無題   作:海猿

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 【おまけ】フランドール with B

 

 紅魔館破壊事件(紅魔異変)から一週間。

 住まう所が無くなった(壊された)紅魔館メンバー(レミリア、咲夜、パチュリー他)は博麗神社に居候させてもらうことになった。

 

 しかし、フランドールだけは『本人たっての希望』により、魔理沙の家に住まわせてもらうことになった。                

 新天地に身を置いたからか、魔理沙という遊び相手がいるからか、何が理由かは分からないがフランドールの精神はだいぶ安定していた。

 

 

 そしてフランドールは今日も今日とて魔理沙とごっこ遊びを興じるのだった。

 

 

 

 

「『マスタースパークッ!』」

「『レーヴァテインッ!』」

 

 一週間前から拮抗を続けていた二人の魔法。

 しかし、今日は片方の光が強く輝いていた。

次第に片方の魔法は押され始め、爆音を上げて緋色の魔法が白色の魔法を貫く。

 

「おっ、とっと……すごいなフラン。私の60%マスタースパークまで撃ち返すとはな」

 

 砂埃を払いながら、白色の魔法を放った魔法使い『霧雨魔理沙』は言う。

 

「魔理沙だって」

 

 緋色の魔法を放った吸血鬼『フランドール』は笑いながらそう返した。

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

「魔理沙って、凄いよね」

「何がだ?」

 

 一日一回のごっこ遊びを終え、昼食を取っていた最中、フランドールは口を開く。

 

「人間なのに、私よりも強い……心も魔法も」

 

 それを聞いた魔理沙は、少し意外そうに、そして嬉しそうに笑い、フランドールの隣に座る。

 

「ふふっ、それは私が頑張っているからだ。誰にも負けまいと、日々必死に努力しているからだ」

「充分に強いのに?」

 

 魔理沙の言葉にあった疑問をフランドールは訊くが魔理沙は暗い顔を見せ「それはどうかな……」と答えて立ち上がる。

 

「さて、今日私はアリスん家に行くが……フランはどうする?」

「私はこの辺でぶらぶらしとく」

 

 了解と魔理沙は手を振り、箒に跨って飛び去った。

 

 

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ……」

 

 フランドールはいつも行っている『能力』の訓練を終えると、その場に座り込んだ。

 

 魔理沙の家に来てから、すぐに言われたことだった。

 

『フラン、お前の能力は色々と融通が効きそうな能力だから、今のうちに色んなことやっとけよ』

 

 『色んなこと』と一概に言われても、フランドールには何をすればいいのかさっぱり見当がつかなかった。

 そのため、思いつく限りのことをするしかなかった。

 

 威力の向上、発動時間の短縮、一度に破壊できる量を増やす……等。

 

 それが正しいのか分かりはしないが、今のフランドールに出来ることは、それだけだった。

 

 

 

 

 それともう一つの日課が散歩。最近は魔法の森を抜け、近場の湖に散歩しに出かけることが主な日課となっていた。

 

 そんな今日この頃、散歩に出かけたフランドールはある『B』と出会う。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん……」

 

 湖のほとりで、大きな伸びをするフランドール。ごっこ遊びや訓練の疲れもあってか、うとうとし始めてしまった。

 

 時計などあるはずもないので、ちらっと日を見て、少しなら横になっても大丈夫と判断する。

 

「今日は疲れたし……少し寝よう」

 

 そしてそのまま横になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

 

「ヒソヒソ」

「見かけない子だよねー」

「そう、だね」

「そーなのかー?」

「ガサゴソ」

「え?」

「モシャモシャ」

「ちょっ、聞こえな……」

「ゲフンゲフン!」

「チルノちゃんうるさいっ!」

 

「……あなた達は誰?」

 

 フランドールが目を覚ますと、自分を取り囲んでいる四人が立っていた。

 

「目を覚ましたよ! どうしようチルノちゃん」

「よし! あたいは寝るッ!」

「もう夜なのかー? 目の前が暗いのだー」

「……あれ、何しにしたんだっけ」

 

 『チルノ』『リグル・ナイトバグ』『ミスティアローレライ』『ルーミア』

 人呼んでバカルテットの皆さんだった。

 

 

 

 

 

 

