二度の人生を得たら世界に怒られ英霊になりました…。   作:チェリオ

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第02話 「黒の戦い」

 黒の陣営に召喚されたライダー―――アストルフォは頭を掻きながら立ち上がる。

 自分を召喚したマスターの命令は逃げ出したロシェっていう魔術師を強制的にも連れ帰る事。

 正直やる気はない。無理やりなんて性に合わないし、やりたくない。

 でも、行かなければ令呪を使用するなんて言い出すんだもん。

 令呪はサーヴァントを縛る絶対の命令権。ひとたび命じられれば抗う事は不可能だ。

 無理やり連れてこいなんて言われれば本当にそのようにふるまう事になる。

 さすがにそれは嫌だなぁと引き受けて来てこれだ。

 

 「あー…不味いなぁ。これって不味いよねぇ」

 

 対峙して立ちはだかるは黒のキャスター。

 サーヴァント同士の戦いは避けたかったんだけど仕方がない。

 

 「えーと、君は黒のキャスターで良いんだよね?」

 「あぁ…その通りだ。そちらは?」

 「ボクは黒のライダーさ。つまり君の仲間ってことだね、うん」

 

 どこか腑に落ちないのかちらっと背後に居るロシェに視線を向ける。

 多分だけど事実かどうかと確認を取っているんだろう。

 大きく頷く事から本当なのだと理解して尚、キャスターは剣を収める事はしなかった。

 

 「貴方が黒のサーヴァントと言う事は理解した。

  されどこれはどういう状況かお教え頂きたい。」

 「まぁ、長い話だしさ。剣を下ろしてゆっくり話さない?」

 「それに関してはお断りさせてもらおうかの」

 

 即答された事にも驚いたがそれ以上にガラリと口調が変わった事の方が気になり首を傾げる。

 口調を気にしているアストルフォを気にも留めずキャスターは剣先を向けたまま殺気立つ。

 頬をポリポリと掻きながらも説明すると納得したのかうんうんと頷いていた。

 

 「と、いう訳で君を召喚する前に連れ戻せばベストだったんだけどね。まぁ、しょうがない。しょうがない。一緒にミレニア城砦に来てもらうよ」

 「あ、それもお断りさせてもらいます」

 

 マスターの反応を見るまでもなく即答したキャスターに首を傾げる。

 あからさまにどうしてと表情と態度で聞いて来るアストルフォに剣を構える。

 先ほどの威嚇目的に剣先を向けるのではなく戦闘態勢。

 対応すべくランスを向け、お互いに戦闘態勢を取っていつでも動けるように相手を見つめる。

 

 「まずは我が主を連れて行かせれば罰が待っているのでしょう」

 「あの当主やボクのマスターの感じからそうだろうね」

 「却下です。主の身の安全だけを保証されても甚振られるのを覚悟に連れて行くことなどできない。それに―」

 「それに?」

 「まだ小さな少年を寄って集って無理やりにでも言う事を聞かせようというそちらの考えに同調出来ない!」

 「ちょっと待って!?君は何をしようとしているのか分かっ――」

 

 鉈に集まった魔力量から宝具を使用している事に感づいたアストルフォは制止をかけようとするが、身体が重くなったようでうまく動けない。

 まるで背後の壁に引き寄せられる……風や引力ではない。

 身体中に何かがまとわりつくように重い(・・)のだ。

 

 「押し潰せ―――幻獣の骨鉈(グライデン)!!」

 「クッ、アルガリア!君の力を見せてやれ―――触れれば転倒!(トラップ・オブ・アルガリア!)

