とある交差の電光石火   作:エスル

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今回は完全なオリジナルです。

え!?と思う部分もあるかもしれませんが、ご容赦いただければ幸いです!


暴風紀委員(アンジャッジ)

七月十八日

 

 

 早朝、とある道を二人の学生服の少年が歩く。やはり夏ということでこの日もかなりの気温だ。

 ただ朝独特の爽やかな風が流れ、気温の高さへの慰めといわんばかりに少年二人の身体を撫ぜた。

 

「昨日は数が多すぎたせいかあまり寝れなかッたな…」

 

 二人の少年のうちの一人、真っ黒な髪の色の少年が欠伸をしながら一人ごちた。瞳の色は深いブルー、今の気分に非常に合致している。

 とある学校のとあるクラスでは頭脳役、参謀役でもある少年だ。

 

「何か最近、能力者があまりにも問題を起こしすぎてねぇかい?」

 

 それに応えるようにもう一人。学校指定のシャツの下にはクッキリと刺青が見えている。とある学校のとあるクラスでは3馬鹿の一人と名高い赤髪の少年が話しかける。

 

「あぁ、何かそれは俺も最近感じていたんだ、ウワサの確か……『幻想御手』(レベルアッパー)だッけか?」

 

「おうよ、『ソレ』を使っただけで能力のレベルが上がるってモンが巷で流行っているらしいんでぇ、『無能力者』じゃなく『能力者』の問題が最近多いってのはソレが原因かもしんねぇなぁ」

 

「要は無能力者達が能力を得てハシャいでいるッてか? 欲しいオモチャを得た子供かよ……」

 

「気持ちはわからなくもねぇけどよ。新しいもの、欲しいものを手に入れたら試したくなる。ってぇヤツだろうよ。」

 

「まぁ、な。しかしそんなに効果のあるものなのか……」

 

 いつの間にか二人は話しているうちに会話の内容に対し考え、黙り込み、どうやら立ち止まっていたようだ。そしてふと思い出したかのように再び歩き出す。

 

「さッさと学校に向かうか。また今日も学校でお前等3馬鹿の相手をするのかよ、気がますます滅入るぜ…」

 

「まぁまぁ! 夏休みまでのもう少しの付き合いだ! それに俺とお前の仲じゃねぇか、寂しいこと言うない!」

 

「そうは言うけどな、代表してお前等へのツッコミは満載過ぎて本当に大変なんだぞ、出来れば絡みたくない……」

 

「またまた! クラスでも絡みたければ素直に来ればいいんでぇ! 素直じゃないねい!」

 

「本心で雑じり気無しの100%だ……」

 

 少年の青い瞳に疲労の色が染まる。そんなやり取りを行いながら歩いていると、ふと何かが壊された音とともに路地裏の方から声がする。二人の少年はそれに気づき、焦るわけでもなくその方向へ向かいながら歩く。

 向かう途中で聞こえた声は複数。だが明らかに一人だけ『仲間外れ(ひがいしゃ)』の声がある。少年達は既に状況を見越し、現場に向かった。

 

しかし、

 

「おい、久瀬(くぜ)

 

「あぁ、お前は先に行け、俺はともかくお前は学校に遅れたらマズいだろうが?」

 

「そうかい? じゃあお言葉に甘えるとすんぜい!」

 

 

 青い瞳の少年と赤髪はここで別れる。赤髪もそのまま気にせず登校への路を歩く。そして一人少年は現場へと向かう。

 

 

「全く、朝ッぱらから本業(がっこう)の前に副業(しごと)を増やしてくれるなよな」

 

「あぁ!? 何だテメェ!」

 

 現場に着いた少年が集団に声を掛け、その内の一人が声を荒げ、全員が振り向く。

 

 

「あ、うぐっ……た、助けて……」

 

 

---やはり少年達の予想状況の通り。

 

 集団の中と言っても正に中心の位置にいる学生は複数に囲まれており、地に叩き伏せられて、これから登校するための制服はボロボロだ。恐らくいいように痛めつけられたのだろう。

 それに対し、他の連中も少年とそう歳が変わらないはずだが制服ではない。

 

「スキルアウトか……」

 

青い瞳の少年、久瀬 信士(くぜ しんじ)は呟く。

 

「どうやら正義の味方気取りで来たみたいだなぁ?」

 

「そんな事はねぇよ。早朝のゴミ掃除のつもり、言うならボランティアだ」

 

「ゴミだぁ!? 俺達がタダのスキルアウトだと思ってんのか!? あぁん!?」

 

 完全に興奮してしまっているのであろう集団の一人が久瀬に対し、明らかに抑えきれない敵意を向けている。

 しかしそんなことは意に介さず、青い瞳を細め先程赤髪の少年との会話を思い出し、カマをかけるように話を繋げる。

 

 こちらはあくまでも、冷静に。

 

「『幻想御手』とやらで能力を得て、それで能力を使いたいって雰囲気がプンプンだな?」

 

「正解だよ! 理解したところで能力(おれたち)の実験台になってもらうぜ!?」

 

 その言葉を合図に炎や電撃、身体能力で強化し飛ばしたであろうコンクリートの塊。様々なものが久瀬に襲い掛かる。

 

しかし、それらは少年の身体に触れるまでは届かず、『反射』されるか『消滅』した。

 

 原理や能力は解らない。少なくとも先程まで襲われていた学生にはそう見えた。

 そして青い瞳の少年が手を前に翳すだけで吹き飛び、苦しみ、倒れていく集団。

 今は、先程まで襲われていた状況よりも助けに来てくれたのであろう、漆黒の髪に冷たく映る青い瞳の少年の方がはるかに怖い。

 本能的にそう感じ取り、学生が我に返った時には集団は一人の少年によって黙らされていた。

 

 

「あ、あなたは……?」

 

 

 学生は怯えながらも倒れている集団の中に一人立っている少年に問いかける。

 

 

「俺か?」

 

 

 学園都市には風紀委員(ジャッジメント)警備員(アンチスキル)だけでは対処出来ない『スキマ』がある。

 

 早朝深夜、時間的な問題であったり、監視や見回りから外れる死角の場所的な理由。

 

 はたまた、『スキマ』の奥、深い『闇』の部分。

 

 それは偶然なのか、作為的なのか。

 

 

風紀委員(ジャッジメント)ですか?」

 

「いや」

 

 そういった『スキマ』に気づき、風紀委員や警備員の制約を受けず、自分達の正義(スジ)を通し、被害を受けている者を救おうとする私設集団が学園都市には存在する。

 

 

 

---その名は

 

 

 

 

暴風紀委員(アンジャッジ)だ」

 

 




今回はだいぶ更新に期間が空いてしまいました。

次回はなるべく早く更新するようにしたいと思います!

今回もご精読ありがとうございました!
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