夢想封印(物理)!!」
身一つで敵本体を攻撃する『夢想封印(物理)』
その攻撃はどんな能力だろうと突き破り、悪を滅ぼしたと言われている。ただし諸説がある。
「氷はッ! 溶かされようが、食べられようが、砕かれようが、いつかはまた水となり凍る事が出来る! 何度だって凍らせてあげるッ!」
チルノめがけて勢い良く突っ込む霊夢と、全精力を注ぎ込んだ氷塊を作り上げるチルノ。
そうして二人の技と技がぶつかり合う、その時、チルノの後頭部に衝撃が走る。
「え――ッ!」
そこには、お祓い棒の姿があった。
脳への衝撃で意識を失いかけているチルノには届かないが、霊夢の甲高い笑い声が霧の湖に響き渡った。
「夢想封印(物理)の本当の能力はッ! 物理と宣言することによって、お祓い棒の存在を一時的に忘却させることが出来るのよッ!」
もちろん、この技の命中率は低い。お祓い棒の存在を忘れされることが必ずできる訳では無いからで、さらにどれだけ不意をつけても妖怪の殆どにダメージがないからである。しかし、霊夢の圧倒的な予測により、完璧なタイミンクで放たれる『夢想封印(物理)』はかなりの確率で相手に当たる。
そして、チルノのような頭の弱い子にはこうかばつぐんである。
「お前いい加減技名詐欺やめたほうがいいぜ? 訴えられるぞ」
「どんとこいよ」
かくして二人は、紅魔館への道のりを急ぐのであった。
おまけのお話は二割本気八割本気じゃない方の感じで書ききっています。