とある交差の電光石火   作:エスル

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今回はようやくあのキャラが出ます!と言ってもサラリとですが。

原作の中にオリキャラの第三者を割り込ませるのは難しいですね…

それではどうぞ!


炎と氷(みずほとみずき)

七月十七日

 

 

 

「ふぅ…今日も一日終わったな、しかし暑い……」

 

 七月の夏真っ盛り、うだるような熱気の中で三人の男子高校生が下校中である。

 この日本の特有の多湿の夏、一人の少年の頭髪である天然パーマは普段よりひどくピョンピョンと跳ねている。

 もう一人の少年は汗かきの体質なのか、ワイシャツは既に汗まみれで自身の身体に彫ってある刺青がハッキリ見えている。

 最後の三人目の少年はかける必要のない伊達メガネが汗によりズレ落ち、何度も拭いてはかけ直している。

 

「こんなみっともない有様じゃ曲がり角で美少女とぶつかった時、とてもじゃないが純愛物語なんか出来ないぞ…」

 

「お前はそんなのを期待しているのか…」

 

 メガネの少年、幸徳井は呟き、天然パーマの少年、真藤が言葉を返す。

 

「そうだ、その時にカギになるのがこのメガネだ、ぶつかった拍子にメガネが落ち、落ちたメガネを取る瞬間二人の手が触れ合う、そこから始まるストーリィ…ふふ、完璧だ…」

 

 お前のメガネは優等生に見せるための道具じゃなかったのかよ、と目がうつろの友人へ突っ込む気力も無くただただ天を仰ぐ。

 燦々と照らしている太陽を疎ましく思いながら真藤は二人に提案をする。

 

「なぁ、このままじゃ今流行の熱中症にかかっちまうぞ? 既に一人手遅れのヤツもいるし、どこか店入って休んでいかないか?」

 

「すまねぇ真の字、今日は下宿先の手伝いがあるんでぇ。オジキから直々に言われちまってなぁ」

 

「申し訳ないが俺も辞退させていただこう、これから用事があるのでな」

 

「そっか、なら仕方ねえな、幸徳井(ておくれ)は病院へいくんだろ? 手伝いねぇ、確か赤髪は寮じゃなく下宿だったんだよな?」

 

「おうよ、学園都市唯一の米専門店! 今日はその御用聞きが足らないってんで借り出されるんだとよ、まぁ世話になってんだから文句は言えねぇけどなぁ。奥さん、米屋です! ドゥフフフ…」

 

 しまった、こいつも手遅れだったか。と目がうつろの赤髪を見つめ、ため息を漏らす。

 そうして真藤は手遅れの二人にまずは病院へ行く事を勧めてから別れ、一人道を歩く。

 このまま単に家に帰るのも何か勿体無いと思う。しかし一名様でどこか店に入るのも何か気まずい。

 せめて何か気分転換が出来て帰宅出来れば、と思いながら歩いているとある二人の女性の姿が見えた。

 暑さで口を開くのにも労力を使うが、この二人に関しては特に使う。しかし無視をするわけにもいかない。バレたときにはヒドい目に会うのだから。覚悟を決めて真藤は声をかける。

 

 

「よお 瑞穂、瑞稀。偶然だな」

 

「お、真藤君かっ、奇遇だねっ!」

 

「縁起でもない」

 

「瑞稀、お前は本当に俺を毛嫌いしているのな……」

 

 振り絞った気力で声をかけたが、更にそれを削ぐような言葉に真藤はガックリと肩を落とす。

 

「演技でもない」

 

「うまくねぇよ!」

 

「まあまあっ! それにしてもホントに奇遇だねっ! つけてきたのかな?」

 

「お前まで悪意が見え隠れすんだが……、実はこのまま帰るのもな、と思っていたところなんだ。お前達は?」

 

「うん、この前新しくオープンしたクレープ屋があるからそこに行く途中なのさっ!」

 

「へぇ、そうなのか。やっぱり女の子は甘いものには目が無いんだなぁ」

 

 笑顔の瑞穂を見て昨日も感じたことを真藤は口に出す。

 

「まあねっ! そこの夏限定『大雪山おろし! カキ氷クレープ』が食べてみたくてっ!」

 

「それクレープがビシャビシャにならねぇか!?」

 

「私は『常識は通用しねえ ~未元物質クレープ~』を食べてみたい」

 

「もうただ単純に何だよそれ!?」

 

「まず、もんじゃの生地で」

 

「それもうクレープじゃないよね!? 基本、固体じゃないよね!? せめてお好み焼きやチヂミの生地とか!」

 

 もはや暑さを忘れて目の前の現状に対し、真藤は処理(ツッコミ)をする。瑞稀は捲し立てられるように言われたためか擬音で言う『ムッ』とした顔で、

 

「うるさい、気持ち悪い」

 

「くっそぉ…」

 

「まあまあっ、それにクレープ屋に行く目的はもう一つ! 購入先着100名に配るゲコ太ストラップさっ!」

 

「そのキャンペーンか、もう昨日の時点で終了していたぞ?」

 

