今、ここには俺を含め11人が集まっている。その11人が囲んでいるのは円形の机。まだいくらかの余裕がある。集まっているメンバーの共通点、それは臨時ではあるが、担当部署の一番上ということだ。そこで俺達は第2回の会議を行っている。その内容というのは先日、俺とマリカが混浴したときに話した「マリカを俺の護衛にする」かどうかだ。だが当然、副団長と護衛の両方をやるのはどうなのかという疑問からこうして代表者の声を聞いているのだが。
「俺としては、今の全員に任せられると思っているから、変えたほうがいいなら意見を頼む」
「いや、無理に副団長を変える必要はないだろう。なあ?」
戦闘部隊の前衛班長、ミンクが発言すると、それに対して他全員が頷く。
「それに、なんとなくそうなるたぁ思ってたんだなぁ。多分皆」
「・・・じゃ、じゃあ、この件に関して異論はなし。マリカを副団長兼俺の護衛と認めるってことでいいんだな?」
その言葉にも全員頷く。
「分かった。それじゃあ今回の会議は終了とする。お疲れ様」
「「お疲れ様でした!」」
そうして、各々が会議室からでるのだった。
廊下や階段を上り、俺の部屋に入る。そしてすぐに椅子へと向かい、座る。
「はあー・・・」
深く息をつく。その目線の先には、2本の剣があった。《疾風剣 ウィンドイーター》と《地創剣 テラリアオブガイア》。アメムラにもらってから結局片手で数えられるほどしか使っていない。そして悩んでいることは当然、二刀流でどちらを使おうかということだ。
俺は二刀流にそれほど強くこだわっているわけではない。正直なところ片手だけでも構わないのだが、やはり多少難しくても使いこなせて、そちらほうが強いのであらば備えておくに越したことはないと思っている。
「どっちがいいのかな・・・っとどうぞ」
悩んでいると扉が叩かれたので応じる。入ってきたのはアメムラだ。剣のほうに歩み寄ると、おもむろに手に取って鞘から抜くと、それを重ねる。すると二本が光を放ち始めた。そして強い閃光を放ち、収まったときには一本の剣になっていた。
「悩むくらいなら一緒にしちゃったほうが早いと思いませんか?主君」
しばらく絶句してしまい、急に笑いがこみ上げる。
「ははははは!結構強引なところあるんだな、アメムラ」
「わ、悪いですか?!」
「いや、ちょっと意外だったからさ」
差し出される剣を受け取り、アメムラを見る。
「ありがとな」
彼女は頷き、部屋をでていった。そして、俺はまた考える。
「・・・名前どうしようかな」
ほぼ謎の鍛冶屋であるロハエに作ってもらった剣には《
それから数週間後だ。街全体を恐怖に陥れる事件が起きたのは。
その報告があがったのは昼食のときだった。偵察班の一人がそのことを報告に来た。彼は気を使ってか呟くように言ったのだが、その衝撃に俺は半分ほど叫ぶように言ってしまった。
「住民の連続殺人だと!?」
周りにいた皆はざわざわしだすが、俺は構わずに報告に来た彼に伝える。
「イザヴェル全体に外出は極力控えるよう注意喚起してくれ。マリカ!市街長のところへいく、護衛頼む!」
「了解、イチハ」
今までと違い普段から準備しておいてよかったとおもいつつ、二人で外に出る。
「行くのは良いけど、結構距離あるよ?」
「大丈夫だ、すぐに着く。ずりぃって思うことするけどな。ちょっと失礼」
そういいつつマリカを抱き寄せる。マリカと一緒に入ったときの緊張――今思えばあれは恥ずかしさだろう、それを思い出すが殺人事件のことでほとんど上書きされる。
「ずるいかもしれない・・・ってちょっと、なにして・・・・・・」
「口閉じてたほうがいいぞ」
そういって少し待ってから地面を思い切り蹴る。その途中で「背中から翼が生えている」という感覚で背中から魔力をある程度放出し、それを形成、維持する。そしてその翼を強く羽ばたかせ、推進力をつくる。かなりの速度がでていると感じ、マリカが強くしがみついてくる。
これを名づけるとすれば《魔力飛行》となるこれは、前衛班を中心とした一部と、暇なときに「魔法よりも早い移動法はないか」ということで遊びがてら試していって見つけたものだ。俺だけができるのではなく、練習すればだいたいの人ができる――まだ全員ができるとは言えないが――ということがわかっているので、後々皆に教える予定だ。
徒歩30分ほどかかる距離を6分で移動し、翼を展開したまま自由落下に入る。あと少しのところで思いっきり羽ばたいて相殺、着陸する。背中に回した腕を放そうとするが、異変を感じてマリカをみる。その視線を感じてか、涙目でこちらを見上げる。
「・・・・・・今、立てないかも」
「・・・ごめんな、ちょっと出しすぎたか」
そういいつつ右手を背中のまま、左手を膝裏のほうへ動かし、そのまま持ち上げる。マリカは何か言おうと口を動かすものの、結局言うことなく俯く。俺はそのまま市街長の部屋へ向かった。
その後、話し合った結果としては、今回の事件から、捜査等はすべて黒影剣士団に一任するとのことだった。建物からでた俺は、後ろのマリカのほうをみて、彼女に対して問う。
「どうする?歩いてくか?」
「飛んでいいよ。ただ、遅めでよろしく・・・」
今度はマリカから俺に抱きつく。俺もしっかりと抱えてから、来たときと同じように地面を蹴って飛び立ち、拠点へと向かうのだった。
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ふと空を見上げる。するとそこには、黒い影が飛んでいた。その雰囲気を感じ取り、口元に笑みを浮かべる。
「ちゃんと終わらせてあげるから、待ってて」
そう呟いてから、足元の肉塊――元人間をいじるのに戻った。
次回<暗殺者>
黒影剣士団最初の仕事。果たして、彼らは成し遂げられるのか。