とある交差の電光石火   作:エスル

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今回はあのヒロインさんが登場します!

僅かですが(笑)

それではどうぞ!


禁書目録(インデックス)

七月二〇日 夏休み初日 

 

 

 エアコンが壊れてうだるような熱気が支配する、学生寮の一室で真藤豪摩は寝苦しくも睡眠についていた。

 昨夜未明、この『学園都市』に落雷が起き、そのせいで家電製品の8割が殺られていたのだ。

 真藤は隣人と『とある騒ぎ』で夜中に這う這うの体で家に逃げ帰る事になり、その際は疲労感に襲われて、部屋の温度を気にすることなく就寝することが出来た。しかし日が昇るにつれて窓も空けることなく床についた部屋は正にサウナ状態。エアコンはただのオブジェである。日が昇るにつれて眠りが浅くなり、室内の温度を意識しはじめたころ隣から叫び声が聞こえた。

 

「う? うぉ……」

 

 隣の『アイツ』はまた何かやらしたのか?と先程の叫び声で半ば覚醒した真藤はもぞもぞと寝床から起き上がりはじめる。リモコンの電源を押して確認するがエアコンはやはりアウト。

 干からびるのを防ぐため、少しでも涼みをとるべくベランダの窓を空けると携帯が鳴りはじめた。

 誰だよ、と思い通話ボタンを押すと『おっはよー! 今日から補習♪ まさか忘れてないじゃーん?』と眠気も覚めるほどの大きな声で担任(よみかわ)からの連絡網(ラヴコール)

 何という夏休みの始まりかと頭を抱えながら寝汗を流すためシャワーを浴びた。

 

 「そう言えば変な夢だったなぁ……」

 

 真藤は先程まで見ていた夢の内容を思い出した。

 内容といっても情景は真っ黒、二人の女性の声のやり取りだけが聞こえるものだった。

 そのうち一人の声の主は、

 

 「ありゃ母さんだよな?」

 

 年に何度か携帯での連絡はあるものの、しばらく顔を見せていない母親。

 元気だろうか。夢で声を聞いたせいか、なぜか無性に話したくなる。

 今度電話するかと考え、真藤は母親で連想された別の女性、いや少女を頭に浮かべる。

 

 「あのふざけたメイドも最近見てないな……」  

 

 縦ロールにした長い黒髪と、身につけるメイド服はミニスカートに蛍光カラーのコルセット、ウサギの形をした名札をスカートに貼り付けた、素人が見ても判る珍妙奇天烈摩訶不思議な格好の少女。

 知り合ったきっかけは、朝の登校時にそんな服装をしていた少女が首から『ご主人様募集中!』と板をぶら下げて立っていた所、声をかけたことからだった。

 他の通りすがる人たちが思いっきり顔を背けて無視する中、真藤はひらがなで書いてある名札に目がいき、母と同じ名前であることで無意識に呟いてしまったのだ。

 

 「あの時は酷かった……」

 

 呟いたあとの相手の食いつきっぷりは半端ではなく、『あなたがご主人様か!』と文字通り飛び掛られ真藤も全力で拒んだ。

 何とかご主人様にはならなかったものの、この出来事で奇妙なメイド服の少女との交流は始まった。

 

 「そういや探している人は見つかったのかな」 

 

 交流を重ねている中で出てきた少女の『探し人』の話。その時話していた普段とは違う彼女の表情が脳裏に浮かぶ。

 本人でも手掛かりでも見つかって、その関係で姿を見せなくなったのか。

 見つかっていればいいなと思いながら浴室を出る。   

 

 夢に出ていた母とは別の女性については、もう真藤の頭の中には無かった。

 

 シャワーで幾分か気の晴れた真藤は朝食をとる為、いつもの習慣で冷蔵庫の扉を開けるがこれもやはりオダブツ。当然中身も全滅。機能を失った冷蔵庫という名の箱の中からは異臭が漂い、即座に冷蔵庫を閉める。

 続いて冷凍庫は昨晩の残り物や作り置きがあるが、半分ほど解凍してしまっている。本日中に食せば問題ないと思うが、量が多いため食べきれないことを考えればこれもダメだろう。

 しかし廃棄は少しでも無いほうがいい。朝から食料について頭を悩ませる事について、真藤は『理不尽だ』とつぶやきながらもベランダに向かう。そこには小さいながらも菜園があった。キュウリなりトマトなりナスなり、形はいびつで実りも少ないがしっかりとした野菜。よしよしとニヤケながら収穫していると今度はインターホンが鳴る。

