カゲロウ・ソードワールド   作:壱ノ瀬 葉月

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 黒影剣士団が本格的に動き出す・・・。


第16話<暗殺者>

 イザヴェルで起きている連続殺人。3週間で13人が殺されている。俺達黒影剣士団は総出で事に当たっているのだが・・・。

「見つからねぇよなぁこんだけの手がかりじゃ」

 解決の糸口と言うヤツはまったく見えない。というのも、犯人の姿をみたものは誰もいないので、残っているのは現場に残っているものだけだ。なるべく早く終わらせないといけないはずだが、どうも上手くいかない。

「殺された人たちの特徴とかで分類してみれば?」

 そういうのは、レイナ。このところ用事と言って離れることが多いマリカに、その間の護衛を頼まれたということで、近くにいる。レイナの助言を頼りに、資料に改めて目を通す。

 一応、目撃者からの証言とも合うし、いくつかはこの目で確かめている。男性のほうが多いが、全員と言うわけではなく何人かは女性だ。場所にバラバラで、人目につくところと意外とつきやすいところで殺されている。殺され方は喉元を裂かれているか、全身バラバラか。そこでひとつひらめいた俺は殺され方で分類してみる。すると、偶然なのか意図的なのか、重度の犯罪を犯した者とごく普通の人とに分かれた。

「多分これ、違う奴がやってるな・・・」

「どんな風に?」

「こっちは犯罪者だけで、喉元を一太刀。こっちは普通の人たちでバラバラに。両方とも見たことあるからわかるけど、使ってるものの切れ味もまったく違う。まあ、人によって変えてるってこともあるだろうけどな・・・」

 それを聞いたレイナは、ざっと目を通す。

「これ、屋内か外かにも分かれてるじゃない。過信は良くないけど、違う人で決まりね」

 となると、片方は誘導して確保ができそうだ。さて、皆に連絡を・・・と思ったところで諜報部隊は全員出していることを思い出す。肩を落としていると、部屋の扉のほうから声がかけられる。

「お困りのようだね、団長?」

「お、どうしたミルキ」

 入ってきたのは開発部隊のミルキ。服装によっては一瞬女性だと見間違える人がいる男だ。彼は右手に四角い箱に細い円柱がついた物を持っている。それを机に置く。

「偵察班には全員に渡しておいた。そのままで連絡できるよ」

「・・・これは?」

「名前だったらないよ。こっちに来る前に研究してて、ついさっき団員の分が用意できたところだから」

 とりあえずそれで納得し、使い方を教わりながら繋げてみる。

 後の説明では、一定量の魔力を自動的に吸収し、それを動力にしているらしい。

とにかくはそれで連絡し、集まる旨を伝えた1時間後、全員が食堂に集まった。なぜ食堂かというと、全員が集まれる場所がここしかないのだ。そのうち外に集まることになりそうだなぁと考えつつも、俺は皆に先ほどレイナとした話、そしてその特徴を利用した確保作戦を伝えた。結果として、事件に関しては犯人の絞れた特徴は公表したほうがよいという意見が多数、作戦は

 後日。屋内で殺害する方に対し呼ばれ始めた「深淵の暗殺者(しんえん あんさつしゃ)」を確保する作戦を実行に移した。

 

~~~~~~~~~

 

 いつも通り屋内に潜入する。静かに、しかし確実に部屋へと向かって、入る。当然不在なので誰もいない。すぐ壁に張り付き、慣れてきた魔法詠唱をして隠れる。僕はいつもこうして目標が帰ってくるのを待ち、そこを狙って殺す。

 普段は2時間待つことなど伊達じゃないのだが、今日は数分で帰ってきた。油断して背中を見せたところに無音で近づく。腰の後ろから短剣を抜こうとした瞬間に手首を捕まれる。振り向きつつ肘で殴ろうとするけども、止められた。ならばと左足で相手の足があると思われる場所を蹴る。思ったとおり足に当たり、相手は姿勢を崩す。その隙を見て手を振り払い、短剣を逆手に抜いて突き刺そうとするがかわされる。順手に持ち替えなおして首を狙う。相手は後ろに交わして態勢を治す。僕は腕を跳ね返るかのようにしてもう一度攻撃する。それを左腕で受け止められ、そのまま右足で蹴られる。あまりの威力に後ろに下がってしまい、その隙を突かれて左足での回転蹴りを食らう。遠心力と魔力を利用した蹴りに耐え切ることはできたものの大きく吹き飛ばされることになった。

 飛ばした先は狙い通りなのか、黒影剣士団の副団長が待ち伏せており、淡く光る矢が僕を射抜いた。が、大して痛くない。傷を見ても血さえ出ていない。体を起こして逃げようとしたところで、ようやく気付く。動かない。いや、動かせないのだ。それを認めた僕は、潔く諦め、負けを認めた。

 

~~~~~~~~~

 

「さて、大人しく捕まってくれるかな?」

「大人しくも何も、こんな状態で抵抗しろ、なんて言うの?」

 確かにその通りなので肩をすくめて答える。顔は仮面にフードまでしているのでよく分からない。隙間から見える髪は黒にところどころ蒼が入っている。仮面の効果か、声にも様々な音程の響きが入っていて性別が分からない。

「まあ、こうなってしまったんだから何もしないよ。煮るなり焼くなりして」

「そんな酷いことをするつもりはないさ。抵抗されないようにはさせてもらうけど」

 彼は頷き、いくらか動かせるようになった体で立つ。手を後ろで縛り、マリカと共に拠点へと連れて行った。その道中、彼が呟いた。

「やっぱり、漆黒の魔剣士には敵わないか・・・」

「・・・何?その漆黒のナントカって」

 今初めて聞く名前だ。彼が言うってことはもしかしてもっと有名な暗殺者かと考えるが、もっと身近に・・・いや、常に認識している、認識せざるを得ない所にいた。そしてその答えをマリカが言う。

「知らない?あなたのことよ、イチハ」

「・・・・・・はあ!?なにそれ聞いたことないぞ!」

 彼のことを忘れ、思いっきり叫ぶ。これが、《漆黒の魔剣士(しっこく まけんし)》誕生――というよりかは本人が認識した――の瞬間だった。




次回<暗殺者の決意>
 暗殺を繰り返す彼の思いとは・・・。
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