担当アイドルと過ごす日常   作:兵部卿

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まゆへの思いが溢れて気がついたら書いてました。
お暇潰しでもどうぞ。

2017年12月末日

まゆはプロデューサーさんと過ごすため、
両親を説得して女子寮で年末年始を過ごすことになった。
しかし、プロデューサーは大晦日の今日も仕事で事務所にいる。

当然まゆは、プロデューサーのいる事務所へと足を向けることになる。
疲れている彼に年越しそばの差し入れに行くのだ。

ウキウキと上機嫌でまゆは事務所に入っていった。
デートも出来ないが、不満な顔は見られない。
彼がそこにいるんだ。

本音を言えば一緒にデートしたり、炬燵でゆったりイチャイチャしたかったが、まゆにとってなによりも大事なのは一緒に過ごすことなのだから。

※2017年12月末日のまゆとPの日常です。



担当アイドルと過ごす日常
まゆと過ごす年末


 12月末日 346プロダクション

 

「……」カチャカチャッターン

 今年も終わろうとしている大晦日の正午過ぎ、まだPさんは事務所で仕事をしていました。

 

「ふぅ、これで今年の仕事もあと少しか。あー、疲れた」

 お昼御飯も食べずに朝からずっとデスクに向かっていたけどやっと終わったみたいです。

「お疲れ様です。プロデューサーさん♪ お茶どうぞ」

 まゆは、Pさんと大晦日を過ごしたくて、両親から帰ってくるように言われていたけど、何とか説得してここにいます。

「お、ありがとう、まゆ」

「うふふ、いいんですよ♪」

 やっぱり、こうして残ってよかったです。Pさんは忙しいからデートに出かけたりとかはできないですけど、人の少なくなった事務所でこうして一緒に過ごせますし、Pさんはまゆがお茶を淹れてあげると、笑顔で返事をしてくれますから。

 

「あー、うまいなぁ。ほっとするよ」

 Pさん、本当においしそうに飲んでくれてる。

 美味しい淹れ方を勉強してよかった。

 

「今年一年お疲れ様でした。大晦日までまゆたちのためにありがとうございます」

「いや、いいよ。アイドルを輝かせるのが俺たちの仕事だし、この時期は年末にライブ、年末年始の特番撮影、年明けライブの準備と仕事が重なるからしかたないよ」

 Pさんのいう通り、今年は先日行われた年末のライブイベントに、いろんな撮影がありました。

 うちでは、特に幸子ちゃんが年末年始のバラエティの撮影でスケジュールが真っ黒になってて、悲鳴を上げてましたし……。

「でも、それを言ってしまったら、アイドルに暇な時期ってないんじゃないですか?」

 アイドルも流行りもの。

 人気がでれば、一年中引っ張りだこになっちゃいます。

 特に複数人のアイドルを担当している人は大変だと思います。

「あはは、そりゃそうだな」

 Pさんも大変なはずなのに、疲れた様子もなく、嬉しそう……。

 その笑顔の理由に他も娘も入ってると思うと少し嫉妬しちゃいます。

 

「しかし、よかったのか?まゆ」

「?」

 Pさんが話題を変えて話を振ってきます。

「まゆは、一昨日仕事納めだっただろ?宮城に帰らなくてよかったのか?家族からも正月くらいは帰って来いって言われているだろうに」

 やっぱり、気付いてたみたいです。うちの両親から言われていたことを。

 事務所でも何度か電話していたのを見られてたからでしょうか?

「うーん、確かに両親からはそう言われたんですけど……。ライブの練習もしたいですし、学校の課題もあって大変ですから……。それとも、Pさんは帰って欲しかったですか?まゆがいたらお邪魔ですか?」

 ちょっと嘘ついちゃいました。本当はPさんと居たいってだけなんです。

 課題だって、お仕事やレッスンの合間に進めてあと少ししかありませんし。

 それを誤魔化す様に悲しそうに俯いて聞いてみます。

 ……ふふ、Pさんがそんなこと思っていないことは分かっているけど、意地悪しちゃいます。

 まゆもアイドルですから、こういう演技もできるんですよ?

 

「いや、そうじゃないよ!ご両親が寂しがるんじゃないかと思ってね」

 ちょっと慌てて答えるPさん。

「……俺は、まゆと一緒に過ごせるほうが嬉しいよ」

 ……どうしましょう、ちょっとした悪戯のつもりがこんなに真剣に返してくれるなんて……。Pさんがこっちをじっと見てる。

 

「Pさん」

 思わず、口から零れるようにPさんの名前を言っていました。

「Pさん……。Pさんは帰らなくてよかったのかって、言いましたけど、まゆが帰る場所は貴方がいるところですよ?」

 顔が熱くなって、心があったかくなって、浮かされるようにまゆもPさんのすぐ目の前まで近づき、常日頃から思っていることを伝えます。

「まゆ……」

 Pさんの声。

 耳に染み入るように入ってきて、まゆのなかを駆け回る声。

 心が落ちつくような、乱されるような、まゆを捕まえて離さない声。

「Pさん……」

 まゆは、うっとりしちゃいます。

 見上げれば、やさしく笑っているPさん。

 つい、Pさんのシャツを掴んで、背伸びをする。

 Pさんの手もまゆの腰を支えてくれる。

 あと少し。

 目を閉じて真っ暗になるけど、怖さは感じない。

 あるのは、このあとの幸せな気持ちを想像して、期待しちゃう気持ちと、ちょっとの気恥しさだけ……。

 Pさん…………。

 

 

 

「やっ、てぇ!られるかーーーーー!!」

 

 

 

「「!?」」

 

 

 