 

 鉈とランスが狭い室内で激突する。

 力を押し殺せずランスごと搗ち上げられたアストルフォはそのまま宙へ飛ばされ、天井を貫いて表まで吹っ飛ばされた。

 「イテテッ」と着地の際に尻餅をついてしまったお尻を労わりながら立ち上がる。

 

 派手に飛ばされた割に怪我の類が低いのはアストルフォの宝具【触れれば転倒(トラップ・オブ・アルガリア)】のおかげだけではない。

 触れれば転倒(トラップ・オブ・アルガリア)はカタイの王子アルガリアが愛用した馬上槍の伝説を具体化した物なのだ。

  触れた物をすべて転倒させる(・・・・・・・・・・・・・)

  つまり鎧で守っていようが術式で固めていようがどこかに触れただけで膝から下を強制的に霊体化させる。魔力供給も一時的にだけどカットできるから治らない。

 先の状況で言えば相手の剣と激突する直前に槍先が相手の方に触れたのだ。

 いくら宝具の一撃としても踏ん張りを利かせなければ思ったほどの威力を出すことは出来ない。

 

 「まぁ、それだけでもないんだろうけど」

 

 踏ん張りが利かなかったにしてもあの威力は低すぎである。

 もしアレが最大出力だとしたら三流以下のサーヴァントもいいところだ。

 円卓と互角に戦えた騎士があの程度の筈がない。

 何かしらの理由で出力を抑えたとしか思えない…。

 

 なんにしても動けない彼ではもう戦えないだろう。

 さっさとマスター君を捕まえて撤収するのみ。

 

 

 そう思っていた。

 

 

 カツン、カツンと金属音が響き、入口より彼は現れた。三名のホムンクルスを抱え、黒のキャスターがマスターを庇うように先頭を歩く。

 確かに足は霊体化させた。が、侮っていた。

 彼は騎士と言うよりも魔術師。

 そして稀代のゴーレムマスターでもあるのだ。

 足の代用品など地面すらあれば創り出せる。

 

 土で練り合わせられた触手のようなものが背中より地面に伸びて、しっかりと支え歩いていた。

 

 「はぁ~、これは長引きそうかも…」

 「それは私としても不本意ですね―――そもそも儂の家が大変なことになったしのぉ…」

 「さっきから思っていたけど君ってなんかおかしいよね」

 「否定はしませんよ。僕もそう思っておりますから」

 

 会話を交えながら隙なく構え合い、もはや話し合いの余地はないと判断し、本気での殺し合いかと笑みを漏らす。

 さぁ、戦いならば名乗りを挙げなければならない。

 声高らかに名乗りを挙げようとした瞬間、己のマスターであるセレニケ・アイスコル・ユグドミレニアにより念話が届く。

 

 ≪退きなさいライダー≫

 

 これからなのにと少し残念ではあるがこれはこれで良かったのかも知れない。

 ため息を吐くもののクスリと笑った。

 槍を地面に刺して、肩幅に足を開き、腰に左手を当て、右手を伸ばして指をさす。

 

 「ボクの名前はアストルフォ!シャルルマーニュが十二騎士が一人、アストルフォ!君の名前は?」

 「……名乗りと言うのは慣れていないのだが…元王専属料理人でモードレッドが騎士、サーウェルだ」

 「また今度出会った時は敵同士ではない事を祈っているよ。じゃあ、またね」

 

 そう告げて走り去っていく………なんてのは時間が掛かるから途中でヒポ君を呼んで飛び乗る。

 また近いうちに出会う事になる。

 ボクの勘がそう言っている。

 敵でないことを祈りはするが、敵として現れるなら今日のお返しをしなくちゃね。

 

 

 

 

 

  

 飛んでいったライダーを見送ったサーウェルはとりあえず抱えて来たホムンクルス達を屋敷の側に置いて、眠りの魔術が解けてないかを確認する。

 サーウェルは敵に属していた彼らを放置しようと思ったのだけれども、二人の人格が拒否したのだ。さすがに崩壊しかねない場所に置いておくのは出来ないと言って…。

 置き終わると背後の大穴がぽっかりと開いた屋敷を見つめる。

 脳内でウォルターが「儂の家が…」とずっと呟いているが私としてはここでじっとしている訳にはいかない。

 

 (それには僕も同意します。これだけの騒ぎですから人が大勢来るでしょう) 

 

 「そうじゃなくて姿を隠したいという意図なんだが…」

 

 足がこの様では戦いは避けた方が良い。

 何もない膝下を一瞥するとため息を吐いた。

 回復魔法は無意味。

 呪いか宝具特有の固有能力か。どちらにしても私では解くことは叶わない。勿論魔術にひとかけらも関わっていなかった儂も僕も不可能だ。師匠なら何とか出来たかも知れないが…。

