カゲロウ・ソードワールド   作:壱ノ瀬 葉月

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「死神の化身」と恐れられていたイチハが、なぜレイナとマリカに出会ったのか・・・。


第ZERO話 <過去>

両親のいる部屋。・・・いや、部屋と言うには狭すぎる。これは牢屋だ。

「死神の化身」である俺を産んだ罰として入れているらしい。真実を話さない奴らとは違ってやさしい爺さんが教えてくれた。だが、8歳の俺でも疑問を持った。そして、村長に言った。

「なんで俺を入れないんだ」

 答えは返ってこなかった。

そして、俺が9歳になったとき、俺も牢屋に入れられた。そのとき、両親は解放されたが、会いにはこなかった。否、これなかった。たまに来る爺さんに聞くと、俺に会うことは本来、許されていないようだ。爺さんは食料をあげるから入れてほしいと言うので、血縁者ではないから入れてやろうということだった。そして、半年ぐらいたったとき、二人の少女が来た。見たことはなかった。

「あなたはどうしてここにいるの?なにか、悪いことでもしたの?」

「・・・死神の化身だから。それだけの理由さ。君たちこそ、どうしてここに?」

「住む場所を探して旅?をしているの」

「私たちそれぞれの両親は、死んじゃったから…さ。」

「そうか・・・」

「そういえば、まだ名前聞いてなかったね。私はレイナ。よろしくね」

「私はマリカ。よろしく」

「俺は・・・イチハ。会うことは少ないと思うが、一応・・・よろしく」

それが、俺とレイナ、マリカの出会いだった。そして、この出会いが最初の戦闘の引き金となるのだった。

 俺は、いろんなことを二人から聞いた。どうして両親が死んだか、どうして住んでいた村を出たのか、両親はどんな仕事をしていたかを。レイナの母は巫女、父は旅人だったそうだ。マリカの両親は二人とも魔法使いだった。二人とも5歳のときに両親を亡くしているそうだ。他にもいろいろ話を聞いているうちに夕方になり、門番が二人を戻しに来た。そして夜になり、俺はいつも通り眠りについた・・・。

牢屋の扉が開く音がした。最近は眠りが浅いときが多いのですぐに気づいた。扉を見ると、レイナとマリカが立っていた。

「・・・門番は?」

「殺してないわ、大丈夫」

「私の気絶魔法でね。それより早く出て、逃げるよ」

そして、あっさりと逃亡に成功したと思った。そしてそのとき、二人から旅に誘われた。

 

逃げてから3日たった日の夜・・・。

「起きろ。そして動くな。死神の化身」

「動いたらどうなるか分かるよなぁ?まあ、振り向くくらいならいいけどよぉ」

 そういわれたのでなんとなく振り向いた。

 やはりあの町の住人だった。が、レイナとマリカが拘束されていた。交代で見張りをしていたのだが、報告に来なかったことに納得がいった。

「・・・二人をどうするつもりだ」

「お前を逃がしたんだからな。お前の行動によっては死だ」

「・・・・・・分かった。1つ聞かせてくれ。俺の親は?あの爺さんはどうした?」

「ああ・・・殺した。といってもあの爺さんは老衰死だけどな」

「・・・お前ら・・・絶対殺す!」

 俺をどんなときも愛してくれた両親を殺した、そんな奴らに対して殺意が湧いた。それと同時に、何者かの声が聞こえた。

『ソウカ。ナラバキレ。キッテコロセ。ニクヲキリサキ、ホネヲタチ、スベテヲキレ』

「斬って・・・コロセ・・・」

 そうつぶやいた後、俺の意識は暗転した・・・。

 

「・・・・・・ハ!イチハ!イチハ!!」

 俺はレイナの呼ぶ声で目を覚ました。昼時だった。

「良かった・・・。マリカ!イチハが目を覚ました!!」

「・・・っ!イチハ!!」

 マリカは身体を起こした俺に思いっきり飛び込んできた。二人とも泣き顔だったが、マリカは子供のように・・・といってもまだ子供だが、泣きじゃくっていた。

「・・・・・・ごめんな。会ってそんなに経ってないのに心配させて。・・・でも、一体何があったんだ?あいつらは・・・」

 そこで自分のしたことが大体分かってしまった。村の人々を俺が『殺した』。

 

 二人が言うには、何かをつぶやいた後、左目に赤い炎が宿ったと思った直後、二人を拘束していた男の首が吹っ飛び、その後恐怖に駆られた人々は俺のところへ突っ込んで言ったという。どさくさにまぎれて離れた後振り返ると魔力で形成された剣を使い、一人、また一人と葬った。全員が死ぬまで5分はかからなかったようだ。だが、その後急に倒れたらしい。

 話を聞き終わった後、俺は決意した。

「俺はこれから一人で活動する。もし、この事がばれれば、二人は「殺人鬼と行動する悪魔」とか何とか言われることになるはずだ。それに俺は殺人者だ。そんな奴とは一緒に居たくないだろ?」

「・・・私も、ううん、私達も人殺しよ?」

「実は、全員殺したって話したけど、それはあなたに襲い掛かって言った人達のこと。逃げる人も何人かいたわ。そのとき、生かしておいてもしょうがないよね、って・・・」

「あなたより、もっとひどいよ、私たちは。それに、もしあなたが傷を負ったときに治療するのは誰がやるの?」

「・・・・・・え?えっと・・・それは・・・どういう・・・?」

「あなたには「能力(アビリティ)」がある。あなたは特殊で2つだけど、1つだけなら全人類の3分の1が持ってるの。私の能力は「治癒」。ちなみにマリカは「遠視」。きっとあなたに協力できる。・・・と思う」

「それにどうせここに居るのは人殺ししか居ないから。一緒に居ても居なくても同じだと思うわ。それなら一緒に居たほうがいいわ」

「・・・・・・・・・分かった。それじゃあ、よろしく」

 

 

 

「どうしたの?イチハ」

「・・・ちょっと昔の事思い出してた。俺がお前とレイナに会ったときの」

「あ~・・・あれねぇ・・・・・・まあ、今はいい思い出・・・とも言えないか」

「そりゃそうだ」

「イチハ!マリカ!こっちに・・・」




次回、第一話<最初の事件>
三人の本当の物語は、ここから始まる・・・・・・。
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