 一体朝からなんなんだと思いながらドアを空けると、そこには昨日生死を共にしたツンツン頭の友、上条当麻。何故か顔は青ざめており、腹部を押さえている。

何事かと思っていると開口一番、

 

「た、食べ物をわけてくれませんでしょうか!? あと胃薬」

 

「はぁ!?」

 

「実は」

 

「あーもういいよ、分かったよ……。作って持って行ってやるから待ってろ。あと胃薬も」

 

どうせ例の『不幸』によって冷蔵庫はもちろん、非常食のインスタントも台無しにしたのだろうと適当にあたりをつけ、上条の言葉を遮るように真藤は朝の給仕役を買って出る。

 

「すまん! ヒジョーに助かる!」

 

 んじゃ二人分頼むなーと言いながら先程の苦しそうな顔から一転、パッと笑顔になり上条は名残惜しさも感じさせずアッサリと扉を閉めていった。

 料理中、先程のやり取りに何故か言葉に引っかかりを感じつつも食事を作り、上条の家に持って行くとそこには白い服の女の子がちょこんと座り、真藤を見上げるような形で見ている。

 

(はぁ!?)

 

 思わず持っていた料理を落としそうになる。

 何故だ、早朝に。意味がわからない。ただただ真藤は少女の方に目を見やった。

 

 歳は十四、十五くらいか。自分よりも一つ二つ年下という感じ。

 髪の毛はロングで銀髪? の外国人だ。

 さらに服装は長いワンピースのような、修道服なのだろうか?

 黒が普通の修道服の色と思ったが、着ている服は純白で女の子の白い肌とはまた違った白さ。

 顔は可愛らしく、小動物といったイメージ。

 全体像を見るに感想としてはシスターみたいな女の子。

 ってか、日本語通じるのか? とまずは上条に確認するため口を開く。

 

「上条、この方はどちらさまで?」

 

「私はね、インデックスって言うんだよ! 今度はあなたが私にご飯を食べさせてくれるのかな?」

 

 しかし代わりに答えたのは超日本語ぺらぺら少女。

 

「あぁ、ちなみに俺にも食べさせてくれる救世主だ!」

 

「わあ、すごいんだね! 神様みたいな人かも!」

 

 唖然としている真藤はハッとし、

 

「二人分ってそう言うことかよ!? てっきりこっちで食べる俺の分かと思ったじゃねーか!」

 

 え? みたいな顔をして食事に手をつけはじめようとしている上条。

 

 片や既に頬張っているシスター。その顔はとても幸せそうで最早食事を取り上げるわけにはいかない。

 

 ならば、

 

「上条、『ソレ』を俺に返すんだ! お前は薬でも飲んでいろ!」

 

「いや、薬と料理は渡しませんよ! 既にこの時間までに様々な不幸に見舞われた上条さんに更に不幸になれと!?」

 

 急にウルウルと涙目になり両手を広げて訴えてくる上条。

 胃薬も必要ではあるが、食欲もあるらしい。

 

もういいか、昨日はこいつのおかげで『助かった』のだから。食事はまだ余っている冷凍庫の残りから作ればいいと、ため息をつきながらようやく最大のツッコミ所に真藤は触れる。

 

「んで……インデックスだっけか? どうしてここにいるんだよ?」

 

「私はね、追われているんだよ」

 

「追われている? 誰に?」

 

「魔術結社だよ」

 

「…………へ?」

 

 

 

 

 

 真藤と上条は通学路をひたすら走る。二人は昨日も不良たちから追われ逃げていたが、今度は遅刻という時間に追われて、早朝の炎天下の中を駆け抜ける。

 

「しっかし 魔術とはなぁ」

 

「お前は信じるのか?」

 

 すかさず上条は言葉を返す。その顔は眉間にシワを寄せしかめている。

 

「いやぁ、まぁ三信七疑、ってとこだな」

 

「そんなに信じるのかよ?」

 

「だってあんな顔で話されちゃあなぁ。上条だって全てがってわけじゃないだろ?」

 

「そりゃ……意地でも認めて欲しいみたいだったからな」

 

「しかしお前と絡むとホントに走りっぱなしになるんだが……補習間に合うかギリギリだぞ!? ほら、急げよ!」

 

 昨夜では仲良く併走していたが、今朝は少し状況が違う。真藤が前で上条が後ろ。上条は家を出る前、ドア枠に足の小指を勢い良くぶつけてしまい、足を若干庇いながら走っている。

 

「ちょっと待て! 上条さんは足が痛いんですよ!? もう少し労ってもよろしいんじゃないでしょうか!?」

 

