カゲロウ・ソードワールド   作:壱ノ瀬 葉月

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 師匠の下へと着いた彼ら。懐かしき者との再会だった。


第9話<師匠>

「・・・すごいね」

「ああ、俺も始めて見たときは驚いた」

 俺とマリカ、アメムラ、ヤタノはマジシタの稽古場に来ている。ここに修行しに来ているレイナの様子と、マジシタに挨拶をするためだ。既に連絡は行っているはずなので、すぐにでも入りたいのだが・・・・・・

「なんか、嫌な予感がする」

「同感」

「右に同じ」

と言って入りたがらない。俺も1番最初は嫌な感じがしたので共感はできる。

「準備できたら入って来いよ、俺は先に行くわ」

 そう言って扉を叩き、開ける。そこには師匠、マジシタが立っていた。

「久しぶりだの、イチハ。ずいぶんと大きくなったもんよ」

「あれから何年でしたっけ・・・まあ、それだけ立てば大きくはなりますよ」

「それもそうだ。して、そちらは」

 そう言って後ろを指差す。

「マリカとアメムラ、それにヤタノです」

「そのアメムラとヤタノだが・・・さては三種ノ神器、だな?」

「・・・・・・ええ。良くわかりましたね」

本来の姿ではなく少女の姿なのでそうすぐにはバレないかと思ったのだが、師匠の勘と本能みたいなものだろう、すぐに見破ってしまった。それにしても何故驚かないのか。そのことを言ってみると「なんとなく感じていたよ。それに、お主なら持つことになるだろうと予想していたのだ」ということだ。俺と師匠が話しているうちに3人も人柄の良さに安心したのか、こちらに向かってきた。

「まあ、立ち話もなんだから、入りなさい。茶を入れてやろう」

「いいんですか?この時間だとすぐに指導では?・・・・・・って今日は休みでしたね」

「ま、例の子はあいかわらず特訓しているがな」

例の子、というのはレイナのことだろう。休みの時にも練習するのはレイナらしいが、そのせいで体を壊したことがあった。しかもその状態で修行をしようとするものだから、必死で止めたことがある。あの時には師匠と、たまたま部屋の前を通ったやつにも手伝ってもらって説得したものだ。修行といえば、終わった後に甘いものを必ず食べていた気がするなぁなどと、昔のことを多少思い出し始めたところで中庭についた。

「レイナ、そろそろ休みなさい。お客さんも来ている」

 そこで練習を止め、こちらを向く。最初顔に浮かんでいたのは、「私に客が?」と言いたげな疑い。俺達を見て、驚きと安心。そしてその後、少し笑いながら―

「なんで来てるの?」

と聞いてくる。

「無茶してないか心配だったって言うのもあるけど、一番は師匠に挨拶するためだよ」

「ふぅん・・・で、その荷物の中身は?」

 俺とマリカが左手に提げている大きな袋を指差しながら聞いてくる。袋を床に置き、少しだけレイナのほうを見てから開ける。その中には箱が入っており、その箱を開けると甘芋を輪切りして焼いたレイナの好きな料理・・・というよりかは甘味が入っている。ちらりと見るとかなりの笑顔で手を合わせている。

「差し入れにと思ってな。よければ、師匠と、今のお弟子さんたちにも」

「良いのか?これは皆喜ぶだろう」

「それじゃあ私準備するね」

 その後1時間程、皆で楽しく話していた。しかし俺は感じていた。今まで一切なかった2つの気配が大きくなるのを――。

 

 

 師匠に挨拶し、稽古場の門をくぐる。師匠はレイナに一度帰ってもいいと言ったのだが、そこは俺と同じで残るようだ。門を閉じてから俺の―いや、別次元の俺の名前を呼ぶ。

「やっぱ気づいた?」

「いや今回はむしろ気づかせようとしてたろ」

「まあ、そうなんだが」

 俺のように頬を掻きながら言う。まあ、実質俺なのだが。

「で、本題は何なの?」

「おう。例のアレのことなんだがな?どうやら逆らしい」

「逆?」

 アレというのはおそらく「地獄の陽炎(ヘル・ザ・ヒートヘイズ)」のことだろう。しかし逆というのは――。

「前に俺は集めると起きると言っただろ?それが逆だったらしくてな・・・」

「集めるから起きるのじゃなく、起きるから集めるってことか」

「そういうこと」

 詳細は知らないらしいが、おそらく起きるというのを俗に言う第6感で感じて云々ということだろう。

「つまり最後の一個・・・は違うしな・・・一本でもないだろうし・・・要するに神器を集めたほうがいいってわけだな」

 すると彼は頷く。

「ああ、調査不足が引き起こしたことだ。もしよければ、手伝わせてくれないか」

 俺も、マリカも首を振る。俺はともかく、なぜマリカが首を振るのかはわからないが。

「そうか。ま、こんだけだ。じゃあな・・・と、あとどうでも良いかもしれないが・・・」

 そう前置きしてから彼は告げる。

「俺の世界から直接別の世界へはいけなかった。少なくともここを経由しないといけないかもしれない」

 今別世界へ行く方法のない俺たちにとっては実際確かにどうでも良い。しかし、もしそれが悪いことだとしたら?本来は世界同士が干渉することを前提としていないとしたら、ここはどうなるんだ?そんなことを一瞬考えたが、すぐに打ち消した。今は少しでも力をつけて、世界を守れる確率を上げたいところだ。ほかに人がいるなら俺は間違いなくそいつに任せるだろう。しかし、今は俺しかいないのだ。俺が動くほかない。それに俺は―――。

 そんなことを考えながら俺は家へと帰るのだった。




第10話<光の集合>
 ついに、彼の下へ三種ノ神器がそろう。しかし・・・。
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