「あなた、フランちゃんって言うの?」

「うん……」

「うおーッ! 羽根だッ! いや、羽根な・の・かァ!?」

「私の羽とどっちが面白い?」

「面白さを競うのかー?」

 

 取り囲まれたまま、身動きの取れなくなったフランドールは、彼女たちについて一つの感想を持つようになった。

 

(基本的に五月蝿い)

 

 この喧騒を止めるため、唯一話が通じそうなリグルにフランドールはアクションを起こそうとする、だが。

 

「あれ? フランちゃん? どこー?」 

「目の前にいるけど……」

「うわっ!? なにこれ!? 羽根が羽々しく!?」

「チルノちゃんそれ私の羽根ー」

「はねばねしくってなんなんだー?」

 

 救い(多分)だったリグルも馬鹿で、もうどうにもならないような気がしてきたフランドールだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へーいチルノちゃんパース」

「トース!!」

「チルノちゃんこれ野球! トスとかないから!」

「これは前衛守備なのかー?」

「五人で野球て……」

 

 羽根への異常な執着を振り切ったフランドールは、五分と経たずに野球をしていた。

 

(何故こうなった!?)

 

 当事者の一人だったはずのフランドールだが、何故野球に移行したのか分からなかった。

 

(……えーと、確か友情を深めるためにはスポーツだと、『チルノ』が言ったから)

 

 今までの出来事を一つずつ思い出していく。

 

(そのあと、『野球』『ラグビー』『サッカー』の案が出てきて……)

 

 見事に多人数で行う競技ばかりだったが、それは良しとして。

 

(野球に1票。ラグビーに0票。サッカーに4票)

 

 その結果、野球に決まった。

 

(なんで!?)

 

 フランドールがこれまでの出来事を思い出し、一人でツッコミをしていた時。 

 

「うわぁぁぁ! みんな、逃げろ!!」

 

 チルノ達は散り散りに空へと飛び立っていった。チルノ達が逃げた理由は、湖のほとりに現れた人間の男のせい。フラン達と比較しても背が高く、大人のようだった。

 

 幼稚な魔法を散らしながら、暴れている。

 妖精のような力なき者を、覚えたての魔法で蹂躙する。そして返り討ちにされようものなら、里中に妖精側が悪いように言いふらす。

 典型的なクズ人間。

 

「……幻想郷にも、こんなのがいるのね」

 

 地下室から出て、初めて出会う人間がこいつじゃなくて良かったと安堵するのも一瞬。

 フランドールは飛んできていた魔法を受ける。

 

「ははっ、何言ってやがる! ざまーみろ!」

 

 しかし、いややはり、フランドールにそんなチンケな魔法は通用しない。

 人間の弱さに直に触れ、フランドールは再び、魔理沙の異様性に気付く。そして気になる。魔理沙の魔法のルーツはなんなのか、と。

 

「弱い……やっぱり、魔理沙が特別なだけ?」

 

 フランドールがそんなことを考えている間に、格付けが済んでしまった人間側は、魔法が効かない→勝てない。までの最短ルートを通り、恐怖が伝わってくる。

 

「ひっ、ひぃぃぃぃ!」

「あっ……逃げられた」

 

 その結果、選べる選択肢は『逃げる』だけ。

 

「ま、いっか」

 

 逃げる男を横目に、フランドールは魔理沙の家に帰ろうとする。

 しかし、

 

「すっげー! フランすっげー!」

「ありがとうフランちゃん!」

「ありがとうなのだー」

「ありが……ん? 私は誰?」

 

 いつの間にかどこからか現れた四人が、再びフランドールを取り囲んでいた。

 四人を振り切り、そのまま飛び立つことも出来たのだが、気になることだけ聞いて帰ろうと、飛び跳ねようとする羽根を抑える。

 

「い、いいって別に……そんなことより、聞きたいことがあるんだけどさ。なんで野球しようってなったの?」

 

 

 

 すると、チルノ達は顔を見合わせ、当たり前のように、

 

「え? そりゃーね?」

「うんうん」

「まぁーね」

「わかりきったことなのだーばかなのかー?」

 

「「「「フランちゃんがしたいって言ったから(なのだー)」」」」

 

 その時のフランドールの表情は、バカルテットのみが知る。

 

 

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