魔法少女リリカルなのはVIVID☆EXTREME 作:メイカー
………迷った。
困った、この辺りの地形は把握していないし脳内のメモリーにも無い。
もちろん私、ノワール・エルトナム………正式名称ノワール・エルトナム・アトラシアは今携帯端末などを持ち合わせてはいない。
…適当にマスターから逃げる為、転送サーバーで転移したのはいいものの、何処の世界に着いてしまったわからない。
迂闊だ、もう0.58秒ゆっくりと時間をかけて転移すべきだった。
……仕方ない、今出来る最善の行動は…今居る場所の把握。
五感の内味覚と触覚を除き残り二つをフル稼働、さらに第六感とマスターに加えてもらった“第七感”『魔感』と名付けられたいわばデバイスを使用せず己のみで『魔力』を探しだすレーダーのような能力も稼働。
…まず視覚、八方向三百六十度見回す。
周囲に人及び動物の様子は無し。
薄暗い…寂れ、埃だらけの大型機械類を発見。
天井がある…ほんの少しだけ光が漏れている。
…次に嗅覚
油っこい臭いがする。
…いや、ほんの少しだけ人の汗の匂いと…香水の匂いがする。
…続けて聴覚
………これは…人の声?遠すぎてはっきりとわからないが男性と女性、多人数の声が聴こえる。
……第六感…は特にフル稼働させても情報は得られなかった。
…最後に魔感……?
ここからそう遠くは無い場所から強大な魔力を持ったものが時速187kmで真っ直ぐ接近中……場所は此処…?計算だと後数分で着くだろう。
…どうやら私はいつの間にか大型の廃工場に迷い込んでしまったらしい、そしてここから少し近いところには人間が数人存在し、何か強大な魔力を持ったものが接近中…と。
よし、自己ベストの0.04秒で『場所と状況の確認』を出来た。
なら今探すべきは『出口』、次に『人間』だ。
目標の設定の完了、今回外出した目的はあくまで『私自身が家出し、マスターを懲らしめる』だ。
マスターは少々私に依存し過ぎている、これではもし私に何かあった場合どうしようもない。
とりあえず探知した強大な魔力は危険性がある、早急にこの廃工場から逃走しなければ。
急いで工場内を歩き回りながら考える。
今私が着衣しているのはマスターが改造した私が今度から通うSt.ヒルデ魔法学院初等部の制服、正直足と脇の露出が酷かったり無駄な技術により取り付けられた肩と繋がっていない振袖に近い腕回りの布、原型などほとんど留めていないものだ。動きやすいには動きやすいが学校で使用するものではない。前に確認した所制服の改造には確か校則では禁止されていなかったがこれは限度がある。
まだ誰にも見られていないのが唯一の救いだ、出来ればこのまま何処かに身を潜めて数時間したら帰ろう。
そしたらマスターに私はこう言ってやるのだ。
ーーマスターだってこんなことされたら嫌ですよね?だから私にもしないで下さい
ーーと。
完璧な作戦だ、それを成功させる為にも迅速にここから脱出しよう。
「むぅ…」
とは言ったものの、先程から同じ場所をグルグル回っている気がする、素直に右側を伝う迷路の攻略法で行けば良かった。
まだ時間はある今からでも右側を伝う方法で行くとする。
案の定、出口は見つかった………が、怪しいサングラスに黒いスーツの男性が二人。
二人とも私が隠れているこの場所、廃棄された機械の山の影からは正式名称までは分析不可能だがシルエットからして恐らく両手銃、アサルトライフル辺りの物を装備している。
……他のルートを探すか?
今、私は非武装状態であり生身で戦うのは危険性がある。
先程稼動テストにて使用したマスターが開発したデバイスがあるが“GUNDAM”はまだマスターと私以外に知る人はいない。無闇に使用する訳にはいかない。
さて、どうするか…。
敵の可能性がある人物があの二人のみとは考えにくい。恐らく見張りと見た。
今は戦闘を避ける必要がある、主に理由私の服装だが。
となるとまだあの人物の仲間が数人はいると考えられる。
それに早くしないと更に危険性が高いものが来てしまう……。
……ふぅ…、落ち着くんだ私。
計算内では後2分ある…。
よし、見張りはまだこちらに視線を向けている。
結論として、見張りらしき人物二人の視線がこちらからズレた瞬間、姿を確認される前に叩く事に決めた。
しゃがんでいる状態から両手を着き、腰をあげる。
この前本で確認した“くらうちんぐすたーと”という初速に長けた走法だ。
「〜〜〜〜〜〜〜」
「〜〜〜〜?」
廃機械の隙間から見張りらしき二人を改めて確認する、何かを小声で話し合っているが視線はこちらに向いている。
よしいい、後12.5度右の男が視線を曲げてくれれば……!!
「〜〜〜〜〜」
「〜〜〜〜〜〜…」
ここだ!
ズタンッと床にヒビを入れながら低空で跳び、反対側の壁を更に三角飛びの要領で蹴り跳ぶ。
「どっせぇぇぇいっ!!!」
「な、なんwgdpwgdpw!?」
大声を張り上げたのは混乱させて理解力の低下を狙う為だ。
男達へ跳んだ私は跳んだ勢いを活かして左の男へラリアット。床へ後頭部を叩きつける。
「ふんす!」
「おまatgmgふげっ!?」
続けて気合を入れて右の男の足を腕全体を使い払い、バランスを崩した所を頭を掴んで又床へ叩きつける。
「びゅーてぃふぉー……。」
……決め台詞を噛んだ。少し辛い。