「そ、そんなっ!」

 

「そんなにゲコ太が好きだったのか?」

 

 ガッカリのレベルを超えた絶望の顔を見せる瑞穂を見て真藤は動揺する。

 

「oh……」と瑞穂に続き、瑞稀も崩れ落ちる。

 

「(瑞稀もか、しかし何であんな発音がネイティブなんだ?)そ、そう気を落とすなよ! 俺、丁度二つあるんだ! これやるからさ? ほらっ!」

 

 カバンの中から慌ててゲコ太ストラップを二つ取り出す。

 実は昨日の惟代とクレープ購入の際、ゲコ太ストラップを貰っていた。

 しかし惟代は「ヘビ吉のがよかったわね」と言い、真藤のカバンに無理矢理入れてそのままだったのだ。

 

 

---それが今、役に立つ時。

 

 

「え…あ、ありがとっ!」

 

 本当に嬉しそうに笑顔でお礼を言う瑞穂。

 

「別に、アンタなんかに貰っても嬉しくなんか無いんだからね」

 

 瑞穂に対し全くの無表情でツンデレのテンプレートを言う瑞稀。

 

「お前が言うとホントに嬉しくなさそうに聞こえるな!」

 

 多分、嬉しいはずだろうと思いながらもこの瞬間、真藤の中にあるツンデレへの幻想はぶち殺された。

 

「……ありがとう」

 

「何か言ったか?」

 

「気持ち悪い」

 

「ちくしょう」

 

「ん? そう言えばちょっと待ってっ! これを2つ持っていたという事は昨日誰かとクレープ屋行ったのっ?」

 

 この暑い中飛び跳ねて喜んでいた瑞穂が急に質問をしてきた。その質問に瑞稀もピクリとなる。

 

「ああ、それがどうかしたか?」

 

「誰とっ?」

 

 真藤の顔にグイ、と言う効果音が似合いそうなくらい近づく瑞穂。

 その顔は笑顔から挑むようにして真藤をにらむ。

 どうしてそんな目をされなければならないのだ、と言い返してやろうとするが無言の圧力がある。というか怖い。

 瑞稀もやはり口には出していないものの同じような顔をする。いや、元からだったろうか。

 

「え? いや、常盤台の幼馴染とだな」

 

「ふーんっ、あっそっ」

 

「……あなたはクレープを私達に奢るべき」

 

「ええっ! 何故そうなる!?」

 

「Wao! nice idea!」

 

「だから何でお前らはそんなにネイティブな発音なんだよ!?」

 

 質問に答えた真藤から微妙な表情でパッと離れ、瑞穂は片割れ(みずき)と一連の流れを展開する。なすがまま翻弄された真藤はそのままクレープ屋へと連行された。

 

「はぁ、二日連続で奢らされるとは……」

 

「んんっ、これは新食感っ! 瑞稀の方はっ?」

 

「こっちはメルヘンな味」

 

 カップに入っている未元物質(クレープ)を掬いながら瑞稀は答える。その顔はどこか幸せそうだ。

 

「どんな味だよ……」

 

「瑞稀っ! 冷めたら温めてあげるからっ!」

 

「うん、そっちも氷、足りなくなったら作ってあげる」

 

「仲のよろしい事で…本当にいつも二人でいるよな?」

 

「まぁねっ! 仲がいいのもあるけど特に最近は連続爆破事件とか誘拐事件なんてあるらしいしねっ! 常に身構えとかないとっ!」

 

「お前らをさらう度胸のあるヤツなんてどこにいるんだよ…」

 

 実際にこの双子は大能力者(レベル4)氷結能力者(ジエロキネシス)強能力者(レベル3)発火能力者(パイロキネシス)だ。

 更に双子ならではのコンビネーションで余程の相手で無ければ遅れを取る事はないだろう。

 それに相手の度胸の有無よりも双子の胸の有無の方が心配だと真藤は考える。すると、

 

「ほうっ、私達のどこを見たのかなっ?」

 

「…気持ち悪い」

 

「ちょ! 待て! 見てない! 思っただけでっ右熱! 左冷た!」

 

「ううっ、何も言ってはいないのに……理不尽だ」

 この二人、本当は読心能力でもあるのかと先程考えていた内容を後悔する。

 

「はぁ、もういいよっ! クレープも食べたし、帰ろっ」

 

「うん、アナタにも用は無いし、逝って」

 

「漢字違くねぇ!? ……まぁいいや、じゃあまた明日、学校でな!」

 

 

 

 

 

 連日の奢りにより、真藤の財布の中身(ヒットポイント)は0だ。財布の中身を見てため息をつくとお金を引き出すために途中のコンビニに寄る。入口に入る直前から何か騒がしい。何事かと思いながらも自動ドアをくぐると、とある人物、いや人物達を見かけた。

 

 

「今日という今日は決着をつけてやるんだからっ!!」

 

「あー、カードが無いと再発行されるまで無一文に……冷蔵庫の中はカラッポだし」

 

「ん? 御坂と…そっちは確か隣のクラスの奴だっけか?」

 