 びっくりして心臓が飛び出るかと思いました。

 思わずPさんの後ろに隠れちゃいます。

 そんな私をPさんは自然と庇うように立って、またそれが

「なに?なんですか!なんなんですか!?」

 そんな思考もデスクに手をついて叫んでいるちひろさんに止められちゃいました。

「ち、ちひろさん、居たんですか?」

 まゆも二人っきりだと思ってました。

「いましたよ!ずっといましたよ!この掛かった経費の処理とか、誰の仕事だと思ってるんですか!?それに、今Pさんがまとめた書類確認して、ライブや、イベントに必要な備品とかの手配を総務に依頼するのはだれだと思ってるんですか!?」

 Pさんは素早くその場に正座します。

 Pさん……。

 まゆもお隣に正座します。

「あの、その、す、すみません」

「それだっていうのに、人の近くでイチャイチャして……私だって大晦日まで仕事してるのに……、今年で“ピー”歳なのに、年末年始を一緒に過ごす人も居ないし……親も結婚だ、孫だとかうるさいし…………」

 ……まゆにはなにも言えません。ちひろさん頑張ってください。

「ち、ちひろさん、仕事手伝いますからね?」

 

「お ね が い し ま す」

 

「……はい」

 Pさんの仕事が追加された瞬間です。

「まゆちゃんも、いくら事務所でも人の目もあるんですから、気を付けてね?」

「はい、ごめんなさい」

 ちひろさんは他の事務所の方たちみたいに問答無用で、Pさんへの思いを否定するような人じゃないですし、さっきのはタイミングが悪かったみたいです。

 ちょっと反省してます。ちょっとだけ。

「なんかお母さんみたいですね?」

 あ、Pさんそれは

「あ”あ”ん”!?」

「いえ!なんでもありません!美人で、可愛くて、アイドル顔負けのパーフェクト事務員のちひろさん!!」

 即座に土下座するPさん。その土下座も凄くきれいで、一分の隙もない姿でした。

 ……流石はPさん。

「……よろしい」

 一応、矛先を収めたようすのちひろさん。

「ま、まゆはおそばでも作ってきますね?」

 一瞬、Pさんが土下座から戻る時にこちらを見て、「NI・GE・RO」と、言っているような気がしました。

 Pさん、頑張ってくいださい。まゆ、Pさんの事信じてますから!

 

 

 ―このあと1時間くらい正座で怒られました―(あれは半分ただの愚痴だった。byP)

 

 

 まゆは給湯室でおそばのおつゆを作りながらお説教を聞いていましたが、一時間くらいして解放されたみたいです。

 今ではお二人で仕事を片付けているようです。

 あとはおそばを茹でるだけなので、手持ち無沙汰に、給湯室の入り口のところで、聞き耳を立ててます。

 

「いやー、さっきはすみませんでした、ちひろさん」

 Pさんは手を動かしつつそう言います。

「本当に気を付けてくださいね。……ところで、Pさん」

「はい?」

「まゆちゃんはまだ高校生なんですから、手を出したりしてないですよね?」

 そうなんです!Pさんは、これだけまゆが愛しているのに、まだ最後の一線を越えて来てくれません。

「たまにヤバい時はありますけどね」

 もう、Pさん……。

 まゆはいつでもウエルカムですよー♪

「いえ、それは聞いていないですけど……。……と、ところで、まゆちゃんって、身長小さくてかわいいですよね?男性はやっぱり身長は低い方がいいんですか?」

 ?

 ちひろさん、何だかもじもじしてます。

「うーんどうでしょう。人によるんじゃないですかね?俺は小柄な人が好きですけど」

「そうですか。……ち、ちなみに何ですけど、私も身長まゆちゃんと1cm違いなんです」

 

 ……え?…………ちひろさん、まさか……。

 

「へー、そうでしたっけ?うーん、確かに同じくらいですね」

「ウエストとかは流石に勝てませんけど、胸とかお尻は私のほうが大きいんですよ」

「ふむふむ?」

 

 ……これは、有罪確定ですね……

 

「その、わたしとかどうです?」

 

 ぎるてぃ

 

「え……。それは、ちょっと」

 流石Pさん、まゆ信じていました!

 Pさんは、苦笑いしながら、明確な意思表示をしました。

「うわーーーーーん!!」

「え!ちょ、ちひろさん!?この仕事どうするんですか!?ちひろさーん!!」

 ……ちひろさん飛び出して行っちゃいましたね……。

 風邪ひかないといいですけど。

 

 さあ、まゆの出番ですよ!

 

「どうかしたんですか?今ちひろさんが泣きながら走っていきましたけど……」

「いや、まあ、年末だし、そんな気分の時もあるよ」

「?」

 ここは、聞き耳を立てていたことが分からないように自然な感じに……。

「そんなことより、まゆこっちおいで」

「はぁい」

 なんですか?

 これから、二人でどう過ごそうか考えていたら、Pさんに呼ばれます。

 近づいていくと、いきなりPさんに抱きしめられました。

 ちょっとびっくりしましたけど、そのまま体を預けます。

 

 トクン、トクン

 

 あ、Pさんの鼓動。

 Pさんの音……。

 何だか落ち着きます。

 

 そうすると、また不意にすこし体を離されます。

 もうちょっとくついていたい。

 Pさんに伝えようと顔をあげると、すぐそこにPさんの顔。

 

「ん」

 

 キスされちゃいました。

 

「さっき出来なかったからね。来年も、再来年もその先もずっとよろしくな」

 

 幸せが溢れてくる。

 

 やっぱりこの人がまゆの運命の人。

 

「はい!ずっと一緒ですよ!」

 




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