 とりあえず代用品を造って持たすしかないかと思考を切り替えて顔を上げる。

 

 「大丈夫ですか先生」

 「えぇ、これぐらいは………って先生?」

 「はい!先生は先生です!!」

 

 なんだろうか。

 凄いキラキラした眩しい笑顔を向けて来る。

 そしてこの上なく興奮しているようだ。

 会話が成り立ってない。

 とりあえず目立つので人払いの結界を敷き、話を聞くことに。

 

 私達のマスターであるロシェ君はこの世界では有名なゴーレムマスターで、サーヴァントの私に要求するのはゴーレム技術の指導らしい。ゆえに先生。どうもこういう純粋な意志ゆえの視線というのはどうもむず痒いものですね。

 別段秘匿すべきとも思わないのでそれは構わないが、もう少し欲があっても良いのではないだろうか?まぁ、私も儂も僕も別段望みらしい望みはない訳ではあるがね。

 

 「ふむ…私としては構いませんが宜しいのですか。今の行動は明らかに同陣営に対する敵対行為をやらかしてしまった訳ですが…」

 「別に構いませんよ。ユグドミレニア一族に未練がある訳でもないですし、そもそもボクとダーニックの関係性なんて技術者とパトロンの関係性ですから、作るのではなく先生の教え子となった今パトロンとか必要ないですから。先生がそう判断したならばそれが正しいでしょうし。特に戦闘に関してはボクでは先生の役に立てるかどうか怪しい訳ですから」

 「そ、そうですか…」

 「では、早速ですが教えて欲しい事がいっぱいあるのですが良いでしょうか?」 

 

 (僕、思った事があるのですが…)

 (奇遇じゃな。儂もじゃ)

 (((この子――――ゴーレムの事しか頭にない!!)))

 

 荒れ果てた儂の家をバックに、道路のど真ん中で教えを乞うとは如何な状況か。

 ここは青空教室かなにかでしょうか…もう夜で青空見えないが。

 軽い頭痛を感じながら苦笑いを浮かべる。

 

 「授業の前に移動をしましょうか。ここに居ては捕捉されたままですからね」

 「はい、わかりました先生。差し当たって何から始めましょうか?」

 「では彼女と一緒に家の中から荷物を持ってきてもらえますか?」

 「彼女?――――うわっ!?」

 

 首を傾げるロシェ君に指をさして教えると入り口に立って居る木造人形に一瞬驚き、目を輝かせて観察し始めた。

 彼女―――と言うべきかアレはモルド。

 モードレッドをモデルに創り出したゴーレム。

 今は支柱である木造人形しかないがね。

 

 私が召喚された時にアレもこちらに出てきてしまったらしい。

 第四宝具として設定されている事から間違いないだろう。

 モルドは他のゴーレムと違って意思があり、自立して行動が可能。戦闘も行えるがサーヴァント相手には分が悪すぎる。そして宝具として使用する場合は選ばないといけないし、一度しか使う事は出来ない。

 

 「モルド、地下室にある土の持ち出しを頼みます。マスターには儂の手帳、舞台の台本…ほかに使えそうな物があるならば――本来なら主のお手を煩わせるのは――」

 「これぐらい良いですって。先生の為ですから」

 

 うわー、キラキラした瞳が眩し過ぎる。

 高い期待がプレッシャーを与えてきているんですが…。

 

 家の中に入って行った二人を見送ると地面に転がっている小石を右手で複数拾って左手で撫でる。

 短く息を吹きかけると四方八方にばらまく。

 地面に落ちた小石は淡い赤色に発光し、その中の数個が飛びあがり何かに激突する。

 

 カラスに蝙蝠、犬―――野生の生き物ではなく魔術師の使い魔たち。

 