「そうは言ってもあれはお前の落ち度だろ! 俺もまだ頭が痛むんだぞ! 何が不幸だよ…頭を噛まれた上に遅刻に巻き込まれている俺の方がよっぽど理不尽だよ……」

 

「けどよ、お前だって時間を気にしないであの子の話に付き合っていただろ?」

 

「それは……」

 

 あれからインデックスと名乗る少女の事情を聞き、どうしても疑いの目になっていた二人に対し、証拠を見せる。と躍起になっていたところ、魔術は使えないが着ている服『歩く教会』に魔力が込められているということで異能を打ち消すという上条の右手で触れたところ、インデックスは見事にすっぽんぽん。それを目の当たりにした二人は揃って頭を噛まれたのだ。

 ちなみに懸念していた冷凍庫の食料のついては解決した。少女があまりにも料理を褒めるので、真藤は調子にのって嬉々としながらおかわりを作ると、それらも全て平らげてしまった。

 

(神の奇跡(システム)すら打ち消す幻想殺し、ねぇ……)

 

 それが上条の右手の異能の名前。つい昨日までは『超能力』という異能を打ち消す力だった、だが『魔力』というものが本当にあるのならば、インデックスの服の『魔力』とやらを打ち消したことにより『あらゆる異能を打ち消す』事が証明されたのだ。

 ただし、その効力は手首から先だけらしいが。

 

(そんな右手で触られたら俺はどうなるんだ)

 

 想像しただけで恐怖。真藤は思わず身震いをする。するといつの間にか後ろで走っていた上条が隣まで追い付いてきていた。

 

「よし、これなら間に合うぞ!」

 

「確か補習先の教室は上条の教室だっけか?」

 

「そうですよ~勝手知ったる我が教室です」

 

「意味がわからねぇ……」

 

 教室に飛び込むように入ると既に補習生(おなかま)たちがまばらに席に着いている。

 上条が自分の席に着くのでどうせならと近くの席に着こうとすると二人の生徒が目の前に立ちふさがった。

 

「おはよーさん! カミやん!」

 

「カミやん、おはようだにゃー」

 

 関西弁なのか、訛りが混じった挨拶をし、染めているのだろう青い髪でピアスをしている長身の生徒。

 もう一人も変わった語尾で挨拶をしてきた金髪でグラサンをかけている生徒。

 おそらく『カミやん』というのは上条のあだ名だろう。

 

「あぁ、おはよう。土御門、青髪」

 

「どうした、カミやん。今日も冴えない顔してるにゃ~」

 

「バーカ、補習が楽しい事なんてあるかよ。それに『今日も』は余計だ」

 

「何言うてんねん、夏休みの期間も『あの』小萌センセの顔を拝めるんや、楽しくないわけないでー?」

 

 真藤は目の前の光景に既視感(デジャブ)を感じていると後ろから肩を叩かれる。

 

「おはよう、シン。相変わらずの間抜け面だな!」

 

「やかましい、幸徳井(メガネ)。相変わらずってどういうことだ!?」

 

「まぁまぁ、真の字。こまけぇこたぁ気にすんない!」

 

「赤髪、俺の顔が細かいことだと……?」

 

「おうよ! 補習の先生は学園都市の七不思議に指定される程の『あの』幼女先生なんでぇ! もちろん、学校でも有名人! そんな先生の顔を間近で拝める事に比べたら真の字の顔なんざぁよ!」

 

「そういうことだ、シン。年上派の俺でもさすがにその先生には興味があるからな」

 

 さらりと自分のフェチズムをカミングアウトした幸徳井に金髪グラサンが声を掛ける。

 

「ほぉー、年上派? この偉大なるロリ派の俺を目の前にして言ってくれるぜい?」

 

「ふん、偉大なるロリ派だと? そっちこそ笑わせてくれる」

 

「……そこの赤いの。小萌ちゃんは見世物ちゃうで? 愛でるモンや」

 

「なんでぇ青いの。……何か文句でもあんのかい?」

 

 睨み合うメガネとグラサン。赤髪と青髪。状況は正に一触即発だ。

 そしてこの状況にため息をつく天然パーマとツンツン頭。

 

 他の生徒達はまだ誰も知らない。

 

 ここにバカの六芒星(ヘキサグラム)が揃ったことに。

 




次回も引き続き3バカや原作のキャラが出ますが、上手く原作の様なドタバタを表現できるか…

ともあれ頑張ります!

今回もご精読ありがとうございました!

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