とある黒ずくめ装備の少年がゴーレムの核を二本の剣で切り裂く。こちらでは紅白色の少女が核を三股の槍で貫く。またこちらでは白と黒でいかにも魔法使いのような少女が二人を守るように矢を飛ばす。そうして4体のゴーレムが破壊された。3人にはかすり傷の1つ2つはあれど大きなものは一つもなかった。
「俺が作ったゴーレム4体を5分で片付けるか・・・」
見ている先では少年少女が会話していたが、不意に少年がこちらを向き、目を凝らす。
『イチハ、どうかしたの?』
『いや、何か見られてる気がしてさ。・・・・・・まいいや、帰ろうぜ』
そうして帰っていく3人をみて、俺は思い、口にした。
「こいつらとなら、きっと・・・全世界の危機を救えるかもしれない・・・・・・」
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「ん~おいしい!」
「そいつぁ~良かったなー。俺の分までしっかり味わえよ、あと残りの二つはマリカとアメムラの分だからな?」
「わ、分かってるわよ」
突如出現した4体のゴーレムを倒した後に見つけ、4人で食べようと採った果物のうち俺の分も先に食べているレイナに嫌味をたっぷり込めてそんなことを言う。窓からいつもと変わらない街を眺めながら考える。あのゴーレムの基本素材、あれはこの世界では希少な鉱石であるミスリルだ。世界全体のミスリルでゴーレム1体分が限界だろうといわれている鉱石で4体も作ることができるとは思えない。あれから友好関係を持ったエレヴォスは「異空間にいるだけで食料や素材はそちらの世界で調達しているし、今の私では増やすなんて事はできない」ということだからエレヴォスの仕業でもない。そうなれば今まであるといいなという程度にしか思っていなかったもう一つの世界が――
「・・・っとイチハ。聞いてる?」
「ん?ああ、悪い。どうした?」
「イチハっていつもそうよねぇ・・・。なんか考えてると周りのことが気にならなくなるみたいだし、悩んでることは一人で抱え込むし」
「悪かったな溜め込む人で。けどお前らに余計な負担かけさせたくないし・・・」
そう。俺は今まで悩んできたうち大きいものは俺の外に出そうとしなかった。話したことの大体はバレたのがほとんどだ。
「さぁてレイナ、マリカと一緒に風呂入ってこい、その間に飯作っちゃうから」
「ん、分かった」
そう言って二階にいるマリカを呼びに席を立った。そういやレイナがいつもと食べてるときのテンションが違うのはどういうわけなんだろうか。そんなことを思い浮かべながら台所に入った。
夕食後に俺は風呂に入ろうとしたが、そのときに来客があった。イザウェルに住む夫婦のキリヤとマリだった。曰く
「息子のユーテが見つからないんだ。一緒に探してくれないか?」
ということだった。当然俺たちは了承し、念のためにいつもの戦闘装備で出た。
「ユーテはどこへ行くとか言ってました?」
マリカが捜索範囲を絞ろうとしてかそんなことを聞いた。
「三人で出かけているときに突然いなくなって・・・そういえば、それに気付いたとき、近くに黒い影が・・・」
どうやらなにかにさらわれたらしい。その時、後ろからものすごい気配がした。振り向きつつ抜剣し、斬りつける。だが、その何かが後ろへ引く気配はないのに手ごたえがなかった。その時に姿を見たのだが、無数の触手を持つ黒い姿を見たときに「うわぁ、厄介なやつに出会ったなぁ」と思ったのだが、夫婦が「そ、そいつです!」というもんだから「ほんとに厄介なヤツに絡まれたなぁ!」と思った。というか思ってしまった。もちろんこうなればしっかりと戦闘をこなさないといけないのだが、その相手がさっきから言っている―――というより思っている―――とおり厄介なものなのだ。やつは「エンプネイス」。一般では虚無から生まれるといわれていて、生半可な攻撃は通らない。狙うのは攻撃中の触手か、時々見せる赤黒い核。前者はいくらか攻撃しやすいが、後者は小さいこともありかなり狙いにくい。しかも物理攻撃は無効化するので魔法しか攻撃手段がない。「剣士がエンプネイスに出会ったらすぐに逃げる」という暗黙の掟が存在するほど不利になる。
「レイナ、奴の気をひいてくれ!マリカは二人を安全な場所へ!」
「分かった」「了解!」
その返事を聞いてから後ろへ下がり、足を開いて腰を落とし、右手を後ろに、左手は切っ先を支えるような位置へもっていき、突進攻撃の前のような姿勢を作る。その体勢から剣へ魔力を充填する。同時に魔力形魔法陣を切っ先の前へ5つ、左目の前に照準として1つ展開。レイナが戦っているところを見て、核を見つけ、狙いを定める。ある程度魔力がたまった所で
「レイナ、下がれ!!」
大きく叫ぶ。レイナが下がったところでまた少しだけ右手を後ろに持っていく。貯めた魔力を前へと押し出すイメージで剣を前に突き出す。すると開放された魔力が5枚の魔法陣を通過するごとに収束し、1本の光線へ。核へ的確にあて、破壊する。それと同時にエンプネイス本体も消滅する。これが片手剣魔力充填形重攻撃《バースト・レイン》。発動までの時間は長いが威力はかなり高い。剣技として登録したのは少し右手を後ろにするところからなので貯める時間は特に指定されないのが工夫したところといってもいい。
バースト・レインで核を破壊されたエンプネイスが消えた周囲の空間が揺らぎ、少年が出てきた。
「ユーテ!」「お母さん!」マリとユータがそれぞれ駆けより、抱き合う。その目には涙が溜まっていた――。
「こんな時間にお騒がせしたね」
「いやぁ、役に立てたのなら別に。それじゃあ、気をつけて」
玄関から三人を見送り、見えなくなったところで扉を閉める。
「さぁて、風呂に入るかなぁ」
「あ、私も入る」
「マリカは俺が出てからな。レイナは?」
「寝る」
「お、おう。おやすみ」
こうして、厄介なヤツと戦った1日は終わった。
第6話<光の導き>
この先の戦闘に備えるため、神器を探す3人。そこに現れたのは――?