 面倒だ…。

 マスターはすべてこちら任せの趣味人。

 戦力は負傷している私と未完成のモルド。

 人の身であるマスターの事を考えると資金も食糧も住み家…否、住み家でなく隠れ家か。兎も角やる事が多すぎる。

 あー…聖杯大戦が終わるまでイギリスに居たら駄目だろうか。駄目だろうな。

 拠点の確保に防御魔法、罠にゴーレムの製造…やる事は山ほどあるが現状真っ先にするべき事はマスターの替えの衣類を買うべきか。

 

 あのままでは風邪を引きかねない。汗でびしょびしょというのも衛生上頂けない。

 

 目についた黒の五人乗りの車に近付き、フロントガラスより中を覗き込む。

 盗みとは前世では考えられない事だが背に腹は代えられない。足の確保は必須条件だ。土とか結構な量がある事だし。

 

 魔術を行使して防犯装置の有無を確認し、鍵は……土をねじ込んで鍵穴に固めて開ける。

 魔術師の最高峰であろう師匠より教えられた魔術。

 こんなことに使って良いんだろうか…。

 

 バレなければいっか。

 

 

 

 ―――――ゾクリ。

 

 

 

 今誰かの視線を感じた。

 ………まさか…な。

 

 「どうしましたか先生?」

 「いえ、なんでも………ないです」

 

 気のせいだという事にして手帳(黒歴史)と台本を受け取り、モルドに袋に詰めた土塁を後部座席に置かせて、運転席に座る。

 

 (ところで誰が運転するんじゃ?儂は馬ぐらいしか無理ぞ)

 (奇遇ですね私も馬しか乗れません)

 (それって遠回しに僕に運転しろって言ってます?確かに普通免許もってましたけど乗ったことあるの普通車で小さいのですよ)

 ((・・・・・・・・・))

 (あの無視するの止めて下さいませんか。分かりましたよ運転すれば良いんですよね)

 

 初日から疲れた顔をしたサーウェルは車を出した。

 いろんな意味で何処に向かおうか悩みつつ…。




 カークランド・サーウェル
 筋力C
 耐久C
 俊敏E
 魔力A+
 幸運C

 身長187cm
 体重 73㌔

 ●宝具
 ・■■■■■■
  ■■■■■■■■■■■■■■■■■■
 
 ・グライデン
  種別:対人宝具
  幻獣の骨と牙で作り出された長剣。剣と言っても刃は平べったく、打撃を与える為の鈍器。
  魔力が行き渡りやすいようにサーウェルが製作した武器で、宝具解放時には魔法により過度な重力が付与されており直撃を受ければ幻想種であるドラゴンですらただではすまない。
  敵単体に超強力な攻撃&高確率でスタン付与(オーバーチャージで確率アップ)

 ・トゥルヤーグ
  種別:対人宝具
  マーリンとの修行時代から使用していた伸び縮み可能な構造の投擲用の槍。構造的に内部は空洞となっており、魔力を内部により多く貯めれる魔力操作の訓練に使っていた。
 その後、マーリンより幻獣の爪を貰って強化の練習台にもしている。
 黒きドラゴン討伐では貯めに貯めた魔力を先端から解放する事でドラゴンの身体を貫通するだけの力を得た。……ただ退治のときに狙いから外した為に狙ったところには絶対当たらないようになっている。
 敵単体に強力な防御無視攻撃<オーバーチャージで威力UP>

 ●ゴーレム

 ・モルド
  サーウェル最高傑作のゴーレム。
  戦闘能力はゴーレム以上サーヴァント未満。最高傑作と言う事である女性そっくりに仕上げ、質感、機能まで人間と同様にあつらえてある。しかも自分で考え判断する知能と性格を有する。

●スキル
・■■■■■■
 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■
 
・高速詠唱
 魔術の詠唱を高速化するスキル。
 FGO時効果:自身のNPをすごく増やす

・魔力放出
 武器や自身の肉体に魔力を帯びさせ、瞬間的に放出させて能力向上を行なうスキル。
 絶大な能力向上を行なえる代わりに魔力消費が激しいので燃費は非常に悪い。
 FGO時効果:自身のバスターカード性能をアップ

●クラススキル
・陣地作成C
 自身のArtsカード性能を少しアップ

・道具作成C
 自身の弱体付与成功率を少しアップ
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