 昨日も見かけた常盤台の少女、御坂美琴ともう一人、学内で見覚えのある黒髪でツンツン頭の少年に声を掛ける。

 

「アンタは!」

 

「ん? おぉ、隣のクラスの!」

 

「真藤だ、どうかしたのか?」

 

「俺は上条だ。実はATMからキャッシュカードが出なくてな……不幸だ」

 

「そうだったのか、この科学の街でなんて理不尽な……」

 

「こういう時の為に買い溜めしておかないとダメだなあ」

 

「確かに買い溜めしておくとイザという時に助かるよな」

 

 妙に二人が意気投合しているところ取り残された少女がプルプルと震えている。

 

「二人揃って私を無視すんなーっ!!」

 

 口を大きく開けて叫び、八つ当たりからかATMにパンチをする。

 するとショックからか取り出せなくなっていたというキャッシュカードがATMから出てきた。

これには先程まで項垂れていた上条も大喜びである。

 

「で、でたあ~~~! サンキュービリビリ!」

 

「ビリビリじゃなくて御坂美琴っ!!」

 

「正直何でこんなのに関わっちゃたんだろうって思ってたけど、今初めてこの出会いに感謝……」

 

 上条は感動し、美琴の手を取り、ブンブンと振っている。

 何故か真藤は胸が熱くなったのかうんうんと腕を組み、うなずいている。

 

「アンタ等ねえ」

 

 対照的に呆れた顔の美琴。ふと真藤が横を見るとATMから煙が出ていた。

 

「何か嫌な予感が……」と呟いた瞬間、

 

---店内に警報が鳴り響く。

 

「やっぱりー!」上条は店内から逃げるように外へ走り出す。

 

「ちょっと!! どこ行くのよっ」美琴も上条を追いかける。

 

「え? あれ!? こうなると俺も逃げ出さないワケには……!」更に真藤も慌てて走り出した。

 

 

「不幸だあぁああああ!」

 

「理不尽だああぁぁあ!」

 

 

 二つの叫びが響き渡り、3人が辿り着いたのは土手。3人が一息つくと、

 

「はあ、うー故障とかしてなきゃいいなあ防犯カメラに顔映ってるだろうし、って俺は何もしていないのに何で逃げてんだ?」

 

 上条は頭を抱え一しきりブツブツ言うと気がついたかのように一つの考えに辿り着く。

 

「んな事はいいから勝負しなさいよ勝負」

 

 戦闘狂(みさかみこと)が興味もなしに上条に言い放つ

 

「勝負勝負って今までお前の全戦全敗じゃんか」

 

 ブッと上条の言葉に真藤は吹き出す。あまりの不意打ちの台詞で驚いているのだ。

 そもそも真藤の学校には高位能力者はほとんど皆無と言って良い程だ。無能力者だって珍しくない。強能力者(レベル3)でトップクラスになれるのが真藤たちの学校だろう。

 そんな学校の生徒が学園都市に7人しか認定されていない超能力者(レベル5)に全戦全勝だというのだ。

 

 先程まで隣のクラスとはいえ、名前も覚えていない髪型だけが特徴的な目の前の少年が。

 

「うっ、うるさい! 私だって一発も食らってないんだから負けてないわよっ!」

 

 顔を赤らめ反論をする美琴。先程の上条の発言はあながち嘘では無いのが裏付けられた。

 

「じゃあどうしたら終わるんだよ?」

 

 疲れた顔をしている上条は美琴に終了条件(イベントクリア)を確認する。

 

「え? そ…そりゃもちろん……私が勝ったらよ」

 

「はあ~、…わかったよ、それで気が済むってんなら相手になってやるよ、早く終わりにしたい。」

 

「ようやくやる気になったみたいね、ちょっとそこのアンタ! この勝負見届けなさい!」

 

「はぁ?」

 

 声をかけられた真藤はマヌケな声を出す。さっきの会話のショックから美琴の声で現実に引き戻された。

 

「それからこの後に話があるから! いいわね?」

 

 怪訝そうに眉間へ皺を寄せる。自分に何の話があるのだろうかと。一つ共通点としては惟代の事ぐらいである。

 昨日見た限りでは仲は決してよくない事は判る。何か弱みを教えろ。とかそういうことなのだろうか?

 それとも、もしくは……とにかくこの勝負が終わった後、聞けばいいと思っていた。

 

 しかしそれは叶うことは無かった。

 

 

「逃げんなーッ!!」

 

「不幸だーっ!!」

 

 

 土手の川沿いで戦い始めた二人はしばらくすると先程の怒鳴りと叫びを残し、しばらく待っていても帰って来る事は無かったからだ。

 

 昨日、今日と中学生、高校生であろうとも女性(おんな)達に振り回され続けた少年(おとこ)は土手に体育座りで不幸少年の身を案じ、呟く。

 

 

「女って怖ぇ……」

 

 




オリキャラ介入ものってやはり難しいですね。
なるべく原作を壊さないようにオリジナリティも入れていきたいと思います!

今回もご精読ありがとうございました!
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